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シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その3)

 日本をしばらく留守にしていたこともあり、間が空いてしまいました。申し訳ありません。

 遅くなりましたが、明治大学シンポジウムの続きです。
 東中野セントアンジェラ・クリニックの植地泰之院長、国立遺伝学研究所川上浩一教授、吉田統彦衆議院議員に続いて、医師であり作家の海堂尊氏の登壇です。
コロナ黙示録
 海堂尊氏は、医師であるとともに、作家としては映画化やドラマ化もされ累計1080万部という大ベストセラーとなった「チーム・バチスタ」シリーズで有名な方。
 そのバチスタ・シリーズ最新作という形で、このシリーズ登場人物を登場させて、日本のコロナ対策を痛烈に批判した「コロナ黙示録(2020年)」「コロナ狂想録(2022年)」「コロナ漂流録(2022年)」のコロナ三部作をコロナ禍の中で出版もされています。
 その海堂氏は、1997年、外科医から病理医に転身して、当時最先端だったPCRの研究で博士号をとられています。

 個人的な話になりますが、八木はコロナ禍初期の頃、別件の打ち合わせでお会いした海堂氏に、後に問題になる医療記事を参考に「PCR検査って感度が70%ぐらいで、擬陽性などが出るらしいですよね」などと口走ったがために、海堂氏の眦がキリッと上がり、そこに直れとばかりに、喫茶店で紙ナプキンをメモにPCRの原理について 延々と 懇切丁寧なご説明を受けたことがあります。

 なので、政府が最初の頃に言っていたPCR検査の問題点というものが、もうめちゃくちゃだということをよくわかっておられたと。そのレベルの低いデマや行き当たりばったりの対策に対する医師としての怒りを原動力として、コロナ三部作を、それぞれ執筆期間2ヶ月ぐらいで書き上げたのだそうです。結果として、この三部作は、フィクションでありながら、それぞれ当時の空気を濃厚に反映した記録となったわけです。
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 まず、第1フェーズとして、「謎の病原体」としてのコロナが登場したとき。
 川上先生と同じく、最初にPCR抑制をやったのは、これはもうとんでもない話だと。
 すなわち、衛生学の基本はすごくシンプルなもので、感染症が入ってくる前、つまりゼロの時に完全にシャットアウトする。
 実際に、日清戦争の後で、北里柴三郎先生と後藤新平大臣が検疫システムを一生懸命作ったおかげで、コレラが入ってくるのを、見事な検疫で防いだという例がある。
 ところが、そういった経験が全然生きておらず、令和の日本はそこがザルであった。なぜなら、コロナを判別するちゃんとした検査はPCRしかないのに、そのPCRを症状がある人に適応することができない仕組みをわざわざ作った。しかも、その問題を指摘されても直そうとしなかったことです。
 保健所とクリニックを何往復もさせられたという初期の設計などは、これはもう衛生学的にも馬鹿じゃないかと思えるような話だと。

 第2フェーズは、感染がもう広がってしまって、もはや排除できない状態。つまり、共生の段階といえます。
 そうすると、ワクチンを打って感染予防をしながら、重症者をちゃんと引き取る病院システムを作り、さらに、社会全体で感染をできるだけ抑止するようシステムを作らなければなりませんが、これらの仕組みも、終始一貫しておらず、もうぐちゃぐちゃだったと喝破されます
 つまり、菅政権の時代、五輪を強行するかしないかということで揉めたあげく、結局、五輪をやって大パンデミックになって、医療崩壊してしまった。
 そもそも緊急事態宣言をして人流を止めようとしながら、五輪をやる。これは論理破綻だと。

 さらに今の岸田政権というのは、レッセフェール、何もしない、なすがまま。第9波と言われていますが、それが本当なのかどうかというのも疑問だと言われると、誰も答えができない。
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 一つ画期的なのは、今回のコロナ禍では、ワクチン開発がすごく早かったことだと。
 コロナの分子塩基配列が発見された直後に公表されたのは、1997年に分子生物学を研究していた海堂氏としては、時代がここまで進歩したんだと本当にびっくりするような話だったそうで、その速やかに公表された塩基配列を元にワクチンができたわけですから、そこのところはすごい大変な科学の進歩によるものだったと思われた。
 これらワクチンが果たしてそれほど有効だったのかどうかという疑念もいろいろ出ていますけれども、おおむね統計学的な解析によれば、ワクチンはコロナの抑止に大変有効だったのではないかと言われているけれど、一つ、残念なのは日本は色々と感染者などを調べていましたし、ワクチン接種もきちんと管理してやっていたわけですから、その人たちの追跡調査をすれば、本当にワクチンの効果というものが客観的に調べられたはずです。
 でも残念ながら、厚労省や政府はそれをきちんと学術的に解析するような土台を作ってこなかった。
 これは、前々から言われていたことなので、無理だろうとは思っていましたが、非常に残念です、と。

 そして、大阪。
 大阪は非常に危険で、皆さんも忘れている人も多いのかもしれませんが、とにかくアンジェス社が出てきた時から、海堂氏はこれは相当ヤバいなと思っていたのだそうです。
 いまも忘れられないイソジン事件に雨合羽。イソジン吉村に雨ガッパ松井と呼ばれているという.....そんな彼らがアンジェス社を持ち上げて、オール大阪などと言って国産ワクチンを作ろうと打ち上げたわけです。
 でも、結果としては1年後にはワクチンの有効性を確認できず、仕切り直しと言っている。そして2年後にはコロナワクチン開発断念。

 ここで海堂氏の怒りが。
「これはですね、私は物書きで、他の先生方と違い、あまり責任がない立場です。まして特に国からお金をもらっているわけではない。
 なので胸を張っていますが、控えめに言って、100億円の税金泥棒だと思います。こういったシステムを許してはいけない。これが私の今の基本的な怒りの感情です。なぜかというと、その100億円は、皆さんがお金を出した税金が原資です。我々のお金です。
 我々が、例えば吉田(統彦)先生の話を聞いて、アンジェスみたいな会社にワクチンを作ってくれるためのお金を出そうと思いますか?そ ういうシンプルな話です。ところが厚生労働省や政府が絡んだりすると、そういうふうにシンプルにいかない。なぜか知らないけれども、おかしなことにお金が使われる。
 その結果、五輪でも相当無茶なお金の使われ方をした。その再来、というか繰り返しで、大阪万博でも同じことが起こるでしょう。
 これは断言します」
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 海堂氏は2011年に「ナニワ・モンスター」という小説を書いておられて、この本は、コロナが最初に流行った頃に、今の現状を予言した書ではないか、と話題になったことが一瞬ありました。
 でも、海堂氏によれば、これは、2011年当時の豚インフルエンザの体たらくをできるだけ厳密に描写した作品だったのだそうです。
 つまり、この2011年に厚労省がやったことが、コロナで同じように繰り返されたのです。
 ということは、例えば10年後に新しい感染症が来た時に、きっとまた同じことを繰り返すのではないか。

