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森友学園問題 : この世に存在しないということ

 官邸詰めの記者さんのお話では、GWで森友問題はもう鎮火と見て、官邸や閣僚の方々はのんびりモードでいらっしゃったようですが、GW直前の民進党のヒアリングで、籠池氏が出してきた録音が新たな燃料投下となったようです。

 GW明け月曜日の衆議院予算委員会では、籠池氏自身が傍聴に出てきてメディアが大騒ぎになるわ、首相がなぜか新聞の勧誘を始めるわ、尽くしてきたのに歯牙にもかけられなかったジャーナリストがハンカチ噛んだとか、別のジャーナリストの逮捕状は空中消滅したとか、連休明けから、ひと騒動になっております。
 あんなに北朝鮮ミサイル危機を煽ったのに、やっぱり、みんなで外遊に行っちゃったり、ゴルフやったりしてたら説得力なかったですよね。

 で、その翌日の昨日ですが、参議院予算委員会でも、前日のパフォーマンスがすごすぎて見逃され気味ですが、ちょっと面白い質疑がありました。

 ひとつは小川敏夫議員の質疑で、航空局が8億円値引きの根拠になった「ゴミを確認してなかった」と認めちゃいました。

 森友学園 土地8億円値引き ごみ直接見ず算定
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017051002000116.html

 小川議員の出してこられた写真に対して、航空局の佐藤局長は、どう見ても廃材が見えない写真について「廃材が確認できる」と、主張しておられました。とはいえ、もちろん、TV画面越しですので、なんともいえません。ほんとうは、廃材がすごくはっきり写っていたのかも。この写真のピクセル数の大きなのを公開していただきたいものです。
 小川議員によると、ゴミがなかったことも、ほぼ立証されたようですので、ぜひ、どこかで詳しい説明をお聞きしたいものです。

 で、その直後、この小川議員の、昭恵夫人の発言に関しての質問に対して、安倍首相は、「言葉の一部を取り出して印象操作をしている」と逆ギレしておられましたが、一部もなにも、みんな、昭恵夫人のお言葉全部をフルでお伺いしたいのですから、ぜひ、Facebookに「いいね」なんてしてないで、あのにこやかなお顔で国会でたくさんお話ししていただきたい、とそこでツッコミを入れたのは私だけではないでしょう。

 そして、森ゆうこ議員が、財務省が、森友学園関連の面談記録などは、電磁データも消しちゃったという件について質問。
 森議員の、「アクセスログから、いつ誰が電磁データを消したのかわかるのではないか」という質問については、アクセスログは取っているけど、いつ誰がアクセスしたかはわからないのだそうです。
 なんのためのアクセスログなんでしょうか(笑)
 ていうか、答えている官房長自身、アクセスログが何か、よくおわかりではない感じで、お気の毒です。

 そして、24億円かけている財務省のシステム(ちなみに、NECだそうです)では、災害時に備えて、別の場所にもバックアップセンターを設置し、二重化されているのだそうです。

 なるほど。東京で大震災があっても、ミサイルが飛んできても、あるいは財務省で大火災が発生しても、一次バックアップのクローンサーバーが稼働して、財務省業務はすみやかにつづけられるわけですね。すばらしい。

 ていうか、今を遡る16年前、2001年9.11のツインタワー倒壊のときも、あそこにオフィスのあったほとんどすべての企業は、事故直後から、各社クローンサーバーを稼働させて、とりあえず業務を続けられたわけですから、まあ、そんな自慢するほどのものじゃありませんわな。

 でも、そこまでやっているわりに、二次バックアップの月次データも年次データも一切とっていないのだそうです。それで、ファイルを誤って消したり上書きしたら、2週間経つと、復旧不可能なのだそうです。
 日本中のSIerの方が脱力するような.........まるで、「オートロックの4LDKの高級マンションなのにお風呂がついていない」みたいな、素敵な設計です。 NEC大丈夫か?

