九電はお笑い路線をひた走るのか?! 九州電力やらせメール事件
第三者委員会の報告書について、第三者委員会と九州電力が泥沼状態になってしまった件について。
この件で、なにが最大の問題かと言えば、第三者委員会は、東京裁判でもなんでもないという点を、もはや九州電力幹部が根本的に勘違いしているという点だ。
第三者委員会は、経産省なり政府なりがすべての委員の人選も含めて押しつけ、強要したものでもなんでもない。委員長の郷原弁護士自体、九電側が選んで依頼した相手なのである。
つまり九電は、「やらせメール」問題が問題であると認識し、その再発を避けるということを目的として、自らの判断で第三者委員会の設置を決め、自らの意志で、郷原弁護士に依頼したということは、まずはっきりさせておくべきことだろう。
そして、いうまでもなく、九州電力は、創業者のワンマン社長が多少の好き勝手をやっても許される同族会社の中小企業でもなんでもなく、関連会社を含めると従業員11万人を超える、九州最大の株式会社であり、なにより公益事業である。
そのような会社が、その第三者委員会の出した結果が気に入らなかったからといって、その報告書の全体の中から、都合の良いところだけを「つまみぐい」したことが問題になっているのである。
もし、郷原弁護士をはじめとする委員と調査チームのクオリティに受け入れられないほどのひどい問題があるというなら、まず、その人選をおこなった側の任命責任から問われるべきだろう。
ぶっちゃけて言えば、世間の人はみんな思っているのである。
「丸め込んで無難にやってもらえると思ったのに、そうならなかったので、都合の悪い部分を黙殺することにした」んだと。
で、その都合の良い「つまみぐい」報告書が枝野大臣に拒否されたことで、慌てた九電は逆ギレモードに入ったと。
で、その後の流れは、この件について、第三者委員会の郷原委員長が公開討論会を提案した。
それを、九電は拒否した。
まあ、それはわからなくはない。第三者委員会というものの意味も理解せず、都合の良いところだけのつまみぐいができると本気で思っていたようなおめでたい人たちである。博覧強記のロジカルモンスター郷原弁護士と公開討論したら、誰が見たって、秒殺でボロボロにされるに決まっているのである。
書面なら、いろんな人に相談して時間を稼いで対応できると考えたのは、まあ理解できる。
そこで第三者委員会が出した質問状とその答えがこれ。
質問状 http://www.comp-c.co.jp/pdf/111110-1.pdf
回答 http://www.kyuden.co.jp/smt/notice/111115.html
回答は、ひらたく言うと「本人に訊いたら、やってないと言ったみたいだからそれが真実」
すごい。こんなものは調査とは言わない。
いつ、どこで、誰がなんと聞かれて、なんと言ったのか。
小学校の窓ガラスを割ったのは誰かなあ、程度のことでも、こんな理屈は通用しないだろう。
これが通るなら、この世に犯罪の大半は存在しなくなる。
だからこそ、調査委員会はその因果関係を立証するために、あの膨大な調査報告書を作成しているのに、である。
さらに苦笑するのは、
>>法律家の見解を聞きましたが、「本件事案において、名誉毀損が成立する余地はない」との回答を得ております。
責任ある回答というのは、「誰が言っているか」をはっきりさせることは最低必要条件だ。
誰かがそう言っているから、などというのならネットデマのレベルだろう。
どこの法律家が具体的にどういう根拠で言っているのかぐらい書くのは常識なんだけど。
そして、その「お返し」のつもりで出してきたというのが、九電からの「質問状」という物だ。
http://www.kyuden.co.jp/library/pdf/notice/notice111116-2.pdf
これがたしかに凄い。ある意味、ほんとに凄いんである。
どれぐらい凄いのか。
最初の疑問点からして、私は脱力しそうになった。
まず、【知事発言と面談メモに関する認定について】の項目。
くどくど書いているが、要旨はこういうことだ。
九電側は、最初から最後まで知事の関与はないと否定していて、その点で一貫している。
一方、第三者委員会側は、7月30日の郷原氏の会見と最終報告で見解が変わっていることを鬼の首でも取ったように問題視しているようだが、
「調査したら、その調査で明らかになることによって、見解が変わるのは当たり前」
調査しても結果が変わらないというのが前提にされたら、そんなもの調査でもなんでもないことになる。ほとんど、論理になっていない。