 海堂氏が基本的に厚労省を信用していないのは、Ai(オートプシー・イメージング)というシステムを死亡時医学検索で導入しようとしてきたときの経験が基になっています。
 Ai(オートプシー・イメージング)とは、ご遺体をまず画像診断するというシンプルなことで、当時、死体を調べる検査法としては解剖しかありませんでしたが、それがわずか1%しか行われていない状態、つまりシステムとして崩壊していた。そこで画像診断をしたら、システムが建て直せるだろうと思ったのだそうです。
 つまり、検案とAiを一体化して、Aiセンターで画像診断して、解剖を振り分けるという方式です。画像診断をやれば解剖しなくてすむ例も出てくるわけです。しかし、結局それは頑強な抵抗に遭って拒否されて、複雑怪奇なシステムが生き残り、その従来のシステムのところに補助金を入っている。
 2010年に日本医師会が、年間5000人の小児死亡例全例にAiをやることは5億円の予算でできるので、これでかなりの小児虐待がわかり、抑止につながるだろうという答申を出してくれても、厚労省はこの提案もうやむやにした。
 こういった年間5億円のお金を渋るのに、なぜ、アンジェスみたいな会社にぽんと100億円を出すのか、というのが基本的な怒りがあるのだそうで、結局、衛生学の基本を無視した政策が社会を混乱に導いたということは、ほぼ間違いなく言えることです、と。

 最後に、権力監視の役割を怠ったメディアがこうした情勢を助長していることにも言及されました。
 海堂氏がニュースZEROという番組に出演した時に、当時の安倍内閣の政策に批判的な意見を言おうとしたら、プロデューサーの人がいろいろと手を変え、品を変え、直前の打ち合わせで話を変えていって、結局その発言は封殺されました。
 また、日経新聞のウェブサイトで連載をしていた時、厚労省のコロナ対策に批判的なことを書いたら、健康サイトではそういうことを書くなと言われた。
 そういうようなことが行われているのだと。

 つまり、メディアの権力に対する忖度がこのようなことを助長していることは間違いない、 逆に言えば、メディアが堂々と権力を批判すれば、日本はまだ良くなる可能性があると思います、と。
「大阪の問題点は、維新がテレビメディアと一体化して政権を維持している。しかも、結果責任を取らない無責任行政である大阪万博、大阪カジノの強行で、大阪はディストピアとなるであろう....その時、張本人の人たちは責任を取らず、きっと高みの見物をする。これは、海堂の予言です」

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 シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その1)を読む
 シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その2)を読む

チリ.....50年前のあの日に寄せて

ところで、ここでちょっと中南米話題。

もうすぐ、9月11日がやってきます。
9.11というと、日本では多くの方の脳裏に浮かぶのは、もちろん、ツインタワービルのテロ事件ですが、中南米の人々にとっては、むしろ、1973年9月11日に起こった事件の方でしょう。

ちょうど半世紀前、50年前のその日、民主的に選挙によって成立したチリのアジェンデ政権が、米国CIAが後援した軍事クーデターによって倒されました。
このクーデターで、サルバドール・アジェンデ大統領が死に追いやられただけではなく、その後、20年近くにわたって、チリでは軍事独裁政権が続き、数千人が殺され、数万人が国外亡命に追い込まれたのです。

この事件が、いまの日本にとって、まったく他人事と言えないのは、このクーデターのあと、軍事独裁政権のもとで、米国シカゴ学派の経済学者らが乗り込んできて、世界で最初の「新自由主義」の実験を行ったのが、実は、このチリだったからです。

現在の日本でも、新自由主義が格差を広げ、雇用や教育の破壊があからさまになってきていますが、それは、実は、1973年以後のチリを見ていれば、そうなることは、とっくの昔に明らかになっていた流れともいえます。

また、チリのクーデター後の軍事独裁政権は、多くの文化人を迫害したことでも知られています。当時、民衆的な音楽文化運動として注目されていた「ヌエバカンシオン(新しい歌)」の著名な音楽家だったビクトル・ハラが虐殺され、多くの音楽家や芸術家も強制収容所に送り込まれたり、亡命に追い込まれたりしたことでも世界に悪名を轟かせました。

ちなみに、ビクトル・ハラについては、私も一冊本を書いていますが、当時、すでに有名な音楽家であった彼は、クーデターの最中で逮捕され、臨時の強制収容所となっていたチリ・スタジアムに連行されるのですが、そこで、歌で他の逮捕者を励ましたという理由で、スタジアム地下に連行され、暴行された上で虐殺されました。
この事件は、世界を震撼させ、当初は「アジェンデ社会主義政権がチリ経済を破綻させ、国内が混乱に陥ったために、軍の将校たちがやむなく決起した」と宣伝されたにもかかわらず、このクーデターの実態を象徴するものであったと言えます。

ちなみに拙著は、現在、電子書籍化しており、KIndleで880円、KIndle Unlimitedなら無料で読めますので、是非、この機会に。

そのチリは、90年に再び、国民投票によって民主化を達成しています。その後、長らく、コンセルタシオン(民主主義のための政党盟約)と呼ばれる、中道右派から左派までの反軍政連合が政権与党となっていました。
それもあって、1990年に国民投票でなんとか民主化を達成したものの、27年間の軍事独裁政権時代で深く刻まれた新自由主義の後遺症をひきずってきていたというのが実情だったのですが、2006年以後、そのような新自由主義のもたらした格差社会や教育ローンに反対する学生たちの運動が全国に広がり、ついに、その学生運動の中から出てきた若い大統領が率いる左派政権が誕生するまでになっています。

その間、ビクトル・ハラ殺害事件についての捜査も始まり、2009年に、殺害の直接の実行犯であった兵士らが逮捕。その後、殺害を命じた軍人たちにも次々に逮捕状が発行され、つい一週間ほど前の、2023年8月28日(チリ時間)、チリ最高裁が、上級将校7人に懲役8年から25年という実刑確定判決を出しました

そして、その翌日朝、つまり、チリ時間29日にその最高刑である懲役25年実刑を科せられた首謀者と言えるエルナン・チャコン元将軍が、収監のため自宅を訪れた検察官の目の前でピストル自殺を遂げるというセンセーショナルな事件も。
https://youtu.be/5dRob6qqxGI?si=MXhEL1VKp-XkAkmA (チリでのTV報道動画)

というわけで、そんな、リアルタイムで熱い中での50年目なのです。
チリ本国でも、チリ大学が「再び起こすまじ(ヌンカ・マス)」週間として、9月中にはトークセッションや写真展、著名な演劇演出家でもあったビクトル・ハラの代表作の再上演など、さまざまな文化プログラムを開催しているほか、当日、9月11日には、国立スタジアムで、ビクトル・ハラゆかりの音楽グループである、キラパジュンやインティ・イリマニ、さらに、軍事政権中に国外追放された人気バンドであるイリャプなどが出演する大イベントが開催予定。
また、メキシコなど、他のラテンアメリカ諸国などでも関連イベントがいくつも行われます。
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ということで、日本でも。

なにもやらないわけにはいかないじゃありませんか。

まさに、新自由主義がチリになにをもたらし、そのチリで格差と学生ローンに追い詰められた学生たちがどう立ち上がり、いったい何が起こったのか。

上記の学生運動まっただ中のチリに留学して以来、まさにその分析をテーマにしてこられた、若き気鋭のラテンアメリカ社会運動論研究者の三浦航太氏と、そしてこの7月から「サンデー毎日」誌上で、あの時代を生き、クーデター直後に謎の死を遂げたチリのノーベル賞詩人パブロ・ネルーダの生涯を描く「雲のごとく ー 詩聖ネルーダ」を連載中の作家の海堂尊氏をトークゲストにお迎えし、さらに、音楽ライブでは大熊ワタルさん(クラリネット他)やこぐれみわぞうさん(歌・チンドン)らのジンタらムータに加え、音楽家・批評家の竹田賢一氏と、ラテンアメリカを拠点に活動してきた八木が加わり、この日のために用意したビクトル・ハラやビオレータ・パラ作品などのスペシャルメニューも交えての豪華なイベントを開催します。

