映画「敵こそ我が友~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生」

「敵こそ我が友~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生」を見てきた。
http://www.teki-tomo.jp/

ドイツ占領下のフランスで、「リヨンの屠殺人」と異名をとったほどの徹底したレジスタンス狩りとユダヤ人迫害を行ったクラウスは、戦後、ナチスの戦犯として裁かれるはずが、米国に拾われる。
折から、共産主義ソ連との冷戦を予期していた米国は、彼の「情け容赦なく敵を殲滅するノウハウとテクニック」をほしがったのだ。
高給と邸宅を与えられて、米国スパイとして働く彼だったが、その存在がフランスに知られ、引き渡しを要求されると、米国とバチカン右派の手によって、南米に逃がしてもらう。
そして辿り着いたボリビアで、彼は、同様なルートで南米各国に逃亡していた元ナチスの大物たちと互いに連絡を取り、南米に新たな第四帝国の成立を夢見ながら、「共産主義撲滅」の御旗のもと、労働運動家や組合関係者、学生運動を弾圧し、そして、ゲバラ暗殺をも手がけた.....。

「敵こそ我が友」とは「敵の敵は味方」というアメリカの発想。実在のナチス犯罪者がいかにして、戦後数十年にわたって生きながらえてきたかが克明に描かれる。一時期のハリウッド映画の定番の悪役は「元ナチス」だったが、実際のところ、アメリカ国務省にとっては、ナチスは「友」だったのだ。

もっとも、南米に元ナチスがたくさん隠れていることは、80年代の軍事政権にとらばーゆした人たちがたくさんいたのは、よく知られていた事実で、さらにその軍事政権で虐殺や苛烈な拷問を行っていた人たちが、軍事政権崩壊後、しれっとどこかに行方不明になったりしているのも、知られた話。

残念だが、日本でも731部隊の戦争責任が不問にされて、人体実験の限りを尽くした人たちが、堂々と戦後日本医学界の重鎮に収まったように、常に、「敵の敵は味方」の論理で、彼らを庇い、救い、罪を不問にする人たちがいるわけ。
最悪の虐殺者ほど裁かれない、ということね。

まあ、経済でも、でかい破綻は救済されるけど、中小企業は見殺しだし。

そのへんをつつく弁護士は、極右ではなく、よりにもよってベトナム人の共産主義者。
これまたキャラが濃い。そして、感情論や遺恨に流されず、彼の弁論を拝聴するフランス人は立派。
もちろん、日本のように、弁護士にいわれない非難や嫌がらせがあったりすることもないようだ。

そしてもうひとつ、教訓。
人間は自分に都合の悪いことは忘れる。
クラウス・バルビーも言う。「フランスでのこと? 覚えていない」
そして、それを覚えていたフランス人たちの証言によって、終身刑を宣告される。

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