それ以外の、知事発言の否定の根拠として、赤松報告書が合理性に欠けると指摘しているが、該当箇所として報告書に赤線引いてて、恥ずかしくなかったんだろうか。まともな日本語読解力があれば、誰が読んでも報告書は論旨明快であって、これが合理性に欠けるというのは、自分は、頭悪いと告白しているとしか思えないんですが。
もう、最初のページだけでも、私がすぐに論破できるようなレベルであって、こんなレベルのもので重箱の隅をつつくように20項目の質問状を作り、さらに各委員に、各自個別に答えろというのは、阿部委員の言われるように「嫌がらせ」以外の何者でもないだろう。
その他の質問というのも、いちいち「明確な根拠がない」のオンパレードである。
これに対して、郷原弁護士はあっさりと一刀両断。
「調査チーム及び第三者委員会の認定は、もともとすべての関係者のすべての時点における供述が完全に一致することを前提になされたものではありません。
九電の疑問の根拠のほとんどは、九電の主張に沿う関係者の供述のみであって、C支店長の手帳の記載、5月17日の対応に関するメール、社内調査メモ等の客観的な証拠資料をすべて無視しています。したがって、貴社が疑問点としてあげられた諸点は、個別に反論するまでもなく、上記のような慎重な検討結果に基づく第三者委員会の認定を覆すに足るものではありません」
.....だった。さすがロジカルモンスター...お手本のような論理展開である。
とはいえ、この存在自体が恥をさらしているような質問状(まともな社員の人なら、ほんとにつらいと思う、こんなものが自社のホームページの目だつとこにあったら)に対しても、べつに郷原氏は回答しないと言っているわけではなかった。
「報告は膨大な聞き取り調査でできあがっており、その個別の会話の相手や内容については、守秘義務契約によって公表できない。しかし、その内容について(会社自身が要望した)守秘義務をあえて破ってまで詳細な根拠を公開しろというのであれば、もちろんできる」
「このような質問をする前に、まず、こちらの質問にもっと具体的に答えるのが筋。とはいえ、会社側の質問には答えないつもりはないし、書面でお答えできると伝えてある。しかし、答える以上、会社側がこのような質問状を会社のホームページで公開した以上、こちらからの回答も、そのまま全文をそのまま公開するべきである。なので、それを会社側に確認したところ、回答期限の昼を過ぎても検討しているというだけで回答が来ていません」
あれれ、九電は、回答を要求しておきながら、またまた都合の悪い回答が来たら、全文掲載しないつもりだったってこと?!
一部の新聞は、第三者委員会が、会社側の質問に答える必要はないと言ったかのように報道しているが、それは正確ではなく、記者会見のUstream映像で、郷原弁護士ははっきりと「答えられるし、書面も出せることは九電にも告げた。それに対して、検討中と言って返事を返さないのは九電の方」と語っているのだ。
で、九電側の対応がそういう状態だから、古谷委員が「(九電が返事を返すまで)答える必要がない」といったのである。
以下のビデオの30分あたりである。
http://www.ustream.tv/recorded/18568842
それにしても、こんなものを九州電力の人たちが、必死で赤松報告書の重箱の隅をつついて捜して、必死で書いたのかというと、けっこう涙ぐましいものはあるが、どうも、そうではないらしい。
九電幹部の方が、とあるブログを参考にしていると夜回りの記者さんに言いふらしていらっしゃるという噂は、数日前から、お友達の記者さんを通じて、あたくしの耳に入っていたのですが、それどころから社内のアクセス制限まで解除して、問題のブログを閲覧するように社員に推奨までしておられたらしい。
で、それが、このブログ。
http://blogs.yahoo.co.jp/kyusyutaro110
これがもう面白すぎる。
なかなかちょっとないトンデモっぷりなのだ。
もちろん匿名ブログで、まあ、匿名ブログを信頼するってのが、そもそもどうかと思うが、それを置いておいても、明らかに、素人さんぽさ全開なのが微笑ましい。
たとえば、「九電が最終報告書を提出して5時間も経たないうちに枝野大臣が談話を発表したこと」。
これだけを根拠に「枝野大臣が最終報告書を読んでいないのではないか?」と疑問を呈し、「それで調べてみると、前日の13日に赤坂御苑で園遊会が開かれ、そこで枝野大臣と会っていたようだ」「園遊会で、枝野氏が郷原氏が意見交換したのではないか?」としている。
