カンボジア日記3



さて、外務官僚事件も終わったようなので、カンボジア旅行日記に戻りましょう。
だいぶ間が空きましたが、遺跡探訪2日目。
この日は、早起きして、自転車でアンコールワットとアンコールトムへ、

もともとホテルはシェムリアップの街の外。街から3kmほど離れているかわりに、遺跡にも3kmぶん近いというわけで。

とはいえ、最初はバイクタクシーかトゥクトゥク(後ろに荷車状の二人乗りの座席をつけたバイクタクシー)を雇うつもりだったのが、昨日のオーストラリアとカナダのおねえさんたちから、
「私たち、レンタサイクルで行ったわよ。その方が遺跡の中走り回るのに便利だし」
とか言われてその気になっちゃったんだよ。

今日は腕にもちゃんと日焼け止めを塗り(笑)、自転車をちゃっちゃと漕いで、まず、バイヨンへ。
アンコールトムといわれているのは、バイヨン、象のテラス、ライ王のテラス、王宮などのいくつかの遺跡の総称なのです。
昨日の遺跡群もそうだったのですが、これらの寺院は、現在も信仰の場であり、オレンジ色の袈裟を着たお坊さんたちがおいでになったりしますが、そのお坊さんたちの主な交通手段も自転車のようです。

バイヨンの入口で「象に乗って観光11ドル」とかいう看板をちょっと横目に、バイヨン寺院へ。
いや。これが。観音菩薩が。
2mほどもある人面像がいったいいくつあるのでしょうか。
数十の塔に刻まれたたぶん百以上の観音菩薩の顔が、コバルトブルーの空を切り取っていたのです。

バイヨンから象のテラス、ライ王のテラスの瀟洒な彫刻をめぐって鑑賞し、それからアンコールワットに。

アンコールワットはそれ自体の中で迷子になりそうな巨大な建築物です。というか、迷子になりました。(爆)。しかも、でかいから一辺の距離があるし、気候は暑いから、迷子になるともう大変です。(大爆)
しかし、たくさん歩くと無駄に体力を使うというだけでもなくて、歩けば歩いただけの小さな発見があるのが、古代遺跡のよいところです。疲れたら、そのへんに腰掛けて休めばよいのだし。
どうせ一人旅ですから、自分が迷子になって、誰かに迷惑をかけるということもありません。
回廊の端に腰掛けて、内部壁面の彫刻を眺めていると、物語が霞のように立ち上ってくるような感じが致します。遺跡は死んではいないのです。

遅い昼にアンコールワットを出て、敷地内の屋台村みたいなところの屋台でカンボジア風野菜焼き飯を食べます。なぜかキャベツの千切りが入っていたりするんだけど、おいしいんだなあ。そうか、焼き飯にキャベツの千切りか。味付けはナンプラーとハーブね。

ところでいつも思うんですが、正しい炒飯ってのは飯粒がパラッとしている、ということになっていますが、あれって、単に炒飯系料理発祥の地である中国や東南アジアの米が長粒種で、はじめからパラッとしているからこういう料理が発達しただけじゃないのですかね。
その証拠に、短粒種中心の日本で発達したのは、炊き込みご飯とか寿司といった、粘りのある米ならではの料理です。
炒飯というのは、長粒種の米で作ることをそもそもの前提とした料理なのだから、日本のねばねばした単粒種の米を「いろんな裏技で」パラッと仕上げるというのは、一時の米不足の時に、タイ米をむりやり日本風ご飯としてに食べようとして不味いと抜かしたり、その挙げ句に、「少しでも日本米の風味に近づけるための」わけのわからない「裏技」をいろいろTVでやっていたのと同じぐらい、米の本来の性格と美味しさを無視した、たいへん不自然な食べ方である感じもいたします。てか、いろいろ苦労するぐらいなら、長粒種の米で作っちゃえば、あっさり問題解決するわけで。
もちろん、「いや短粒種の米を、天才的な技でパラッと仕上げた炒飯こそが旨いんだ」って方もいらっしゃるでしょうが。

まあ、それはおいておきまして。
遅いお昼を食べて、またチャリンコ漕いで宿に戻って、汗ぴっしょりの体を水シャワーで冷ましておりますと、ちょうどスコールです。
少しお昼寝して、プールに浸かり(ひゃ~、贅沢癖ついちゃったよ)、揺り椅子に座って読書。アンリ・ムオーのカンボジア旅行記。
この人は、19世紀のフランスの博物学者で「アンコールワットを発見した人」として知られており、またそれゆえに「べつに彼がアンコールワットを発見したわけではない」(アンコールワットは彼が「発見」する前から存在した。地元の人はとっくに知っていた等)の批判も浴びている人。

しかし原典(といっても邦訳だけど)を読む限りでは、ムオーは自分がアンコールワットを発見したとは一言も書いてはいない。どころか、はっきり「地元の人の話」や「先着のカトリックの司祭の話」を聞いて興味を持って出かけた、というニュアンスである。そして、その規模が創造していたより大きかったことで、「こりゃギリシアやローマの古代建築に匹敵するか、それ以上。これは凄い」と感じる。
そして、彼は発見自慢どころか、その旅の終わりに熱病に罹って死んでしまっているのである。つまり日記は途切れているのだ。
いや、なんでも噂じゃなくて、原典に当たらないと駄目ですね。
彼はアンコールワットを発見したのではなくて、当時まだ密林に半ば埋もれていたアンコールワットが「ギリシアやローマの古代建築に匹敵するか、それ以上」という評価を最初に欧米人に向けて発信した人だったというわけです。

もちろん、このムオーの日記は、全体としてみると、19世紀欧米人特有のアジア人蔑視感が色濃くある(ので、そこのところは、タイやカンボジアの人が読めば十分不愉快になるでしょうが)とはいえ、当時の「冒険家」の旅が偲ばれて、それはそれで読み応えがあります。ただし、肝心のアンコールワットの記述は全体のなかのわずかで、大半はタイ紀行(というより、タイの王族や役人への愚痴とぼやき)になっています。

で、本日の晩ご飯はクメール料理。
昨日、ホテルのお兄ちゃんがおすすめの「牛肉とピーナツの炒め物」がえらいおいしかったので、今日もホテルのレストランで食べることにする。

凝った料理は早めにオーダーしておいてくださいね、ということだったので、夕方から希望を伝えておいた、カンボジアの代表料理アモック。雷魚のココナッツミルク蒸し煮。
バナナの葉で小さい船型のお皿を作って、そこに魚の切り身とスパイス・ハーブ・ココナッツミルクを流して蒸し煮にしてあります。いやーこれおいしいわ。白身の魚とココナッツミルクの甘みとスパイスがもう絶妙です。
今年食べた旨い料理のベスト5に確実に入るでしょう。「いままで外国で食べた旨い料理ベスト10」にも入るかも。

日本で作るとしたら、バナナの葉のかわりにクッキングシートを切って夫目を作るか、あ、マフィン用の紙カップでもいいかも(雰囲気は出ないけど)とか、すぐ考えてしまうワタクシなのでした。

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