Kindle本を出してみました:すべての原点がここにあります
Kindle本を出してみました。
といっても、例の「検察崩壊」はすでに、毎日新聞社からKindle版で出ているのですが、そっちではなく、自分で出版するDirect Publishingというやつです。

じつは、私がかなり前に書いた本で、「禁じられた歌」というビクトル・ハラについて書いたドキュメンタリーがあります。ビクトル・ハラというのは、1973年に亡くなったチリの音楽家ですが、ただ亡くなったのではなく、9月11日の軍事クーデターの時に逮捕され、臨時拘置所となった国立スタジアムに収容されたのち、虐殺されたのです。
一説には、彼は、他の収容者を励ますためにギターをとって歌おうとして、軍人にギターを取り上げられ、それでも手拍子で歌い続けようとしたために、腕を叩き折られ、さらに撃ち殺されたということになっており、そのおそるべき死に様が語られることによって、チリの軍事クーデターの最大の汚点(というより本質)として、また、その後のチリの反軍政運動のシンボルとなった人物です。
といっても、誤解を招きたくないのですが、そういう経緯を知らなければ、そのような激しい死に方をするようなことになるとはとても思われないほどに、彼の歌声はとても優しいもので、また、歌曲は、美しいメロディに満ちあふれています。音楽的な水準も高いものです。
私は中学生のころ、たまたまビクトルの歌を聴いてすごく好きになったのですが、そのころはそんな壮絶なストーリーは知らず、かなり後になってそれを知って驚いた記憶があります。その後、私が、メキシコでスペイン語を学び、また音楽方面に進むようになったのは、べつにそれが直接のきっかけではないのですが、まったく関係がないとも言いきれないでしょう。
で、この本は、当時、図書館協会選定図書にもなり、重版もされたのですが、なんといってもそれからだいぶ年月が経ったこともあって、事実上の絶版状態になっていました。Amazonの中古でコレクター価格が4000円以上というのは、希少性を考えると当然かもしれませんが、どうも、私としても釈然としません。
むしろ、ビクトルを殺して成立したチリの軍事政権で徹底した新自由主義経済が推しすすめられたことで何が起こったかを知っているだけに、TPPを前にした今の時代に読んでもらいたい本でもあると思いました。
一方で、このビクトル・ハラの作品から、ソウルフラワー・ユニオンの中川敬さんが、「平和に生きる権利」を日本語訳して、バンドでもソロでも録音しておられます。(そのきっかけが、この拙著であったこともあとで知りました)。この「平和に生きる権利」が、いままた、反原発のテーマの一曲として、大熊ワタルさんたちの手で反原発デモなどの中で演奏され、歌われ、新たに録音もされました。
さらに、昨年12月、チリで、ビクトル・ハラを殺害した兵士がついに特定されて逮捕され、法の裁きをうけるという報道もされました。
http://www.bbc.co.uk/news/world-latin-america-20861432
40年の時を超え、ビクトルの名前を耳にする機会が増えるとともに、私も、自分の原点であるあの本を、もう一度、多くの人に読んでもらいたいと思ったのです。
といいますか、最近、「なんでラテン歌手の八木さんが、検察にああまで堂々と喧嘩を売ってこわくないのか?」という素朴な疑問を投げかけられることが多いのですが、実をいうと、その答えは、この本にあると言っても過言ではないからです。
当時、20年前に、20代のわたしは、ビクトル・ハラという音楽家のことを知りたいと思い立ったというだけの理由で、キューバやメキシコの音楽家の口を割らせ、亡命者を捜し出し、軍政下に極秘の手紙を送り、あげくに、民主化直後のチリに乗り込んでいって、銃撃されそうになったり、刑務所に潜入したりしている。(そして、実際に、私のインタビューを受けた後で、殺害された人も2人います)
それと比べれば、日本の検察なんて、おそろしいうちにははいらないじゃございませんか。
で、さっそく、出版社と表紙デザイナーの方に許諾を得て、Direct Publishingを利用することにしました。
