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「検察の、捜査の名を借りた人権侵害を問う」シンポジウムに行ってきた

昨日、ジャーナリストの岩上安見氏の主宰による興味深いシンポジウムに行ってきた。
前から知っていたわけではなくて、2日ぐらい前にTwitterで知って、内容に興味があったので、急遽、土曜の午後の予定をキャンセル(というか、日程変更して)そっちに浮気したわけ。

前半のパネリストは、岩上安見氏、小堀隆恒氏、佐藤栄佐久氏、郷原信郎氏の4人。

第一部が、「検察の、捜査の名を借りた人権侵害を問う」というテーマで、実際に冤罪と言ってよい事件で検察の過酷な取り調べを受けた、小堀氏と佐藤氏のお話がメイン。

この小堀証言が、圧倒的な凄さだった。
2007年、枚方市の市の清掃工場をめぐる談合疑惑で逮捕された氏は、その後、21日間にわたって、ほぼ拷問と言ってよい過酷な取り調べを受ける。

「言ってよい」ではなくて、あの、ほんとに拷問そのものです。
というか、どこの国際レベルの人権機関でも「拷問」判定するでしょう。

恫喝はもちろん、家族を引き合いに出しての脅迫。
手術直後で持病のある人間から薬を取り上げ、不衛生な環境で感染症を引き起こさせ、高熱の中、なおも取り調べを続ける。語りながら、小堀氏の手がわなわな震えます。

日本の検察はえぐいと聞いてはいましたが、ここまでやるとは、まさに恐怖です。
それでも、克明にノートをとり続け、弁護士の励ましもあり、否認を続けて頑張り通した小堀氏は、無罪判決を勝ち取ります。
http://www.kiku-sakura.net/kobori.html
http://www.kiku-sakura.net/090623shitumon.html

一方、親族や支援者を盾に取られたため、一度は「自白」してしまった佐藤氏は、現在、最高裁まで争うことに。贈賄事件なのに、賄賂額0円(立証できず)の有罪判決です。

このあたり、政治問題とあって、流れと事実関係がけっこう複雑なのですが、岩上氏の絶妙な解説と「通訳」が冴え渡ります。

で、こういう場に、元検察の立場で出てこられる郷原氏。剛胆です。きっとこの人は本当に勇敢なのだな。
本来検察はこうあってほしい、という立場から、現在の検察の歪みとその理由、つまり検察が暴走してしまう論理を語ります。

ある「絶対悪」を想定し、その絶対悪と闘うためなら、少々の犠牲や人権侵害はやむを得ない、という感覚で、絶対悪でもなんでもないものに、その論理を押しつけ、自分たちの書いたストーリー通りの「自白」をさせようとする。

で、私は質疑応答コーナーで訊ねます。
たとえ世界征服を企む悪の秘密結社の首領、みたいな絶対悪がもしあったとしても、法治国家である限り、それは法で裁かれるべきだし、人権は存在するから、拷問はあってはならない。ましてや推定無罪の原則は適用されるべき。
それが通用しないというのは、異端審問のような宗教裁判でしかないわけで、では、現在の検察内部は、一種の「狂信的状態」にあるのか?

「容疑者の人権問題に関しては、その通りです」と郷原氏。
ただし、戦争のような特殊な状況下では、「結果を出すためにやむを得ない」という状況が存在することはあり得る。しかし、そういう特殊な状況でもなんでもないケースを、まるで特殊な状況下であるように扱ってしまう検察が、いまの現状。
それに追い打ちをかける、というか、嬉々として乗っかって虚偽リークを垂れ流す「推定無罪」の意味をまったく理解していない、救いのないマスコミ。
それにまた乗っかって、「犯罪者」家族にひどい中傷を行う日本人。

そして、検察官たちも、「洗脳された狂信者」でもなんでもない。むしろ個々人はふつうの人たち。

「ーただ」と郷原氏。
「閉ざされた世界です。大相撲とか、医科大学のように。『閉ざされた世界にだけ通用する独自の常識』を持っていて、それが世間の常識と乖離していることに気づかない」

私は、ここで、ある有名な心理実験を思い出した。
ミルグラム実験と呼ばれるものだ。そして、スタンフォード監獄実験と言われるものもある。

前者は、後に、スタンレー・ミルグラム本人によって「服従の心理」という書籍にまとめられているが、これは、その「必要性」を感じ、なおかつ、「権威」によって正当性が認証されている環境下において、ごくふつうの人間が(自身が脅迫されたり追い詰められたりしているわけではないのに)、相手を死に至らしめかねないほどの「拷問」を加えるようになってしまう という実験だ。

実際に、ナチの収容所で起こったことは、こういうことだったのではないかと考えられ、アイヒマン実験とも呼ばれている。

スタンフォード監獄実験も同様に、まったくふつうの学生が、「看守」という役割を与えられることで、元の性格とはかかわりなく、どんどん残酷になり、さらにエスカレートして暴走していく、という実験である。この実験を行ったジンバルドー教授は、後に、アグブレイブ刑務所の囚人虐待事件について、解説を行っている。
http://wiredvision.jp/news/200803/2008031323.html

小堀氏の取り調べで起こったことは、ほとんどこれに近いものであったのではないか。

いや、正確に言うと、日本の検察が、まさにいま、閉ざされた世界の中で、ミルグラム実験とスタンフォード実験化しているのだとしたら?
(註:もちろん、私は、検察官を擁護しているわけではない)

(続く)

テーマ : 時事ニュース
ジャンル : ニュース

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