陰謀論が出ているな

中川氏「酒癖」で過去にも失態
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=753338&media_id=2

援護したい人の間では、出てますねー、陰謀論。

陰謀論って便利ですよ。自分に都合の悪いことはみんな陰謀にできるから。で、証拠がないのも、陰謀だからってことにできるので。

では、例の中川氏問題を陰謀ではないか、という観点で見てみましょう。
結論から言うと、陰謀の存在自体はあり得ないことではないと思います。

しかし、この場合は違うでしょう。
その理由を述べます。

まず、CIAなり中国が本気で政治家をハメるのであれば、こんな手を使うメリットはあまりないということ。

結果的に中川氏は辞任しましたが、それはその後の対応があまりにも愚かだったからであって、本人なり周囲のスタッフがもう少し利口なら、100% 辞任に持ち込める可能性があるわけではないし、そして、彼のような2世系の政治家をハメるのであれば、むしろ、恐喝などによって口をふさぎ、味方につけて駒にする方が、はるかにメリットが高いからです。

(日本の外交官や政治家は、下半身問題に関しては、あきれかえるほど馬鹿で警戒心のない人が多いので、すでに駒にされている人はなんぼでもいるでしょう)

第二に、陰謀であるなら、このケースでは、彼は、なんらかの「麻薬系のものが混入した飲み物」を飲まされたことになります。

確かに、ある種のドラッグ(マリファナとかLSDとか)を酒に混入すると、ごくわずかの酒(たとえばグラス半分のワインやカクテル)でも、通常なら相当酒に強いはずの人を、立てなくなるほど酩酊させることはできます。

つまんない話ですが、私はこの件は、過去(中米が戦争中で、CIAやらなんやらが暗躍しまくっていた時代に)、修羅場をくぐっていた時代があるので、この件については、よ~く知っていますとも。(爆)

で、残念ながら、この「一服盛られた」説が、この場合当てはまらないのは、以下の理由によります。

1. 液体に溶かされたドラッグは、きわめて速やかに吸収されます。つまり、もし、一服盛られたのであれば、中川氏は、飛行機ではなく、会見直前にアルコール性の飲み物を(たとえグラス半分でも)飲んだことになるわけで、当然、その飲み物に心当たりがなくてはなりません。また、会見直前に、グラス半分でもアルコールを飲むのは、重度のアル中ででもなければ、ふつうありえないでしょう。

2. 直前に飲んだ飲み物に心当たりがあるなら、にもかかわらず、飛行機の中で風邪薬を規定の倍量飲み、かつ少量のアルコールを(ゴックンほどでなくても)口にしたなどという「嘘」をわざわざついたことになります。

日本は、患者が医者にいろいろ質問することは少ないし、患者に薬の成分を知らせるようになったのは最近のことなので、安易に「風邪薬は風邪薬、成分は知らない」という人が多いですが、欧米では(メキシコあたりでさえ)、一般人でも、処方箋薬については、薬の成分についてのある程度の知識があるのが普通だし、処方薬を規定量以上飲んではならないこと、微量であっても抗生物質をアルコールと一緒に飲んではならないことは、子供でも知っている常識ですから、それを言い訳にすること自体が、「重度のアル中」と疑われても仕方がないことです。
もう、それ自体でアウトなのです。
なぜ、そんなバカな言い訳をする必要があったでしょうか?

しかも、問題の風邪薬が、本人の進退だけではなく、国の信用に関わる問題であるにもかかわらず、その成分が公表されていないのは、不自然です。

3. では、さらに100歩譲って、医者にもらった風邪薬が、遅効性のカプセルにすり替えられていたとします。むろん、ぜったいあり得ないことではありません。
だとすれば、他の薬をすぐに検査したのでしょうか。疑いがあるなら、それをやるべきでしょう。

4.そして、最大の理由です。

一服盛られて、酩酊状態になれば、すぐに自分でおかしいことに気がつきます。明らかにね。(はっきり言ってやろう、経験者が語っているのだ)

酒をほとんど飲んでいないにもかかわらず、目が回る、膝がガクガクする、感覚が異常になるなどの「普通ではない」状態になるからです。で、それを自覚した時点で、体調不良を理由に、会議なり会見をキャンセルすることはできたはずだったからです。
ましてや大臣には複数のスタッフがついています。明らかに「ふつうの状態でなければ」、出席を止めさせられたでしょう。
譲って、風邪薬の件が本当だったとしても、です。

それがなかったのはなぜか。
それは過去の彼の経歴が語っています。

彼はいままでにも、酩酊するほど酒を飲んで重要な晩餐会や会議に出席することがしばしばあり、それが日本国内では、さほど大きな問題とまでならずに通用してきたので、たぶん、今回もやってしまっただけのことです。

ただ、日本という国の文化は、泥酔者に非常に甘い文化です。酔っぱらって大声を出したりカラんでも、少々のことは「酒の上の過ち」ですまされる文化です。
ましてや、極めて日本的な自民党という政党で、しかも大物政治家を父に持つ彼だから、極めて日本的に少々のことは許されてきたのでしょう。そして、側近もそのことを注意できる状態ではなかった。
よほどのイエスマンばかりを回りに置いていたのか、回りも半酩酊の大臣に慣れていたのでしょう。

一方、ヨーロッパやアメリカは、公衆の面前での泥酔は、そのこと自体「許されない」行為です。
ましてや政治家ではありえないことです。
ほろ酔いでの弁舌はかまわない。しかし、ろれつが回らなくなるほど飲むのは、まともな教育を受けた紳士であれば「ありえない」

かつてサルコジは酔っぱらって演説していたと、涙ぐましく中川大臣をかばう声も聞こえますが、「ほろ酔い」と「ろれつのまわらない泥酔」は根本的に違います。
また、ブッシュ大統領が来日時に、晩餐会で嘔吐した件と比べる声もありますが、嘔吐は病気の一形態であり、泥酔とは根本的に違います。
病気で会社を休むのは(たとえ仮病であっても)許されますが、泥酔で会社を休んだり、株主総会に出席すれば、首にされても文句は言えない、ということです。

いっそ、中川氏が、「ろれつの回らない口調でぐたぐた喋る」のではなくて、あの場で嘔吐するなり昏倒するなりしてくれていたら、かえって「急病」であったことにできたので、むしろ、辞任に至らなかったともいえます。

こういう比較にもならない庇い方は、かえって、かばう方の愚かさが見苦しいだけとしか言いようがありません。

そして、最後に。
もし、これが「謀略によって一服盛られたのであれば」、そのこと自体が「ただ事ではない」ことは、会見中、および、会見直後に判明しているはずです。

ですから、だいぶあとになって、いい大人が風邪薬の使用法も理解していなかったの「口はつけたがゴックンしてない」というような、情けなくも愚かな言い訳をするのではなくて、会見直後に「脳神経性の一時的な病気」なり「脳梗塞の疑い」にして緊急入院させ、それが「本人のせいではなく、病気のせい」であったことにできたでしょう。

それがなかったということ自体、本人も周囲も、外国のメディアで叩かれ始めるまで、この会見が辞任に至るほどのバッシングを受けうる問題になるという自覚をまったく持っていなかったことを意味します。

なぜ自覚がなかったか。
つまり、薬は盛られていなかったのです。

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