九州電力第三者委員会が突きつけたもの

 数日前から噂になっていたことだが、やはりというかなんというか、九州電力は郷原信郎弁護士率いる第三者委員会の報告書を骨抜きにして、自前の報告書を経産省に提出した。
 その九電社長の開き直りっぷりは、ある意味凄い。

「もう第三者委員会も調査が終わったわけですし、(郷原さんも)もう委員長でもないわけですから。.....私どもは私どもの見解があるわけですから、今後は関わって欲しくない」
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111014/k10013269121000.html

 いや、これぐらい凄いレベルの開き直りは、なかなか見られるものではない。
 イタすぎる........と思ったのは、私だけではないだろうな。たとえ本音であるとしても、それを記者会見で言ったら駄目でしょうよ。これから誰が九電を信用するというのだろう。

 そもそも、九州電力ホームページにいまでも残るこの問答。
 http://www.kyuden.co.jp/nuclear_pluthermal_answer_10.html
 「当社見解」は「日本で原発事故が起こることは考えられません」
 この点だけでも、こんなブラックジョークまがいのことを、いまだに堂々と主張している電力会社の「当社見解」を信じるという人がいるわけもないんだが。

 むろん、九電社長が、なにがなんでも佐賀県知事を庇い抜き、みずからも居座り続けなくてはならない理由は理解できる。
「自分だけさっさと辞められない理由がある」
 それはもちろんあるだろう。いったん辞意を固めていた人が撤回するには、それなりのわけがあるのは当然だ。

 同じ9月30日に出た経済産業省の第三者委員会でも、原発関連シンポジウムでのやらせを、原子力安全保安院や資源エネルギー庁が関与していたことを認定している。
 http://www.47news.jp/CN/201109/CN2011093001000811.html
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-01/2011100101_01_1.html

 また、今日には、北海道電力の泊原発をめぐるやらせ問題でも、北電の依頼した第三者委員会が調査報告書で道の関与を指摘し、高橋はるみ知事は「道の確認した内容と異なっているのは大変残念。道の関与は全くない」と全面否定している。
 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20111015k0000m040107000c.html

 九電の第三者委員会に触発されたわけでもないだろうが、いずれの場合も、問題を指摘された電力会社や経産省が、社会のコンセンサスを得るために客観的な第三者委員会に調査を依頼したわけだが、その調査結果が、国や電力会社や立地県に対して、想定以上に厳しいものとなってしまっているのだ。

 つまり、そこから推定するに、同様のやらせ問題が、九州電力、北海道電力、東北電力以外の電力会社でも明るみになってくる可能性は濃厚であり、それらのやらせでも、まったく同じ構図が横たわっていることが明るみに出てくるのが、時間の問題であるということだ。

 で、このような状況下で、九電メール事件の第三者委員会の「県と電力会社の一心同体」を指摘する報告書で、九電社長や県知事が辞任に追い込まれたらどうなるか。
 壮大なドミノ倒しに波及する可能性があるということだ。
 そして、それは当然のことながら、停止中の原発の再稼動の決定に大きな影響を及ぼすことになるし、現在も稼働中の原発も、(まさしく九州電力第三者委員会の報告書が示したように)どのような経過で原発導入の決定がなされたのかということが明らかになることで、その運転継続の是非の議論になっていくことも、明らかだ。
 ことは九電だけではない。日本全体の原子力政策に突きつけられた刃となる。

 九電社長はけしてただの愚か者ではない。だからこそ「自分だけさっさと辞められない理由がある」という言葉につながるのだろう。

 しかし、それを受け入れていいかどうかは、もちろん別の問題だ。
 ひとりひとりの見識が問われることになるだろう。私の答えはもちろん、ノーだ。

テーマ : 政治・経済・時事問題
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やらせ事件

九電のやらせメール事件を悪辣な事件として原発反対の団体やメディアは取り扱うが、これは企業としては当然行う手段の一つだと思う。何しろ反対の声は高いが支持する声はその支持者に比較して小さい。これで万死に値する罪として糾弾する姿勢もどうかと思う?問題は合理的に再起動できる条件かどうかの判断でしょう。