残念でした。枝野大臣は園遊会そのものに出席してないし、あの最終報告書だって、公式に提出する前に、九電が事前に経産省に見せていたことはもうAERAなどでも報じられているとおり。だから郷原弁護士も、内容を知っていたわけだし、当然、枝野大臣もその前にとっくに読んでいて、その「つまみぐい」報告書を本当に得意そうに出してきたから、その非常識っぷりに怒ったわけでしょ。
一般公開されたのが14日だから、誰もそれまでそれをまったく読めなかったと信じて、論を組み立てられても、前提条件が根本的に間違ってるんですが(苦笑).....という話なんである。
※この部分に関して、当の郷原弁護士からコメントをいただいた。
この報告書に関しては、九電は、会社側最終報告については、第三者委側に一切事前開示をせず、「上の指示で公表までは送れない」とのことで、郷原弁護士は見ていなかったとのこと。
ただし、経産省には事前に渡っていたことは報道されているとおりだし、そもそも、この最終報告書が「第三者委員会が指摘した古川康佐賀県知事の責任や関与をほとんど記述せず、第三者委の認定を事実上否定したものである」という話は、最終報告書提出前から報道されていたので、そこの部分を確認するだけなら、1時間もかからないことだったでしょうね。
「郷原氏と枝野氏の不透明な関係」については、もう、噴いてしまった。
郷原氏が枝野氏のことを、真鍋社長が死にものぐるいで佐賀県知事を庇う100分の1も庇ったことがないどころか、去年からむしろ、郷原氏は仙谷氏+枝野氏にかなり批判的だったのは、誰でも知っていること。
枝野幹事長時代に、2010年参院選で郷原氏に出馬要請をしているのは、ここまでは事実だけれど、それを、郷原氏はあっさり断っているというのが両者の関係。
テレビの同じ番組に出て、隣に座ったり、ちょっと言葉に同意したことがあるぐらいのことで「タッグを組んでる」と言われるなら、私だって、徳光和夫氏とタッグを組んだことになるって言われんのかよ? 人気のある人なんて大変だな。あ、郷原さんか。
その一方、同じブログで別の日に、
http://blogs.yahoo.co.jp/kyusyutaro110/1196329.html
「郷原氏は、小沢元代表の疑惑を徹底擁護し、刑事的責任はもちろん、政治的道義的責任さえも全く触れようとはしないことでよく知られている。」
と書いているのも大笑いだ。とりあえず、いきなり反証ね。
http://iwakamiyasumi.com/archives/283
まあ、反証とか言う以前に、少しでも日本の政治のことがわかっていれば、「小沢擁護」と「枝野タッグ」が両立しないことぐらいわかりそうなものなんだけど、そこがわからないところが、とんでもなくいろんなことの因果関係が理解できないのか、とにかく、自分に都合の悪いところは徹底して見ないというスタンスなのか、そういうところ、九電幹部以上に、このブログ作者の方も相当イっちゃっておられるようである。
で、第三者委員会の「認定は、全くの空中楼閣である」と全力を込めて、赤太字で叫んでいるあたりは、もう香ばしさ最高だ。
http://blogs.yahoo.co.jp/kyusyutaro110/1407091.html
「5 月 17 日保安院説明会の直前あるいは途中において、反対意見の書き込みの多さから、H統括本部長において、急遽、C支店長へ電話による投稿要請を行い、同支店長以下の九電側関係者も同要請に対応した可能性が高いようにも思われる。」(赤松報告書)
この説明会にH統括本部長が出席しているところが、Ustreamの録画に映っているという事実が、赤松報告書がデタラメであることの「明白な証拠」だと。
九州にはノートパソコンもスマートフォンも存在しないらしいのだ。
いやもう、どんだけ九州の人に失礼なんだか......全篇こんな感じで、かなり笑える出来なんである。ここまでくると、もはや九電を擁護しているのか、disってるのかもよくわからない。
とゆーか、実は、仲間内でかなりすでに笑わせていただいたというのが実際。
これを参考にしているっておっしゃる九電幹部の方........もちろん、ギャグですよね。
そのわりに、
http://blogs.yahoo.co.jp/kyusyutaro110/1200376.html
http://blogs.yahoo.co.jp/kyusyutaro110/1407019.html
http://blogs.yahoo.co.jp/kyusyutaro110/1407091.html
とか、まさかあの質問状と、なんか似てません? 九電大丈夫ですよね?