海堂尊氏と言えば、ドラマや映画でも大ヒットした「チーム・バチスタ」シリーズで有名な方ですが、もともとは外科医、さらに病理医として死因究明問題に取り組んで来られた方です。そしてネルーダは、ノーベル賞詩人であるだけではなく、外交官としてスペイン市民戦争を体験し、一時期は有力な大統領候補でもあった(註:アジェンデに統一候補を譲った)政治家で、クーデターの直後、突然死を遂げたことでも知られています。彼の死は長らく病死とされていましたが、これまた、今年の5月になって、彼の墓を発掘し、再調査を行った結果、毒殺であった可能性がかなり高いことがわかってきた、という点でも、海堂氏が興味を惹かれるのは必然なのかもしれません。

音楽の方では、以前から「不屈の民」「平和に生きる権利」などチリ発の抵抗歌が、日本でも演奏されてきたことが、近年、チリ国内でも話題となり、5月には、これらのチリの抵抗歌が世界各地でいかに受容されているかということをテーマにしたドキュメンタリー映画を制作中の研究者らが、ジンタらムータや竹田賢一氏の取材のためはるばるチリから来日、年内に映画の完成が予定されているなど、こちらはこちらでタイムリー。

フリージャズ界隈で知られた前述の「不屈の民」、ソウルフラワーユニオンの日本語詞で再注目を浴びた「平和に生きる権利」に加えて、ビクトル・ハラの美しい器楽曲「ラ・パルティーダ」や、フォルクローレファンの間では有名な「チャラグア」、ビオレータ・パラの「ルンルンは北に去った」などのほか、パブロ・ネルーダの有名な詩も、美しいメロディに乗せてドラマチックに聴いて頂きます。

この50年のイベントは、「『チリに捧ぐ』 もうひとつの9.11 〜軍事クーデターから50年〜 トーク&コンサート」と銘打って、二度とない豪華なトークセッションと音楽を、地球の裏側からチリに捧げるものとなります。

なお、このライブは、どうしてもこの日、おいでになれなかった方のために、アーカイブ配信が決定いたしました!
どうぞ、下記のリンクからご視聴ください。

2023年9月11日(月) 「チリに捧ぐ」 もうひとつの9.11 〜軍事クーデターから50年〜 トーク&コンサート @ LOFT HEAVEN
( 東京都渋谷区渋谷2-12-13 ) お問い合わせ/heaven@loft-prj.co.jp
18:30 Open 19:00 Start
前売り3500円/当日4000円、学割料金2000円(いずれも飲み物代600円別途)
アクセス/JR渋谷駅より徒歩8分。   地図 Google map

【トークセッション】海堂尊 (医師・作家)、三浦航太 (研究者・ラテンアメリカ社会運動論)、
大熊ワタル(音楽家)、八木啓代(作家・音楽家)

【Music】八木啓代(vo)、ジンタらムータ(大熊ワタル cl、こぐれみわぞう vo,per、サルディ佐藤比奈子 pf、関島種彦 vl, mand、関島岳郎 tuba、ふーちん ds)、竹田賢一(大正琴)

 フライヤーダウンロード

 ライブアーカイブ配信ご視聴はこちら

シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その2)

続いて、国立遺伝学研究所の川上浩一教授です。

川上教授は、今回のCovid-19に関して、2021年3月に、日本で発生したと見られるE484K変異を特定。さらに、2023年4月にはオミクロン株の遺伝子変異を同定された方。脊椎動物における遺伝子組換え技術に関する研究で、今年の文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞されている第一線の方でもあります。
その川上教授、コロナ禍当初から、Twitterを通じて、検査の拡充を呼びかけたり、蔓延する医療デマに関して警告を発してこられました。今回の講演テーマも、「デマと非科学の3年間」というタイトルです。

とはいえ、川上教授、民間の人たちが発していた、コロナは茶番だとか言う類いのデマは、それほど大きな問題ではないと。つまり、そのようなものは一笑に付せば良いレベルのもので、一部に真に受ける人がいるかも知れないとしても、大きな問題になると言うほどではないというわけです。
むしろ、今回のコロナ禍で問題だったのは、政府や政府の認めた専門家と称する人たちが、明らかに科学的に正しくない、つまりデマを吹聴していたということで、それは、研究者として許すことはできなかったし、きちんと声を上げていかなければならないと。

具体的には、37.5度の発熱で4日間自宅待機、軽症者にPCRは勧めない、PCRの感度は70%説、さらには、これはGoToトラベルや五輪で感染拡大しない、コロナは空気感染しない、無症状者からは感染しない、抗原検査にはPCR検査と同等の性能がある、コロナはインフル並み、ワクチンで感染が予防できる、といった、まさにこの2年間に耳にたこができるほど「公式に」言われてきたことです。
そして、37.5度で4日間待機などというのは、この37.5度という数字になんの根拠もく、待機している間に重症化しない保証など何もなかったのに、これが指針とされた。挙げ句にそれは、「国民に誤解を与える表現だった」と、あたかも誤解であるかのような話にすり替えられ、うやむやにされた。
さらに、新型コロナの確定診断にはPCR検査しかないのにもかかわらず、感染症学会関連が旗を振ってそのPCR検査を抑制してきた。軽症者への検査を推奨しないと明らかに声明を出した。
結局、この(分科会のメンバーの)舘田さんは後に、自分が感染したときには、抗原検査陰性の後にPCR検査をして、なぜもっと早めにPCR検査をやらなかったと思うなどという発言に変わっている、との指摘です。しかも、その検査も、いつの間にか、PCR検査ではなく、PCR検査より、1000倍感度の悪い抗原抗体検査にすり替わってしまった。
つまり最初の段階ではできる限りPCR検査を行わず、そういうわけにはいかなくなってくると、抗原抗体検査がPCR検査と同様である、PCR検査には大規模な施設が必要などというデマを弄してまで、まともな検査を忌避しようとしてきた。
その結果、日本では、感染をきちんと把握することができず、超過死亡も後遺症も増加してしまったし、まともなコロナ認定がなされていないので、後遺症の人たちへの救済や補償も難しくなった、ということです。

無症状者から感染しない、空気(エアロゾル)感染しないというのも、ずっと感染研が認めてこなかった。
また、データが異なる方法で収集されているために直接比較するべきではないようなデータをあえて並べて、あたかも新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの致死率が同等、だからオミクロン株はインフルエンザ並みであるというような報道がNHKなどから流された。
実際は、それどころではなく、インフルエンザの死亡者数は、1年当たり3000人強で、しかも、2020年にコロナ禍が始まって、我々が自粛やマスクをした結果、インフルエンザの死亡者は約10分の1程度になっていて、2021年では年間わずか22人にまで激減している。それに対してコロナが、オミクロンで死亡者が増えて、14000人以上。
どう見ても、コロナはインフルエンザ並みではないのに、そんなことが、政府とマスコミによってこぞって喧伝された。

さらに療養機関も、当初、10日間だったのが、7日、5日とどんどん短縮してきた。いまでは、マスク着用の推奨すらなくしている。そのたびに、都合の良いデータを採用して、恣意的にそういった数字が流されてきている。もちろん、保健所のいう5日なり7日過ぎに検出されるウイルスは死骸で感染力が無いなどというのは、明らかに科学的に誤っている。

そういった政策の結果、日本の死亡者はアジアの平均より低かったのに、ある時期からアジアの平均を追い越して、人口当たりの者数がアジアの中でも劣等生になってしまっており、最近12ヶ月に至っては、日本は欧米諸国と同じくらいの数だけの人が死んでいる。そして今、また第8波と第9波が起きている。