Kindle本の作り方は、htmlの知識がある程度あると、じつはそう難しくはなくて、ネットを検索すると、縦書きの作り方が簡単に出てきました。
要するに、青空文庫の本をKindle化するやり方です。
http://netbuffalo.doorblog.jp/archives/4241501.html
あとは、Kindle Previewerをダウンロードして、確認しながら作っていくだけです。
スタイルシートは、外部ファイルにまとめ、改ページは、<mbp:pagebreak/>という特殊タグになりますが、あとはだいたい、ガイドラインを見ていれば作れます。
画像などは別にスキャンして、htmlに入れ込み、最後にzipファイルにまとめます。
あとは、「Kindle ダイレクト・パブリッシング (KDP) へようこそ」 というページの指示通りにやっていくだけで、登録できてしまいます。
それでできたのが、これ。
本体定価2300円で、Kindle価格880円ですから、62%オフでたいへんお得です。
40年前のチリの教訓を無にしないためにも、そして、反原発デモで演奏されているあの曲に心惹かれるあなたにも、あるいは、八木がなぜ、検察にメン切って笑っていられるのか知りたい方も、ぜひ、お手にとって見てください。(っても、電子版ですので、正確には手に取れませんけど)
【平和に生きる権利】ビクトル・ハラ バージョン
【平和に生きる権利】ソウル・フラワー・ユニオン バージョン
【平和に生きる権利】 ジンタらムータ with リクルマイ バージョン
といっても、例の「検察崩壊」はすでに、毎日新聞社からKindle版で出ているのですが、そっちではなく、自分で出版するDirect Publishingというやつです。

じつは、私がかなり前に書いた本で、「禁じられた歌」というビクトル・ハラについて書いたドキュメンタリーがあります。ビクトル・ハラというのは、1973年に亡くなったチリの音楽家ですが、ただ亡くなったのではなく、9月11日の軍事クーデターの時に逮捕され、臨時拘置所となった国立スタジアムに収容されたのち、虐殺されたのです。
一説には、彼は、他の収容者を励ますためにギターをとって歌おうとして、軍人にギターを取り上げられ、それでも手拍子で歌い続けようとしたために、腕を叩き折られ、さらに撃ち殺されたということになっており、そのおそるべき死に様が語られることによって、チリの軍事クーデターの最大の汚点(というより本質)として、また、その後のチリの反軍政運動のシンボルとなった人物です。
といっても、誤解を招きたくないのですが、そういう経緯を知らなければ、そのような激しい死に方をするようなことになるとはとても思われないほどに、彼の歌声はとても優しいもので、また、歌曲は、美しいメロディに満ちあふれています。音楽的な水準も高いものです。
私は中学生のころ、たまたまビクトルの歌を聴いてすごく好きになったのですが、そのころはそんな壮絶なストーリーは知らず、かなり後になってそれを知って驚いた記憶があります。その後、私が、メキシコでスペイン語を学び、また音楽方面に進むようになったのは、べつにそれが直接のきっかけではないのですが、まったく関係がないとも言いきれないでしょう。
で、この本は、当時、図書館協会選定図書にもなり、重版もされたのですが、なんといってもそれからだいぶ年月が経ったこともあって、事実上の絶版状態になっていました。Amazonの中古でコレクター価格が4000円以上というのは、希少性を考えると当然かもしれませんが、どうも、私としても釈然としません。
むしろ、ビクトルを殺して成立したチリの軍事政権で徹底した新自由主義経済が推しすすめられたことで何が起こったかを知っているだけに、TPPを前にした今の時代に読んでもらいたい本でもあると思いました。
一方で、このビクトル・ハラの作品から、ソウルフラワー・ユニオンの中川敬さんが、「平和に生きる権利」を日本語訳して、バンドでもソロでも録音しておられます。(そのきっかけが、この拙著であったこともあとで知りました)。この「平和に生きる権利」が、いままた、反原発のテーマの一曲として、大熊ワタルさんたちの手で反原発デモなどの中で演奏され、歌われ、新たに録音もされました。
さらに、昨年12月、チリで、ビクトル・ハラを殺害した兵士がついに特定されて逮捕され、法の裁きをうけるという報道もされました。
