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フィクションの中の現実を生きていきましょう

 レベル7になっちゃいましたね。
 もうほんとに2ヶ月前ならSF小説の設定でしかなかったようなことが、すでに日常となっている日本でございます。

 そして興味深く、かつ、確実に言えることは、政府は3月15~17日ぐらいの段階でレベル7であることを知っていながら、統一地方選が終わるまでその事実を開示しなかったということです。

 もはやSFの世界に住んでいる私たちですから、では、ここでもう少し、仮定の話をしてみましょう。
 もしこの3月半ば過ぎの時点でレベル7が発表されていたなら、統一地方選はすべて延期になっていたでしょうね。だって、日本の原発事故がチェルノブイリ並みであるという衝撃のもとでは、選挙どころではないでしょう。実際に、浦安市など、延期を強く求めている自治体もあったのです。

 むろん、このような状況で選挙をやれば、圧倒的に現職及び与党、また、いわゆる「有名人」が有利になります。選挙カーでの連呼が自粛と称してあまり行われず、テレビでも選挙関連のニュースがほかのもっとインパクトのあるニュースによって扱いが押さえられている状況で、新人の名前や主張などが行き渡るはずもない。
 
 それでも民主党は負けたじゃないか、と言われる方は多いでしょう。
 その通りです。

 でも、もしこの震災がなかったら、そもそも献金問題で菅首相はバッシングを受け、地方選での負け方もこんな程度のものでは済まなかったでしょう。当然、現執行部の責任の問われ方は半端ではなかったはず。原発推進派の方の当選だって、どうなっていたことやら。

 歴史的に非常時は内閣に支持が集まりやすいという傾向があり、極めて低支持率の政権がそれで復活した例はいくらでもあります。最近のわかりやすい例だと、チリ・コピアポの鉱山事故時のチリの政権がそうですね。支持率低迷にあった大統領は、この事故の対応で存在感をアピールし、米国との好関係を強調し、支持を伸ばすことに成功した。

 以前に書いた、小沢問題とあまりに酷似していたメキシコの大統領選のケースでも、疑惑の得票率で当選し、その結果として、まっとうな大統領就任式さえできなかったほど史上最低の支持率だった大統領は、その後、突然起こった「豚インフル騒動」と「麻薬戦争」で、そこそこの支持率を回復することができたのです。

 この日本でも震災当初、こまめに記者会見する枝野氏に声援が送られるという現象がありました。一般的には災害時には「一生懸命やっている官邸+政府与党」が注目され、選挙でも現職が圧倒的に有利になるものです。

 だから原発事故がそれほどひどい状態にならず、1週間ぐらいで収束できていれば、おそらく管政権にかなりの支持が戻り、枝野氏にも次期首相の声が出ていた可能性は高い。レベル7を隠していたのは、つまり官邸が未曾有の事態に及んでも、政局を優先していたということでしょう。
選挙をやらないわけにはいかない以上、むしろ、このタイミングでやる方が、大敗を小敗程度にできると踏んだのだと私は考えます。

 この震災のどさくさまぎれに仙谷氏も復帰し、菅氏も問題の献金を返却していた。この震災が、政局に利用されたことは、残念ながら明らかで、そのような内閣を持ってしまったことは私たちの不幸です。

 けれど現状を嘆いていても仕方がない。今後、原発事故がさらに重大な問題となっていくことが明らかになった今、私たちは目を開き、耳を澄ませて、積極的に事態を見ていくしかないでしょう。そこでなにができるか、なにを選ぶか。結局は一人一人が自分の頭で考え、判断していくしかないのですから。

 そして、そんな中でも、時間が来ればお腹が空き、眠くなります。
 未来が見えない中でも、仕事は続きます。そのような日々だけが未来を紡いでいくようです。

 私たちの特別企画のライブもリハーサルが始まりました。

 実をいうと、郷原先生をゲストにというライブ、昨年の岩上安身さんのパーティーで生まれた企画です。とはいえ、この震災で、実現はやっぱり無理かと思ったのですが、そこは郷原先生がとんでもなく剛胆なところを見せて下さいました。
 分刻みのスケジュールの中、息を切らせて、サックス抱えてスタジオに駆け込んでこられたのには驚きましたが.....。
「やるじゃないですか....」

 というわけで、Twitter上ではやたらに謙遜していらっしゃいますが、ゲストといっても、ほんの一曲ぐらいだけ、無難な曲の無難なフレーズをちょこっと....なんてものじゃないですよ。スケジュール押さえが大変だった売れっ子ピアニスト阿部篤志さんの繊細で華麗なピアノの上で、郷原先生ご自慢のセルマーの名器 Firebird が炸裂です。
 
 4.11高円寺デモでは、15000人の先頭で楽団を率いていらっしゃった大熊さんの超絶クラリネットがそこに切なく絡み、私の3オクターブ超ボイス・パーカションも曲によって乱入するかもしれません。
 とにかく、かなりたっぷりと、いろいろ堪能できるてんこ盛りライブです。

 もちろん、トークが楽しみで、という方もいらっしゃるかもしれませんが、プレイヤーとしての郷原先生と、個性派プロ軍団の華やかな掛け合いは、これだけでも値打ちがあると断言してしまいましょう。
 それにもしこれが本当ならば、緊張していらっしゃる郷原弁護士を目撃できる機会なんて、もう二度とないかもしれませんし。(笑)
 
 郷原先生が、なんと、ビジネススーツ以外のコスチュームも見せていただけるかもしれないというお話でもありますので、このあたくしも、久々にイブニングドレスで、迎撃させていただきます。

 もちろんトークでも......やはり他では聞かれないお話をして頂けるものと確信しております。
 まだお席には余裕がございますので、ぜひ、この機会をお見逃し無きよう

テーマ : お知らせ・紹介
ジャンル : 日記

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人は、どのような局面において言葉をつむぐか。30人の執筆者が震災を語ったエッセイ集。澤地久枝、斎藤 環、池澤夏樹、渡辺えり、やなせたかしらと並んで八木も寄稿。
刑事司法への問い (シリーズ 刑事司法を考える 第0巻) (岩波書店)
日本の刑事司法の何が問題か、どのような改革が求められているか。刑事法研究者、実務法曹の他、八木も執筆しております。
禁じられた歌ービクトル・ハラはなぜ死んだか(Kindle版)
長らく絶版状態だった書籍をリクエストにより電子書籍で再版いたしました。八木啓代の原点です。
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