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裁判員制度にさらなる問題

裁判員制度に関しての、これまた冗談で済まない話が出てきております。

もうひとつ,全く報道されていない問題・リスクについてお知らせします。千葉地裁や大阪地裁では,国際空港で検挙された規制薬物の密輸入事件が起訴されています。

これらの事件は主に外国人が犯罪組織を背景として,いろいろな手段で税関の目をかいくぐろうとするもので,裁判員対象事件です。私選弁護人を頼むことなどできないであろう被告人に私選弁護人がつきます。つまり,犯罪組織が弁護士を雇って送り込んでくるというのが実情なのです。

そして,傍聴席には一目で堅気とはいえない人間が姿を見せます。もしその気になれば,裁判員の顔を覚えてから,夕方に裁判所の門前で裁判員を待ちかまえて尾行すればどこの誰かということなどすぐにわかるでしょう。

裁判所庁舎内では民間警備会社に依頼して裁判員の身辺をガードするという話が出ています。しかし,裁判所の敷地を出ると全くの無防備になります。せめて,タクシーで帰宅できるというのならまだましかもしれませんが,交通機関を利用して自分の足で帰らなければならない裁判員の身の上は極めて危険な状況に陥ると言わざるを得ません。

さらには,通訳事件である裁判員裁判の問題です。通訳人を付した模擬裁判員裁判も行われましたが,それについて報道はされていないと思います。それというのも,報道できるような結果ではなかったからです。従来の裁判に比べて通訳能力に格段のレベルが要求されます。しかし現実は到底無理とのことです。

法廷通訳人を引き受けている方々からは,通訳事件は裁判員裁判の対象から外してほしいという声が出ているのです。通訳が必要な否認事件であれば,そんな3日から5日で終わるという幻想など吹っ飛んでしまいます。

保坂展人のどこどこ日記
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/efdd7c9f1ee4b425c56ed4ef84ef3d9a

外国人事件に限らなくても、暴力団関連は、裁判員になるのいやでしょう、誰だって。
でも簡単には拒否できないのですよね。
顔を覚えて後をつけられたら、心配するべきは、裁判員の身の上もさることながら、家や家族や職場を知るのも簡単だから、脅迫だって簡単だということだ。ジョン・グリシャムの小説が実話になってしまう。

裁判員制度、走り始めてから考えるのは、遅いともいえるが、考えないよりはずっといい。

そういう矢先に、京都教育大学の集団レイプ事件です。
目を覆いたくなるのは、計画的そのものとしか言いようのない事件そのものの悪質さもそうですが、学校側の対応も「レイプは大したことではない。むしろ、加害者側の学生の精神状態や将来が心配」と言わんばかりです。
しかも、おそるべきは、早速ネット上で、被害者を中傷するような書き込みが多発しているという残念な事実。
こんなんだから、性犯罪被害者は、被害そのものの苦痛に加えて、何重もの苦痛に耐えなくてはならないのです。

裁判員制度に関しての、まとめサイトができたようなので、こちらにご紹介。
http://www.h6.dion.ne.jp/~half-2/saito/index.html

最高裁判所の(証拠となる文書回答は拒否して、口頭のみの)回答、驚きです。

・名字・名前は出さずに、まず「被害者は28歳の新宿区在住女性」などとぼかして説明する。

・知り合いに心当たりのある候補者には名乗り出てもらう。(手を挙げて貰うという表現でした)

・名乗り出た候補者に対し、別室で「心当たりのある女性はなんという名前ですか?」と聞いて確認する。

一件、まっとうなように見えなくもないですが、性犯罪被害者は被害に遭ったことを隠すものです。
「思い当たる人、手を挙げて」といわれても、さほど親しくない人ほど、そういうことを知らないわけで、そういう「さほど親しくない」程度の人に知られるっていうことが苦痛となるのだ、ということが根本的にわかっていらっしゃらないようです。

しかも、これは、あくまで例。最高裁から一定の方針は示す予定はないそうです。地裁の判断に任せられるとのことで、願わくば、京都教育大の学長みたいなメンタリティの裁判官がいないことを、被害者は祈るほかはないということです。

テーマ : 気になったニュース
ジャンル : ニュース

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本当に裁けるのだろうか

 愛犬家連続殺人 (角川文庫)(2000/09)志麻 永幸商品詳細を見る これも恐ろしい事件だった。 詳細を思い出すには、ちょっとしたきっかけがあればよい。 それほど印象深い事件だった。 昨年8月にこのような記事を書いている人がいる。 よく調べたものだ。 ...

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京都教育大は何故、公然わいせつと発表したのか

 京都教育大が「公然わいせつ」だと公表したのは、「複数の男性(強姦側)の目前で、陰毛・性器を露出し、さらに性行為に及んだ女子生徒(強姦の被害者)が、加害者だ」と主張する意味です。つまり、京都教育大側ははっきりと「悪いのは女子学生(のみ)だ」と断言しているのです。これが公然わいせつの意図。

 京都教育大側は、女子学生に対して「これ以上騒げば、君を公然わいせつで府警に告発するよ。府警は君を逮捕し、君は有罪となるだろうね。そして、そうなれば大学側も君を退学処分にしなければいけなくなる。黙って引き下がれば『教育的配慮』で告発も退学処分にもしないが、どうかね。」と恫喝しているわけです。

 この大学側の行為は、強要罪や犯人隠避罪に該当するが、これに対して京都地検がどう動くかは注目に値します。本当ならば、法の平等の下で学長以下逮捕されなければならないが、政治的圧力でうやむやにされるのではないでしょうか。

 そう言えば、テレビで公開している「準強姦で逮捕された被疑者」の顔写真は全員分ではなかったような気がします。

公開されていない一人

顔写真が公開されていない一人は、父親が茨木市教委幹部で、しかも、どういう理由で停学になっているのか理解していないわけではないだろうに、その停学期間中に、その親の推薦で、学童保育の指導員として働いていたとのことですね。
http://www.asahi.com/national/update/0604/OSK200906030159.html

開いた口がふさがらないとはこのことですが....学長にしても親にしても、レイプという重罪と、カンニングや未成年喫煙程度の微罪の区別がついていないのかと思います。

おめでとうございます

 新聞で「性被害者に事前に裁判員候補閲覧させる」との報道。まだまだ非常に不十分でしょうが、最高裁がかつてこんなに早く動いたことがない(大抵は数十年単位)ぐらい早く動きました。このブログの記事の成果だと思います。

No title

はじめまして。
http://www.h6.dion.ne.jp/~half-2/saito/index.html
を立ち上げた、akiraと申します。
サイトをご紹介いただきありがとうございました。

多くの方が関心を持ってくださったことで事態が動き出しました。
しかし、この問題はまだ終わってはいません。運動も続いています。
今後も、事態の推移を見守ってくださいますようお願い申し上げます。
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