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シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その4)

 明治大学シンポジウム、休憩を挟みまして、ここから、不肖八木もコメンテーターとして加わってのディスカッションに移ります。
 この内容はあまりに濃いので、書き起こし形式でお送りします。


【八木】
 今回のシンポジウムは、すでに開始前からそちらの講演者席のところで、登壇者の皆様が熱い会話をなさっておりまして、そして、この休憩時間の間にもかなり濃い話がなされていまして、それがそのままこちらの後半でも熱いお話になると思いますけれども、ちょうど話題になりましたアンジェス社、吉田先生がいろいろコメントしてくださいましたけど、この発端というのは2020年の4月14日ですね。
 この日に吉村知事と松井市長が会見を開いて、オール大阪でワクチン開発を進めるというような発表をしていますが、この時点で、臨床試験を大阪市立大病院で7月から始めるというような、かなり具体的なことまで言っているんですね。さらに、そのちょっと後の5月1日には、アンジェスの創業者でメディカルアドバイザーで大株主である、件の森下竜一寄附講座教授が、3月24日にDNAワクチンは完成していて、それも「20日で作れたのは世界最速です」とまで、ビジネスインサイダーという雑誌で堂々と言ってます。
 これを皮切りに、かなりいろんな雑誌が特集記事を組んで、一気に盛り上がります。吉田先生もさっきおっしゃっていたように、アンジェスの株価が200円だか300円ぐらいだったのが、いきなり爆上がりということになるわけです。
 Wikipediaに書かれていて、吉田先生も言及されていた「株券印刷業者」というのは、これはどういう話かと言いますと、株をやっている人の間ではかなり知られた話だったんですけれども、アンジェスという会社は一応創業10数年あるんですけれども、その間、まともな薬を一つも開発できていないんですね。
 唯一開発した薬というのがコラテジェンという、吉田先生がおっしゃっていたものですけれども、これもまさに、ほとんど効いているのか効いていないのか分からないような状態であるにもかかわらず、条件付き早期承認制度という、これまた安倍さんが特別に作った制度で、しかもその第1号としてコラテジェンが通されているという非常に不思議な話です。
 なので、薬価もあまり高い値段がつかなかったという、そういう薬をたった1個開発したというだけの会社なんですけれども、なんでそんな会社が19年も保ったかというと、コラテジェンの時もそうだったんですけれども、新薬がもうすぐできるという発表をやるんですね。そしてその時にワラント債というものを発行するわけなんです。
 そうすると、それを信じた投資家がバーッと買い、株価も上がると。ちょっとして熱が冷めちゃうと、またそういう話題を作って、ワラント債を発行したり新株発行したりするんですけど、それを19年間で34回もやっているわけです。
 こうなってくると、そもそもこれを許す証券取引所もいかがなものかというような話なんですけど、そういうことをやって会社として存続しているので、株に詳しい人たちの間で「本業・株券印刷会社」と揶揄されているという、そういう会社だったわけです。
 実際にワクチン開発の発表をする前の段階では、アンジェスがどんな状況だったかというと、営業利益がマイナス32億7千万円ですよ。売上高がマイナス92.4%という状態になっていました。こういうIR情報は、投資家向けにホームページに掲載されていて、ダウンロードできるようになっているんですけど、その事業報告に「企業の継続の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。」と書いていた。それって簡単に言ってしまうと、当社は倒産寸前ですと言っているようなものなんですね。
 そういう会社が、その直後になぜか株式を分割して、そしてさらに、その直後にワクチンを作ります、もうできました、みたいな発表をして、株価が劇的に上がった。これっていうのは一体何なんだ、という話でもありますよね。

【吉田】
 さきほどご説明にあったとおりで、本当に悪質ですよね。
 安倍さんも故人になられてしまったので申し上げたくないんですが、特別な関係の下で、これは本当に、政府、政権が一番やってはいけない政治の私物化ですよ。
 日本は成熟した国家ですから、本来こんなことがあってはいけない。だから、私は本当にどこの国の出来事だろうと思います。
 ですので、海堂先生もおっしゃったように、こんなことを二度とさせないシステム作りが大事だし、やはり審査の過程をもう少し開示させるということはこれからルールとして必要でしょうね。
 厚労省は、振り返って開示させるなんてことは、絶対しないですから。あれは適切だったと言い張るだけですから。だから、しっかりやらなきゃいけないと思います。
 この先、どうなるんでしょうね、あの会社ね。本当にスタンフォード大学と提携したとかいう話だってね、その後、全く何も出てこないわけですし。
 本当に国費を大量に入れて、その結果がちゃんと得られなかったことは、やっぱり一定程度の責任を取ることと、しっかりとした訴求して、解明することは必要だと思いますよ

【八木】
 私は、大変不思議に思ってるんですけれども、例えば、製薬会社が補助金などを受けた時に、普通、例えば研究機関でしたら、その補助金を受けたら、かなり細かく領収書を出したりとかしなければいけないというふうに、私の知っている研究者の方なども、もう本当に細かいところまで追及されるみたいなことを言われるんですけれども、製薬会社にそういう補助金が出た場合に、精査されるってことはあるんですか、植地先生?

【植地】
 いくつか申し上げますと、この時の補助金はかなりの事前審査だったんです。だから科研費なんかとは違った形です。
 科研費は、例えば「こういう研究しますが、具体的に何に使うか分からないので、500万円ください」とお願いして、そこから領収書で後で精算していくタイプのものですね。
 一方で、この時のワクチンへの補助金は、何々に使いますっていうのは、先に製薬会社が、全部リストを出してます。
 いろんな製薬会社がワクチンの製造関係で、補助金をこれ以外にももらってますから、その時にはもう(金額を)出してるんです。
 ですから、それが妥当だったかどうかっていう話になるとは思います。
 ただ普通に考えて、僕はアンジェスさんの内情を知ってるわけじゃないですけども、90億円の製造設備とかっていうのは相当バカ高いなというふうには思いますし、臨床試験にしても、規模から考えると相当割高だろうな、と。
 あと、ちょうど2020年の4月ぐらいの話というと、世界中のワクチンメーカー、世界中の製薬会社がありとあらゆるワクチンを探しまくってた時期なんですね。日本でも、実は私たちアストラゼネカがオックスフォード大学と共同してやってましたけれども、他の日本のメーカーもいくつも手を挙げてます。それだけじゃなくて、アメリカでもワープスピード・プロジェクトでモデルナもやってますし、その他ビオンテックとかノバマックスとかいろんなところが、世界中でどこと組んでいくんだろうかっていう形で、毎日のように国際会議をやっていたような状態の時期です。
 その中で、少しでも可能性のあるものであれば、ほぼ多分、僕は知っているはずなんです。例えば、コロナは不活化ワクチンは効かないって言われていながらも、中国のシノバックとかシノファームとかは不活化ワクチンを出してますし、日本でもいくつも不活化ワクチンの候補物質を持ってた会社もあります。ただ、効果を考えると、やっぱりファイザーさんとかアデノベクターワクチンに比べると効果が悪いということで開発を中止したものもあります。
 そこまででも、ちゃんとデータを持っているところもあるんですね。
 ところが残念な話というか、僕は、アンジェスさんのことを直接言及する立場にありませんけれども、少なくともあの時点で、DNAワクチンが有効性が予想できると考えていた海外のワクチンの開発関係の専門家は誰もいません。
 少なくとも、あれに関しては、何言ってんだろうっていうのが我々の考えですし、少なくとも、当時、DNAワクチンが少しでもモノになる可能性があるのであれば、世界中でどこかの会社が必ず手を出している。だけど、誰も手を出さなかった........というのは、一応、僕だけが言っているわけではなくて、世界中の標準から考えても、(そこにお金を出すのは)おかしな判断だったというのは分かってくださると思います。

