紅茶とコーヒー

 東京では、朝夕は涼しくなってきて、熱い紅茶やコーヒーが美味しい季節となってきています。 チョコレートケーキ
 で、つい、くるみとバナナの入った、チョコレートケーキなど焼いてしまいました。

 以前、インドと長く行き来していて、紅茶や紅茶農園に詳しい方から、目から鱗みたいな「紅茶の入れ方」「良い紅茶の選び方」を教えていただいたことがあります。
 日本で、一般的な「正しい紅茶の入れ方」は、熱湯でティーポットとカップを温め、紅茶の葉を入れて、沸騰したお湯を高い位置から注いで、三分ほどおき、高い位置から注ぐというもの。
 これはこれで確かに誤りではなくて、美味しい紅茶が飲めます。
 しかし。
 その方曰く、本当に良い紅茶なら、水出しでも十分、と。
 あるいは、中国茶のように二煎目、三煎目でも大丈夫、と。

 紅茶でそれをやったら、渋みが出て大変なことになると思いますが、「良い紅茶とはそれをやっても渋みが出ない紅茶のこと」なんだそうです。
(でも、たいていの紅茶では、渋みが出ますので、試してみるときはご注意ください。これは、一般小売価格の値段とは、必ずしも比例しません)

 そして、そういう紅茶をそういう風に入れると、飲める飲める。二煎目。しかも、コクと旨味が.........。
(ええ、イメージとしては、安いお茶は高温で入れますが、高級な緑茶って、低温で入れて、香りというより、複雑な旨味のある味わいを楽しむでしょ、ああいう感じ。)

「イギリス式というのは、イギリス人が安価な葉を大量に仕入れて、誤魔化して飲む方法なんです」
 そこまで言うか、という感じはしますが、確かに、前述のを飲んでしまうと、もはや喫茶店の紅茶は飲めません。
 それに、日本人て、茶道の影響と英国に対する憧れがあるせいか、イギリス式といわれると無条件で信じてしまいますが、実際にイギリスに行くと、大半のイギリス人はティーバックの紅茶で濃すぎる紅茶を入れて、苦くなったのを大量のミルクと砂糖で飲んでいますよね。

 で、日本で言うところのイギリス式(たぶん、イギリスの一部での手法を、さらに日本風に洗練させたもの)というのは、香りをできるだけ立てて、味というより、香りを楽しむものという感じがあるのですが、それはそれとして、本当によい紅茶は、香りだけではなく、味が素晴らしいものだったのですね。

 で、紅茶というと、次はコーヒー。
 私は、朝はコーヒー飲まないと駄目な人です。エスプレッソと普通のコーヒーは常備です。
 でも、私たちが飲んでいるのが、いったいどういうものか、あまり考えたことはありません。
 このへん、嗜好品の難しいところで、有機無農薬栽培の葡萄で作ったワインが必ずしも美味しいものではないように、無農薬有機栽培のコーヒーで、感動的に美味しいというのにも巡りあったことはない。
 最近の趨勢なのか(スタバの影響?)、苦みが強いコーヒーが好まれる傾向もあるようですが、あれも、香ばしさが良い感じで出ているというよりは、なんか濃いめの焙煎で誤魔化している感じがするの、私だけでしょうか。

 さて、で、ここでなぜか本の紹介。
 実は大分前に購入して読んでいた本なんですが、つい人に貸してしまって、そのままになってしまっていました。
 「コーヒーハンター~幻のブルボン・ポワントゥ復活」
 ブルボン・ポワントゥといえば、2年ぐらい前にたしか100g7000円だったかの「法外な」値段で売りに出されるも、あっという間に完売した幻のコーヒーです。
 正直、ここまで高いと、ちょっと飲んでみたいという気にもなりません。

 なのですが、この本は抜群に面白いです。
 コーヒー焙煎業の家に生まれ、コーヒー豆の袋の間で遊び、焙煎の香りを嗅いで育った著者は、1975年、高卒でエルサルバドルの大学に留学。そこから当時世界の先端にあったエルサルバドルのコーヒー研究所で研究員となり、結婚もして幸せに暮らすも、内戦に巻き込まれて研究が続けられなくなり、ロサンゼルスのタコス屋の下働き。
 そこを、噂を聞きつけて訊ねてきた日本のコーヒー会社の社長にスカウトされて、日本で初めての、海外コーヒー農園マネージャーとして、世界を渡り歩くようになる。
 簡単に言ってしまうとそういう話なのですが、なんといっても実話なのです。
 そして、この変遷の中で、コーヒーという植物の性質、価格のからくり、コーヒーの品種や分類、どのようにコーヒーが世界で栽培され、商品となっているのか、が非常に面白く解説されています。

 私にとっても目から鱗な情報が山のようにあったといっても過言ではありません。
 そして、エルサルバドルの学生時代に、ふと文献で見つけ「とてもおいしかったが、産出量が極端に低く絶滅した」とされる孤島のコーヒーの存在を心に刻み、数十年後に、名称も変更になって地図から消えていたその島を探し出し、密林の中でかろうじて残っていた原木から、島で絶えていたコーヒー栽培そのものを復活させる。
 なぜ、一般的なコーヒーの価格に比べて、ブルボン・ポワントゥがここまで高くなってしまうのかという点も、産出量の少なさや輸送コストの問題だけではなく、問題の島がEU圏内であったから、という意外な理由も明らかになります。
 そう。EU圏内の労働条件は、日本より圧倒的に良いのです。最低賃金も、週あたりの労働時間数も。だから、輸送コストを除いても、人件費だけでも圧倒的に日本で作るより高くつく。
 つまり、この一冊の本の中に、冒険小説要素あり、コーヒー蘊蓄あり、農業技術やら、南北問題やら、いろいろなことが盛り込まれている訳なんですが、それでいて文章が軽快でテンポ良く、なんたって、圧倒的に本として面白い。
 そういうわけです。
 
 強いて言うなら、私は紅茶やコーヒーの味を決める、かなり大きなポイントは、葉や豆の次に、水がくると思っています。日本の軟水でいれると紅茶もコーヒーもそれなりにおいしいけれど、硬度の高い水では、同じものを入れて飲んでも、別物になる。
 試しにコントレックスで、紅茶を入れて飲み比べてみればすぐわかります。
(メキシコも水がかなり硬いので、紅茶やコーヒーが不味くて、みんなハーブティーとかエスプレッソを飲むのは、たぶんそのせいですね。あと、メキシコに始めて行った日本人が下痢しやすいのも、それが原因のひとつです)
 そのあたりの水についての蘊蓄も(ご存じでないはずはないので)、少しあったら、個人的には嬉しかったかな、と。

テーマ : おすすめ情報
ジャンル : 日記

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