  いやでも、NECのサイトでは、ちゃんと二次バックアップの重要性について推奨されていますので、これは、やはり財務省独自仕様のようです。

 つまり、職員が誤ってファイルを上書きしたり削除したりしちゃって、2週間以上経ってから、それに気づいたりした場合は、もう一巻の終わりなんだそうです。正月明けとかGW後とか、財務省で、デスクに突っ伏する職員の方が続出したりしないんでしょうか。
 クラッキングで書類が消されたり改ざんされてるのにすぐ気づかなかったり、2週間経ってから書類に悪さするウイルスとか出てきたらどうするんでしょうね。ああもう、こんなことが露わになっちゃって、我らが日本経済の要である財務省が、世界中のクラッカーに狙われるのじゃないかと思うと心配でなりません。

 ていうか、想定外の事態が起こったときのためのバックアップだと思うんですが、職員が誤ってファイルを上書きしたり削除したりしちゃって、2週間以上経ってから、それに気づく、というよーな、普通にオフィスで起こるようなことすら想定していないというとこが、いろいろとすごいです。24億円もかけて。

 で、そういうわけで、例の森友学園関係の文書は、「この世に存在していない」のだそうです。
 お。断言しましたね。この世にないって。
 ほんとに「この世にない」んですね。
 いいんですね。言い切っちゃって。


 というか、これだけ疑われて、問題になっている売買の記録がなくなっちゃって、その検証すらできなくなっちゃってる事態に、まともな官僚なら、我が身の潔白が証明できないことに、ものすごく責任感じると思うんですが、むしろ嬉々として答えちゃってるの、なんかとっても不思議です。
 まあ、それを言うなら、夫人や自身の関与が疑われている首相は、自身や夫人の身の潔白を明らかにするためにも、率先して調査を進めさせるべきなのに、意地でも調査を阻もうとしておられるのも、とっても不思議ですが。

 それにしても.......「この世にない」って、強烈ですね。

◆5月11日(木) 六本木 ノチェーロ


(東京都港区六本木6-7-9 川本ビルB1)
お問い合わせ/03-3401-6801

1st 19:30 2nd 20:45 3rd 22:00(入れ替えなし) 
Charge:2,600円(おつまみ一品付)

アクセス/日比谷線・大江戸線六本木駅より徒歩2分

六本木駅至近の最高の立地の音響の良いステージでのライブです。美しい歌曲の数々をじっくりお聴き頂きますが、トークも炸裂........するかも! 
ギター福島久雄さん。
ネット予約

匿名での内部告発にはいろいろなやり方があるんだなあと思った件

 そういえば、ロシアのサーバーを通じて検察の隠していた書類がネットに晒されたのが5年前の憲法記念日です。
 正確には、ロシア版「宅ファイル便」みたいなファイル転送サービスを使って、5月2日の夜に何者かが、「健全な法治国家のために声を上げる市民の会」メールアドレス宛に、ダウンロードリンクを送ってくれたものを、あたくしがGoogle翻訳とか使って状況を理解して、ダウンロード。
 開いてみたら、「証拠書類一式」みたいなものでしたので、ネットに公開して晒したのが、5月3日の午前でございました。

 八木啓代のひとりごと:大暴露 とんでもないものが届きました 
 
http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/blog-entry-635.html

 あの日は、憲法記念日で、しかも土砂降りの雨だったので、多くの方がご自宅におられ、実に、たくさんの方にダウンロードしていただいたものでした。
 こういったファイル転送サービス。大きなファイルを誰かに送りたいときには、本当に便利ですね。

 いずれにしても、Wikileaksに代表されるように、インターネットのおかげで、内部告発は遥かに簡単になりました。

 相当前の話ですが、94年1月1日のメキシコ先住民ゲリラ蜂起事件で、メキシコ政府機関が、「外国人に先導されたテロ」と発表したのに対抗して、その蜂起で何が起こっていたのかを、たまたまその現場にいた旅行者がハンディカムビデオで録画していたテープがありました。メキシコ政府の主張が一瞬で崩れるそのビデオを、どう拡散するか。
 いまなら、YouTubeというものがありますが、あの当時はそんなのなかったですからね。