【八木】
 ただ、現実に、まさに大阪ワクチンの発表があった後に、森下さんが散々いろんなインタビューに出て、世界で自分だけが特許を持っているとか、独自技術で他は真似はできないみたいなことを散々おっしゃって、それをまたマスコミがどんどん垂れ流すことによって、何も知らない人にとっての期待値が上がって、たくさんの人が株を買い、株価がものすごく上がる、という、そういうことが実際に起こってしまったわけですよね。
 「世界で唯一の特許」とか、「自分だけができる」というのがどんなにうさんくさい話か、というのは、さっきの植地先生のお話でよく分かりましたけど、もう一つ非常に引っかかる話というのが、森下さんは、4月に発表して、5月にはもう治験が始まったというふうなことを、この時点でおっしゃっていたわけですから、そうだとしたら、2020年の秋ぐらいには、治験の結果がどうなっているのかとか、開発状況がどうなっているのかというのを、責任者の地位にある人だったらかなり心配しているという状態だと思うのに、なぜかまさにその20年の11月に、森下さんが何をなさっていたかというと、なんと映画を作っているんですね。「日本独立」という改憲推進映画のプロデューサーになっていらっしゃった、と。
 これ、文春によりますと、森下さんがこの映画に5億円出したという話になっていますけど、そのお金が一体どこから出たんだろうみたいなことも、勘ぐらざるを得ないというのも一方として、11月の段階で、予定から随分遅れているのに、まだワクチンの結果がぜんぜん出ていない状態で、なんでこんな映画を作る余裕があったのか。そしてさらにその翌年の2021年の2月に万博の総合プロデューサーに就任なさっているとは、本当に何を考えていらっしゃったんでしょう。
 そしてその結果として、コロナワクチンの開発断念というのが正式に発表されるんですけど、この時の記者会見に出てきた資料というのが、これがすごいんですよ。「安全性◎、免疫耐性△」っていう、ただこれだけでデータとか一切ないんですよ。普通、データってきちんと発表するものですよね?

【植地】
 子どもの発表ではないので◎はないと思います。夏休みの自由研究レベルだと思います。
 あと、こういう臨床試験についてですが、コロナというのは短期間の病気なんですね。
 ワクチンの場合でも薬の場合でもそうですけども、例えば、発症までに長い時間がかかる慢性疾患の治験 ------ 病気になってから発症するまで何年もかかるというようなものと、例えば5日とか1週間とかである程度軽快してしまうというものでは、治験のやり方のデザインが全く違います。
 慣れない人が両方組むと、とんでもないプロトコルを組んじゃいますけども、コロナの場合には、1週間程度で病気が基本的には改善してしまうというものですし、アタック、つまり突然の発症がある病気です。
 ただ、2020年の夏というと、まだ国内ではそんなに大きく患者がいなかった時期です。ですから、この時期には、実はアタックの試験はできないんです。ということは、この時期にやるとすると、国内では、フェーズⅡの抗体価が上がっているかどうかをチェックする短期で行う試験しかできません。抗体価が上がっているかどうかということをまずチェックするのであれば、2ヶ月か3ヶ月あれば健常人でやれますので、ほぼフェーズ Ⅰでやると同じ規模なので、結果はすぐ出ます。
 これはエンドポイントが抗体価というハードエンドポイントなので、血液を取ってきて数値を測ればいいだけですから、解析にそんなに何ヶ月もかかるわけもありません。
 しかもエンドポイントは数字の平均値で出てきますので、必ず平均値プラスマイナスSDという形での有効性が評価されるべきです。ですから、その発表が ◎とか△ というのは、悪い冗談としか思えません。
 それと同時に、もし(治験を)やるのであれば海外では当時発症例がありますので、国内で抗体価の試験をやって、海外で感染予防効果のフィールドスタディという形で検証試験を組む、というのが順当な立場だと思います。
 そして、急ぐのであれば、同時進行で走らせるのが僕らの常識なんですよね。同時進行でやっておいて、2ヶ月でなるべく早く抗体価を見て、抗体価が上がっていくことを確認できたら、すぐに患者さんたちに投与ができるようにスケジュールを組みます。
 そういうスピード感というのが、全くないなというのはありますね。ワクチンの開発に全く慣れていないというのはよくわかります。

【八木】
 そもそもワクチンの開発実績がないんですよね、アンジェスには。
 ワクチン以前にまともな薬品自体の開発実績がほとんどないような会社なんですけれども....

