語るに落ちた最高検:報告書の説明がイタすぎますが

ブログをお読みの皆さんだけではなく、各メディアの皆様まで、うちの会が検察審査会に申し立てをいつするのか、期待満々で待っておられるようです。
読売新聞に至っては、うちの会から公開してない日程まで報道してくださっているぐらいですので、その期待度たるや、たいへんなものです。

他人の不幸は蜜の味と言いますが、みなさん、検察が痛めつけられるところをそんなにご覧になりたいのでしょうか。

ところで、当会の先日の告発、6日付けで受理されました。国民の皆さんの怒りを反映して、137通の告発状が集まりました。
で、今回の告発もスピード受理です。その日のうちでなかったのは、数が多すぎたために当会のチェックが行き届かず、一部の告発状に日付漏れなどの不備があったため。当会副会長が、金曜に最高検刑事事務課で修正に出向き、即日受理されました。
また、この検事総長告発は、朝日も産経も報道してくださっています。

(ツイッター等で、メディアが一切報道していないなどというツイートを拡散されておりまして、不信は判りますが、確認もせず報道しないと決めつけるのは、ただのデマです。ネットデマの拡散はやめましょうね。)

とはいえ、あの方たちにしてみれば、今回は、べつにデモがあるわけでもなし、検察庁の看板にペンキかけられたりするわけでもないので、別に大したことではないと思っていらっしゃると思います。でなけりゃ、田代検事に「不起訴+処分は減給のみ」はないですよね。
国民も舐められたものですが、ここまで舐められ、こういう連中をのさばらしちまったあたくしたちにも責任はあると思いましょ。ブログのコメント欄でぶーたれているだけじゃ、検察は痛くもかゆくもないんですからね。

しかも、なんたって、検察は、すでに、検審は誘導できるってことを覚えちゃったんです。しかも、偽書類作ったって、その証拠をバラされたって「うっかりしてて悪気無かった」で不起訴にできちゃうんです。

そういう方たちですから、検審でも、誘導しまくり放題だと思っていらっしゃると考えるのが妥当だと思います。
というわけで、当会がちゃっちゃと申立書を出さないのは、その手に引っかかってたまるかいと思っているからでして、ただいま、当会のイケメンで優秀な法曹チームの方たちが、綿密な協議をなさっています。

で、その最高検の調査報告書ですが、田代検事に不適切な発言があったことは、最高検の報告書でも明確に認めているんですよね。

それは、
1.供述を維持するように繰り返し推奨し、
2.供述を変えれば再逮捕することを示唆し、
3.それでも石川氏が、供述の変更を求めていたのに、その主張を無視した供述調書を作った
4.その後、上司の指示で報告書を作った
と4段階ですね。

でも、これを認めてしまっている以上、すなわち、1や2が行われても、なおかつ、石川氏が供述の変更を主張したのに、それを黙殺して供述を維持させた時点で供述調書は虚偽ですし(だから裁判でも証拠却下されたわけですし)、それと同じ要旨の報告書の内容の虚偽性は明らかだと思います。
で、このことも最高検では認めちゃってると。

ところが、最高検報告書では、石川反訳書で、田代検事が何度も席を立って上司に報告している形跡があるにもかかわらず、上司が「不適正な取り調べの指示をしたと認められない」としています。

つまり、最高検調査報告によると、上司が「不適正な取り調べの指示をしていない」以上、田代が独断で不適切な取り調べ(脅迫に近い行為)をやり、かつ上司に対しても、事実と異なる報告をしていた
ということになります。

なのに、不起訴、というのは、つまり、田代検事が不適切な取調をやったことが減給に当たるわけで、偽報告書を作った部分は、「記憶の混同」を丸呑みして、一切、おとがめはなかったということですね。

つまり、被疑者を脅して事実と異なる供述調書に署名させたことは、「不適切だけど、しょせん減給程度」という軽いことでしかないというわけですが、ここで注目なのは、人事判断は、法務大臣だということです。
最高検も記者会見で、「(人事)判断は任命権者(=法務大臣)にある」と責任転嫁しちゃっていますからね。

つまり、滝法務大臣は、「検察官が、被疑者を脅して事実と異なる供述調書に署名させたことは、しょせん減給程度」と判断されたということです。法務省の役人にたらし込まれて、歴史に汚名を残しましたね。みなさん、ぜひ、このことを大臣に教えて差し上げてください。

そして次のポイントです。

すべては田代検事の記憶の混同なんですね。記憶の混同は故意じゃないから罪にならない、と。
だとしたら、田代検事の「記憶の混同」はいつ起こったのか です。

最高検報告書では、取調べ中にメモを取っておらず、その後、上司に報告書を作成を命じられたので、不確かな記憶を頼りに作った、ということになっています。

100歩譲ってこれを認めるとしたら、「田代検事は、不適正な取調べを独断で行い、石川議員を脅迫してまで、石川議員が変更を主張していた供述を維持させた」わけですが、その記憶がほとんど全部飛んでいたということになります。