 なので、あのとき、そのようなビデオを持ち込まれたら、そういうものを安全に拡散するためには、コピーをたくさん作って、世界各国の記者に手渡し、それぞれでさらに拡散をしてもらうという「呪いのビデオ」方式にするしかなかったんですね。
 http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/blog-entry-370.html

(そういえば、テレカがなにかわからない青少年も出てきているということで、あのホラーの名作「リング」も、そのうち「意味がわからない」世代が出てくるのかもしれません)

 とはいえ、YouTubeだったら、身元を絶対にバラしたくない内部告発が安全にできちゃうのか、というとそうでもないわけです。
 あの少し前に尖閣ビデオ流出事件というのがありましたが、あれって、あっさり流出犯が特定されちゃいました。
 国家公務員法に反するということで、警察が、YouTube社日本法人に問い合わせたら、YouTubeの運営元であるGoogle日本法人は、あっさりビデオがアップロードされたIPアドレスを警察に差し出しちゃったんですね。
 それで、いまどきのネットカフェは、身分証明書出して会員登録しますから、いくら、使い捨てメルアドとか使っていても、どの日にどこのネットカフェのどのパソコンを使ってアップロードしたかがわかれば、そのときに使っていた人は、すみやかに特定されちゃったわけです。

 私に、検察書類を送ってくださった方は、そういうことはご存知だったのでしょうね。日本のファイル転送サービスでも、どうせ同じことになるだろうと。

 かといって、アメリカのファイル転送サービスも微妙です。日本の検察とFBIは捜査協力関係がありますから、ちゃっちゃとFBIが動いてくれるかもしれませんからね。こういうことは検察・警察関係者の方なら常識でしょう。

 だからロシアだったのかもしれません。
 ファイルをアップロードした発信者のIPアドレスを辿るためには、ロシア政府の協力が必要になりますが、そのためには、検察は日本の外務省を通じて、ロシアの外務省にお願いをしなくてはならないわけです。
 でも、そのためには、どういうファイルが流出したのか説明することになり、まさか、「日本の検察が、偽の報告書をでっち上げてた証拠のファイル」なんて言えませんわな。

 しかも、大規模麻薬売買とか凶悪テロとか、世界中の誰でもが「それは協力するべき」と思うほどの重大犯罪でもないんですから、あっさり断られるのが落ちでしょうし。百歩譲ってロシア当局に借りを作って協力してもらったところで、そのIPアドレスが、たまねぎだったりすると、世界的に大爆笑拡散ものになっちゃうわけですし。

 そういう意味では、オランダのWetransferとかでも良かったのじゃないかとは思いますが、まあ、ロシアのほうが、インパクトはありましたよね。
 
 いずれにしても、Google翻訳を使えば、ぜんぜん知らない言語でもそれなりの精度で翻訳できますし、そういう意味でも世界は狭くなったものです。

 といまここで、こういうことを書いたのは、単に5年前の事件を思い出しているだけなんですが、どこかから、ないはずの財務省の書類とかが出てきちゃったりしたら、嬉しいなあとか、ちょっとだけ思ったりもする、5年目の憲法記念日なのでありました。

じわじわきてます。森友学園問題

 森友事件。
 あまりに濃ゆいキャラクターの方々が次々に登場されるのを、あたくしは外野席からぼうっと見物人していたのでありますが、展開の面白さがじわじわきております。

 そもそも、教育勅語を幼稚園児に唱えさせて「安倍首相バンザイ」なんていうのは、まともな右翼の方なら、「天皇陛下をバカにしてんのか」と激怒されるようなことでありまして、なんといいますか、そういう左から見ても右から見ても論外な光景に対して、時の首相夫人が感銘の涙を流して名誉校長になる、なんていう滑稽さは、単独でもかなりアレなお話なんですが、そこに、莫大な国費が注ぎ込まれたみたいだとか、ゴミがあるんだか、それも実在するんだか幻なんだかという魔術的リアリズムな話になってきますと、もうラテンアメリカ系としては放っておけないじゃないですか。