【植地】
 海外から見ると、日本の早期承認制度、期限付き承認制度というのは、一時期、すごく魅力的に見えたんです。
 先ほども言いましたけれども、フェーズ Ⅲをやる、というのは、ものすごいお金がかかります。
 そうすると、フェーズ Ⅲ で莫大なお金を使って効果が出なかった場合には、全部、それは捨てたお金になります。
 だからもしも、どこかの国で、短い時間で実験的に承認をもらえるような制度があるならば、それを使って、早く(薬を)出したいと思うのは、僕らの本性です。
 ですので、例えば、海外で使っている再生医療用薬品があれば、日本にそんなにいい制度があって、短期間で実験的に承認が取れて、しかもそれで、薬価という形で診療の中で売ることができて、お金を回収しながらフィールドからデータを取れるのであれば、我々外資は、真っ先に飛びつきたいものです。
 でも、誰も飛びつかなかったんです。
 飛びつかなかったというのはどういうことかというと、あの制度、あまりにもおっかなくて。
 安全性も有効性も検証できていない段階で、推測だけで患者に使って、もし万が一のことがあったら、莫大な賠償金や訴訟費用を払わなければいけないだろうねというのがありますから、あんな制度はおっかなくて手が出せない、というのが最終的な結論だったんですね。
 でも、それをなぜあそこの会社が......そんな制度を使わなければいけない状況にあった人たちがいる、というのが、ちょっと不思議だなとは思います。具体的な内情は知りませんけど、
 それに関しては、あの制度を........他にはあの制度を追従していった人たちは数少ないと思うので、そこらへんもちょっと考えるべきというのはあると思います。

【八木】
 吉田先生、何かおっしゃりたそうですけれども

【吉田】
 再生医療に特化した制度ということなんですけど、我々もあれは当初反対もいたしましたし、今の植地先生の話ではないですけど、どこまで使える制度かということは、疑問を呈していた制度なので....
 ちょっと話はずれるんですけど、ただ日本の今回の制度のことじゃなくて、日本は今、デバイス・ラグ、ドラッグ・ラグ(※海外で既に承認されている製品や薬が日本国内での薬事承認を得るまでに長い年月を要するという問題)じゃなくて、ドラッグ・ロス(※海外ですでに使われている治療薬が日本では 開発が行われず、日本で使うことができない状況)になってきているんですよ。
 日本に上梓しない薬が、かなり世界中にあるということもありまして、日本の薬機法という法律を作ったのは ----- 私は責任者でやらせていただいたんですけど --- もう一度、ちょっと手を入れて、薬事のことをしっかりやらないといけないな、というのは本当に思いますね。

【八木】
 なるほど。ちょうど安倍首相がお亡くなりになった後に、この森下寄付口座教授が、M3という、お医者さんの専門の情報サイトに特別寄稿をなさっていまして、知り合いのお医者さんの方が私にそれを読ませてくださって、その内容に、非常にびっくりしたんです。
 この時にまさに、(安倍元首相の)ゴルフ友達であった森下先生は、安倍さんの功績をたたえていらっしゃるのはもちろんなんですけれども、とりわけ、安倍さんの偉業をたたえていらっしゃるのが、まさにこの、再生医療の促進という形での条件付き承認制度を作ったということ、医薬品のネット販売を解禁したということ、それから機能性表示食品の解禁をしたということですね。
 それからあともう一つちょっとびっくりしたのが、安倍さんのご病気というのが、潰瘍性大腸炎という ---- これ、不思議なことに担当の慶応大学病院の方では診断書を出していらっしゃらないのに、潰瘍性大腸炎というご病名になっていましたけれども -- これは森下さんの番組で初めて出てきた病名なんだそうですね。
 そのあたりも、とっても不思議だなと、ちょっと私は思ったような次第なんですけれども、とにかく、この寄稿文を読む限りにおいては、森下さんと安倍さんとのつながりが非常に強いものだというのがよくわかるのですが、この中でもう一点、引っかかったのが、この機能性表示食品の解禁という項目だったんですね。
 私は、この記事を読むまで、ずっと、トクホと機能性表示食品の違いというのを分かっていなかったんです。というか、多分、ほとんどの方は分かっておられないと思うんですけれども、トクホというのは、一応、消費者庁で試験を行うものなんです。ところが、機能性表示食品というのは、条件付き承認制度とちょっと似ていて、会社が自分でデータを持っていって通してくれと言って、その書式さえ合っていれば通っちゃうという、そういう仕組みなんだそうですね。

【吉田】
 機能性表示食品の危険性をずっと国会で何回も言わせていただいていて、機能性表示食品って、論文、何でもいいんですよ。それを付けちゃうと認められちゃうんです。
 私は、非常にリスクが高いので、ちゃんとインパクトファクター (Impact Factor) がある、英語の論文だとか査読がある、そういった論文でやるならまだ分かるけれども、変な話で、形式さえ整っていればなんでもいいのですから、そういう(申請者の)ストーリーにあった論文作るだけなら、海堂先生なんて多分5分ぐらいで作れちゃいますよ。
 だから、本当に、おっしゃるとおり、まさに似た問題なんです。
 恣意的にデータを作って、査読がない日本語の雑誌に載せて、それを根拠に申請できちゃうんですよ。
 非常にこれは危ないですよ。

【八木】
 私もびっくりしてネットで調べたんですけど、機能性表示食品に関しては、それ専門のコンサル会社とか、それに付随してそのコンサル会社のやっている怪しげな学会とか、学術雑誌と称する雑誌とかありますよね。
 ということは、お手盛りで、いくらでも論文を作れちゃうわけですよね。
 そんなことも知らずに、普通にテレビとかで広告をしていますし、当然スーパーとかでも売っているので、機能性表示食品ってちょっといいのかな、と思って、多分買っちゃってる人がほとんどです。私自身もそうだったので、大変びっくりしたんですけれども、それについて、海堂先生が、新作でけっこう書いていらっしゃいましたよね。

【海堂】
 そうですね。「コロナ漂流録」では、結構アンジェス.....じゃない、エンジェル製薬のそういう問題を書きましたけれども、基本はいままでの先生方のお話、みなさん、非常に誠実な言い方をされていますが、核心を言うと、結局、安倍さんがやった岩盤破壊っていうのは、基盤破壊だったんですね。
 岩盤じゃなくて、抵抗勢力でもなくて、日本社会の基盤を破壊する行為だった、と。
 治験制度にしても、これは、これまで築き上げてきた医学の基本なんですね。それをやることで薬害を防げるから、治験をやっていたのに、一番大切な第三層をカットして承認してしまう。
 これはぶっちゃけ暴挙なんですが、それを通してしまった。しかも岩盤破壊だと言って、華々しく打ち上げた。これは本当に日本の医療の土台を破壊したものだと思います。
それと同じで、機能性表示食品というものも、その話を聞いたときには、逆に、すぐに分かったんですね。
 同じ構図なんです。
 要するに、トクホは、まだ機能とか効能について、しっかりした裏付けをやっていた。だからなかなか(審査を)通らない。だけど、そこのところをいい加減にすれば、通せてしまう。そして通ってしまったらあとは野となれ山となれ。それを一番分かりやすい形で表しているのがアンジェスだと思うんですね。
 薬品を出して、審査を通して、華々しく打ち上げて、そして結果は知らない。アンジェス社の唯一の商品もそういうものです。
 だから、そこのところの責任の所在を明確にするために、色々と仕組みを作らなければいけないのですけれども、それを難しくしているのが、安倍内閣のもう一つの悪癖、つまり、公文書毀棄なんです。
 もう全部繋がっているんですね。
 だから、これによって日本社会のシステムは土台から根底に崩されちゃった。もう本当にどうしようもない。
 これを立て直していかなければいけないのですが、その時に病巣がそこだと分かっていれば、治療法がある。でも、病巣が分からないと、どんどん悪化するだけなんです。つまり、無責任体質の根源はそういったシステムにある。ここを何とかしないといけない。
 機能性表示食品あるいはワクチンの問題、こういったものが、全部、同じです。他の問題も全部同じ構図なんです。そう思うと、いろいろなものが見えてくると思います。

