衆院選と台風一過のあと、いろいろ雑感

台風一過。
で、東京には青空が広がって、私はお洗濯です。

今回の選挙、投票率は低かったと報じられましたが、台風と重なったということを考えたら、それほどでもなかったのではないでしょうか。期日前投票は最高を記録したようですし。
ちなみに、私も期日前投票に行ってきました。

で、蓋を開けたら、それは開票前の予測で、ある程度わかっていたことですが、自民がほぼ同数を維持し、希望の党が大苦戦、立憲民主が野党第一党という結果になりました。
この結果については、すでに多くの方が論評されておりますので、あえて私も、論評めいたことは長々書きません。

ただ、かなり早い段階でツイートもしていましたように、希望の党は、本質的な意味での野党ではなく、小池さんははじめから自民と連立するつもりだったと思います。
参議院が自公多数なので、たとえ衆院で圧勝したところで、今回で政権交代になるわけがないのですから、そういう意味では、若狭氏が馬鹿正直に漏らした「次の次」というのは、そのとおりなわけです。

ただ、大勝した希望の党が自民と連立を持ちかければ、連立政権での小池百合子総理誕生は可能だったわけで、しかも、安倍氏と小池氏の新自由主義(格差容認)+改憲(国民の管理強化)という本質的な政治志向は同じなわけですから、小池さんは、ぎりぎりまで都知事という権力の座を保持しつつ、土壇場で風向きを見て、待望論を受けての出馬という形での、その可能性は狙っていたと思います。

だからこそ、民進党リベラル系は排除されなければならなかったわけですね。
とはいえ、そのやり方があまりに露骨かつ傲慢であったがゆえに、逆風にしてしまったわけですが。

そういう意味では、私は希望の党を、本来の意味での野党とはみなしていなかったし、仮に野党であるとしても、その独裁色と秘密主義ゆえに、自民党よりさらに右に位置しうる可能性の高かった小池百合子希望の党による、極右政党+さらなる極右政党による二大政党政治(しかも、中道右派より左は壊滅)なんてものが出現したら、もう日本を逃げるしかないと思っておりましたので、この選挙結果は、そう悪くなかったと思っています。

希望と維新という「自民よりえぐい」ものが席巻するような事態にならず、立憲民主党という、以前の自民党ハト派に近い(国際標準で見れば、中道右派的な)穏健保守政党が誕生し、社民党や共産党との共闘の道筋がきちんとできた、という点で。

そもそも、この選挙は、安倍さんが北朝鮮のミサイルや教育無償化を持ち出した解散であって、モリカケ問題の信任を正面から問う選挙ではなかったわけですから、今後の国会で、立憲民主や社民、共産の議員さん、さらには希望の中の元民進の議員さんが追求を続けていってくださるでしょう。(追求してるのは、もちろん、議員さんだけじゃないですけど)

それにしても、まさか21世紀の日本で、それも投票日前日に、ファシズム VS 民主主義、みたいな光景を見ることになるとは思いませんでした。

新宿駅前の立憲民主党の演説は、雨の中、傘をさす人はおらず、候補者も応援演説の方も聴衆も、皆、濡れながら聞いていました。いわゆるアジテーションではなく、「まっとうな政治を取り戻したい」「民主主義とは、当選した議員に白紙委任することではない」「政治は国民のためにある」
まあ、色んな意味で普通といえば普通のことなんですが、それが新鮮に響くというのは、この国、いまどういう状態なんだ、ということですね。集まっている人たちの問題意識は。いや、これが「左」と言われるのは、相当に外しちゃってるんですよ、中心を。軸が極右によりすぎてるから、「中央やや右」が左に見えてしまってる。

で、一方の秋葉原は、傘と日の丸が乱立し、「反日うんぬん」というプラカードや垂れ幕に、抗議する人は「朝鮮人」と罵倒され、さすがの産経新聞さんも掲載をためらうような光景であったようです。
で、安倍総理は、その光景をごらんになって、「熱気すごかった」とご満悦だったあたり、さすがに、園児に「安倍総理バンザイ」と言わせる幼稚園の教育方針に感動されるだけのことはあります。

この秋葉原の風景をセピア加工したら、まんま、太平洋戦争時の大日本帝国の提灯行列みたいです。

今回、日本共産党は選挙協力に徹して、議席を減らしました。
私はいわゆる日本共産党支持者ではないのですが、それでも、あの戦争時、徹底して戦争反対を貫き、治安維持法下でもっとも弾圧されたのが同党であり、壊滅状態になるほど、たくさんの逮捕者や死者を出されたことぐらいは知っています。

その記憶があるからこそ、いまの気持ち悪い国粋主義や軍靴の音が聞こえてきそうな改憲への動きに危機感を持ち、そのためなら、自らの身を切って、議席を減らしてでも、改憲極右勢力を削ごうとしたのだろう、と思っています。まさに肉を切らせて骨を断つ。
そういう意味では、お見事でした。

ちなみに、この戦時中、やはり激烈に弾圧されたのは、いわゆる新宗教、創価学会です。その記憶から、いまは徹底して権力に擦り寄り、その一部となることで、保身をはかるというのが、いまの創価学会=公明党の立ち位置です。

同じ弾圧体験を受けて、180度違う対応というのは興味深いことですが、イジメを受けたから、それをなくそうとする人もいれば、自分がイジメる側になることでイジメられないようにしようとする人だっているので、歴史的には珍しいことではありません。

ただ、この21世紀のこの日に、提灯行列みたいなものが東京に出現したということ、そして、それに対して、かつて同じく激しく弾圧されたふたつの組織による政党、共産党と公明党が、まさに真逆のアプローチをしているその姿と、そして、その一方で、新宿駅前で繰り広げられた、雨の中の群衆の姿。

これを、目のあたりにしたことに、なんとなく歴史の重要な一シーンに立ち会ったような感慨があったということです。

テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

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