すなわち、供述調書で書いた「最高検ですら不適切と認めた取調べ」すら、田代検事は記憶していなかったことになる。つまり、田代検事の記憶は完全にすり替わっていたことになる。

心理学的には、トラウマになるような記憶が別の記憶とすり替わるということは、ありえないことではないのですが、そうだとすると、田代検事には、本当に、「不適切な取調べ」の記憶そのものが消えていなくてはおかしいことになります。

(佐賀農協事件における、市川寛さん状態です。もっともさすがの市川さんも、「不適切な取調べをした」細部の記憶が部分的に飛んでいるだけで、「不適切な取調べをしたこと自体」をまったくまるまる覚えていないということはないわけですが)

だとすれば、最高検の判定は、それ自体が矛盾していることになります。
つまり、田代検事の記憶のすり替えが起こっていて、本当に自分は「不適切な取調べ」をしたことをまったく覚えていなかったなら、最高検の調査でも、彼の主張は一貫しているはずです。

つまり、最高検ですら認めている「不適切な取調べの存在」を説明するものは、まさに録音でしかなく、その時点で、田代検事の言っていることは、(故意に嘘をついているか、記憶のすり替えによって本当に覚えていないのか、は別として)、どう考えても、事実に反することになります。だから最高検も、報告書に虚偽性があることまでは認めているのですよね。

しかも、田代検事は、上司の指示を受けたわけではなく、独断で(つまり自分の意志で)その「不適切な取調べ」をやったのですから、最高検が「不適切な取調べ」を認めたこと自体で、論理的に、田代検事の報告書の虚偽性は明らか。つまり、虚偽有印公文書作成及び行使罪自体は成立し、ただ、記憶の混同だから、心神耗弱ということで故意性はなかったとしての不起訴があり得るということですね。

次に、もし、心理的外傷などの要因で、田代検事が「上司の指示を受けたわけでもなく、自分の独断で不適切な取調べ」の5時間の内容を忘れ、記憶を都合良く改竄してしまっていたとします。
その場合、彼は当然、不適切なことを言ったこと自体記憶していないわけです。

そこに、上司から、報告書を書けと言われて、書いたということはあり得なくはありません。
しかし、あの報告書には、どこにも、「不適切な取調べ」の片鱗も出てこない。石川氏は自分の意志で、供述を維持しています。そのことが、彼に「不適切な取調の記憶がなかった」ことを裏付けます。

しかし、田代が真に記憶の混同が起きていて、故意ではなく、あの報告書を書いたのであれば、「しかし実際に起こっていて、裁判でも認められ、録音も残っている事実」との全面的な違いに、最高検のチームは、田代の精神鑑定なり心理分析を依頼しなくてはおかしいことになりますし、そのような状態の検事を、不起訴にするというなら、根拠は「心神耗弱」のために故意性はなかったというしかないですから、それで、減給処分というのはもっとおかしい。
減給処分というのは、検察官としての職務を務め続けられるということを前提にしているからです。

事件の後も、田代検事は新潟地検で職務を続けていたわけですから、客観的には、この2年にわたって、田代検事は、異常な健忘などの症状で職務に支障をきたし、精神科に通院していた事実はなかったと認められます。
だとすれば、これまた、矛盾です。
なぜなら、不適切で異常な取調べを、田代検事が自分の意志で、独断でやったものであるのに、それを全部忘れ、まったく別の記憶に改竄しているとしたら、それは明らかに異常な状態だからです。
すでにこの件では、大阪のイケてる市民団体に、検察官適格審査会にかけられていますが、まさにそのとおりですよね。

(もっとも、この件、法務省は「捜査中の案件は検適にはかけられない」と審査会の議員を騙して審査にかけさせず、かつ、田代を辞職させることでうやむやにしちゃったみたいです。検適は法務省から独立させなければ、なんの意味もないということが明らかになりましたね)

で、本来なら、最高検は、こんなとんでもないことが明らかになったら、これほどの異常な検事が扱った今までのすべての事件を、再調査し、彼の精神疾患がいつから始まったのかを調査しなくてはならないはずですね。

にもかかわらず、検事として軽い処分でかまわないとする最高検と法務省、さらに法務大臣は、そういう異常な検事が「普通に存在していて、それはめずらしいことではない」ことを認めたようなものだからです。

こりゃたいへん。やはり日本の司法は狂っていますね。

とはいえ、田代さんは、裁判の時に、「録音されていると判っていたら、あんな取調べはしなかった」と語っていますね。あれれ、それって記憶あるんじゃないですか。どうしてなのかなあ?(大爆)