【八木】
 機能性表示食品って、食品だけじゃなくて物品でもありますよね。大阪万博の看板になっているシャワーとか。

【海堂】
 シャワーヘッドはミ○○ルというやつですかね(笑)。
 この間、テレビを見ていたら地上波で宣伝していたので、おったまげました。シャワーをするとアトピーが治るというのがあるんですが、大阪万博のサポーターの会社がやっていて、そこも相当うさんくさいというのは、週刊ゲンダイさんの記事でしっかり追っていられたと思います。

【八木】
 どんどんそういう情報は広げられるということだと思うんですが.....
 私は市民団体を主催していたりするんですが、そうすると、いろいろと細かい情報が入ってくることもありまして、その中でちょっとびっくりしたのがさっきの機能性表示食品なんですが、もちろん、全部が全部とんでもないということではなくて、中にはもちろん、ちゃんとしたものもあるとは思うんですが、実際には、データを作って厚労省に出して、その形が整っていれば通る、ということにはなっているんですが、出す側からすると、書式をそれなりに作っていても実際には通らない、そこはちゃんとコンサル会社を通してそこのある種のお墨付きをもらっていないと通るものではなくて、だから、結局そのコンサルの力を借りなければならなくて、そのコンサルの元締めが、抗加齢学会の、ある方だという話まで聞いたんですけれども.....。

【吉田】
 私も抗加齢学会の評議員なのであれですけど、他にも多くの方が評議員ですよねでいらっしゃるんですが、まさにそこに深く関与する学会なので、それはもうおっしゃる通りだと思いますね。
 本音を言うと、「機能性」というのは、医療に関わることを謳っていますので、本当は医薬品なんですよね。
 よくテレビで出る「個人の感想です」とか、あれは免罪符みたいに使われていますけど、あれも本当はアウトなんです。
 だいたい、飲んだヒアルロン酸が膝に行きます?(笑)
 ちょっと言い過ぎかもしれませんが、本当に健康食品とか機能性食品って、ある意味、効かないものを売って害すらあることがあるので、悪質な振り込め詐欺と一緒ですよ、本当に。そこまで、この日本の病巣は深いと思いますね。効きもしないものに、皆さんお金出させられて。あれは毒ですよ。いろんなものでスティーブン・ジョンソン症候群とか起こすので、大変なことが起こることってあるわけですよ。
 そんなものに、かなり高額なお金を皆さん払われますので、本当に、しっかり取り締まるようにと、私は、再三、再四、厚労委員会や消費者特務委員会で言ってるんですけど、根が深いのでね、ぜひ、海堂先生みたいに発信力のあるインフルエンサーに、ぜひそうやって暴いていただいて、これはやはり、国民の皆さん一人一人の、お考えが非常に大事なところなんで、啓発をしなきゃいけないと思いますよ。

【八木】
 そういう意味では、まさにアンジェス・森下先生は本当にいろんなことに関わっていらっしゃって、まるで、医療界の竹中さんみたいな感じが.....これは単なる個人の感想ですけれども(笑)、ちょっとそういう印象さえ持ってしまったりするんですが、でも、それにしても、基本的にこのアンジェスの問題にしても、機能性表示食品にしても、データが無視されている、まともな論文がないっていうことは、本当に驚くべきことだと思うんですけど、その論文がないっていうのは、そもそもどういうことなんでしょうね。

【川上】
 そうね。なんでそういうことが起きますかね。
 機能性食品っていうのは、ある働きがあるという論文と一緒に提出されるのか、それでそれが検証されなくて、コンサルが書くっていう話なのか.........だから、機能性食品というものにそんな価値を与えなければいい、みんながそれにお金を出さなければいいと思うので、そういう教育というか、そういうような周知をしていかなきゃダメですね。機能性食品には機能がない、と。
 でもそう言うと、最近の風潮だと、SNSだと(効果が)ないことを証明しろって言ってくるから、水掛け論になっちゃうんですよね。だから最初に言ったもん勝ちなんだよね。
 それで、ある程度、顧客をつかめれば、その人たちは商売になるからやってるんでしょうね。ただそれで、正当な医療とか正当な効果のあるものが、どんどん効果なくしてきますからね。そういう悪貨が良貨を駆逐するっていうそのものだから。
 そういう啓蒙活動をするとともに、そこを厳しくしなければならないのに、コンサルがやってるっていうのは、僕はその辺全然知らないんだけれども、あり得ないですよね。そんなものを論文って呼んだらいけないと思いますよ。

【吉田】
 あの、これは結構裏話なんですけど、厚生労働省ってエビデンスとして採用するときって、やっぱりインパクトファクターがちゃんとある一級誌を採用するんですよ。医療としてのエビデンスっていう意味では、日本語雑誌なんて価値はないとして、英文の一級誌のエビデンスを採用するんです。
 ただ、ひどい話がありまして、農薬って日本ってすごい規制が遅れてるのご存知ですか?
 EUとかで絶対禁止されてるようなやつを平気で使ってるんです。で、遺伝子に作用するって言われてるものも結構使っているんですが、なんと、農水省は、農薬メーカーが持ってきた論文で評価するんですよ。
 自分たちで、自分たちにいい都合のいい論文を選んで、それを農水省に持っていって、農水省はそれで判断する。これは色々事情があって、農水省から農薬メーカーに、ものすごく天下りしてるんですよ。で、その結果、日本の農薬メーカーは世界から二、三周遅れてるって言われてるんですよね。
 だから皆さんが飲まれているペットボトルのお茶、これちょっとこの会社の会長さん、僕よく知ってるんで言いづらいんですけど、農薬入ってますからね。EUで使われていない農薬が検出されますから。本当に怖いんですよ。子どもたちの世代に関して言えばですね。
 ただ、そういったのはもう野放図になっているので、私は、これも国会で質問したんです。エビデンスとしての採用の仕方のルールをちゃんと決めてくれと。そこを省庁できちんと統一して政府としてルールを決めないと、科学的な検証とか一切できないですよね。
 これは裏話ですけど、ちょっとお伝えしておきます。

【八木】
 今、お話を聞いていて、隣でペットボトルに伸びていた海堂さんの手がパッと....(笑)
 いまZoomで見てらっしゃる方も、同じような反応された方がいらっしゃるんじゃないかと思いますけども....