 それにしても、官庁の中の官庁、日本で一番頭のいい人達が揃っているという財務省のエリートの方々が、どうやって、こんなゴミの山に足を突っ込んじゃったというのでしょう。

 と思っていたら、

「ゴミ以外にも面白い問題がありますよ」
と、知り合いの素敵なお兄さんから面白い計算を見せていただいちゃいました。

 問題の土地は、

平成27年1月鑑定:10年契約年額4200万
平成27年4月鑑定:50年契約年額3600万

(あれれ、契約期間が伸びて、ちょっと追加条件が加わったら、ここで600万円安くなっています)

そして、5月契約:10年契約年額2730万

あれれ、契約期間が戻ったのに、なぜか、賃貸料がもっと下がっちゃいました。
最初から考えると、なんと、わずか4ヶ月で1470万円、なんと、ここまでですでに、35%もお値引きになっちゃったんですね。まだ、本格的にゴミ出てないのに!(笑)

で、籠池さんは、それでも高いんで、半額にしてくれないかなあ、とアッキーにお願いしたわけですが、とすると、籠池さんが希望しておられたお支払い額は、

 2730万円÷2=1365万円
 10年分で、13650万円

てことですね。
すると、ああら不思議。

この売買契約には「買戻し特約」が設定され、登記もされています。契約条件に反した場合、売主が買い戻せるという特約ですが、この特約は民法で期間は10年以内と決められているのだそうです。なので、
あれ? 賃料を半額にして、買い戻せる最長期間10年で計算すると・・・

どういうわけか追加でゴミが出てきちゃった、というので8億円減額された土地売買価格は、10年分割で13400万円ですから、

あれれ?

(1) 借地契約の賃料を半額にして
(2) 10年後には無償で譲渡する

のと、同じ額になっちゃったんですね。谷さんへのFAXでのお願いの内容と、ぴったり同じ条件じゃありませんか。うわあ、すっごい偶然てあるもんですね。

こんな計算式見せられちゃうと、やっぱり、財務省と籠池さんとが、面談でどういうお話をなさったのかがとっても気になっちゃうじゃないですか。

でも、捨てちゃったんですよね。その面談記録は。
そして、交された会話も「忘れちゃった」というんですね?


さすがに、「どんなミッション・インポシブル?」と日本中で失笑を買った「データ2週間自動消滅システム」は撤回されましたが、それでも、

1.電子データだと容量の問題があるので、紙で保存している。(どういう鏡の国?)

2.電磁データは、サーバの容量がもったいないから、ちゃっちゃと消してるし、バックアップデータも2週間分だけしか取ってない。

3.データ復旧はできない。専門家ができないって言ったから。その専門家が誰かは内緒。

....だそうです。

そうですか。電子データより紙のほうが保存に適しているって、もろに経産省に喧嘩売ってるんですね。
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/e-doc/guide/nyumon2.html

(財務省と経産省が犬猿の仲っていう噂は本当だったのかな)

しかも財務省って、月次データすら保存してないってことなんですね。私みたいなしがない個人事業者でもやってることなんですが。

いやもう、天下の財務省がここまでケチらなきゃいけないなんて、今の日本、どんだけお金がないのか思い知らされるような、うら悲しいお話です。

なわけないだろうが。

というわけで、なんか、すごーく興味が湧いてきてしまいました。
ほら、目の前にプチプチがあると、どうしてもプチプチ潰しやりたくなっちゃうじゃないですか。

財務省の皆様、私の前にプチプチを置いちゃいけませんよ。

森友事件に関する2つの告発の行方

  森友学園事件に関する2つの刑事告発が両方とも受理されたようである。

 一点は、日本タイムズの川上道大氏による籠池氏への補助金適正化法違反容疑。
 もうひとつは、豊中市議木村真氏による被疑者不詳の背任容疑。

 しかし、受理というのは、入り口にしか過ぎないことを理解するのは重要だ。もちろん、一般刑事事件の場合、なかなか受理さえされないというケースが多いのも事実だが、違法行為の法的根拠と経緯が明白な告発状・告訴状であり、かつ、社会的にかなり注目されているような事案であれば、告発状がよほどの根拠薄弱、もしくは、そもそも法的に犯罪にならないような内容でない限り、(場合によっては、そういうものであっても)、受理はされるものだ。そういった意味で、「受理されたかどうか」は大きなことではない。

