タラとジャガイモの謎

さて、タイトルにはメキシコとありますが、メキシコに限らず、ブラジルやパナマなどでも干しダラ料理はいろいろあります。
いうまでもなく、スペインとポルトガルから伝わった伝統です。

しかも、面白いのは、スペインやポルトガルでタラが大量に漁れるから、食べる習慣があったのではなくて、北欧のタラをわざわざ輸入してきて、手間をかけて戻して食べるんです。

で、そんな地場地消から縁遠いものが、なんで郷土料理なのかというと、スペイン・ポルトガルといえば、大航海時代に勢力を極めた国々。

男はみんな海を目指したと言われた、大航海時代の長期保存食料品として、干しダラが、船上での貴重なタンパク源だったということのようです。
だから、あちらのは日本の骨付きの棒鱈ではなくて、三枚おろしにしたのを干した感じです。
つまり、ひらべったいの。
軽くてかさばらなくて、何ヶ月でも日持ちして、さらに栄養があるというわけね。
バカラオなしに、大航海もスペイン・ポルトガルの植民地支配もあり得なかったといわれたほどの、必須食料だったようです。

ジャガイモもサツマイモもトマトも中南米原産で、当初のヨーロッパには存在していませんでしたし、瓶詰めの殺菌なども19世紀以後の技術でしたから、あとは豆。
この豆食も、スペイン・ポルトガルおよび新大陸で好まれますよね。

上記の食生活は、むろん、大航海だけではなく、以前、敬虔なカトリックでは、金曜日、聖週間やクリスマスなどに、肉食を避ける風習があったことも、強い関連があるようです。

(新鮮な魚が食べられる海外地方以外に住む人たちは、肉が駄目なら、これを食べるしかない)

船乗り以外の人たちにも、そういう理由で広まり、贅沢な料理も作られるようになったわけですね。

私が作った、オリーブオイル・トマト・にんにく・たまねぎ・オリーブなどで鱈を煮込む料理は、おそらくバスク起源のものでしょう。

(大航海時代に活躍した「スペイン人」は「バスク人」が多いのです。そしてバスク人は、料理上手で有名)

予断ですが、同じく大航海時代、壊血病は「船で発生するもっとも怖ろしい病」でした。
(日露戦争で、もっとも大量に日本兵を殺戮したのが、ロシア兵ではなくて脚気だったというような話です)

後に、スペインとポルトガルは、新大陸の「ジャガイモ」を食べると壊血病にならないことに気づきます

(ちなみに、イギリスは「レモン」、ドイツは「ザワークラウト」を食べるとで、やはり壊血病を防げることに気づきます)

なぜか、バカラオ(干しダラ)料理にジャガイモが添えられることが多いのは、それが関係あるのかも。もちろん、バカラオの塩味とジャガイモってとっても合うから、単純に美味しいのですけど。
バカラオとジャガイモのコロッケって、ポルトガル料理の定番前菜でもあります。
(ああ、食べたくなっちゃったな。タラの残りで作ろうかな)

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