とはいえ、さすがにあのブログに書かれているトンデモの中でも、第三者委員会の報酬が「億単位」だとわめきちらしているところは、九電は支払側として事実を知っているだけに、コメントできないようです。
第三者委員会の報酬は、九電幹部の受け取っている報酬や、仕事量に比して驚くほど低額であったことも、委員会終了後の会見などは交通費等も含めて、すべて委員の手弁当であったことも公表されてしまったし、しかも、報酬面で唯一ブラックなのは、他ならぬ「自分で主張した外部委託の社員資質調査を仕切り、しかも、その後も毎年調査をおこなうことを九電と約束している」岡本委員であることが、明らかになってしまったというのは、かなり痛いところでしょう。
岡本委員の仕切った外部委託の社員資質調査。これがいくらかかり、それが適正価格であったか?
これを開示されないかぎり、岡本委員のいうことを真に受ける人など、ネトウヨみたいな人以外は誰もいないでしょう。
それにしても、もうこんな人たちに、一歩誤れば、全九州をとんでもない事態に陥れかねない危険な原発など、未来永劫任せられないと思うのは、枝野氏でなくても、タッグなんて組んでなくても、思想信条を問わず、まともな神経の人ならそう思ってしまうじゃありませんか。
この件で、なにが最大の問題かと言えば、第三者委員会は、東京裁判でもなんでもないという点を、もはや九州電力幹部が根本的に勘違いしているという点だ。
第三者委員会は、経産省なり政府なりがすべての委員の人選も含めて押しつけ、強要したものでもなんでもない。委員長の郷原弁護士自体、九電側が選んで依頼した相手なのである。
つまり九電は、「やらせメール」問題が問題であると認識し、その再発を避けるということを目的として、自らの判断で第三者委員会の設置を決め、自らの意志で、郷原弁護士に依頼したということは、まずはっきりさせておくべきことだろう。
そして、いうまでもなく、九州電力は、創業者のワンマン社長が多少の好き勝手をやっても許される同族会社の中小企業でもなんでもなく、関連会社を含めると従業員11万人を超える、九州最大の株式会社であり、なにより公益事業である。
そのような会社が、その第三者委員会の出した結果が気に入らなかったからといって、その報告書の全体の中から、都合の良いところだけを「つまみぐい」したことが問題になっているのである。
もし、郷原弁護士をはじめとする委員と調査チームのクオリティに受け入れられないほどのひどい問題があるというなら、まず、その人選をおこなった側の任命責任から問われるべきだろう。
ぶっちゃけて言えば、世間の人はみんな思っているのである。
「丸め込んで無難にやってもらえると思ったのに、そうならなかったので、都合の悪い部分を黙殺することにした」んだと。
で、その都合の良い「つまみぐい」報告書が枝野大臣に拒否されたことで、慌てた九電は逆ギレモードに入ったと。
で、その後の流れは、この件について、第三者委員会の郷原委員長が公開討論会を提案した。
それを、九電は拒否した。
まあ、それはわからなくはない。第三者委員会というものの意味も理解せず、都合の良いところだけのつまみぐいができると本気で思っていたようなおめでたい人たちである。博覧強記のロジカルモンスター郷原弁護士と公開討論したら、誰が見たって、秒殺でボロボロにされるに決まっているのである。
書面なら、いろんな人に相談して時間を稼いで対応できると考えたのは、まあ理解できる。
そこで第三者委員会が出した質問状とその答えがこれ。
質問状 http://www.comp-c.co.jp/pdf/111110-1.pdf
回答 http://www.kyuden.co.jp/smt/notice/111115.html
回答は、ひらたく言うと「本人に訊いたら、やってないと言ったみたいだからそれが真実」
すごい。こんなものは調査とは言わない。
いつ、どこで、誰がなんと聞かれて、なんと言ったのか。
小学校の窓ガラスを割ったのは誰かなあ、程度のことでも、こんな理屈は通用しないだろう。
これが通るなら、この世に犯罪の大半は存在しなくなる。