全てがヤラセ

尽きるところは国の方針の早期確立にあるのです。
仰る通り、非を認めれば一点突破で原発廃止へ雪崩込みが必至です。
当面は恥も外聞も無用で、喧騒が去るのを待っていれば良く何らのペナルティも無く安泰な訳です。
このことが、今の政権にとっても別に不都合は無いでしょう。
国のトップらの開き直りは全てが同類項、みんなで渡る赤信号ということ。
第三者委員会そのものがヤラセに過ぎないと思えば得心するでしょう。
先が短いのを弁えての、最後の足掻きとは観てますがね。

九州電力松尾会長。

八木様
初めてコメント投稿します北九州の大庭と申します。
明日、郷原信朗さんのトークライブがあるとの事ですが、次の事も是非話題に上げてください。

九州電力のやらせメール問題で、第三者委員会があげた最終報告の本質部分を無視し、
古川佐賀県知事をかばい、真部社長の退任を拒否する最高権力者の松尾会長という図式。

郷原さんも言われていましたが、2005年のプルサーマル導入に関する佐賀県主催のシンポジウムでも九州電力の仕込みが明らかになっておりますが、その当時の社長は元会長の松尾さんでした。

真部社長が責任をとって退任という事になれば、当然、松尾会長もそのまま慰留という訳にはいきません。

その様な状況で退任し都合が悪くなるのは、九州電力を利用し、個人的に私服を肥やすために1992年に興した親族名義の建設会社に、今までのように口利きで仕事を回すことが難しくなる可能性があるという事実。
当然、原発関係の工事は最終的な廃炉も含めて相当見込めるわけで、ずぶずぶの関係にある古川知事も原発を推し進めるためには辞任させるわけにはいきません。

これだけの騒動になっているので、次期佐賀県知事選で古川知事は当然落選すると思われるでしょうが、私が聞いた話では、佐賀県ではどうもその様な状況に無い様で、次の知事選でも古川知事が当選する可能性は高いようです。(という事は、来年4月から可能となる古川知事のリコール運動なども期待できません。)

九州電力の私物化に話を戻しますが、親族の名前で会社を興しその会社へ仕事を回す事は何も松尾会長に限った話ではありません。
九州電力の社長、会長を務めた故人2人の親族が経営する商社2社が、九州電力の関連工事を今年の3月までの5年間に少なくとも15億7500万円分受注していたという事実。(西日本新聞)

玄海原発のある玄海町の岸本町長の弟さんがやっている岸本組は、過去に九州電力関係の仕事を50億円受注しており、一部の人間が九州電力・原発を利用して私服を肥やしています。

佐賀県の事情で言うと、玄海原発の恩恵はなにも玄海町だけが受けているわけではなく、
近隣の唐津市や鳥栖市も九州電力から多額の寄付を受けて箱物をつくっております。
県職員についてもおいしい話がずいぶんとある事でしょう。

恐らくは、その全てを「総括原価方式」の原価部分にのせて、九州電力管内の住民から電気料金として騙し取っている事でしょう。

以上。

九電松尾会長、真部社長の開き直りについて。

八木様

まず訂正からお願いします。

前回のコメントでの漢字変換間違いがありました。
元会長の松尾さん→現会長の松尾さんでした。

では今回のコメントです。

現在(10月25日段階)の、九州電力の松尾会長と真部社長の、第三者委員会の最終報告を認めないという理解できないネバリ腰ですが、彼らの思惑が推測できました。

現在の経済産業相の枝野さんは、官房長官時の福島第一原発の事故後対応(直ちに健康に影響はない発言)で国民にひんしゅくを買っています。

また経済産業省も、福島原発事故発生の責任や、
当時の海江田万里大臣が更迭したトップ3人が、表向き更迭と言いながらちゃっかりと早期退職として2割り増しの退職金を受け取り、現在経済産業省顧問としてほとぼりが冷めての天下り待機状態だったり、西山審議官が事故対応中の不倫行為で批判を受けたりと、評判も地に落ちております。

例え九州電力が第三者委員会の報告を認めて国に報告したとしても、九州電力のこれまでの数々のやらせ・隠蔽行為や、評判が地に落ちた経済産業省(相)では、原発再稼動はどう考えても無理です。

そこで今回の九州電力やらせメール問題を利用し、正義の味方 枝野大臣・経済産業省という図式に持って行き、最終的に経済産業省主導の玄海原発再稼動というシナリオを描いているのではないでしょうか。(経済産業省と九州電力と古川知事は裏で話が出来ている?)