【植地】
 ひとついいですか。
 医薬品の評価なんかの場合ですけど、論文がどれだけ信用されるかっていうと、論文は実は信用されてないんです。
 なぜならば、論文は、誰でも、仮説であろうが何だろうが投稿できますし、投稿すれば載ってしまうからです。
 逆に言うと、インパクトファクターのある雑誌であろうがなんだろうが、新しいことを考えつきました、新しいことが分かりましたということで出して、あ、そうかもということであれば載るわけなんです。
 ですから、論文が掲載されたから、学会誌に掲載されたから、有名な雑誌に掲載されたから、その内容は事実かって言われると、そんなことはありません。雑誌に掲載された情報の 9割以上は、その後で間違いが指摘されます。
 臨床試験であっても、95%の信頼区間しか持っていません。どんなに大きな臨床試験をやっても、5%は間違いがあります。
 だから、一つの臨床試験を何回も何回も解析していけば、必ず「有効性」なるものをを作ることができます。
 先ほど、僕が臨床試験をやった後に、短い時間で結果を発表しなければいけないと言いましたが、あれはなぜかというと、長い時間をかければ、何回でも追加解析ができるからで、追加解析をすれば、必ずどこかで有効性を引っ掛けることができます。それはなぜかというと、1回ごとに5%の誤りを含んでいるからです。
 そういうことをやることで、例えば、都合の良い結果の論文を作って出すことができます。そういった論文は、査読があったとしても、その査読で検証することができないことがあります。たとえば、これは世界で初めてです、と謳えば、世界で初めてなんだから、みんなに知らしめるべきだよね、ということで、査読者はその論文に載せてしまいます。
 ですから、ネイチャーに載っているから、サイエンスに載っているからといっても、残念ですが、逆に言うとああいう雑誌に載っかっているものほど新しいものなので、後で間違いが見つかることが数多くあります。

【吉田】
 私も科学者なので、今、植地先生が指摘されたようなことはあります。
 ただ誤った論文や事実じゃないものに関しては、みんなが世界中で追試をするので、コメントとかがいっぱい付きます。
 だから、先生も学者ですからわかると思いますけど、間違った論文というのはいずれわかります。
 つまり、今、植地先生がおっしゃったのは、極端な例で、学者として性善説的にやるかどうか、ということなんです。結局、(まぐれで出たような)チャンピオンデータを出すからそういうことになってしまうわけで。我々は、都合のいいデータという意味で、チャンピオンデータと呼ぶんですが、僕は、自分で論文を書くときは、基本的にチャンピオンデータは一切採用しないです。もう徹底的に同じことを繰り返して確認できたデータしか出さない。
 で、繰り返しになりますが、私も世界で高名な学者が書いた論文にコメント付けたり、追試してできなかったことがいっぱいあります。
 だから、先生がおっしゃったのは、飽和的な研究のことなんだと思うんですけどね、STAP細胞だってなんでバレたかっていうと、追試して誰もできなかったからですよ。あれ、私も、昔、実は同じことやってましたけど、一切あんなこと起こらないんです。あれ、ES細胞の混入ですよね、常識に考えて。
 だから、その論文の信憑性については、先生がおっしゃることも一理あるんですけど、嘘の論文というのは、やっぱり、後で撤回したたり、あとコメントがいっぱい付いて追試できないというのが出て、世の中に明らかになるので、ちゃんと見れば、その論文が評価に足る論文か、あるいは、今、先生がおっしゃったように、高名なネイチャーやサイエンスやセルであっても、そこはわかりますので。そこはそういう評価で良いと思います。

【植地】
 それは十分に承知した上で、ただ、今の日本のメディアの現状を考えちゃうと、結局、そのネイチャーに発表されましたとか、論文で発表されましたというと、それだけでニュースになっちゃうわけですよ。
 だから、どこかのメーカーであれ、どこかの製薬会社であれ、どこかの研究者であれ、世界で初めてこんなことやりました、世界で初めての論文が出ました、と。それだけでもって、ニュースになってバーって出ちゃって、それが評価されちゃうんです。
 その後、先生がおっしゃったみたいに追試したら価値がありませんでした、というところは報道されないわけですよね。
 だから、例えばワクチンであれ、医薬品であれ、まあイベルメクチンとかそういうものも含めてですけども、絶対に効かないだろう、こんなもんって思うものでも、効きましたという論文が出たっていうと、それがニュースになってポンって出ちゃって、それをまた信じちゃう人が出てきちゃうわけです。
 実際には、それを何回も検証していって、効かないっていうデータは山のようにあるにもかかわらず、それは一切報道されませんから、
 そうすると、そういうところで、メディア・リテラシーのない方々っていうのは、一番最初のトリガーだけで引っ張られちゃう、ということが起きてるんですね。だから、論文が出ましたっていうニュースはほとんど信用しない方がいいです。よっぽど、気をつけないと。

【八木】
 それはコロナの時に、アビガンとかイベルメクチンですごくありましたね。

【川上】
 アビガンって論文になりましたっけ?
 論文全部ダメってことはなくて、機能性食品にくっついてくるような論文と、ネイチャー、サイエンス、セルに通る論文を一緒にしちゃいけないです。それは絶対にいけない。質が違う。質が違いすぎる。
 研究者が、それこそ数人がかりで10年くらいかかって作るような論文が、ネイチャーやサイエンスやセルに出るわけですから、機能性食品で何が何に効いたなんていう論文と一緒にされては.........そういう論文ははっきり言ってクズですよ。そのメカニズムも一緒にしてはいけない。
 ただ、それを見分けるのを一般の人に求めるのは、ちょっとハードルが高すぎるのは確かです。
 それで、メディアの扱い方も、いい論文と悪い論文をちゃんとメディアが評価しないで、一般の人に売っちゃうのも確かです。
 コロナの場合も、そういうふうな(怪しげな)機能性食品がいろんなの出てきて、今、まさにそういうことが問われているところだと思うんです。
 明治大学のこのフォーラムの趣旨にも合うと思うんですが、そこまでのリテラシーを.....要するに理系の大学院レベルのリテラシーを一般の人に求めることはできないんだけど、それが分からないと騙されるって世の中になっているのを、どうしたらいいかというふうに問題を一般化することができると思います。

【八木】
 そこはまさに、そういう医学系の記事を書いたりする人には、せめて大学院生レベルの知識が欲しいということではないですかね。

【川上】
 そうですね。
 必ずしも大学院を出ていなくてもいいけど、大学院を出たくらいの内容を読み取れる人じゃないと、あまり記事にしてほしくないです。

【植地】
 医者で専門家ですっていうふうに言っておきながら、もうデタラメを書きまくっている人はいっぱいいるので.....