だからこそ、調査委員会はその因果関係を立証するために、あの膨大な調査報告書を作成しているのに、である。
さらに苦笑するのは、
>>法律家の見解を聞きましたが、「本件事案において、名誉毀損が成立する余地はない」との回答を得ております。
責任ある回答というのは、「誰が言っているか」をはっきりさせることは最低必要条件だ。
誰かがそう言っているから、などというのならネットデマのレベルだろう。
どこの法律家が具体的にどういう根拠で言っているのかぐらい書くのは常識なんだけど。
そして、その「お返し」のつもりで出してきたというのが、九電からの「質問状」という物だ。
http://www.kyuden.co.jp/library/pdf/notice/notice111116-2.pdf
これがたしかに凄い。ある意味、ほんとに凄いんである。
どれぐらい凄いのか。
最初の疑問点からして、私は脱力しそうになった。
まず、【知事発言と面談メモに関する認定について】の項目。
くどくど書いているが、要旨はこういうことだ。
九電側は、最初から最後まで知事の関与はないと否定していて、その点で一貫している。
一方、第三者委員会側は、7月30日の郷原氏の会見と最終報告で見解が変わっていることを鬼の首でも取ったように問題視しているようだが、
「調査したら、その調査で明らかになることによって、見解が変わるのは当たり前」
調査しても結果が変わらないというのが前提にされたら、そんなもの調査でもなんでもないことになる。ほとんど、論理になっていない。
それ以外の、知事発言の否定の根拠として、赤松報告書が合理性に欠けると指摘しているが、該当箇所として報告書に赤線引いてて、恥ずかしくなかったんだろうか。まともな日本語読解力があれば、誰が読んでも報告書は論旨明快であって、これが合理性に欠けるというのは、自分は、頭悪いと告白しているとしか思えないんですが。
もう、最初のページだけでも、私がすぐに論破できるようなレベルであって、こんなレベルのもので重箱の隅をつつくように20項目の質問状を作り、さらに各委員に、各自個別に答えろというのは、阿部委員の言われるように「嫌がらせ」以外の何者でもないだろう。
その他の質問というのも、いちいち「明確な根拠がない」のオンパレードである。
これに対して、郷原弁護士はあっさりと一刀両断。
「調査チーム及び第三者委員会の認定は、もともとすべての関係者のすべての時点における供述が完全に一致することを前提になされたものではありません。
九電の疑問の根拠のほとんどは、九電の主張に沿う関係者の供述のみであって、C支店長の手帳の記載、5月17日の対応に関するメール、社内調査メモ等の客観的な証拠資料をすべて無視しています。したがって、貴社が疑問点としてあげられた諸点は、個別に反論するまでもなく、上記のような慎重な検討結果に基づく第三者委員会の認定を覆すに足るものではありません」
.....だった。さすが
とはいえ、この存在自体が恥をさらしているような質問状(まともな社員の人なら、ほんとにつらいと思う、こんなものが自社のホームページの目だつとこにあったら)に対しても、べつに郷原氏は回答しないと言っているわけではなかった。
「報告は膨大な聞き取り調査でできあがっており、その個別の会話の相手や内容については、守秘義務契約によって公表できない。しかし、その内容について(会社自身が要望した)守秘義務をあえて破ってまで詳細な根拠を公開しろというのであれば、もちろんできる」
「このような質問をする前に、まず、こちらの質問にもっと具体的に答えるのが筋。とはいえ、会社側の質問には答えないつもりはないし、書面でお答えできると伝えてある。しかし、答える以上、会社側がこのような質問状を会社のホームページで公開した以上、こちらからの回答も、そのまま全文をそのまま公開するべきである。なので、それを会社側に確認したところ、回答期限の昼を過ぎても検討しているというだけで回答が来ていません」
あれれ、九電は、回答を要求しておきながら、またまた都合の悪い回答が来たら、全文掲載しないつもりだったってこと?!