そこで問題となるのは、原発容認古川知事の進退問題ですが、九州電力経営陣刷新と同時に、知事も最終的には辞任という事をとるでしょうが、次の知事選では原発容認候補は当選が難しいでしょう。
そこで次期知事選での候補は、表向き玄海原発再稼動反対・原発反対という旗のもと立候補し当選するが、その後に何とか理由をつけてその主張をひるがえし、原発再稼動を容認してい行くと。(この部分は経済産業省・古川知事・九州電力の調整が難しいところですが、経済界をも牛耳る九州電力であればどうにでもなるレベルでしょう。)

以上、私の妄想でした。

どうでしょうか? 現在の九州電力のネバリがあまりにも幼稚で、何か裏にあるのではないかと思いコメントしました。

当然、今回事実を明らかにした郷原さんらの第三者委員会がその一味とは思えませんが。

以上。

No title

九州電力第三者委員会、郷原委員長、そして枝野経産大臣への疑問
論理の飛躍と現実離れした前提、原発の安全確保にも支障が。
大失政をした民主党・政府への批判をそらす材料に。
http://blogs.yahoo.co.jp/kyusyutaro110

No title

出た!

ここにも九州太郎。

皆さん九電社員の書き込みは無視しましょう。(今回のように無記名もあるようです。)

九州一の有力会社だった(と思っていた私の妄想?)九州電力は、今や九州の恥をさらす、
極悪三流会社と成り下がったようです。・・・私が知らなかっただけですが。

松尾会長宅の手榴弾襲撃事件は、内部抗争の末の事件だったようです。
どうりで松尾会長は極道顔をしていると思いました。
九州電力はフロント企業だったのでしょうか?

郷原さんは、極悪経営者を除く社員をほめていますが、末端社員も同類であり、悪徳経営者についていけば、
九州一高いお給料・ボーナスがいただけますから、松尾・真部を批判する者はいないのでしょう。

民間営利企業と違って会社がつぶれることはないし、
でたらめやりたい放題でも自分の給与に関係するような利益が減るわけでもないですから、
総括原価方式に基づく高コスト体質による利益上乗せ詐欺行為は、
社員にとっても好都合だという事の様です。

郷原さんも良い子を装う社員に騙されないようにしていただきたいものです。

No title

すみません。

今思い出したのですが、第三者委員会の中間報告直後のトークライブで、
郷原さんが、「九州電力経営者は問題ありですが、社員を評価したところ意識やモラルの点で優秀だった」とのニアンスで話されていました。

その社員を評価したのは、第三者委員会の最終報告後に、郷原さんらの行動を一人批判していた岡本浩一さんではなかったでしょうか?

読めた! 九電の金による第三者委員会の買収・切り崩し?

なんでもありのフロント企業 九州電力ですから充分考えられる裏工作だった可能性があります。

九州太郎のブログへの投稿へ参加したのですが、身内同士の慰め合いでおかしな奴ばかりでしたので離脱しました。

九州電力は、経営者だけではなく全員腐っている様です。

以上。

No title

度々すみません。

本日の報道で、玄海原発プルサーマル導入に関する2005年のシンポジウムで、
九州電力の仕込み工作を 佐賀県の職員が知っていたと報じられました。

知っていただけなのか?

古川知事については相変わらず関係ないとの事ですが、それであればシンポジウムを妨害した九州電力に猛抗議し、シンポジウム開催に掛かった費用を九州電力へ請求し、
九州電力の不正を知っていた佐賀県職員は懲戒解雇の処分をすべし。

さらには、2005年のシンポジウムの結果で古川知事はプルサーマル導入を判断したのですから、直ちにシンポジウムをやり直し、その結果をもってプルサーマル運転を判断しなおす。
(プルトニウムは飲んで健康には問題ありません発言の東京大学 大橋教授には是非皆さんの前でプルトニウムを飲み込んでもらいたいものです。 京都大学 小出助教には準備をお願いします。)

やらせメールが問題になった、経済産業省主催の番組もやり直し、正しい意見をもう一度吸い上げて、その結果で原発再稼動を判断する必要があります。

とにかく、九州電力・佐賀県・古川知事の言う事・やる事は全てつじつまが合わないことばかりで、
そのまま済まそうと思っているのでしょうか?

それで騙されるほどほど、九州の人間はアホだという事なのでしょうか?

以上。

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