 しかし、前者に関しては、すでに郷原弁護士も指摘の通り、その補助金は全額返還されているのだから、起訴はほぼありえないものであるにもかかわらず、受理が大々的に報道され、「検察が動いている」ことまでが、報道されている。
 それを受けて、「巨悪の全貌解明」どころか、そういった「トカゲの尻尾切り」に利用されることは告発の本来の意図ではないとして、告発者の川上氏は、告発の取り下げも検討しておられるようだが、この取り下げに先んじて、この容疑、あるいは別容疑で、いまさら証拠隠滅の可能性などありえない籠池氏を逮捕し、勾留にもちこまれるようなことでもあれば、文字通り、「告発をこれ幸いと悪用して、トカゲの尻尾切りと口封じに利用」ということになってしまうだろう。

 一方、後者の木村氏の告発については、9億5600万円の土地が1億3400万円になった件について、適正な価格で売却しなかったことにより国に財産上の損害を与えたという被疑者不詳の告発である。この告発の問題は、被疑者が不詳なので、検察が不起訴にした場合、検察審査会に申し立てをしても、検察審査会には捜査能力はないので、起訴議決が出る可能性がほぼないという点だ。なので、検察にやる気がなければ、あるいは「ここでも忖度が行われる」のであれば、不起訴を出して、「なかったことにしてしまえる」。 
 なんといっても、現役特捜検事が、事情聴取と180度違う内容の報告書を数時間後に作成していながら、それを虚偽ではなく「悪意のない勘違い」ですませ、なんの罪にも問わなかった前科のある組織である。財務局の職員を形式的に呼び出して穏やかに話を聞き、「適正と判断して手続きを行ったので、背任ではない」という判断を下したとしても、ありえないこととはいえない。

 もしも、検察がまともに機能しているのであれば、証拠隠滅などが行われる可能性が高いのだから、すみやかに、検察官が財務局に立ち入って関連書類を押収する強制捜査がなされるだろうし、それがなかなか行われないのであれば、前述の指摘の通り、「どうせ検察審査会の審査による強制起訴はありえないんだから、楽勝」と甘くみて、形だけの事情聴取を行って、さっさと証拠不十分なり嫌疑なしの不起訴を出してしまうという経過を辿ってしまうだろう。

 きわめてブラックな事件の全貌を明らかにするべく行われた告発を利用して、逆に、事件を法務検察の力で葬り去るということにならないか。

 もちろん、私は検察は真に反省して、まともな捜査を行ってくれると信じたい。
 それだけに、この2つの告発の行方を注視しておきたいところである。

明治という時代は、そもそも愛国なのか?

 さて、メキシコからこれを書くのもアレだが、私は日本という国が好きである。
 もっとはっきり言うと、好んで和食も料理するし、着物を着るのも好きだし、(最近知ったのだが、司法記者クラブで、和装で記者会見したのは前代未聞だったそうである)日本の文化を愛しているので、私は愛国者であると思う。
 とはいえ、「日本の文化とは何か」ということを定義するのは、甚だ難しい。

 日本文化は、縄文文化のあとに大陸系の弥生人が入ってきて、さらに、その後の飛鳥や奈良の時代に、中国や半島の影響を受けて生まれてきたものだ。とはいえ、その後も、中国やシルクロード地帯の文化、さらに、南蛮文化と呼ばれた、スペイン・ポルトガル文化の影響も多少受け、鎖国と言われていた江戸時代でさえもオランダを通じて入ってきたヨーロッパ文化は入り込み、取り込まれてきていた。
 雑食しながら、独自の美意識を作ってきた文化なのである。