http://www.bbc.co.uk/news/world-latin-america-20861432
40年の時を超え、ビクトルの名前を耳にする機会が増えるとともに、私も、自分の原点であるあの本を、もう一度、多くの人に読んでもらいたいと思ったのです。
といいますか、最近、「なんでラテン歌手の八木さんが、検察にああまで堂々と喧嘩を売ってこわくないのか?」という素朴な疑問を投げかけられることが多いのですが、実をいうと、その答えは、この本にあると言っても過言ではないからです。
当時、20年前に、20代のわたしは、ビクトル・ハラという音楽家のことを知りたいと思い立ったというだけの理由で、キューバやメキシコの音楽家の口を割らせ、亡命者を捜し出し、軍政下に極秘の手紙を送り、あげくに、民主化直後のチリに乗り込んでいって、銃撃されそうになったり、刑務所に潜入したりしている。(そして、実際に、私のインタビューを受けた後で、殺害された人も2人います)
それと比べれば、日本の検察なんて、おそろしいうちにははいらないじゃございませんか。
で、さっそく、出版社と表紙デザイナーの方に許諾を得て、Direct Publishingを利用することにしました。
Kindle本の作り方は、htmlの知識がある程度あると、じつはそう難しくはなくて、ネットを検索すると、縦書きの作り方が簡単に出てきました。
要するに、青空文庫の本をKindle化するやり方です。
http://netbuffalo.doorblog.jp/archives/4241501.html
あとは、Kindle Previewerをダウンロードして、確認しながら作っていくだけです。
スタイルシートは、外部ファイルにまとめ、改ページは、<mbp:pagebreak/>という特殊タグになりますが、あとはだいたい、ガイドラインを見ていれば作れます。
画像などは別にスキャンして、htmlに入れ込み、最後にzipファイルにまとめます。
あとは、「Kindle ダイレクト・パブリッシング (KDP) へようこそ」 というページの指示通りにやっていくだけで、登録できてしまいます。
それでできたのが、これ。
本体定価2300円で、Kindle価格880円ですから、62%オフでたいへんお得です。
40年前のチリの教訓を無にしないためにも、そして、反原発デモで演奏されているあの曲に心惹かれるあなたにも、あるいは、八木がなぜ、検察にメン切って笑っていられるのか知りたい方も、ぜひ、お手にとって見てください。(っても、電子版ですので、正確には手に取れませんけど)
【平和に生きる権利】ビクトル・ハラ バージョン
【平和に生きる権利】ソウル・フラワー・ユニオン バージョン
【平和に生きる権利】 ジンタらムータ with リクルマイ バージョン
テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済
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ラテン大丈夫でしょうか
検察問題への八木さんのご対応に、強く感銘を受けています。
ところで、後掲サイトにて、メキシコなど、非常に危険な状態であると知りました。
ラテン諸国でも活動されておられる事で心配しています。
大丈夫なんでしょうか?
http://www.bllackz.com/2010/10/20.html
ところで、後掲サイトにて、メキシコなど、非常に危険な状態であると知りました。
ラテン諸国でも活動されておられる事で心配しています。
大丈夫なんでしょうか?
http://www.bllackz.com/2010/10/20.html
メキシコの治安
ええ、確かにこのところ、とんでもなく悪化しております。テレビやラジオに出ている分にはいいですが、私も地方巡業はほとんど仕事になりません。
ご参考までに、このビデオなどもどうぞ。(私もちょっと協力してます)
http://youtu.be/L7glr6Frdz8
ご参考までに、このビデオなどもどうぞ。(私もちょっと協力してます)
http://youtu.be/L7glr6Frdz8