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検察が暴走するというパターン

で、小沢氏に関する検察の暴走問題。
これを郷原氏は、

「なにかすごい政治家の巨悪を挙げる、正義の特捜検察」という庶民の期待に応えて、自らの存在意義を示すために、なんとか手柄を挙げようとした検察が、小沢氏に目をつけた。ところが、秘書を逮捕したところで、どうやら冤罪だということに気がついたが、今更引っ込みがつかなくなったので、暴走を始め、マスコミへのリークを通じて、間違いを加速させてしまい、どんどん泥沼にはまってしまった。

という解釈をしておられます。(非常に大雑把な説明なので、興味のある人は本を読んでください)

しかし、私などは、このパターンが、2005年のメキシコ大統領選と酷似しているのが、はたして偶然の一致にしては、面白すぎるかと。いや、単なる偶然かも知れませんけど。

さて、その2005年度のメキシコ大統領選。
元メキシコ市長(メキシコ市は特別行政区なので、実際は知事に匹敵)で、支持率70%という圧倒的人気を得ていた左派野党候補AMLOこと、ロペス=オブラドールに対して、突然、検察が暴走して、彼を道路建設の疑惑問題で起訴し、さらに微罪で有罪判決を出すことによって、大統領立候補資格を剥奪しようとした事件です。

この事件も、いったいなにが犯罪になるのかよくわからない、要するに書類記載上のミスみたいな問題で、むろん、AMLO本人がかかわっているとも思えない件です。

けれど、メディアが大ネガティブ・キャンペーンを張り、徹底的にAMLOを叩きます。叩かれると、庶民というのは、そもそもなにが問題なのか、をよく理解してなくても、(というか全然理解していなくても)
「この人って、クリーンだと思っていたのに、実はけっこう腐敗してたのね」
と簡単に思っちゃうわけです。

あげくに、まったく根拠のない学歴詐称疑惑などまで出てくると、それを得意そうに「スペイン語よくわからないんだけど、なんか、あの人、すごい真っ黒でヤバいそうです」などと、ブログやMIXIに吹聴書き込みをする「在住日本人」とか出てくるんだよね。スペイン語わかんないのなら、黙ってればいいのに。(笑)

で、その最中、AMLOを陥れるために、現職の国会議員や知事は訴追されないという不逮捕権を国会決議で剥奪するべく右派政党が密約を結んだことが、なんと、ある新聞にすっぱ抜かれて、大問題になりました。

ここのとこ、日本と違いますね。御用マスコミも多いですが、根性も度胸もある新聞記者も新聞も、メキシコには存在しているという点で。

で、大デモが起こりました。ものすごいネガティブ・キャンペーンの嵐だったにもかかわらず、メキシコ人は案外まっとうな判断力を持っていたわけです。
うちの近所にも、「コヨアカン区はAMLOの不逮捕権剥奪に抗議します」というでっかい垂れ幕が広場や街の壁に。

この100万人以上のデモが大統領宮を包囲したところで、この陰謀劇は終わり。
当時のフォックス大統領は、すべてを検事の責任にして罷免し、新検事総長が、例の土地問題に犯罪性がなかった(そんなこと最初からはっきりしていたさ)として訴追を行わないことを決定したことで、電撃解決です。

で、笑っちゃうのは、それから急に大統領選が電子投票に変更になりまして、集計マシンが例のフロリダの、ブッシュの選挙を有利にした集票機の会社に発注され、その後の大統領選、なんと、49.9%で、やっぱり、AMLOが敗北するという、もう見え見えの結末になったわけです。

で、問題。
遠いメキシコのAMLOと日本のオザワのどこの共通点があるのか?

むろん、メキシコは米国の隣国です。
しかも、小沢氏と違って、AMLOはばりばりの左派です。米国の警戒度が高いのはいうまでもありません。AMLOが大統領になっていれば、ベネズエラのチャベスと手を結ぶ可能性は非常に高いものになりますし、石油産出国として、アメリカにサウジアラビアを超える第二位の輸入分を供給しているメキシコが、第4位のベネズエラと手を組む、というのは、アメリカにとってかなり嫌な事態です。

しかし、それ以上に私が注目しているのは、ラテンアメリカ圏統一経済構想に発展していく可能性のあるALBA(米州ボリバル代替統合構想)です。ALBAは2004年に発足してから現在までに、キューバ、ベネズエラ、ボリビア、エクアドル、ニカラグア、エルサルバドルといった「いわゆる左派政権」を中心にした8カ国が参加していますが、さらに、チャベス大統領は、南米のメルコスール諸国(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ)にも参加を呼びかけています。これは、もちろん、ラテンアメリカ統合を目指したもの。そして、アルゼンチンやブラジル、ウルグアイは、参加はしていないものの、会議に代表団を送るところまでいっています。

なので、ここで、ラテンアメリカの大国であるメキシコの新政権がALBAに加盟すると、ALBAを中心にした、ラテンアメリカ統合構想は、いきなり一気に現実的な色彩を帯びてくるわけです。

これは、ある意味、石油問題より、米国にとっては都合の悪い事態でしょう。

中南米を遠い田舎と馬鹿にしちゃいけません。
パナマ侵攻で、「ちょっと腐敗した程度の大統領」を「天下の極悪人」に仕立て上げて軍事侵攻し、うまくいったその8ヶ月後に、湾岸戦争でも、発端はイラクにあるにせよ、本来アラブ世界で解決するべき地域紛争を、「油まみれの水鳥」「赤ん坊惨殺事件」といった虚報で、アメリカ国民の参戦意識を煽って、戦争が始まっているんですもの。中南米を見ていると、その後の世界の動きと見逃せない関連があるのです。米国は、まず中南米で「実験」をするといっていいぐらいに。

で、小沢氏は、べつにぜんぜん左翼ではありません。また、米国との対等な関係を強調してるとはいえ、いわゆる「反米主義者」でもありません。

基地問題にしたって、世界各国で米軍基地の縮小が起こっている時機でもあり、また、鳩山・小沢がいきなり日米安保条約の撤回を公約にしたわけではない。辺野古や普天間だけなら、米国がそこまで介入するほどの問題ではないことは確かです。

ではなにが問題なのか。そして、あの鳩山氏への異様なバッシングや恫喝は何だったのか?

いちばん米国にとって嫌なのは、彼らの提唱した「東アジア共同体構想」だったのでは?
.....なんて思うのですよね。

テーマ : 時事ニュース
ジャンル : ニュース

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