ハバナの証人

さて、話少し戻る。
キューバでも少しライブを見に行った。

それなりにけっこうメンが割れているので、かなりのライブは顔パスで入れるのだが、「少し」というには訳がある。

最近、キューバに観光客がどっと増えて、不良キューバ人もまた増えている。
こういう連中はもちろん昔からいたのだが、最近、日本人も大量に来ていて、しかも日本人は無防備な傾向があるので、日本人女性に狙いを定めている連中も増えたということだ。
つっても、しょせんは、治安のいいキューバ、べつにレイプされたり強盗に遭う訳じゃなくて、口説かれてタカられる程度なんだけどね。ま、そういうわけでは、日本人て、海外では気前がいいというわけ。

で、こういう連中はミュージシャンではないので、私の顔を知らない。ゆえに、私が会場にいるとうだうだ話しかけてくるので、ウザいわけ。
とくにサルサ系のライブに行くと、追い払うはじから若い男がやってくるので、まるで私はティーンエージャーに若返ったような錯覚に陥ってしまうという問題があるのである。(違うって)

なもんで、エスコートしてくれるキューバ人がいないときは、あんまり最近はライブに行かないようになったわけ。もうおばさんですな。

といいつつも、今回は、いきなりトローバ系の人たちと出会ったせいもあって、半強制的にいくつかのライブに連れて行かれてしまった。
幸い、トローバはまだキューバ人のもので、観光客はほとんどいないので、ここにはうざい連中もいない。

若手のトロバドールたち、メキシコでもCDデビューしたばかりのペペ・オルダス、ヘイディ・イグアラダ、アリエル&アマンダ、エドゥアルド・ソーサ等。
ヌエバ・トローバ第一世代が、もはや若くも何ともなく、「ヌエバ(新しい)」というよりは、「ソシアル・クラブ」年齢に近づいてきちゃっていて、第2世代たるカルロス・バレーラ(久々に会ってご飯食べたら、K-1デビューできそうな体型になっていてびっくりしたよ)も、おっさんになっちゃって(そういう私もおばさんだ)いるが、若手が順調に育ってきているのは頼もしい。
特に、個人的には、エドゥアルド・ソーサは特に注目株だな。
で、結局、ゲストで歌わされている八木なのだった。

と。
「うわぁっ! 久しぶりっ!」
とドスの利いた声で叫ぶ、強烈なおばさん一名。サラ・ゴンサレスであった。
「やっと捕まえたぁ! ねえ、ちょっとみんな、聞いてよ聞いてよ、聞・き・な・さ~~~~い!」

この人は女性としては唯一のヌエバ・トローバ第一世代である。
すごい迫力で歌う人である。
で、その人に、腕をぐいっと捕まれて放してもらえない。大岡越前の前に引き出された鼠小僧二郎吉みたいである(違うって)

「忘れもしない、あれは、1990年のことだったわ」と、ライブ終了後、むりやりみんなを集めて(というか、怖くて誰も逆らえない)語り始めるサラ。
「シルビオ(・ロドリゲス)がうちに電話してきて、日本人なのにトローバを歌う子がいて、今ハバナにいるから、ぜひ紹介したいって言ってきたの」
(そんな話は初耳だ)
「でも、そのとき私はすでに彼女に会ったことがあったから、こう言ったの『その子なら、もう知り合いよ。それに私、明日、サルバドール・アジェンデのお葬式に出席するからチリに行かなきゃいけないの』.....それで、チリに言ってみたら、びっくり、なんと彼女がいたのよ~! ドッペルゲンガーかと思ったわ」

そのときは、いったんキューバに行ってから、拙著『禁じられた歌』を書き上げるためにチリに行ったんだよ。
で、サラのライブがあったので、顔を出したのは本当だ。
ここからは本にも書いてある。

「で、ライブに誘って、一緒にステージに立ったら、右翼が乱入してきて、発砲されたのよ」
そうそうそうそう。そういうことあったよね。てか、なぜか去年の秋ぐらいから、やたらにこの話題が蒸し返されてるなあ。

「彼女もその場にいたわけ。証人。だからこれは作ってるンでも、大袈裟に話してるンでもないのっ!」
うんそう。それはそう、確かにそう。で、あのときのサラはかっこよかったぜぇ~!

というわけで、ひさびさにトローバにどっぶり引き戻されている八木なのであった。

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