これこそまさに、陰謀論でも何でもなく「マスコミが報じていない、とんでもない真実」です。
では、どうすればよいのか。
今、治療薬が複数出てきていますが、インフルエンザにおけるタミフルのような安価で、簡便な治療薬が開発され、また、ワクチンが副反応が少なくより効果的なものに改良されることを期待しています、と川上教授。
何らかの理由でSARS-Covid が消滅したらよいけれど、そうで無い限りは、上記のどれかか、もしくは複数が達成されるまでは、やはり気を緩めるべきではなく、感染防止のためにほとんど長所しかないものは、検査・マスク・換気であると。
そして、長所と短所を考えながら、治療薬とワクチンを使って、なんとかしのいでいかなければいけないのではないか、とのことでした。

続いて三番手、吉田統彦議員です。
吉田議員は、愛知一区、立憲民主党所属の衆議院議員ですが、同時に現役の眼科医として、昭和大学医学部救急医学客員教授、愛知学院大学歯学部眼科客員教授をつとめ、過去には、ジョンズ・ホプキンス大学で研究員もしていた方です。
そして、プロフェッショナルの医師であり研究者であった立場から、国会でアンジェス社への莫大な補助金供与に対して疑問を呈し、追求してきた方でもあります。

この吉田議員が、さっそく、アンジェス社の問題について語ってくださいました。

大阪ワクチンとして、大々的に発表されたアンジェス社のワクチンは、2020年9月に、第Ⅰ、第Ⅱ相試験を開始、20年12月に第Ⅱ第Ⅲ相試験を開始したけれども、期待する効果が得られずとして、開発中止しています。
これにかなりのお金が供出されていて、ワクチン開発に76.55億円、生産体制・緊急整備に93.8億円が補助金として出ているといいます。
細かく書くと、2020年の5月21日にワクチン開発に採用されて25.61億円、8月8日にワクチン生産体制に93.8億円、その後、第二次の公募があって、新型コロナウイルス感染症COVID-19に対するワクチン開発ということで、約10億円と41億円ということで合わせて76.55億円と93.8億円の補助が実は出ています。

このアンジェス社、遺伝子医薬開発を行う日本のバイオ製薬企業ですが、「そのファイナンスの姿勢から株券印刷業者とも呼ばれている」とWikipediaに書かれているような会社で、1999年当時、大阪大学医学部の助教授(いまの准教授)であった森下竜一氏によって、大阪府豊中市で創業された会社です。
森下竜一さんというのは、現在60歳、医師・医学博士で、アンジェスの責任者である人物ですが、なぜか政府与党との結びつきが強くて、今、(大阪)万博プロデューサーもやっています。

実は、吉田議員は、この森下氏を、実は昔からよく知っていたのだそうです。
吉田議員は、日本抗加齢学会の評議員というのをずっとしておられますが、森下氏も同じく評議員で、理事。その口癖が「今度、安倍さんとゴルフに行くから、その時にこの件は頼んでおくよ」「それでOK。大丈夫。今度安倍さんに頼んでおくから」.....そういう台詞を、吉田議員自身が何回も聞いたことがあるそうで。
ということで、安倍元総理と非常に関係が強く、週刊ポストの5年前の記事にも「首相(安倍総理)の悪だくみ人脈、ゴルフ仲間は医療界寵児と規制改革委員」と森下教授のことが紹介されているとのこと。

あと、もう一つ、医療研究者の間では有名な話だそうですが、ディオバン事件という高血圧の薬に関して、データの捏造や調整をしていたという日本の研究市場でも唾棄すべき研究不正事件にも、森下氏は、審査をする側で大きく関わっており、普通なら、それだけで失脚するところを、なぜか、彼は今でも万博プロデューサーなどとして活躍をされている、という方だそうです。

そして、議員の国会での質問。
アンジェスがワクチン開発を大々的に打ち上げ、その後急速に失速したことで、株の暴騰・暴落を引き起こしたことについて、「インサイダーの可能性があるという指摘があり、やはり、第三者機関などの検証をすべきである。インサイダー取引のうわさをどう考えるか」と政府に尋ねたところ、大臣は、「インサイダー取引に関しては商品取引等監審会が適切にやるもの」で、自分たちは関係ない」と答えた。「厚労省は、今申し上げたように、補助対象事業が適切に実施されたか、これをしっかりチェックする必要があり、今後、必要な事後評価を行い、その結果に基づいて公表し、また必要な対応を取っていきたい」と。それから、もうだいぶ経っているけれど、まだ(公表も対応も)されていません。

日刊ゲンダイの去年の記事では、アンジェスがワクチンの中止を発表し、吉村知事が府民から「あんたの責任になると言われている」と突っ込まれている、とあります。
実際、「吉村知事は2020年4月の会見で、臨床試験の効果どころか治験実施の目処もついていないにもかかわらず、『実用化されれば10万から20万人単位で接種が可能』などと、前のめりの発言を続けていた。この煽り発言がきっかけかは不明だが、同社は75億円の補助金を受け、株価はあっという間に5倍以上に急騰。その結果の開発中止」ということだったので、正直な話、吉村知事にも責任もあるんじゃないかと多くの方は思っているわけです。

ここで、吉田議員がパワーポイントで映し出したのが、吉田事務所の政策室が作ったという同社の株価推移表です。
開発を始めると発表した途端、607円から上がってきて、ワクチン開発に採択されたら1780円、「オール大阪」発言したら、なんと2324円まで高騰していった、と。治験を開始した時も2044円で推移していて、それがだんだん怪しくなってきて、治験で十分な効果を得られなかったと発表したら、もう407円に下がってきて、開発中止で元の半分になってしまった、と。
「本当にこれを利用して株の売買を関係者がしていたとしたら、インサイダーですよね」

そこに関する厚労省の最新の回答は、「第三者評価委員会において、アンジェス社が実施した事業に関して事後評価を行っており、その結果は今秋を目途に、できるだけ早く公表する予定です」「なお、インサイダー取引に関しては、証券取引等監視委員会云々」だそうです。

アンジェスの他の株価操作疑惑についても、吉田議員はたたみかけます。「米国のスタンフォード大学との共同契約の締結を発表していますが、これについては厚労大臣としてどのような期待をされるのか」
つまりアンジェス社がそのような発表するだけして、詳細につきましては決定次第お知らせします、とした。そして、追加の情報は今のところ見当たらない状態で、これも言いっぱなしということになっているのだそうで。
これに関しては大臣は「コメントは差し控えたいが、ワクチンあるいは治療薬、こういったことに積極的に取り組んでいただくことは大変歓迎すべきと考える」
一般論でしかありません。もちろん、スタートアップは応援するべきでしょうが、ここで問題になっているのはそういう話ではないわけで。
厚労省の方も「アンジェス社においてスタンフォード大学との共同研究が開始されることは承知していますが、その後の経過については特に承知していません」だそうです。

そして本題のアンジェスが開発していると称したワクチン。
先だって、植地ドクターが具体名を挙げることなくさりげなくコメントされていた、「(世界中で)森下氏だけが専門家で」「独自の特許を持っている」と大々的に打ち上げ、日本のマスコミが「日本スゴイ」とばかりに、こぞって取り上げていたDNAプラスミドワクチンです。

