シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その3)
日本をしばらく留守にしていたこともあり、間が空いてしまいました。申し訳ありません。
遅くなりましたが、明治大学シンポジウムの続きです。
東中野セントアンジェラ・クリニックの植地泰之院長、国立遺伝学研究所川上浩一教授、吉田統彦衆議院議員に続いて、医師であり作家の海堂尊氏の登壇です。

海堂尊氏は、医師であるとともに、作家としては映画化やドラマ化もされ累計1080万部という大ベストセラーとなった「チーム・バチスタ」シリーズで有名な方。
そのバチスタ・シリーズ最新作という形で、このシリーズ登場人物を登場させて、日本のコロナ対策を痛烈に批判した「コロナ黙示録(2020年)」「コロナ狂想録(2022年)」「コロナ漂流録(2022年)」のコロナ三部作をコロナ禍の中で出版もされています。
その海堂氏は、1997年、外科医から病理医に転身して、当時最先端だったPCRの研究で博士号をとられています。
個人的な話になりますが、八木はコロナ禍初期の頃、別件の打ち合わせでお会いした海堂氏に、後に問題になる医療記事を参考に「PCR検査って感度が70%ぐらいで、擬陽性などが出るらしいですよね」などと口走ったがために、海堂氏の眦がキリッと上がり、そこに直れとばかりに、喫茶店で紙ナプキンをメモにPCRの原理について延々と 懇切丁寧なご説明を受けたことがあります。
なので、政府が最初の頃に言っていたPCR検査の問題点というものが、もうめちゃくちゃだということをよくわかっておられたと。そのレベルの低いデマや行き当たりばったりの対策に対する医師としての怒りを原動力として、コロナ三部作を、それぞれ執筆期間2ヶ月ぐらいで書き上げたのだそうです。結果として、この三部作は、フィクションでありながら、それぞれ当時の空気を濃厚に反映した記録となったわけです。

まず、第1フェーズとして、「謎の病原体」としてのコロナが登場したとき。
川上先生と同じく、最初にPCR抑制をやったのは、これはもうとんでもない話だと。
すなわち、衛生学の基本はすごくシンプルなもので、感染症が入ってくる前、つまりゼロの時に完全にシャットアウトする。
実際に、日清戦争の後で、北里柴三郎先生と後藤新平大臣が検疫システムを一生懸命作ったおかげで、コレラが入ってくるのを、見事な検疫で防いだという例がある。
ところが、そういった経験が全然生きておらず、令和の日本はそこがザルであった。なぜなら、コロナを判別するちゃんとした検査はPCRしかないのに、そのPCRを症状がある人に適応することができない仕組みをわざわざ作った。しかも、その問題を指摘されても直そうとしなかったことです。
保健所とクリニックを何往復もさせられたという初期の設計などは、これはもう衛生学的にも馬鹿じゃないかと思えるような話だと。
第2フェーズは、感染がもう広がってしまって、もはや排除できない状態。つまり、共生の段階といえます。
そうすると、ワクチンを打って感染予防をしながら、重症者をちゃんと引き取る病院システムを作り、さらに、社会全体で感染をできるだけ抑止するようシステムを作らなければなりませんが、これらの仕組みも、終始一貫しておらず、もうぐちゃぐちゃだったと喝破されます
つまり、菅政権の時代、五輪を強行するかしないかということで揉めたあげく、結局、五輪をやって大パンデミックになって、医療崩壊してしまった。
そもそも緊急事態宣言をして人流を止めようとしながら、五輪をやる。これは論理破綻だと。
さらに今の岸田政権というのは、レッセフェール、何もしない、なすがまま。第9波と言われていますが、それが本当なのかどうかというのも疑問だと言われると、誰も答えができない。