【川上】
 医者だけじゃなくて、理学系でもコロナに関しては、とある名誉教授っていうのがずいぶん悪さしています。

【八木】
 あと、アメリカで研究者をやっているとかいう怪しい人もいましたよね。

【川上】
 博士号を持っていればいいってもんではないですね。
 だけど、そこも見抜くのはものすごいハードル高いですよね。

【八木】
 とりあえず、メディアで大々的に打ち出したから、ネイチャーに出ているからっていうことで、無条件に信じない方がいい、というのが植地先生のご意見で、それはそれで本当に貴重なご意見だと思います。
 ただ一方で、まさに川上先生がおっしゃるような、機能性表示食品などでいい加減な学術雑誌に出ている論文というのはそもそもそういうレベルですらないような、言ってみれば、個人のブログ記事と新聞記事の差ぐらいのもんだと、そういう理解でよろしいですかね。
 ただ、機能性表示食品は置いておきまして、補助金100億円が動いているアンジェスの例のワクチンに関しては、論文1本しか出ていなくて、それがまたMDPIという....川上先生、MDPIって何ですか?

【川上】
 今では結構使っている人もいるから、あまり言えないけども、評価分かれるというか、ハゲタカジャーナルってジャーナルがあるんですよね。要するにお金払ったら何でも論文載せるようなジャーナルね。........に、なるかどうかの際どい雑誌ですよね。
 でも、僕はMDPIには絶対出さないですね。

【八木】
 だから、まさに100億円も補助金を取っているようなコロナワクチンに関するデータというものが、1本しか論文として発表されていなくて、それが出ているのが、しかもハゲタカジャーナルまがいだというところ自体もね、本当に、こういうのって検証し得るものなんでしょうか。

【吉田】
 論文の世界も色々ありましてね。
 例えば私は、ジョンズ・ホプキンス大学にいて、ずっとそのままいようかなと思っていたんですけど、やっぱり有名な教授というのは自分のジャーナルを持っているんですよ。そこに自分のところが送れば絶対通るんです。これは一級誌でも結構そうなんです。
 だから植地先生がおっしゃることというのは、一定程度、本当にそうなんです。
 じゃあ何を目安にすればいいのかというと、科学は、論文と、そしてインパクトファクターだけじゃなくて、引用回数。どれだけ引用されて学者に信用されているか。
 こういうものを参考に、インパクトファクターやサイテーション・インデックス(Citation Index)ですね。他の学者が採用して、それを自分の論文やほかのところに引用する、そういったデータが、その論文の信頼性というものでは大事です。
 論文を完全に否定するというのは、科学を否定するようなものですからね。
 セルなんていう論文は、本当にレビュー並みの労力を使って我々は載せるんですよね。本当に10年とかの研究の結実ですよね。
 だから、本当に公平な意味で、論文を評価するのは難しいですよ。
 例えばもっと言えば、ジョンズ・ホプキンスで、私の隣でやっていた中国の方はですね。データをけっこう捏造しているのを、僕、横で見て知ってますからね。絶対にデータを自分で解析するんですよ。僕らは、必ず第三者で解析をして、絶対に何らかの変更がないようにするんですけど、その人は自分で取ったデータを自分で解析するんで、そんなことをしていたらやっぱり正しいデータは出ないですよ。それはもう学者の良心もあると思うんですけど、ただ何を参考にするかというと、やっぱり今は学術論文しかない面もあるわけですから。
 いい学術論文とは、やっぱりインパクトファクターや、サイテーション・インデックス、引用回数、どれだけ引用されているか、それが信頼性だと思うので、そういったことを参考に見ていくしかないんじゃないかと思います。

 はっきり申し上げると、機能性食品のあれはお手盛りの論文です。あれに価値はない。ただいっぱいありますよ。和文の論文では、出せば載る......いっぱいありますよね。そういう論文ね。特に医学系も多いですよ。そういう....あまり言わないですけど、これ以上言うと、あれですから。

【江下】
 そろそろ時間の方はですね。予定の時間も10分超過しておりますので、一応フロアの方から、ここでもし何か質問がございましたら。
じゃあ、そちらの方。

【山岡】
 どうも今日は貴重なお話をありがとうございます。
 ノンフィクション作家の山岡淳一郎と申します。
 一つ絞ってお伺いしたいんですけれども、新型コロナワクチン。これ総合的にはやはり非常に効果があって、随分抑えられたなと思っています。私自身も打ってますけれども。
ただ一方で、先ほどその「悪魔のくじ引き」というふうに植地さんがおっしゃったような副反応の問題が生じていると。
 まず一つ、植地先生にお聞きしたいのがアストラゼネカのワクチンに関して、2020年の後半から21年の初めぐらいにかけて、開発が進まれて、これから承認するかどうかのところで、ヨーロッパで、血栓症が出るんじゃないかということで、確かデンマークやオランダあたりで、使用禁止というようなことが出てきた。
 その後、日本がどういうふうにどこのワクチンを入れるかというところで、アストラゼネカさんは結構少なかったような気がするんですね。そこらへんの経緯ってのはまずちょっと教えていただけませんか。