一部の新聞は、第三者委員会が、会社側の質問に答える必要はないと言ったかのように報道しているが、それは正確ではなく、記者会見のUstream映像で、郷原弁護士ははっきりと「答えられるし、書面も出せることは九電にも告げた。それに対して、検討中と言って返事を返さないのは九電の方」と語っているのだ。
で、九電側の対応がそういう状態だから、古谷委員が「(九電が返事を返すまで)答える必要がない」といったのである。
以下のビデオの30分あたりである。
http://www.ustream.tv/recorded/18568842
それにしても、こんなものを九州電力の人たちが、必死で赤松報告書の重箱の隅をつついて捜して、必死で書いたのかというと、けっこう涙ぐましいものはあるが、どうも、そうではないらしい。
九電幹部の方が、とあるブログを参考にしていると夜回りの記者さんに言いふらしていらっしゃるという噂は、数日前から、お友達の記者さんを通じて、あたくしの耳に入っていたのですが、それどころから社内のアクセス制限まで解除して、問題のブログを閲覧するように社員に推奨までしておられたらしい。
で、それが、このブログ。
http://blogs.yahoo.co.jp/kyusyutaro110
これがもう面白すぎる。
なかなかちょっとないトンデモっぷりなのだ。
もちろん匿名ブログで、まあ、匿名ブログを信頼するってのが、そもそもどうかと思うが、それを置いておいても、明らかに、素人さんぽさ全開なのが微笑ましい。
たとえば、「九電が最終報告書を提出して5時間も経たないうちに枝野大臣が談話を発表したこと」。
これだけを根拠に「枝野大臣が最終報告書を読んでいないのではないか?」と疑問を呈し、「それで調べてみると、前日の13日に赤坂御苑で園遊会が開かれ、そこで枝野大臣と会っていたようだ」「園遊会で、枝野氏が郷原氏が意見交換したのではないか?」としている。
残念でした。枝野大臣は園遊会そのものに出席してないし、あの最終報告書だって、公式に提出する前に、九電が事前に経産省に見せていたことはもうAERAなどでも報じられているとおり。だから郷原弁護士も、内容を知っていたわけだし、当然、枝野大臣もその前にとっくに読んでいて、その「つまみぐい」報告書を本当に得意そうに出してきたから、その非常識っぷりに怒ったわけでしょ。
一般公開されたのが14日だから、誰もそれまでそれをまったく読めなかったと信じて、論を組み立てられても、前提条件が根本的に間違ってるんですが(苦笑).....という話なんである。
※この部分に関して、当の郷原弁護士からコメントをいただいた。
この報告書に関しては、九電は、会社側最終報告については、第三者委側に一切事前開示をせず、「上の指示で公表までは送れない」とのことで、郷原弁護士は見ていなかったとのこと。
ただし、経産省には事前に渡っていたことは報道されているとおりだし、そもそも、この最終報告書が「第三者委員会が指摘した古川康佐賀県知事の責任や関与をほとんど記述せず、第三者委の認定を事実上否定したものである」という話は、最終報告書提出前から報道されていたので、そこの部分を確認するだけなら、1時間もかからないことだったでしょうね。
「郷原氏と枝野氏の不透明な関係」については、もう、噴いてしまった。
郷原氏が枝野氏のことを、真鍋社長が死にものぐるいで佐賀県知事を庇う100分の1も庇ったことがないどころか、去年からむしろ、郷原氏は仙谷氏+枝野氏にかなり批判的だったのは、誰でも知っていること。
枝野幹事長時代に、2010年参院選で郷原氏に出馬要請をしているのは、ここまでは事実だけれど、それを、郷原氏はあっさり断っているというのが両者の関係。
テレビの同じ番組に出て、隣に座ったり、ちょっと言葉に同意したことがあるぐらいのことで「タッグを組んでる」と言われるなら、私だって、徳光和夫氏とタッグを組んだことになるって言われんのかよ? 人気のある人なんて大変だな。あ、郷原さんか。
その一方、同じブログで別の日に、
http://blogs.yahoo.co.jp/kyusyutaro110/1196329.html
「郷原氏は、小沢元代表の疑惑を徹底擁護し、刑事的責任はもちろん、政治的道義的責任さえも全く触れようとはしないことでよく知られている。」
と書いているのも大笑いだ。とりあえず、いきなり反証ね。
http://iwakamiyasumi.com/archives/283
まあ、反証とか言う以前に、少しでも日本の政治のことがわかっていれば、「小沢擁護」と「枝野タッグ」が両立しないことぐらいわかりそうなものなんだけど、そこがわからないところが、とんでもなくいろんなことの因果関係が理解できないのか、とにかく、自分に都合の悪いところは徹底して見ないというスタンスなのか、そういうところ、九電幹部以上に、このブログ作者の方も相当イっちゃっておられるようである。
