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松本人志の弁護人、田代政弘の犯罪

 松本人志氏の性加害問題がらみで、まさかのあの人物が弁護人として登場してきた。すでにSNSなどで炎上しているようなので、かつてのあの事件に関わった人間として、11年前のあの事件と、田代政弘弁護士のやったことのなにが問題なのかをまとめてみようと思う。

 松本人志氏の代理人弁護士田代政弘に刑事告発された過去があることは、すでにネットニュースでも報じられている。
 その告発とはなんだったのか。

 2010年、陸山会事件が世間を賑わせた。「政治とカネ」というスローガンのように使われた文言を覚えている人は多いだろう。このスローガンのせいで、現在、問題になっている自民党の裏金問題と似たような話だと思っている人や、そのように思わせたいTVコメンテーターなどがいるようだが、実態はまったく違う。

 非常に簡単に言うと、当時の東京地検特捜部が、小沢一郎議員が世田谷区に土地を購入したことを知り、その資金が建設会社からの裏金ではないかと疑ったことにはじまる。
 ところが、どう調べてもそのような事実が立証できなかった。それどころか、土地購入の資金も相続財産からだったことまで明らかになってしまった。
 しかし、散々、メディアに派手にリークし、引っ込みがつかなくなった特捜検察は、この土地代金の政治資金報告書への記載を問題にし始める。もちろん、この売買は記載はされていたわけだが、当時、小沢氏の秘書で会計担当だった石川議員は、土地の購入代金を支払ったのが2004年10月とはいえ、土地の登記をしたのが2005年1月だったので、2005年付で記載をしていた。
 それが虚偽記載だと言い出したわけだ。

 これはもうこの時点で、言いがかりに近いもので、当時、経理関係者からも、この記載は会計上間違ってはいないという声が上がったほどだった。まあ、仮に、2004年度で記載をするべきものだったとしても、べつに売買を隠していたわけでも何でもなく、会計担当者の判断ミスとしか言い様のないもので、ふつうは修正申告すればよいようなショボ過ぎるネタである。

 なので、さんざんマスコミにリーク情報を流し、「政治とカネ」というスローガンで、あたかも小沢氏が何億円も裏金を受け取っていたかのような印象操作までして盛り上げていたにもかかわらず、当然ながら、特捜はどうやっても起訴を断念せざるを得なかった。
 これが、ぶっちゃけ、陸山会事件のみっともない真相である。
 とはいえ、この時点まで、私は傍観者だった。

 ところが、より大きな問題が、実はここから始まる。
 にもかかわらず、こんなショボいネタが、検察審査会によって、小沢氏は起訴議決を出され、裁判になった。

 このとき、検察審査会で法律について事務的な助言をするだけのはずの補助弁護士が、露骨な誘導をやったことも相当にいかがなものか、という問題があったが、それ以上に、裁判で驚愕の事実が明らかになったのだ。

 つまり、検察審査会を騙して起訴議決を出すように仕向けるため、審査員に「偽の証拠」が渡されていたのである。
 それが、「田代虚偽報告書事件」である。

 これはあかんやろ。

 では、なにがどう虚偽だったのか。

 田代報告書と実際の取調べは、その具体的な会話の内容も、取調べの全体的な状況の比較においても、まったく似ても似つかないものであったということだ。
 具体的には、石川議員が供述の訂正を求めているにもかかわらず、供述を変更するとかえって不利になると田代が執拗に説得していたというのが、問題の取り調べの実態だった。ところが、報告書の内容は、紳士的な取調べの中で、田代に諭された石川議員が反省して、自分から関与を認めたという真逆の内容で、しかも、ドラマの台本みたいな会話形式のリアリティにあふれたものとなっている。

 田代報告書のpdf

 笑っちゃうぐらい凄いから、見てね。
 田代はドラマに出てくる理想の検察官のように、品行方正に、石川議員に権利を説明しつつも、優しく諭していく。
 「11万人以上の有権者に選ばれた国会議員が、やくざの手下が親分を守るようなうそをついてはいけない」という田代の言葉が胸に響いて、石川議員は「堪えきれなくなって、小沢に報告し、了承を得た」と「自白した」ことになっている。

