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検察:起死回生の一撃の可能性はあるのか

 検察は揺れている。
 そして、検察が新たに頂点に頂いた笠間検事総長は、大胆な検察改革を進めようとしている。

 それだけ危機感が強いということだろう。歴代の検事総長にあり得ないほど自分の言葉で語る検事総長は、矢継ぎ早に具体的な指示を出しているという。可視化を視野に入れ、特捜部の名称変更までが論議に上がるほどに。
 
 むろんこのような改革には、従来の手法を続けたい現場の抵抗は激しいだろう。
 震災のどさくさに紛れて、「検察の在り方検討会議」をかなりの度合いまで骨抜きにすることに成功し、前田元検事に対する告発や申立もうやむやにしたのも束の間、石川議員の取り調べ録音がもとで、陸山会事件の供述調書大量却下をくらい、さらに、前田元検事と一緒に切り落とすトカゲの尻尾のはずだった大坪元大阪地検特捜部部長と佐賀元副部長の公判は、9月12日に始まるものの、泥沼になりそうな気配となっている。
 むろん、そのような状況で、世間の風当たりは軟らかくはない。

 だとしたら、特捜検察の起死回生の一撃というものはなんだろう。
 特捜のメンツを維持し、廃止論をぶっ飛ばし、特捜が国民の喝采を浴びる日を呼び戻すことができる一撃。
 まさに国民の溜飲を下げることで、さすが特捜、やはり特捜がなくてはとメディアに持て囃され、庶民の喝采を浴びることのできる夢のプロジェクト。

 そんなものがもしあれば........としたらの話だが、もちろんある。目の前に。そして、検察内の反改革派の人々がその可能性に気づいていないはずもない。

 畑村洋太郎教授率いる福島原発事故の「事故調査・検証委員会」が、わかりやすい法的責任追及の場にならず、そういう意味での『世間の期待』と異なったものになることが、明らかであるなら、そこで特捜検察がスケープゴートを血祭りにすれば、それは庶民の溜飲を下げるものになるだろう。
 
 私はそれをひそかに恐れる。魔女狩りを手段にしてはならない。

テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

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