【植地】
 当事者なんでいろいろと言っちゃいけないことがいっぱいあるのですが....まず血栓症の問題に関しては、あれは追試をいろいろとされています。ヨーロッパではかなりあれはないだろうと最終結論が出ていますので、一瞬だけ禁止になった国もあります。
 もちろん「悪魔のくじ引き」を予防しなきゃいけないので、リスクがあるものは、例えば、今使わないで、他のデータが出るまで待つというのは、それは規制当局として、レギュラートリー・サイエンスとして非常に正しい姿勢だと思います。
 実際、その後、追試が出てきて、例えばヨーロッパでは、アストラゼネカのワクチンはかなりいろいろ使われていますし、イギリスでもかなり使われていますが、そこのところは血栓症は増えていません。
 実は、当時、日本の政府は可能性のあるワクチンはみんな交渉してたんですよ。アストラゼネカだけじゃなくてファイザーもですし、ノババックスもですし、モデルナも。
要は、交渉して、日本の分を確保しないと分けてもらえないんですね。
 ですから、このぐらいの量は確保してほしい、開発に成功したら買うからという形で、厚労省は各メーカーと話をしているはずです。それで、その中でもちろんアストラゼネカも一定数......あの当時はたぶん1億2000が基本だったと思います.....全員に打てるように、という形で、それは全部のメーカーに同じように話をしていたんですね。
 その後、日本に関しては、実は、ほぼほぼ、ああいう報道があって、その後の後追い報道が何もなかったということもあって、アストラゼネカのワクチンは採用されなかったところもかなりあります。
 ファイザーのワクチンとモデルナのワクチンが使われて、最初から実は、僕はモデルナのワクチンに関しては、ドース(投与量)がオーバーしているから副反応が多いよって言ってたんですけど、なぜかそのままアメリカと同じドースを使っちゃったんで、かなり副反応が高く出て、3回目以降は僕が言った通りに半分の量にしてくれたんで、副反応がだいぶ減りましたけど。
 それからモデルナ・アームというのは打ち方の問題だけなので、あれが出るのは日本人の医者の先生の打ち方があまり良くなかったからなので、あれは出るべくして出たという話なんですけど、そういうのはちょっと置いておいたとしても、アストラゼネカのワクチンはあまり公的に使われなかった部分もあったんで、COVAXという輸出ですね、第三世界に対するワクチン共有プログラムの方に乗っかったことになってます。
 実際これはもう厚生労働省から公表されているんですけども、6000万ドースぐらいだったと思うんですけど、ちょっと細かい数字忘れちゃいましたけど、最終的には輸出して第三世界の方の、ワクチンの製造ができない、というか、ファイザーのワクチンめちゃめちゃ高いんで、そういうのが買えない国に輸出をされています。
 ちょっとさっき出さなかったグラフのところにあるんですけど、海外にワクチンを輸出した国というので、実は3位か4位が日本なんですよね。それで、その輸出したワクチンというのは、全部アストラゼネカのワクチンになっているはずです。

【山岡】
 ありがとうございます。
 すみません。吉田先生にちょっと一言伺いたいんですけれども、
 日本で今、副反応の報告制度というのがあります。副反応で亡くなったというについての報告制度ですね。
 現場のお医者さんや製薬メーカーから上がっているのはだいたい2000人以上超えていると思います。それと一方ですね。健康被害に関しての救済制度ということで、死亡一時金に4420万。とにかくこれは認めてあげましょう、というのが、100件ちょっとぐらいになったんでしょうか。
 そのぐらいは遺族に対しては救済せんといかん、ということになっているわけなんですけれども、まだやっぱり、ちょっと、この開きがあると思うんです。この救済に関してなんですが、確か、立憲民主党はこの閉会審査中に、健康被害救済特別措置法というのを確か挙げていると思うんですけれども、それがどういうふうになっているのか、あるいは、今後、この救済の問題に関して、御党ではどういうふうに考えておられるのか、そのへん最後にちょっと教えていただけますか。

【吉田】
 法案は提出しているんですけれども、そもそもワクチンに対する考え方にも関係するところだと思うんです。
 無過失保障制度ってお分かりになりますかね。その理解がないとちょっと説明しづらいんですけど、定期接種といわれるワクチンに関しては無過失保障なんですよね。
 3回量保障制度というのは似たようなシステムですけど、日本は無過失保障制度って非常に難しくて、イギリスだとですね、ちょっとこれ話すと一時間ぐらいかかっちゃうんですけど、訴訟権が奪われるんです。
 でも、日本は関係ないんですよ。それは、何人からも訴訟権を奪うことはできないと憲法で決まってるので。そういう中のルールにおいての無過失保障制度なんで、かなり限界があるわけですよね。だから、どこまでの救済が適切かと判断するのは個々人の問題になってしまうわけなんです。
 因果関係に関しても、これは難しい線引きがありますよね。私の地元の中日ドラゴンズの若い選手がワクチンを打って亡くなってしまって、これはおそらく因果関係ありだろうと。

【山岡】
 私もその方を取材しました。ご遺族を。

【吉田】
 そうですか。だから、とにかく救済を進めていくという法案にはなってますが、これは詳細に関して数字的なものが入っていたかどうかというと、ちょっと私は記憶がないんですね。
ちょっと調べてもう一回、資料をお送りしますけれども、いずれにせよ、救うべき方たち、とにかく副反応や健康被害に関しては、できる限り多くの方を救いましょうという趣旨で、それを促進していくという法律ですよね。たぶん、プログラム法じゃないですかね。ちょっと確認させてください。

【山岡】
ありがとうございます。

【江下】
もう1名、もしいらっしゃればお受けしますが、いかがでしょうか。じゃあ、そちら、どうぞ。

【質問者】
 今日はどうもありがとうございます。本当に目から鱗の話が多くて、びっくりしてお聞きしておりました。
 メディアの役割というのはちょっとお聞きしたいんですけれども、最初の川上先生のお話で、PCRの感度の話ですね。
 僕もそれを思い出して、7割方ぐらいしか精度がないという話がバーッと流れてですね、当時PCRのことで、いや、そんなことないんだとおっしゃってたのは、今、山岡さんが言われてましたけれども、デモクラシー・タイムズで、児玉先生がそんなことないよとおっしゃってたんですね。
 で、専門家と言われる方が、こんなに意見が分かれちゃったという現象を見て、あれ、おかしいなと思ったわけですね。
 今日のお話もお聞きしてPCRの問題というのは、海堂先生もおっしゃったように7割の精度しかないってことはありえないわけですけれども、当時メディアに出た方々はですね、皆さんこぞってそう言っておられましたね。それはどうしてそういうことになっちゃったのかな、という疑問があります。
 それを多分、川上先生なんかもどうしてだろうと思っておられるかもしれませんけれども、そのメディアの状況というのを、どういうふうにお考えになっていらっしゃるかということが一つと、それと吉田先生にもお聞きしたいんですけれども、アンジェスの問題を、ああやって追求されて、先ほど示されていましたけれども日刊ゲンダイさんが取り上げておられるぐらいで、私も関心がありましたので、吉田先生が質問されていらっしゃるというのは見ていたんですけれども、例えば、朝日新聞とか他の大手マスコミの方々が、吉田先生の質問に対してどんな反応されていらっしゃるのか、全く無反応なのか、それについてちょっと聞きたいなと思います。