元研究者でワクチンにも詳しい吉田議員の舌鋒が炸裂します。
「DNAプラスミドワクチンというのは、歴史上ワクチン開発で用いられたことはありません。抗体産生能が低いということは指摘もされているし、森下さん本人がそう言っています。審査期間もたくさんあったにもかかわらず、厚労省やAMEDはなぜアンジェス社のワクチン開発を採択したのか。元々、DNAプラスミドワクチンは実用困難ということを、厚労省は気づいて知っていたんじゃないか」という質問を国会で直接しました。
実際、2022年4月、世界で唯一、DMプラスミドワクチンを使ったインドのデータで、チャンピオンデータ(通常は出ないような最も効果の顕著な結果)の有効率が、3回接種で一応67%だった、と。
なので、「局長に聞いたんですけど、このインドでのDNAプラスミドワクチンについて、厚労省内でどのように評価されているのか」「このデータで法改正(薬機法)で薬効が推定されるようになるか」と聞いたら、「まだ申請のないものについては、評価等を差し控える」という回答だった。
それで、大臣の回答は、このアンジェス社のDNAワクチンの採用を決定したのが8月だが、申請に基づき決定したもので、「実用困難かどうか、私は知らない」
吉田議員、激おこです。「大臣が知らないのでは、誰が知っているのか、ちょっとわかんないですよ。ここまで言われちゃうと。本当にかなり大臣の答弁はブレるし、まあ、もうなんとも、はっきり答えたくない、というのが明らかなんですね」

最新の回答では「厚労省のワクチン生産体制等緊急整備事業(94億円の金額の高い方)は、外部専門家業評価委員会が行われて、事業の重要性や事業の実現性、速攻性など専門的、学術的観点から評価していただいた上で、厚労省として総合的な評価を行い、採択を決定しています」
だそうですが、先に川上教授が指摘されたように、この政府の呼んでくる専門家というのが曲者で、本当にその分野の専門家かどうかはわからないというわけです。
(そういえば、司法改革の会議である「検察の在り方検討会議」委員に、外部専門家として、なぜか競馬エッセイ書いてた騎手の女房の人が選ばれたりしていましたっけ。)

それにしても、この94億円は、皆さんの税金ですから、実際にワクチン開発にどれくらい使って、どれくらい残ってるか。その回答は、
「アンジェス社に対するその補助金については、今後それぞれの事業について事後評価をまた行い、補助金の使途について確認して、事後評価完了した際に公表されるものと承知しています。それを踏まえ対応していくことになります」
まあ、一応評価はすると言いながら、なかなかデータを出してこない、ということです。
参考人として、厚労省の役人にも同じ質問をされると、こちらは「今年度内には評価を終了する予定になっております」。
両方とも「それから生産体制の緊急整備事業に対しては、今年度内に評価を実施する予定にしております」と。

報道では、これらの補助金は「ほとんどハード整備に使われていて、基本的に戻ってこないだろう」と、毎日新聞が書いています。
読売新聞は「厚労省は『適切に使用されていれば返還の必要はない』としている」と書いていますが、まあ、政府がこういう答弁をしているということですが、もっと怪しいのは、厚労省最新の回答です。
「第三者評価機関において行っている事後評価においては、基金管理団体による経理調査の結果も含めて評価を行うこととしていて、今秋を目処に公表する予定」と。
ということは、秋にデータが出てくるので、(海堂)先生が小説書かれるなら、秋のデータを見てからですね。

吉田議員のツッコミはさらに続きます。
「(議員)レクの際、アンジェス社の役員報酬を確認して欲しいと申し上げたが、確認したか。また、役員報酬は適正だと考えますか」
回答「アンジェス社の有価証券報告書によると、取締役は3名おられるようで、この3名に約6000万支払われています。その水準については、個別企業なんで、(厚労省が)とやかく言う立場にない」
しかし「アンジェスは赤字会社ですね。これだけ払われることは、適正でしょうか」
厚労省「役員報酬の具体的な額に関してはお答えした通りですが、経営に関することはお答えする必要はありません。

(助成金の使い道は)最初の募集のところに、人件費は対象経費とならないと書いてあるそうで、つまり、役員報酬や運転資金にしてはならないはずです。なので、
「今回、ワクチン開発のための助成金使途については、ちゃんと厳格にやってくださいよ。よもやアンジェス社の運転資金や役員報酬に使われたとか、そういうことはないですよね」と念を押されたそうですが.....。

そもそも、アンジェス社にワクチン開発能力があったのか。「ワクチンを開発する開発体制や能力が整っていたかどうか、それをちゃんと評価したのか」ということに関して、AMEDや厚労省は責任を持てるのか。(植地ドクターは、実質、無理と断言しておられましたが)
参考人である厚労省の役人は、「具体的な企業の状況は企業の情報であるため答えは差し控える」としたうえで、「ちゃんと開発能力があると外部の専門家たちは厳正な評価をしたから、そういう結論になったと理解している」「事業の重要性、実現性、即効性などから評価していただいた」から採択したと回答しているそうで。

それからもう一点。
アンジェス社が唯一、製品として開発成功したことになっている「コラテジェン」ですが、吉田議員によると、「ちゃんとした有効な数字は出ていない」だそうです。なんと、たった6例だけのデータで、期限付き早期承認制度で認められちゃったのだそうで。しかも、安全性は確認したが、品質とは有効性については、推定するというだけの代物だそうで。なぜか、こんなふうに、アンジェス社というのは昔から優遇されていたんですね。
このコラテジェンに関しては、今後、PMDAで判断しますということで、「期限付き」の期限がきたので承認申請がまた出てきたら、それに対して適正な評価をします、と回答してきたそうです。
なお、厚労省の、少し前までの担当官が、あの大坪さんだったとか。

あの医系技官の大坪さんですよ。和泉洋人前安倍総理補佐官と京都お手々つなぎ出張やコネクティングルーム宿泊で「公費で不倫」と問題になった、あの「異例のスピード出世」の大坪さんです。うわぁ。(八木註)

今や健康局長にご出世された彼女が、私がこの(アンジェスの)話をやるとなると、何回も何回も吉田議員の部屋に来て、「とにかく、あの時には、もう藁にもすがる気だったんだと。だから、もうこれも効くんじゃないかと思って採択したから勘弁してくれ」「とにかく、国民を救うために藁にもすがる気で効くんじゃないかという思いがあったんで、決してそんな何か忖度や、そういうものがあったわけじゃないですよ」というようなことを熱弁振るっていらっしゃったのだそうで。
で、吉田議員が「本音では、効かないのはわかってたんじゃないの」って言うと、決まり悪そうな顔はされておられたそうで。

ということで、まさに血税をドブに捨てたようなアンジェスワクチンに関して、吉田議員はこう締めくくられます。
「厚生労働省が本当にこのアンジェス社のDNAプラスミドワクチンが効くだろうと思って採択をしていたとしたら、それはもう、今、諮問している専門家たちには相談しない方がいいですよね。このアンジェス社の製品を、本当に公正な目で見て採択をしたということであれば、(諮問機関は)もう機能してないですよね」
まさに、このアンジェス問題は、森友・加計学園と本質がそっくりであると。

それはまさに、私が以前ブログで指摘したのと同じご見解だったのでした。

そして、医師であり人気作家の海堂尊氏のプレゼン、さらに、この4者の白熱のディスカッションへと続きます。しばしお待ちを。
                                          (続きを読む

 シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その1)を読む


シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その1)

さて、少し時間が経ってしまいましたが、7月20日明治大学大学院情報コミュニケーション研究科主催で開催されたシンポジウムについて、報告を行いたいと思います。
あまりにも濃い、そしていろいろショッキングな内容も含むものだったため、文章化に時間がかかってしまいましたが、驚くべき話が次々にと明らかになり、是非、ご一読頂きたい濃い内容となっております。

シンポジウム登壇者は、
植地泰之(医師、東中野セント・アンジェラクリニック院長、元アストラゼネカ執行役員、元グラクソ・スミスクライン株式会社ワクチン開発担当副本部長)
海堂 尊(作家、医学博士、福井県立大学客員教授)
川上浩一(理学博士、国立遺伝学研究所教授、専門は遺伝学・分子生物学)
吉田統彦(衆議院議員、医学博士、昭和大学医学部救急医学客員教授、愛知学院大学歯学部眼科客員教授)

