シンポジウム「検察・世論・冤罪Ⅲ」 爆弾証言:補助弁護士の深い闇

 間が空きましたが、山下幸夫弁護士の出番です。

 さて、このイベントの一週間前の小沢氏公判で12月15日に田代検事の虚偽報告書問題が明るみになり、16日に前田元検事の爆弾証言が出たために、検察審査会問題がふたたび台風の目となってきたとはいえ、むろん、これは結果論です。
 このシンポジウムを企画した段階で、これが予測されていたわけではありません。

 では、いったいなぜ、この12月22日という年末の時期に、シンポジウム第三弾を企画したのか。
 .....それは、まさに、この山下先生に「話していただく」ためでした。
 ※そもそも、このシンポジウムの開催自体、山下弁護士の「強力な売り込み」によるものでした。 

 この日、岩上安身さんのIWJが中継録画してくださっていますので、山下氏の証言が、間違いなく記録に残っているのは喜ばしいことです。下のUstream動画の43分あたりから、この衝撃の証言がはじまります。

 そのあと、私が個人的な事情で時間を取られたのと、引き続き、年明けに皆様ご存じの田代検事と特捜に対する被疑者不詳の告発状を出すことになったので、それで忙殺され、この重要な証言をすみやかにブログに書くことができなかった点、本当に皆様にはお詫び申し上げます。

 で、その、山下弁護士の衝撃的なお話です。

「私は検察審査会法が改正される、その施行前から、日弁連(日本弁護士連合会)の中で、ワーキンググループを作り、その中心的なメンバーの一人として、法改正について色々検討したり、弁護士会としてどう対応していくのか、検討しておりました」

 なんと、山下さんは、最高検のアドバイザーでもあっただけではなく、そちらでも重要人物だったわけですね。この方、ゼネコン事件の時に特別公務員暴行陵虐罪で逮捕された金沢検事の弁護人だったりと、ほんとに、検察問題のヒッチコックみたいな方です。

「なぜ、この法律が改正されたか。それまでは、検察審査会が起訴相当と言ったところで、そこに強制力はなかった。金沢県警の盗聴事件などいくつか大きな事件はあったが、検察が不起訴と決めたら、どうしようもなかった。それが、今回の大きな司法改革の中で改正されたわけですが、それがなぜかというと、実はよくわからないのです」

 当時の資料を見ても、なぜ、この強制起訴制度が提案され、改正されたのかが、経緯がよくわからない。弁護士会が求めたわけではないのです。私も勉強して初めて知った。どうしてこんな改正ができたのか。

 表向きは公訴権の行使について、健全な市民の感覚を反映させるという理由があって、それは立派だが、なぜ、その改正が簡単にできたかがわからない。表に出ることはほとんどなく、裁判所でも国会でもほとんど議論されることなく、法務省の法制審議会も通さず、通ってしまった。

 この強制起訴制度と、補助弁護士、つまり、審査会が求めれば、審査補助員の弁護士を、弁護士会からとは書いていないんですが、一人選ぶということが、法律を施行する前の段階で、弁護士会と最高裁、法務省で議論をして、日弁連が各弁護士会(東京の場合は三つの弁護士会)にに推薦依頼をしたら、推薦依頼を受けた弁護士会が適任の人を推薦するという運用をすることに決めた。

 つまり、それまでは審査の申立人という形でかかわることはあっても、それ以上に検察審査会に関わることはなかった弁護士に、強制起訴と審査補助員、強制起訴と指定弁護士という、それまでまったくなかった役割ができたわけです。

 それ自体は良かったが、今回の小沢事件を通じて、初めて、いい意味で作ったのではなく、(制度を)「利用」しようとして作ったのではないかとしか思えない。

 小沢捜査の頃から言われていたことですが、取り調べを担当した検事が「たとえ不起訴になっても、検察審査会で必ず起訴してやる」と言っていたということが報道されていました。これは、本当にあり得ないことなんですが、取り調べをしていた人が言っていたわけですから、やはり当時、検察の内部でそういうことが考えられていたのは間違いないと思います。