【川上】
 PCRの精度7割というのは理由が分かっていて、コロナは結構診断が難しくて、タイミングがいい時にタイミングのいい場所から鼻腔とか唾液とかを取らないと診断できないんですよね。今でもそうだと思います。だから1回で診断できなかったらば、2回3回と診断しなければいけない。
 だから一番最初にコロナが出た頃に言われていたのは、時期を逸すると、要するに、肺の中に入って肺炎になっちゃうと、ウイルスがいなくなっていて診断が難しく、診断し損なうことがあることがある。そういう時の難しさとして、1回で、PCRでバシッと当てる頻度が7割ぐらい、という話ですね。
 だけど、PCRはそこにウイルスがいたら100%見つけるんですよ。
 PCRで7割の感度の時は、例えば抗原検査であったとしたら、その感度は3割ぐらいになる、半分以下の感度になるはずです。
 それが、PCRが7割というのだけが一人歩きした。多分、僕は意図的にさせたものだと思っています。尾見さんも言っていたので。だから、それを意図的に一人歩きさせて、PCR検査の抑制に使ったのだと思います。それを、メディアが何の検証もせずにそのまま垂れ流した、そういう構図です。

【吉田】
 ツッコミの反応はですね。よく雑誌からは問い合わせがありましてね。FlashとかFridayとか、文春とか新潮とかそういうところからは、色々とお話聞かせてくださいといわれて、お話するんですけど、新聞社は少ないですね。
 ただあれ、ちょっとどこの新聞社か忘れましたけど、2社ぐらい。1社はもうシリーズで何回かやりたいからということで、お話聞きに来られたりですね、また聞かせてくれというところがありますけど、ちょっと私も記憶ないので、またちょっと調べておきますけれども、かなり大きな問題で根が深い問題だとは思ってます。マスコミも見てますよね。
 ただ内容が非常に難しい部分もあるのと、やはりこれ、当然ですけど、政府が抑えにかかるタイプの話ですので、そのへんの影響もあるんじゃないかなと思いますけどね。

【江下】
 よろしいでしょうか。それではもう時間がかなりロスタイムを過ぎている状態なので、Zoomの方からも色々な質問が来ているんですけれども、一つだけお尋ねしたいと思います。
 この方はですね。「自衛のためにツイッターなどで川上先生など信用できる専門家の意見を参考にしているんだ」というようなことを述べていて、「いまだにノーマスクとかノーワクチンとかいう団体もあって、こういうのを何とか打ち破る方法はないのか、あるいは正しい情報を大勢の人に伝える方法はないのだろうか」という非常に素朴な疑問であり、我々の研究科でも当然色々考えなければいけない問題の質問があるんですけれども、専門家として、どのように情報を広げるかということに関して、これはやはり川上先生にお願いしたいと思います。

【川上】
 これはメディアの話だから江下さんが専門だと思うんですが、最大限の努力はしてますよね。
 私はツイッターで取材されたら答えますし、最終期の頃にテレビに出たこともありますけれども、あと直接、立憲の議員さんとも話をしたりしてますし。
 ただ、コロナが今、どういう状態かという情報自体を取らなくなってしまって、フラットな生のデータが出なくなっている。
 だから民間のデマはかわいらしいものですからどうでもよくて、政府側のデマを問題にしたのは、政府がそういうことを言うから、混乱して色々な説が出ちゃいますよね。そこからみんな何とか正しい情報を拾ってほしいんですが、それはどうしたらいいでしょうか。

【江下】
 予想外のところから話が来てしまいました。
 確かに我々の研究科では、メディアの研究、コミュニケーションの研究、災害情報の研究、色々な専門家の研究をやっていますが、確実に言えることは、まず「正解がある」ということは絶対ありえないわけです。
 正しい方法も、「これが正しい方法だ」と言ったら、その時点でデマであろう、というのがほぼ確実なところですね。
 従って原則的なことしか、当然、言えないことになるんですけれども、私なりの専門性から言えることからすると、私はメディア史が専門ですけれども、ひとつ、難しい問題を簡単にわかるというのは絶対ありえないことなので、わかりやすいというのが、一番実は罠である、というのを常に警告的に考えています。
 難しい問題を理解するためには、時間をかけないと当然理解できません。色々な情報を時間をかけて手に入れて、それで当然、専門の違うことは理解できませんから、信頼できる人を何とか見つけるとか、それはもう時間をかけて勉強するしかない、というのがまず一点ですね。
 性急にわかりやすいことを分かろうとすると、まずわかりやすいというのはほとんどの場合、過剰に単純化しているケースがほとんどですので、わかりやすいなと思った瞬間、これはかなりはしょっている話なんだなということを考えなければいけないし、そしていろいろな分野の専門家でコミュニケーションのプロではないので、わかりやすく伝えてくれるわけでは決してありません。
 性急に答えを求めると、もともと専門家は自分の仕事に忙しい方なので、コミュニケーションにわずわらわされると、多分発信をやめてしまう可能性が高いと思うんですね。
 となると、もう、我々はとにかく簡単には分かれないことに直面しているんだということと、早く結論を出そうとすると、必ず罠に引っかかってしまうんだ、ということは、常に念頭に置かなければいけないな、というところが、今、ギリギリ言えることだと私は思っています。ということになるんですが。

【川上】
 ウイルスがいて、自分がいて感染するかどうか、で、その後どうなるかということで、要するに、ウイルスの量とかCT値みたいな話も出てくるけれども、それで、他に感染している人との距離とか、どれくらい時間がいるとか、自分がワクチンを打っているか、打っていないかとか、自分の中の免疫の状態とか、健康の状態がどうかとか、かかってから、どういう基礎疾患があるかだとか、その時にマスクをするとかしないとか、ものすごくパラメーターが多いんですよね。
ものすごく多い。簡単な問題ではない。
 だから自分の中でも、いろんなもののパラメーターに、いろいろ重さをつけながら道を選択していくしかないのに、ワクチンを打った方がいいのか打たない方がいいのか、6回目打った方がいいのか、打たない方がいいのか、とか、ちょっと簡単に答えは出ない。
 その人がそれまでワクチンを打って、どれくらい反応があったかというのは分からないし、だからものすごくパラメーターが多い中で、自分の中で重みをつけて、自分はどこの知識が足りないんだということを自覚しながら、補強しながら、自分で判断するしかない世の中ですよね。そんなふうに思います。

【江下】
 最後、川上先生がきれいにまとめてくださったというところで、ほぼ30分経過してしまいましたので、そろそろこの研究科フォーラムはこれにて終了ということにさせていただきたいと思います。
 どうか、登壇者の方々に拍手をお願いいたします。
 どうも先生方、ありがとう。ございました。

 シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その1)を読む
 シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その2)を読む
 シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その3)を読む

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