という、そうそうたる顔ぶれの方々です。
それぞれ15分程度のミニ講演をして頂いたあと、このご四方での大激論会となったわけですが、まず、最初からはじめましょう。

最初の登壇者は、この日、わざわざ診療を休診して来てくださった東中野セントアンジェラ・クリニック院長の植地泰之ドクター。
なんとこの方、数年前までアストラゼネカ本社の執行役員であり、グラクソ・スミスクラインのワクチン開発担当副本部長でもあったという経歴の持ち主でいらっしゃいます。つまり、世界レベルでの製薬会社側の事情や内幕を誰よりもよくご存じの方です。

ワクチンというものは、病気の予防・あるいは重症化を防ぐ目的で開発されたものであることは、ジェンナーの発見した天然痘ワクチンである牛痘、さらにパスツールの狂犬病ワクチン、コッホの結核のためのBCGワクチンなどの効能で知られています。脳が陰謀論に汚染されている人であっても、こういったワクチンが、19世紀に莫大な死者を出した伝染病から多くの人を救ったことまでは否定できないところでしょう。
しかし、近年、ワクチンを打ったことによる「副反応被害」もまた、取り沙汰されてきています。

植地ドクターが解説してくださったのは、まさにその、ワクチンとその副反応についてでした。

まず、ワクチンを打ったから障害が出るというケースがある一方、ワクチンを打たなかったから病気になるというケースがあるということ。
たとえば、昭和30年代の日本でポリオ(小児麻痺)が大流行したとき、当時のソ連からの緊急輸入で子どもたちにワクチンを打ち、その発生をほとんど止めることに成功した一方で、副反応で障害が残ってしまった子どもも少数ながら出たという史実です。

ワクチンによって、病気で死ぬ可能性があった何千人、何万人を助けることができる。しかし逆に、ワクチンを打ったことによって健康に生きていた子どもが、副反応で障害が残ってしまった...こういうこともあるわけです。

ではどちらを取るのか。
すなわち、病気になって問題が起きてしまうことを避けるためにワクチンを予防接種をとして打てば、必ず副作用で被害が発生し、そこにゼロリスクはあり得ない。しかも、これは誰が被害者になるかは完全にわかることはありえない。

これを、英語で、デビルズ・ロッテリー、「悪魔のくじ引き」というふうに言うのだそうです。
ドイツなど欧米では、キリスト教的な考え方で、その「悪魔のくじ引き」に当たってしまって、ワクチンによる副反応被害を受けた人は、国民全員を守るために犠牲になってくれた、だから国民全体でもって保障してあげなきゃいけないという考え方をするそうです。

一方、日本では、戦争直後の衛生状態も栄養状態も悪かった時代に、GHQ主導で予防接種法が制定され、義務としての予防接種が強行されるようになっていました。

そのような状況の中で、2つの問題が起こります。

1つは、1973年の大腿四頭筋拘縮症事件。山梨や静岡などで、筋肉注射をした子どもが、それが原因で歩けなくなってしまったという医療事故です。これは、その原因が筋肉注射そのものにあったわけではなく、当時の日本の技術レベルと薬品の問題であったことが後に明らかになるわけですが、1976年、日本の学会はできる限り筋肉注射を避けようという勧告を出し、それ以後、日本のワクチン注射は皮下注射が原則となります。

2つめは、予防接種法が制定された直後に、ジフテリアの予防接種で、京都で乳児68人が死亡するという大きな事故がありました。それはワクチンの品質の問題で、これが原因で品質管理国家検定などが始まったのですが、では、ワクチンで何か問題が起きたときに原因は、医師の注射の手技が悪いからなのか、製造物(ワクチンそのもの)の責任なのか、それとも国家検定を行っている国の責任なのか、それとも強制的に打たせているのが悪いのかという議論は、日本の中ではかなり長い間、曖昧なまま行われていることになってきました。

つまり、(必ず出てくる)副反応被害をどう捉えるか、被害者をどう救済するかという点についての議論がきちんとなされてこなかったため、現在、有効とされている副反応被害救済が、1990年の東京高裁の判決に基づいているのだそうです。

この判決とは、厚生大臣の予防接種行政の「過失」に基づく国家賠償責任だという議論でした。不十分な予診のせいで、禁忌者、つまり、ワクチンに対する過敏反応や副反応を起こしやすい人を見つけられなかったのがいけない、という法理による高裁判決に対して、国側が被害者の早い救済のためにあえて控訴を行わなかったために、結果として、これがワクチン副反応の法理として現在も生きている。しかし、そこには、「デビルズ・ロッテリー」に当たってしまった人を救済するという概念はないわけです。

その後、日本は予防接種法を改正し、1994年以後、ワクチン接種が義務から努力義務規定になりましたが、今度は、この日本の別の特殊性が問題になってきます。
現在、外国でのワクチンは筋肉注射が主流なのだそうです。ところが、日本では、1970年代の事故以後、筋肉注射を忌避してきたため、ワクチンも皮下注射のものしか開発してこなかった。ところが皮下注射では注射の位置が浅いため、腫れたり赤くなりやすい。それを避けようとすると、抗原性を抑えた弱いワクチンにならざるをえなかった。そのため、日本製のワクチンは効きが弱く、製薬会社から見れば、外国では売り物にならないものでしかなかった。

一方、ワクチンは、一般的には、子どもに打つものなので事業規模が小さいうえに安価であるうえ、訴訟リスクも高いので、製薬会社にとってはメリットが少ない。なので国からの補助金で細々とやっていたというのが実情で、そこには新規の小さな会社が入る余地もなく、ワクチン開発の専門家も、現在はほとんどいなくなってしまった。
それらの結果として、コロナのワクチンがそうであったように、海外では5人入りとか6人入りとか12人入りのバイアルで供給するというのが普通になっていたのに、その技術も日本にはなく、パンデミック時のワクチン製造に必須である細胞バイオ技術も、日本には独自のものがなく、海外からの輸入技術しかなかった。

つまり、日本は目を覆うレベルでのワクチン後進国だったわけです。そんなところにコロナ禍が到来したわけですね。

ここで、植地ドクターは、治験に関しても触れられます。
ワクチンに限らず、全ての医薬品は、治験を行って、効果や安全性を確認しなければなりません。
そのうちのフェーズⅠは安全性の確認試験、フェーズⅡ は小規模での有効性確認試験と容量設定、フェーズⅢ が実際の検証試験とされています。
なので、製薬会社の新薬開発は、まずフェーズⅠの治験に入るかどうかを検討し、その結果を見て、フェーズⅡを行うか、さらに Ⅲ に上げるかを検討していく。この中で、フェーズⅢ が大規模治験であり、一番費用がかかるので、フェーズⅢに入る前の、フェーズⅠⅡ で効能を見分けたいというのが、普通。

フェーズⅡの結果が有効性が少ないけれど、 Ⅲ で検証しますというようなことを言っているベンチャーなどがいるけれども、「それは、ほぼ嘘です」 と、植地ドクターは断定します。
「なぜかというと、Ⅱ で結果が出ないようなものは、Ⅲ に出したって絶対に結果が出ません。そもそも大規模臨床試験で試験をやらないと効果が出ないようなものは、効果が薄いからです」
さらに、鋭い舌鋒は続きます。
「それからフェーズ Ⅲ の結果を半年も待って発表しないで、ずっと検討しています。と言っているどこかの大学とかいろんなところがありましたけども、そもそも1ヶ月経っても結果発表できないものは、できないんです。こんなものは統計で事前に規定していますから、1週間以内に結果が出るのが当たり前で、それでできなかったらできません。それを1ヶ月も2ヶ月もずっと引き延ばしているのは、それは、統計解析上、負けたからです」
実名こそ出ませんでしたが、このとき、多くの聴講者の人の頭に、まさにそれをやっている、とある会社の名前が浮かんだ....かもしれません。