で、第三者委員会の「認定は、全くの空中楼閣である」と全力を込めて、赤太字で叫んでいるあたりは、もう香ばしさ最高だ。
http://blogs.yahoo.co.jp/kyusyutaro110/1407091.html
「5 月 17 日保安院説明会の直前あるいは途中において、反対意見の書き込みの多さから、H統括本部長において、急遽、C支店長へ電話による投稿要請を行い、同支店長以下の九電側関係者も同要請に対応した可能性が高いようにも思われる。」(赤松報告書)
この説明会にH統括本部長が出席しているところが、Ustreamの録画に映っているという事実が、赤松報告書がデタラメであることの「明白な証拠」だと。
九州にはノートパソコンもスマートフォンも存在しないらしいのだ。
いやもう、どんだけ九州の人に失礼なんだか......全篇こんな感じで、かなり笑える出来なんである。ここまでくると、もはや九電を擁護しているのか、disってるのかもよくわからない。
とゆーか、実は、仲間内でかなりすでに笑わせていただいたというのが実際。
これを参考にしているっておっしゃる九電幹部の方........もちろん、ギャグですよね。
そのわりに、
http://blogs.yahoo.co.jp/kyusyutaro110/1200376.html
http://blogs.yahoo.co.jp/kyusyutaro110/1407019.html
http://blogs.yahoo.co.jp/kyusyutaro110/1407091.html
とか、まさかあの質問状と、なんか似てません? 九電大丈夫ですよね?
とはいえ、さすがにあのブログに書かれているトンデモの中でも、第三者委員会の報酬が「億単位」だとわめきちらしているところは、九電は支払側として事実を知っているだけに、コメントできないようです。
第三者委員会の報酬は、九電幹部の受け取っている報酬や、仕事量に比して驚くほど低額であったことも、委員会終了後の会見などは交通費等も含めて、すべて委員の手弁当であったことも公表されてしまったし、しかも、報酬面で唯一ブラックなのは、他ならぬ「自分で主張した外部委託の社員資質調査を仕切り、しかも、その後も毎年調査をおこなうことを九電と約束している」岡本委員であることが、明らかになってしまったというのは、かなり痛いところでしょう。
岡本委員の仕切った外部委託の社員資質調査。これがいくらかかり、それが適正価格であったか?
これを開示されないかぎり、岡本委員のいうことを真に受ける人など、ネトウヨみたいな人以外は誰もいないでしょう。
それにしても、もうこんな人たちに、一歩誤れば、全九州をとんでもない事態に陥れかねない危険な原発など、未来永劫任せられないと思うのは、枝野氏でなくても、タッグなんて組んでなくても、思想信条を問わず、まともな神経の人ならそう思ってしまうじゃありませんか。
テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済
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No title
こんにちは。
お笑いはお笑いなんですが、笑ってられないのは下のようなことがあるからなんですよねえ。
日本に良識取り戻そう 日本会議福岡、松尾会長就任記念大会開催
http://sankei.jp.msn.com/region/news/111017/fkk11101702120001-n1.htm
ようするに、「日本の保守派」からのバックアップがあるからこそ「お笑い路線」で強行突破できると思ってるし、しようとしているわけですよねえ、おそらく。
お笑いはお笑いなんですが、笑ってられないのは下のようなことがあるからなんですよねえ。
日本に良識取り戻そう 日本会議福岡、松尾会長就任記念大会開催
http://sankei.jp.msn.com/region/news/111017/fkk11101702120001-n1.htm
ようするに、「日本の保守派」からのバックアップがあるからこそ「お笑い路線」で強行突破できると思ってるし、しようとしているわけですよねえ、おそらく。
No title
書かれているブログの内容は、郷原さんが正しいことを前提としているような書きぶりが多く、全く論理的ではないと思いました。もっと自分で報告書などを読まれて、中立の立場で書かれてみたほうが良いとおもいます。お時間はないかもしれませんが。
No title
報告書なら、中間報告からすべて読んでいますよ。
まともな読解力の人間が報告書を読めば、当然の結論に達しているだけです。
まともな読解力の人間が報告書を読めば、当然の結論に達しているだけです。
ブログに中立性?
裁判官だって中立性が無いらしいじゃんか。