シジフォスの岩

 いや、博多の街にいきなりゴジラが出たのかと思いました。
 こういう陥没、メキシコや中国ならありえそうではありますが、日本の繁華街で起こるとは、驚くばかりです。原因はまだわかりませんが、ここ数年、随所で見られる「日本の劣化」の結果でなければと思います。

 劣化と言えば、電通女性社員過労死事件で強制捜査が入りました。あまり知られていませんが、じつは、労働基準監督官にも逮捕権があります。(実際にはほとんど行使されることはありませんが)
 ここで、派遣法の改悪や、ホワイトカラーエグゼンプションの導入法案の検討などで、もう何をどう取り締まって良いのかわからない状況に置かれつつある労基署の面目躍如となることを期待いたします。

 とはいえ、「数字」では把握できない、取り締まれない問題こそがもっとも本質的な問題であることも否定できません。

 高度経済成長時代の方やバブル世代の方には、残業100時間ぐらいでというお声もあるようですが、「長さ」は問題じゃなのですよね。
 山頂がもうそこに見えていて、あと一頑張りで登頂でき、さらにその山頂に立てば、絶景と至福の到達感が味わえる状態なら、人間、もう一頑張りでも二頑張りでもできるものですし、そのあとも、自分の意志で何度でも山に舞い戻って、時には危険さえも顧みず、過酷な目標に挑むことができるものです。

 その一方で、もっとも残忍な刑罰というのは「シジフォスの岩」です。
 決して報われることのない(仮に報いられていたとしても、それをまったく実感できない)労働をいつ果てるともなく延々とやらなくてはならない。

 達成感のない労働。
 いつ果てるともない労働。
 人間としての尊厳を砕かれるような労働。
 やめることのできない労働。
 これはね。
 精神を病みますよ。

 高度経済成長期やバブル時代にはあちこちに、身近に存在した「山頂」(プチ「山頂」的なものも含めて)や、「絶景や到達感」が、今は存在しないとまでは言いませんが、比較にならないほど少なく、見えにくくなっているし、さらに、仕事を辞めたら「あとがない」ことへの恐怖は、昔と今とでは比較になりませんわな。

 それでも、死ぬぐらいなら、会社辞めたらって思います。
 でも、過労死直前まで追い詰められている人は、自殺は考えても、会社を辞めるとか、労基署に相談するとか、いっそ共産党の相談会に行くとかという選択肢は思い浮かばないみたいです。オブセッションに囚われているのでしょう。

 オブセッションとは、「非合理的な考えに取り憑かれてしまうこと」ですが、本来の意味は、「悪魔や悪霊に取り憑かれること」です。まさに、自己責任とか新自由主義とか「お客様は神様主義」とかいう悪霊に取り憑かれてしまっているといえるでしょう。
 そういう意味では、今回の電通過労死事件、単に電通なり単純労働時間の問題で終わってほしくはないと思います。

 とか言っている一方、いよいよアメリカ大統領選です。
 土壇場でのFBIのヒラリー捜査には、FBIがここまで露骨に大統領選に介入するなんて、なにこの陸山会事件ノリ(それにしても、逆ならともかく、FBIがトランプ押しなの?!)って思いましたけど、おかげで「もしトラ」という言葉まで生まれてしまいました。トランプさんが大統領になって、盛大にアメリカ合衆国を散らしてくれるのを夢見る人もいるようですが、どうなることでしょうね。

 今月もいろいろなことが起こりそうです。
 というわけで、八木の恒例のライブは、11月17日ですが、11月26日には、横浜の朝日カルチャーセンターで「音楽でたどるキューバの歴史」という講演もやります。神奈川大学で行って好評(キューバ大使館文化担当官絶賛)だった内容を、さらにグレードアップして、一般の方向けに講演します(八木の歌はありません)

 なお、東京在住の方には、12月18日にも、新宿で、キューバ音楽と歴史のレクチャーを予定しています。

11月17日(木) 六本木 ノチェーロ
(東京都港区六本木6-7-9 川本ビルB1) お問い合わせ/03-3401-6801
1st 19:30 2nd 20:45 3rd 22:00(入れ替えなし) Charge:2,600円(おつまみ一品付)
アクセス/日比谷線・大江戸線六本木駅より徒歩2分
六本木駅至近の最高の立地の音響の良いステージで、美しい歌曲の数々をじっくりお聴き頂きます! 今月は木曜日ですので、お間違いなく!!
ギター福島久雄さん。
ネット予約

11月26日(土) 八木啓代レクチャー 音楽でたどるキューバの歴史
朝日カルチャーセンター横浜

(横浜市西区高島2-16-1 ルミネ横浜8F) お申し込み・お問い合わせ / 045-453-1122
13:30~15:00  料金 一般¥3672円・会員¥3024円
昨年、米国との国交回復で注目を集めるカリブの島国キューバは、マンボ、ルンバ、チャチャチャなど、「ラテン音楽」発祥の地でもあります。  そして、歌は世に連れ、世は歌に連れるもの。キューバ音楽の歴史を、キューバの世相からたどると、じつは、その面白さも倍増します。
 キューバ音楽の魅力を存分に知っていただくとともに、1980年代からキューバ渡航数十回、キューバの第一線の音楽家たちとの交流も深い八木秘蔵の、歴史的な動画や音楽もぜひご試聴ください。(※八木の歌はありません。12月には東京・新宿でも開催します)
ネット予約




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PANDORA

Author:PANDORA
ラテンアメリカと日本を拠点に活動する音楽家・作家 八木啓代のBlog
公式サイト http://nobuyoyagi.com

★CD情報
新作CD”Lagrimas”試聴やご購入はこちらから

★新刊情報
禁じられた歌ービクトル・ハラはなぜ死んだか(Kindle版)
長らく絶版状態だった書籍をリクエストにより電子書籍で再版いたしました。八木啓代の原点です。
検察崩壊 失われた正義(毎日新聞社)
5刷。この一冊が検察にトドメを刺すことになるかもしれません
リアルタイムメディアが動かす社会(東京書籍)
超濃ゆいメンバーによる講義録!
ラテンに学ぶ幸せな生き方(講談社)
なぜラテン人は自殺しないの?に応えて3刷!好評発売中!
キューバ音楽(青土社)
ラテン音楽ファン必読!キューバ音楽のすべてが理論も歴史もわかります。浜田滋郎氏激賞
貧乏だけど贅沢(文春文庫)
沢木耕太郎氏との対談収録
ハシズム!(第三書館)
共著で橋下大阪市長を解剖します。

★ライブ情報
1月22日(日) 横浜・ピロカフェ
Vo. 八木啓代 G. 福島久雄
1月26日(木) 六本木・Nochero
Vo. 八木啓代 G. 福島久雄

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