さらに植地ドクターは続けます。
いま、製薬会社は、世界規模で、新薬の可能性のあるものを鵜の目鷹の目で探している。古くからある薬でも、そこに新しい効果が見つかれば、リポジショニングといって、いくらでも価値が付けられる。なので、古くて安い化合物だから、商売にならないから日本の会社はやらない、製薬会社は手を出さない、なんていうのは大嘘です、と。

過去に比べて格段に情報共有のスピードが上がっている現代、世界中で自分ひとりだけが専門家などということはありえない。
もしそれが一つでも面白いもので可能性があると思ったら、必ず若い研究者が群れて、そこを研究する。
もしも「(世界中で)自分だけが専門家なんです」などと言っている研究があるとしたら、それはもう、みんなに見捨てられて誰も研究しなくなったものを、最後に残った人が一人しかいないということにすぎない。

「特許があるから他に誰もできないんです、他の会社が真似できないんです」と主張する会社もあるけれど、もしそんな有用な特許があるのなら、世界規模の大手製薬会社会社は何億円、何千億円、何兆円でも払ってその特許を使わせてもらう方向に動く。価値のある特許であれば、1つの化合物に対して、2兆円払ったケースさえある。何千億円くらいは普通に払うのだそうで。

なので、特許を持つと称するそのベンチャーの小さな会社が何千億円のお金をもらっていないように、僕の特許だから他に使わせないというようなことは実際にはない。
いまや留学生のネットワークなども強く、今回のコロナワクチン開発でも、世界中で情報が一瞬にして共有されているわけです。

植地ドクターの在籍しておられたアストラゼネカも、またワクチンを作っています。
これは、日本で主に使われたファイザーやモデルナのmRNAワクチンとは違って、ウイルスベクターワクチンです。英国のオックスフォード大学が開発したもので、作るのが非常に簡単で、小さな製造設備で短時間で作れる。だから、パンデミックの初期に、実は、世界中で当初一番多くの国で使われていたのはアストラゼネカのワクチンだった。しかしそれですら、日本には、国内生産のための満足な細胞培養の製造設備はなかったというのが実情だった。

なお、このワクチン生産に関して、アストラゼネカは利益を取っていないとのこと。
アストラゼネカ社としては、当時、コロナ禍のようなパンデミックが起こった場合、一カ国が集中して大量に作るというやり方をすると、ワクチンの争奪戦が起きてしまうことを恐れ、普遍的な技術でどこの国でも作れることを目指していたのですけれども、そういうことは多分あまり報道されていないので、今日ちょっとご説明をさせていただいたという形になります、と締めて、植地ドクターのプレゼンテーションは終わりました。

続いて、国立遺伝学研究所の川上浩一教授です。
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宗教法人解散命令のミステリ:なぜメディアはこの件に触れないのか?

 放送法の「政治的公平」の解釈を巡って、第2次安倍政権と総務省のやりとりを記したとされる文書。総務省がすべて行政文書だと認めたことで、皆、うすうす感じてはいたこととはいえ、安倍政権下でTV局に露骨な圧力が掛けられていたことが明らかになった。
 ほぼ時期を同じくして、BBCと週刊文春が、ジャニーズ事務所でのセクハラ行為を報じたことで、TVが本当に「圧力」にきわめて弱いということが、さらけ出されている。

 最近、統一教会がらみの報道が減ってきたのも、そういうTV局のヘタれっぷりとは無縁でないのかもしれない。むろん、昨年から統一教会が、TVで統一教会を批判した出演者やテレビ局を名誉毀損で訴えるということもあるのだろうが、それもこれも、統一教会への解散命令請求の可能性が出てきていることで、同教会としては、なんとか少しでも話題になることを避け、解散請求をなんとか阻止するか、それが無理でも、資産を海外移転させるまで時間稼ぎをしたいというのが本音だろう。

 それにしても、解散請求命令を出すことに、文科省はおそろしく慎重だ。宗教法人法で、裁判所が解散命令を出せる要件として「法令に違反して著しく公共の福祉を害する」行為があった場合などが必要要件であるとして、その証拠集めとして、質問権を昨年11月に行使。資料を集め、慎重に審議するとしている。
 まるで、できるだけ時間を稼いでいるかのようだ。

 しかし、文科省とメディアが、宗教法人の解散命令について、あえて触れていない重大なポイントがある。

 いままで、解散命令を受けたのは、オウム真理教と、明覚寺、法の華とされているが、それは事実ではない
 2006年、京都の大日山法華経寺も解散命令を受けているのだ。

 しかも、この大日山法華経寺のケースは、3つの点で、重要なポイントを含んでいる。
 そして、おそらくそこに、文科省やメディアがこの件に触れたがらない理由があると言ってもいい。

1つめは、宗教団体として、反社会的なことはしていなかったにもかかわらず、解散請求命令が出たこと。
2つめは、解散請求命令を出したのが、文科省(当時は文部省)ではなかったこと
3つめは、解散請求命令が出たことで、資産の全てが差し押さえられたことだ。

 以上を念頭に、この、あまり知られていない事件をおさらいしてみよう。

 京都の大日山法華経寺は、何有荘(かいうそう)という庭園内にあった。(実は、これが悲劇の始まりだった)

 何有荘とは、南禅寺別荘群の名園の一つで、6000坪(約20,000m²)の広大な敷地は山腹まで及ぶ。
本来、南禅寺の境内に属し、この庭園自体が南禅寺の一部だったが、明治になって、南禅寺が廃され、その塔頭の跡地に築造された。

 明治期に入って何回か所有者が変わり、1905(明治38)年に、実業家・文化人として活躍していた稲畑勝太郎の所有となり、洋館や茶室などを建て、庭園を造営して、和楽庵【わらくあん】と名付けられる。近代日本庭園の先駆者とされる作庭家7代目小川治兵衛の最高傑作のひとつといわれ、洋館の設計は武田五一(1916年)であり、明治から昭和初期に活躍して名を残した人々の手によってこの邸宅が作られたといえる。
 稲畑氏の死後、1953年(昭和28年)、宝酒造の社長・会長を務めた大宮庫吉氏がこの地を譲り受け、邸宅の名が「何有荘」と改められる。「何か有るようで何も無い、何も無いようで何か有る」という禅の言葉からだ。

 ここを、1984年、土木建設会社「日本工業」経営者、大山進氏が取得。当時の日本工業の売り上げは、公共工事だけで年間800億から1000億に及ぶレベルの京都屈指の大会社だった。
 この時点(正確には翌1985年)、バブル期とはいえ、何有荘評価価格は172億円にのぼった。

 1991年、大山氏が主催する形で、宗教法人大日山法華経寺が設立され。大山進氏が宗教法人に寄付する形で、何有荘は、大日山法華経寺所有となる。

(ちなみに、地下鉄サリン事件は、1995年3月20日、翌1月、オウム真理教は、解散命令により、宗教法人格を失う)

 そして、2000年。
 この頃、バブル崩壊の余波で日本工業が経営不振に陥り、何有荘も抵当に入ってしまった。大山氏は競売を阻止するべく、抵当権者D社と和解を試みるが、当時、銀行が貸し渋りをしていた時期で難航する。(10億円の和解金が準備できなかった)

