ハイチ

阪神大震災から15年目を目前に、カリブ海のハイチで大震災が起こってしまいました。
地震が少ない国にありがちなのですけれど、鉄骨を入れずに煉瓦だけを積んで作った家が多かったのでしょう。

かつて、ここは、フランス領として、砂糖黍栽培で富み栄え、フランス革命の理念「自由・正義・平等」を信じて、黒人が決起し、米国に先がけて、黒人奴隷解放を行った国です。けれど、フランス革命の理念は黒人には適用されず、奴隷制を復活させようとしたナポレオンと争い、世界初の黒人共和国として独立します。

しかし、この国は、当時、世界のどこからも承認されず、フランスから莫大な賠償金を請求され、挙げ句、米国に占領されてしまうのです。

そして、1957年から86年まで、あの有名な「世界最悪の」独裁者デュヴァリエ一族(ちなみに、「反共の砦」として、この政権をかなりの間、米国はサポートしていました)によって世界の最貧国にまで転落してしまっていた。

そういった歴史だけに、インフラもひどいのは当然といえます。

その後、解放の神学を掲げるジャン=ベルトラン・アリスティド大統領が就任し、貧困問題の解決に努めたものの、最低賃金を引き上げたり、米州学校出身の軍の将校を追放したことなどで軍(というより、その後ろの米国)や資本家(米国籍の億万長者とか)と激烈に対立し、やがて、アリスティド派と反アリスティド派が対立し、暴力抗争が激化する国内混乱の中、合衆国外交官と海兵隊に強いられ彼の意志に反し辞職させられ、追放されます。これが、わずか6年前の2004年1月。
そういう歴史のある国です。

ちなみに現大統領のプレヴァル氏(アリスティド派)が当選した選挙の時も、

開票率90%の段階で、アリスティド系(左派系といってもいい.....アリスティド政権下で首相を務め、第二次アリスティド政権のあと、彼の後継者として、大統領当選)ルネ・プレヴァル候補の得票率48.76%。で右翼系の2位候補がわずか11%。

ハイチの法律では、第一次投票で、ある候補が過半数を獲得すれば、その第一次投票で大統領が決定します。

にもかかわらず、開票率100%の段階では、なぜか、ルネ・プレヴァルの得票は49%にとどまり、大統領決定は決選投票に持ち込まれるという発表。

という事態が起こったような国。

で、この後、ゴミ捨て場から大量のプレヴァル票が発見されたことがきっかけで、プレヴァル当選が確定します。

という事態が起こったような国。19世紀じゃなくて、2006年に。
(くわしくは、http://nobuyoyagi.com/JAPANESE/DOC/mono2006_1.htm#d06up で)

さて。
私自身はハイチに行ったことはないのですが、隣国ドミニカを訪れたことがあります。
イスパニョーラ島をハイチと分かち合うドミニカは、私がかつてPANDORA REPORTで、

スペイン風の街並みの間を潮の香りが通る。夕暮れには年寄りが街路に揺り椅子を出して話し込む。色とりどりの篭に入ったオウム。キャッチボールをする子供たち。商店街のイルミネーション。安っぽいポリエステルのシャツ。藁半紙にくるんだピザ。公園のベンチに置かれたラジカセから果断なく聴こえるメレンゲ。

と描写した地。

haiti naive 2
そこには、たくさんのハイチ人の出稼ぎ労働者の人たちが働いていました。彼らは、フランス語訛りのやわらかい鼻にかかったスペイン語を気恥ずかしげに話すので、すぐにわかるのです。
そんな彼らの誇りは、美しい絵画でした。そういった絵画はドミニカにも持ち込まれて、よく道端で売られていました。

最貧国で絵画?
と思われるでしょ?

haiti naive
ハイチでは、民俗色のある素朴画が盛んなのです。木枠にキャンパスを貼って描かれた油彩ですが、アフリカの色と幻想的な風景が混じる、生き生きとした美しいものでした。
とても素敵だったので、何点か買い求め、家に飾ってあります。
といっても、メキシコの家の方なので、その写真をここにご紹介できないのが残念ですが、ネットで検索したらいくつか出てきましたので、ちょっとごらんになってみてください。
いつか、ハイチに行ってみたいと私はそのとき、サント・ドミンゴの小広場に並べられた絵を見ながら思ったものです。

ハイチの首都、ポルトープランス。
カタカナで書かれると判じ物のような地名ですが、本来の意味はフランス語で「王子様の港 port au prince」。
そして、美しい絵を描く人たちの伝統を持つ、そう、ハイチは、本来は美しく豊かな国だったのです。

あの絵を描いた人たちも、たくさん犠牲になられたのでしょうか。心が痛みます。
それでも、ああいった絵を描ける人たちは、必ず立ち直ってくれると信じたい。

テーマ : 時事ニュース
ジャンル : ニュース

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