 そういう意味で、小沢事件を通して、検察審査会法の改正は、けっして、検察を縛ったり、検察を厳しくチェックするためのものではなく、検察を補完するための制度(改正)だったのではないかということを改めて痛感したわけです。

 そして、審査補助員には大きな問題があります。

 実は、私は、日弁連の中で(検察審査会に関する)ワーキンググループをやっていますので、指定弁護士や審査補助員になる人を研修する立場にいました。実際に研修をしています。
 そして、東京弁護士会の中で、指定弁護士や審査補助員になる弁護士としての登録もしています。

 で、弁護士会の内部では、(制度改正後に)一番最初に(検察審査会に申し立てが)来た場合は、名簿の一番上に山下先生を置いています、と言ってたわけです。

  ところが、小沢事件で、まさに東京弁護士会にその順番が来たときに、私ではなく、米沢さんという別の弁護士が審査補助員になったわけです。

「一番最初は山下先生」と言われていたにもかかわらず、なぜか知らない間に、米沢さんという人が審査補助員になり、その人のもとで(一回目の)起訴相当議決が出たことを知って、非常にびっくりしたのです。

 私はおそらく、米沢さんが自分で手を挙げたんだろうと思っています。
 自分で手を挙げる人を弁護士会が認めてしまったんだろうと。
 いろいろ弁護士会の中で調べたり聞いたりしても、なぜ、この人が選ばれたのかということがわからない。(場内ざわめき)
 東京弁護士会の中で、何度も会長などに(回答を)求めても、なぜそうなったかわからない。
 日弁連もわからない。
 なぜ、米沢さんが、一回目の審査補助員になったかはわからないんです。
 おかしいでしょう。


 山下先生の声が震えます。

「私は東京弁護士会の会員で、日弁連のワーキンググループのメンバーでありながら、色々調べても解らないんです」

 山下弁護士の衝撃的な話に、場内はもう騒然です。

 ちょっと待ってください、誰が考えても、それ駄目でしょう!

 自分で手を挙げる人なんて、被疑者と利害関係があったり、事件に特別な意見を持っている人である可能性が極めて高いわけではありませんか。
 むしろ、そういう人を排除して、アトランダムな選択にしなくては、正しい推薦とはいえないのではないですか?

 この件について、東京弁護士会は調査をおこなうべきではないでしょうか。
 また、米沢弁護士は、説明をおこなうべきではないでしょうか。

※しかしながら、2016年時点で、上記の、山下弁護士の話は、きわめて信憑性が低いものであることが明らかになりました。また、山下弁護士がどういう意図で、このような話を売り込んでこられたかは不明ですが、後に山下弁護士は、別裁判などで、「ツイッターに(相手を特定して内容を送信する)リプライ機能が存在しない」などと、「相手(この場合は裁判官)に知識がないと思うと、自分の利益のために、どのような嘘でも平気でつく」方であることが明らかになりましたので、この場合も、別の意図をもって、事実にない発言をされたのではないかという推測が成り立ちえます。

テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

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大善裁判長

いろんな重圧や圧力もあったかもしれないが、大善裁判長が特捜捜査を厳しく批判し、ほとんどの調書を却下。当たり前の事だがうれしい。

No title

毎日新聞は今日の裁判結果を受けても訂正記事をしないのか・・・

気になっております。

田代検事は偽証罪の告発も必要では?

郷原信郎弁護士(@nobuogohara)が、今回の調書却下の決定について「決定書全文を入手して読んだが、石川氏らの供述調書の請求を却下したという結論もさることながら、重要なことは、その理由の中で、取調検察官の田代検事の法廷証言の信用性についても踏み込んだ判断をしたことである。特に、田代検事が市民団体から虚偽公文書作成罪で告発されている石川氏の取調べ状況についての捜査報告書の問題に関して「記憶の混同が生じたとの説明はにわかに信用できない」と述べているのは、事実上、田代検事の偽証と虚偽公文書作成の犯意を認めたものと言え、東京地検の告発事件の捜査に決定的な影響を与えるものと思われる。」としています。
ということは、田代検事については「偽証罪」の告発も必要なのではないでしょうか。
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