 2002年、自民党清和会元会長・三塚博の元秘書で、不動産会社社長の満井忠男が、何有荘を38億での買取を申し出、1億円の内金を支払う。しかし、満井も買い取り価格を用意できず、残金を用意できないまま終わる。
 結局、大山氏が抵当権解除のための資金調達がなかなかできなかったうえ、債権者のD社自体も経営不振になってきたため、D社は整理回収機構RCCに債権を売却した。

 このタイミングで、なぜか満井忠男が、大山氏を詐欺で刑事告訴。大山氏が逮捕されるのである。

 容疑は、2002年に満井が何有荘の買取を申し出たときに、大山氏は、他にも購入希望者がいることを(具体名を出して)匂わせ、立ち退き費用として一億円を受け取ったというもの。しかし、他にも購入希望者がいますよみたいなことを匂わせるのは、不動産売買では普通のことだし、相手の満井も不動産のプロ。さらに、実際に大山氏は、もっと高値を付けてくれるところがあれば、そちらに決めることも当然考えていたから、嘘をついたわけでもない。しかも、満井氏が残金を払えば、債権者のD社と和解して、抵当権抹消できることも決まっていた。なので、詐欺の意思がなかったことは明らかだし、さらに言えば、手付金を払っても、残金が用意できなければ手付金が返ってこないことは不動産取引ならありうる(金額が大きいので交渉次第になる可能性はあるとはいえ)のだが、満井側はなぜか、それを詐欺と主張したのである。

 ちなみに、この満井忠男はすでに仮装売買で逮捕歴があった人物で、さらに、彼の弁護士で元公安調査庁長官・元高検検事長の緒方重威ともども、後の2007年に朝鮮総連本部ビル売却問題で逮捕・有罪判決を受けている。(売却先を探していた朝鮮総連本部に「金を用意できる」と持ちかけて、所有権を移転登記し、総連の土地と建物を詐取。さらに、別の不動産トラブル解決のためとする虚偽話で総連から5億近くを受け取り、再逮捕という案件。こっちのほうがよほどブラックな人物である)

 いずれにしても、この件では、詐欺どころか、大山氏に悪意がなかったのは明白で、当然、本人は全面否認した。ところが、ここで、トンデモ弁護人が、保釈のために嘘の自白をすることを勧める。大山氏は、それでも自白を拒否していたが、ここで、検察は、彼の娘婿を微罪で逮捕。(工事履歴書に誤りがあったことを理由の建設業法違反)

 そして、接見禁止となり、弁護士以外と面会できない状況下で、このトンデモ弁護士が「このまま否認を続けると、娘さん夫婦は一家離散になる。認めれば保釈になるし、娘婿への事件も取りやめる。有罪になっても、執行猶予がつくので、ぜったい実刑にはならない」と大山氏を脅したことで、第二回公判で、大山氏は拒否を翻し、全面自供に至った。この弁護士は、問答集まで作ってつじつまを合わせ、証拠調べもなかった。
 しかも、罪を認めたことで保釈が認められたが、「裁判が終わるまで弁護人を変えない」という変な誓約書を裁判所に提出させられる。

 こうして、証拠調べもないまま、大山氏の「自供」だけで、一審有罪。実刑懲役3年6月となった。
 まさかの実刑判決に、さすがに弁護士にハメられたと気づいた大山氏、控訴を決める。しかし、高裁はけんもほろろで、一審での自白を根拠に証拠すら調べず、控訴棄却となった。

 まあ、これだけでも、今なら大いに問題になる「検察の暴走」案件である。
(起訴した相手が自白しないとなると、家族を微罪逮捕して脅すとかって、まるで福島県知事の佐藤栄佐久氏の事件を彷彿とさせますよね)

 で、このとき、大山氏逮捕を理由に、債権を買い取ったRCCが競売を申し立て、さらに、大日山法華経寺に対して、宗教法人解散命令の申立をおこなったのである。
 このとき、RCCは、大山氏が刑事事件で有罪判決を受けたこと、宗教法人が税金逃れのための実態のない法人と主張。しかし、同寺は法要なども行っており、実態がないなどとは、京都市ですら認めなかったし、なにより、何有荘のある南禅寺区域は古都保存法に基づく歴史的風土特別保存地区に指定されているので、宗教法人名義になる前から無税だった。にもかかわらず、京都地裁はRCCの主張を丸呑みして、まだ、控訴審の判決も出ていないにもかかわらず、宗教法人の法人格を否認した。
そして、RCCは、歴史的名園・何有荘を差し押さえ、ちゃっちゃと売っぱらったというわけだ。

 歴史的名園・何有荘は、こうして翌年、大阪の不動産会社に叩き売られ、その後、クリスティーズの仲介でオラクル社CEOのアメリカ人実業家ラリー・エリソンが購入。現在、非公開となっている。

 で、話戻すと、オウム真理教のケースでは、東京地裁は、宗教団体構成員の大部分または中枢部分が、 宗教法人の組織的行為としてその犯行に関与するなど、重大な犯罪の実行行為と宗教法人の組織や活動との間に、社会通念上、切り離すことのできない密接な関係があると認められる場合に、 宗教法人の解散命令ができると判断を示している。(宗教法人法81条1項1号、2号)

 この基準から見ても、何有荘事件は、オウム真理教の事件とはレベルが違いすぎ、しかも、明らかに大山氏の「詐欺」を宗教法人の活動と結びつけるのには無理があり、しかも、宗教法人自体とは債務関係のないRCCが申し立てるというのも異常だった。

 ちなみに、宗教法人法81条では、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができることになっている。
 だから、大日山法華経寺に関しては、宗教法人としての認可を行った所轄庁として、京都府知事が解散命令申立をしたというならわかる(統一教会の場合は、文科省がこれにあたる)が、教団の利害関係者ですらないRCCが申立、これが受理されたというのも異常だった。

(この何有荘事件では、検察自身が解散命令の申立はしていないが、代表をこんなでっち上げのような事件で起訴し、家族を微罪逮捕までして虚偽自白に追い込み、有罪にすることで、全面協力している)

 しかし、この程度でも解散命令が出ているケースがあったことを、統一教会問題でメディアがまったく報じない、どころか、事件そのものが、まるでなかったことにされているのは、不自然きわまりない。

muhoukaishu.jpg
 また、誰も触れていないが、検察も、解散命令の申立ができる。
 文科省が動きが悪いなら、検察がやってもよいのである。なぜなら、すでに統一教会の手法は、特定商取引法違反、薬事法違反などで全国で数多く摘発されてきてるし、2009年には東京地裁で、「相当高度な組織性が認められる継続的犯行の一環」とまで認定されている。この一点で、検察は動けるはずである。

 宗教法人解散命令が出ることで、裁判所が清算人を指定し、宗教法人の資産は売却されることになる。だから、何有荘はあっさりRCCのものとなり、売却されてしまったのだ。
 つまり、解散命令が出ると、統一教会の資産はすべて差し押さえられ、裁判所によって精算される。これが、統一教会のもっとも恐れていることであることは確かで、解散命令をできるだけ引き延ばさせ、その間に資産を移動させているとしても何ら不思議ではないとは言っておこう。

 なお、この何有荘事件について、もっと詳しくお知りになりたい方は、「無法回収 ー『不良債権ビジネス』の底知れぬ深き闇」(椎名麻紗枝・今西憲之著、講談社)を一読されることをお勧めする。

※尚、この記事は、同書ならびに、椎名麻紗枝弁護士へのインタビューに基づいて執筆した。



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