 だから、明治維新の時代以後は、富国強兵の名のもとに、ためらいもなく、きわめて積極的に「欧米列強」の文化を取り入れた。

 で、その「明治時代」を模範として、それに憧れ、習おうというのが、今の一部日本での、自称「愛国保守」の方々であるらしい。

 しかし、はっきり言おう。
 明治時代とは、日本文化より、欧米文化をありがたがり、お雇い外人に法外な高給を支払っていた時代である。文部大臣ですら「日本語廃止論」を唱え、廃仏毀釈の名のもとに、奈良・飛鳥・平安時代以来の日本の伝統である仏像を多数破壊するなどタリバンみたいな所業を行い、さらに伝統ある天皇家の方々に和装ではなく、イギリス式の洋装を着せるなど、それこそ「反日」の極地みたいな時代であったということは忘れてはならない。
 その時代に憧れている時点で、そういう連中の正体こそ、よほど反日ではなかろうか。

 そう思っていたところで、稲田防衛大臣のこの発言である。

「教育勅語の精神である親孝行や、友だちを大切にすることなど、核の部分は今も大切なものとして維持しており、そこは取り戻すべきだと考えている」
「教育勅語の精神である、日本が高い倫理観で世界中から尊敬される道義国家を目指すべきだという考えは、今も変わっていない」

 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170308/k10010903641000.html

 実際に、子供にこの教育勅語を唱えさせるような幼稚園の教育に感動して涙をながすような人物が首相夫人であり、そういう学校が、「役人の忖度」やらなんやらで、常識的にありえないような優遇を受けてきたというのだから、そういう感覚を持っている人が、いまの内閣では多数を占めているということなのだろう。

 しかしね。教育勅語って、稲田大臣はちゃんと読んだことあるんでしょうかね?
 教育勅語のキモってのは、十二か条の締めの部分、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」以外の何物でもないでしょうか。

 「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」。現代語訳すれば、「危急の事態が生じたら、勇気を持って公に奉仕し、それによって永遠に続く皇国を支えましょう」
 すなわち、ズバリ、滅私奉公。


 この条文こそがキモだったのであり、だからこそ、戦後全面否定されたのだということを知った上で、この「滅私奉公」を高い倫理観だの取り戻すべきだのと行っているのだとしたら、これは、もう、完全に民主主義や主権在民の否定であり、現憲法の否定なのだから、暴走もいいところである。

 親孝行だの夫婦は仲良くだの友達を大事にしましょうなんてのは、別に日本独自の考え方でも高い倫理でもなんでもありゃしません。日本の国ができるよりもはるか昔に、モーゼやら孔子が説いていることです。日本独自の思想などと言ったら、もう世界中から失笑の渦でありましょう。実践的には、ラテン系の人間のほうが、よっぽど日本人より親を大事にして、夫婦は仲良くして、友達を大事にしますよ。

 それとも、朋友相信シ(友だち同士は信じ合いましょう)だから、「お友達」には便宜を図るってことなんでしょうか。
 それならば、孔子もこう説いています。「不知其子、視其所友(其の子を知らざれば其の友を視よ)」 
 お友達がどういう人かを見れば、その人がわかる、とね。
プロフィール

PANDORA

Author:PANDORA
ラテンアメリカと日本を拠点に活動する音楽家・作家 八木啓代のBlog
公式サイト http://nobuyoyagi.com

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新作CD”Lagrimas”試聴やご購入はこちらから

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刑事司法への問い (シリーズ 刑事司法を考える 第0巻) (岩波書店)
日本の刑事司法の何が問題か、どのような改革が求められているか。刑事法研究者、実務法曹の他、八木も執筆しております。
禁じられた歌ービクトル・ハラはなぜ死んだか(Kindle版)
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検察崩壊 失われた正義(毎日新聞社)
5刷。この一冊が検察にトドメを刺すことになるかもしれません
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共著で橋下大阪市長を解剖します。

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11月29日(水) 六本木・Nochero
Vo. 八木啓代 G. 福島久雄

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