 いや、こんなの読んだら、素人の審査員は「うわ、やっぱ、小沢は知ってたじゃん」って誰でも思うよね。
 でも、実際は、石川議員は、「いや,全部否認したいですけど」と言ってたわけですよ。それどころか、田代は石川さんに、「ここはおそろしい組織なんだから,何するかわかんないんだぞ」なんて言って脅してたのね。

 検察は、そんな虚偽なんていう生やさしいものではなく、嘘八百、まるっきりデッチ上げの報告書を検察審査会に送っておきながら、それを弁護側に開示せずに隠し通そうとし、これが裁判所の勧告によって、(検察官役の)指定弁護士から開示され、公判で問題になると、今度は「記憶の混同」などというありえない言い訳で誤魔化そうとした。
 この裁判で、報告書がまるっきりのでっち上げであることを、裁判で明らかにしたのが、喜多村洋一弁護士というわけ。

 この報告書がどれぐらいでっち上げかというのが一目でわかる一覧表はこちら。
 http://shiminnokai.net/doc/shiryou01.pdf

 いやこれのどこが、「勘違い」の範疇なの? って誰でも思いますよね。本当に勘違いなら、重度の認知症だろ。

 で、この取調べを石川議員が録音していたことで、この真っ赤な嘘がバレちゃったわけですが、バレてどうしたかというと、裁判で、田代はぬけぬけと「勘違いだった」で押し通したわけです。

 へええ。30分前にやった取り調べの内容をまるっきり逆に覚えていたって?? しかも、メモも取ってなかったって?

 さすがに、ここまで見え透いた嘘が裁判官に通用するわけもなく、小沢氏は無罪となり、それどころか、判決文に、「検察官が、公判において証人となる可能性の高い重要な人物に対し、任意性に疑いのある方法で取り調べて供述調書を作成し、その取調状況について事実に反する内容の捜査報告書を作成した上で、これらを検察審査会に送付するなどということは、あってはならないことである。」「検察官が任意性に疑いのある方法で取調べを行って供述調書を作成し、また、事実に反する内容の捜査報告書を作成し、これらを送付して、検察審査会の判断を誤らせるようなことは決して許されないことである。」「本件の審理経過等に照らせば、本件においては事実に反する内容の捜査報告書が作成された理由経緯等の詳細や原因の究明等については、検察庁等において、十分調査等の上で対応がなされることが相当であるというべきである。」 とまで、検察を糾弾し、真相究明を求めた異例のものとなった。

 簡単に言うと、小沢無罪、検察アウト。
 裁判で、田代が問題のある取調べをやったことも、虚偽の報告書を作ったことも、それで検察審査会の判断を誤らせたことも明確に認定されているわけ。そして、それを検察にちゃんと「調査して対応しろ」とまで言ってるのである。ここまで書かれるとは、裁判官激おこである。

 さらに、その直後、この虚偽報告書、つまり、現役検察官による公文書の(おそらく組織的な)捏造の件を問題視し、刑事告発に動いていた「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」メールアドレスに、ロシアのサーバー経由で、この田代報告書と実際の録音の資料が届けられ、これを我々がネット公開したことで、多くの人が、このトンデモなでっち上げの中身をはっきり知ることになります。(その日の衝撃的なブログエントリはこちら

 その中のひとりが、当時の小川敏夫法務大臣。
 小川さんは元裁判官・元検察官でもあったので、検察官が報告書をでっち上げたという問題について、法務官僚に事実確認していた。で、その法務官僚は、「ちょっとした勘違い程度のことを、市民団体が大げさに騒いでいるだけ」と説明していて、それを信用していたのだそうだ。
 ところが、小川大臣もネットで大暴露された、この問題の報告書と録音をダウンロードして、驚愕したという。「ネットで確認すれば、誰しもが『記憶の混同ではない』と思った」と。

 で、さすがにこれは看過できないと、指揮権発動を当時の野田総理に相談に行ったところ、その直後に解任されてしまう。
 当時の野田政権にとっては、尻馬に乗って小沢叩きをしてきた手前、正義よりも見栄だったのだろうかね。

 で、この報告書の実物と録音が明らかになって、田代のでっち上げの酷さが、もう誤魔化しきれなくなったにもかかわらず、最高検は田代を不起訴にした。これはさすがに、当時のメディアも「身内に甘すぎる処分」、「うそ記載、辞職で幕」、「ぬぐえぬ結論ありき」と酷評の嵐となる。そして、皆が期待した。検察審査会で再び、起訴議決が出るのではないかと。

(続く)



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