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管理者へ。
魚の目 に指揮権発動について小川前法相に聞いて見たの記事をそのまま引用しましたので長く成りました。八木さんへのコメントとして出して良いのかわかりません。

日本の法務官僚は日本の民主主義を完全に無視して勝手な事をしている。彼らの意向に反する法相ならば首相への官邸工作でその法相を簡単に罷免させる。指揮権を発動する意向であった小川元法相とのインタビューを読んだが恐るべき実態です。下記引用します。

魚の目:魚住 昭 責任総編集 ウェブマガジン

指揮権発動について小川前法相に聞いてみた (Author: 魚住
昭)
http://uonome.jp/read/2578

 法相を更迭された小川敏夫参院議員に会いに行った。小川さんは裁判官を3年、検察官を5年勤めて弁護士に転じ、政界入りした異色の経歴の持ち主だ。 彼は6月4日の退任会見で虚偽捜査報告書問題を巡って指揮権発動を決意していたことを打ち明け、世間を驚かせた。 新聞各紙は小川発言を「見識を欠く」と批判したが、私はそうは思わない。彼は法相としての職務に忠実だっただけだ。問題はなぜ指揮権を発動できなかったのか、その理由にある。 参院議員会館で私は訊ねた。「ずっと不思議に思ってたんですよ。新聞報道では5月中に田代政弘検事を不起訴にし、懲戒処分で幕引き―のはずでしたね。だけど6月に入っても処分の発表がない。なぜだろうって」 すると小川さん
は言った。「僕が止めていたからです。法務官僚は田代検事の不起訴と人事処分をセットで行おうと考えていた。不起訴は検察が決めるけど、人事処分は法相がOKしなければできませんからね」 小川さんは今年1月に法相就任以来、虚偽報告書問題に「重大な関心を持っている。国民の納得が得られる対応を」と法務官僚に再三伝えてきたという。「はい、わかりました」と官僚は言った。だが、最終的に上がってきたのは「『記憶の混同で事実と違う報告書を書いた』という田代検事の弁明をどうしても打ち破れません。他に証拠がないので、虚偽有印公文書作成・同行使罪で起訴するのは無理です」という報告だった。「結局、やる気がないということでしょう。だって報告書の主要部の大半が事
実と違うんですよ。記憶の混同では到底説明できない。理を尽くして田代検事を説得し、上司も責任をとる姿勢を見せれば、そんな結論にはならないはず」と小川さん。 法務官僚が用意した処分案は田代検事を停職にして退官させ、上司たちを注意処分に止める。これなら田代検事は弁護士に転進でき、上司らも辞めないで済む。組織のダメージも最小限に抑えられるというわけだ。 やがて新聞が懲戒処分のリーク情報を流し始めた。これに対し小川さんは5月11日に官邸を訪ね、指揮権発動の意向を首相に伝える。ちょうどそのころから不可解なことが起きた。「私が土地取引の不祥事に絡んで6月にも告発されるという事実無根の噂が広がった。あまりにあちこち情報が流れるから民主党の方でも
心配して『大丈夫か』と私に聞いてきたほど。こんな大がかりな情報操作は個人ではできないと思いますよ」 小川さんは腹を括った。6月5日に野田首相と面会する約束を取り付け、そこで指揮権発動の了解を得る。仮に首相が拒んでも法相の権限で虚偽報告書問題の徹底糾明を指示する―。 だが、首相との面会前日に小川さんは突然更迭された。私が漏れ聞いた話では、法務官僚の官邸工作があったらしい。「推測になるからそれについては何とも言えないが、私は更迭されるようなことをした覚えはない。検察は国家の背骨。真っ直ぐでないと日本はおかしくなるという思いで指揮権発動を決意したんですが、官僚に完全にコケにされてしまいましたね」 小川さんはインタビューの最後に「実は
私の前任の平岡秀夫さんも…」と言い出した。死刑廃止論者の平岡法相更迭の裏にも法務官僚の仕掛けがあった疑いが強いというのである。 平岡さんは死刑制度の存廃を問う審議会を設け、委員の人選を自ら行おうとした。そこで死刑廃止の答申が出れば、法案化へと進む。それを阻止するため官僚が画策し、1月の内閣改造で平岡さんを辞めさせた。「確証はないが、私の場合と同じだと思う」と小川さんは言った。 それが事実なら野田内閣の法相は二代連続で官僚の手玉にとられたことになる。3代目の滝実さんは虚偽報告書問題で官僚と手を握るのか。それとも闘うのか。私は祈るような気持ちで彼の去就を見守っている。(了)(編集者注。この原稿は先週発売の週刊現代「ジャーナリストの目
」の再録です)
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