日本がどういう国かというと

今回の豚インフルエンザ騒動で、数字がころころ変わったことに見られるように、メキシコというのは、かなり「いい加減」な国である。
私が何度かこのブログでも指摘したように、政治家の腐敗ぶりも大きい。

しかし、どうしようもない国かというとそうではない。
かつて(それも、ちょうど4年前のいまごろ)、左派PRDの大統領候補ロペス=オブラドールが非常に人気を呼んでいて、次期大統領の有力候補と見なされるようになったとき、当時の与党PANのフォックス大統領は、最大の強敵となるこのロペス=オブラドール候補に対して、法律違反をでっち上げて逮捕しようとした。彼が逮捕され訴追されると、メキシコの憲法において自動的に大統領候補資格を失うからだ。

このとき、しかし、政権の息のかかったメディアの大ネガティブキャンペーンにもかかわらず、メキシコのいくつかの新聞は、ロペス=オブラドール側に立ち、検察の恣意的立件に異を唱えて、徹底して擁護の論陣を張った。

もし、このようなことが実行されるとしたら、それは、差別である。
過去にそのような命令にそむいたと言う理由で、犯罪とされた政治家は誰もいない。
 La Jornada 2005/2/07

そして、ロペス=オブラドール支持者は街頭デモに立ち、抗議デモには数十万人が参加した。

やがて、Milenioという根性のある新聞が、この立件そのものが「与党(極右)PANの内務相とPRI(前与党・右派)のロベルト・マドラソ党主が、過去のお互いの選挙違反を追求しない。また、(1968年の学生運動弾圧事件で殺人容疑で告発されている)前エチェベリア大統領の裁判も無罪にする、という交換条約で、AMLO訴追のための密約をした」とすっぱ抜く。

かくして、大統領は、この立件を撤回し、検事を更迭せざるを得なくなった。

......メキシコにはそういう熱いところがある。

ところで、ここに掲げた La Jornada氏の文章は、そっくりそのまま今回の小沢氏秘書逮捕に当てはまる。
大きな違いは、日本ではほとんどすべてのマスメディアは、付和雷同で我も我もと小沢潰しに走ったということだ。
そして、民主党に支持率がそこそこあるとは言っても、デモに立つような支持者だっていはしない。それどころか、共産党や社民党までが、目先のライバルを叩けるとなると、自民の尻馬に乗ってなんとか目立とうとしているみっともなさときたものだった。

しかし、日本がそのような国であることを、ずっと前から百も承知して、その上でその日本政治のただ中でかき回そうとしていたのが、小沢一郎という人だろう。
だからこその、このタイミングの辞任、なのかもしれない。

 小沢一郎代表の辞任表明は、検察への牽制になることは間違いない。辞任表明で世論の中にも、「小沢潔し」という声も生まれてくるだろう。日本人は追い込まれた格好の側をひいき目に見る特性もある。

 そうした状況の中で、検察は起訴した公設秘書、大久保隆規・被告人の公判の冒頭陳述で下手なことを言えなくなる。そこで確たる証拠を示すことができなければ、「そんなことで野党第1党の党首の秘書を逮捕・起訴したのか」となり、批判の矛先が今度は小沢氏から検察に向かうことになるだろう。
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090511/194290/
 「小沢潔し」で、矛先は検察に向かう:日経ビジネスオンライン

小沢代表が会見で明確に述べたように、小沢代表は引責辞任したのではない。西松事件に関する検察捜査の不当性を指摘しつつ、何よりも「政権交代実現」を優先し、民主党の挙党一致体制を確保するために辞任の決断を下したのだ。

麻生首相が小沢氏辞任の意味を理解できない旨の発言を示したが、漢字を読めないだけでなく、日本語の意味もよく理解できないのではないかと思われるコメントであった。

小沢代表が辞意を表明したことで自民党は攻撃の手掛かりを失うことになる。また、民主党が小沢氏辞任により、挙党一致体制を回復することができれば、最大の逆風を順風に変えることができる。
 http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-8edf.html
 植草一秀の『知られざる真実』: 逆風を順風に転じさせる小沢民主党代表の英断

 小沢辞任で追い込まれたのは、間違いなく自公政権であり、それを支持して
きたメディアなのだ。

 しかし、民主党もまた追い込まれることになる。民主党の対応如何では、
民主党は壊滅的に追い詰められる。

 なぜならば、小沢一郎の後を継ぐ党首が誰になるか、またその党首の下で
結束を図れるか、という大問題が間違いなく表面化するからである。

 そしてまさしく自公政権とメディアはそこをついてくるに違いない。次なる
自公政権の標的はそれしかない。そこを攻めない限り、自公政権は窮地に
立たされるからだ。
 http://www.amakiblog.com/archives/2009/05/11/#001389
 小沢一郎よ、桧舞台で舞を踊れ | 天木直人のブログ

ちなみに、その4年前のメキシコの大統領選。
大デモの余勢で波に乗ったかと思ったロペス=オブラドールは、最後の大統領選でまさかの敗北を喫した。この理由として、与党側の選挙違反や開票の操作も取り沙汰されたが、最大の理由は、その土壇場で、彼を担いでいた万年野党PRDの腰が引け、分裂してしまったからだった。

さて、それで、日本はどうなのか。
ここで、肉を切らせて骨を断つことができるかどうか、民主党が試される。

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