一つ画期的なのは、今回のコロナ禍では、ワクチン開発がすごく早かったことだと。
コロナの分子塩基配列が発見された直後に公表されたのは、1997年に分子生物学を研究していた海堂氏としては、時代がここまで進歩したんだと本当にびっくりするような話だったそうで、その速やかに公表された塩基配列を元にワクチンができたわけですから、そこのところはすごい大変な科学の進歩によるものだったと思われた。
これらワクチンが果たしてそれほど有効だったのかどうかという疑念もいろいろ出ていますけれども、おおむね統計学的な解析によれば、ワクチンはコロナの抑止に大変有効だったのではないかと言われているけれど、一つ、残念なのは日本は色々と感染者などを調べていましたし、ワクチン接種もきちんと管理してやっていたわけですから、その人たちの追跡調査をすれば、本当にワクチンの効果というものが客観的に調べられたはずです。
でも残念ながら、厚労省や政府はそれをきちんと学術的に解析するような土台を作ってこなかった。
これは、前々から言われていたことなので、無理だろうとは思っていましたが、非常に残念です、と。
そして、大阪。
大阪は非常に危険で、皆さんも忘れている人も多いのかもしれませんが、とにかくアンジェス社が出てきた時から、海堂氏はこれは相当ヤバいなと思っていたのだそうです。
いまも忘れられないイソジン事件に雨合羽。イソジン吉村に雨ガッパ松井と呼ばれているという.....そんな彼らがアンジェス社を持ち上げて、オール大阪などと言って国産ワクチンを作ろうと打ち上げたわけです。
でも、結果としては1年後にはワクチンの有効性を確認できず、仕切り直しと言っている。そして2年後にはコロナワクチン開発断念。
ここで海堂氏の怒りが。
「これはですね、私は物書きで、他の先生方と違い、あまり責任がない立場です。まして特に国からお金をもらっているわけではない。
なので胸を張っていますが、控えめに言って、100億円の税金泥棒だと思います。こういったシステムを許してはいけない。これが私の今の基本的な怒りの感情です。なぜかというと、その100億円は、皆さんがお金を出した税金が原資です。我々のお金です。
我々が、例えば吉田(統彦)先生の話を聞いて、アンジェスみたいな会社にワクチンを作ってくれるためのお金を出そうと思いますか?そ ういうシンプルな話です。ところが厚生労働省や政府が絡んだりすると、そういうふうにシンプルにいかない。なぜか知らないけれども、おかしなことにお金が使われる。
その結果、五輪でも相当無茶なお金の使われ方をした。その再来、というか繰り返しで、大阪万博でも同じことが起こるでしょう。
これは断言します」

海堂氏は2011年に「ナニワ・モンスター」という小説を書いておられて、この本は、コロナが最初に流行った頃に、今の現状を予言した書ではないか、と話題になったことが一瞬ありました。
でも、海堂氏によれば、これは、2011年当時の豚インフルエンザの体たらくをできるだけ厳密に描写した作品だったのだそうです。
つまり、この2011年に厚労省がやったことが、コロナで同じように繰り返されたのです。
ということは、例えば10年後に新しい感染症が来た時に、きっとまた同じことを繰り返すのではないか。
海堂氏が基本的に厚労省を信用していないのは、Ai(オートプシー・イメージング)というシステムを死亡時医学検索で導入しようとしてきたときの経験が基になっています。
Ai(オートプシー・イメージング)とは、ご遺体をまず画像診断するというシンプルなことで、当時、死体を調べる検査法としては解剖しかありませんでしたが、それがわずか1%しか行われていない状態、つまりシステムとして崩壊していた。そこで画像診断をしたら、システムが建て直せるだろうと思ったのだそうです。
つまり、検案とAiを一体化して、Aiセンターで画像診断して、解剖を振り分けるという方式です。画像診断をやれば解剖しなくてすむ例も出てくるわけです。しかし、結局それは頑強な抵抗に遭って拒否されて、複雑怪奇なシステムが生き残り、その従来のシステムのところに補助金を入っている。
2010年に日本医師会が、年間5000人の小児死亡例全例にAiをやることは5億円の予算でできるので、これでかなりの小児虐待がわかり、抑止につながるだろうという答申を出してくれても、厚労省はこの提案もうやむやにした。
こういった年間5億円のお金を渋るのに、なぜ、アンジェスみたいな会社にぽんと100億円を出すのか、というのが基本的な怒りがあるのだそうで、結局、衛生学の基本を無視した政策が社会を混乱に導いたということは、ほぼ間違いなく言えることです、と。
最後に、権力監視の役割を怠ったメディアがこうした情勢を助長していることにも言及されました。
海堂氏がニュースZEROという番組に出演した時に、当時の安倍内閣の政策に批判的な意見を言おうとしたら、プロデューサーの人がいろいろと手を変え、品を変え、直前の打ち合わせで話を変えていって、結局その発言は封殺されました。
また、日経新聞のウェブサイトで連載をしていた時、厚労省のコロナ対策に批判的なことを書いたら、健康サイトではそういうことを書くなと言われた。
そういうようなことが行われているのだと。
つまり、メディアの権力に対する忖度がこのようなことを助長していることは間違いない、 逆に言えば、メディアが堂々と権力を批判すれば、日本はまだ良くなる可能性があると思います、と。
「大阪の問題点は、維新がテレビメディアと一体化して政権を維持している。しかも、結果責任を取らない無責任行政である大阪万博、大阪カジノの強行で、大阪はディストピアとなるであろう....その時、張本人の人たちは責任を取らず、きっと高みの見物をする。これは、海堂の予言です」
(続きを読む)
シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その1)を読む
シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その2)を読む
遅くなりましたが、明治大学シンポジウムの続きです。
東中野セントアンジェラ・クリニックの植地泰之院長、国立遺伝学研究所川上浩一教授、吉田統彦衆議院議員に続いて、医師であり作家の海堂尊氏の登壇です。

海堂尊氏は、医師であるとともに、作家としては映画化やドラマ化もされ累計1080万部という大ベストセラーとなった「チーム・バチスタ」シリーズで有名な方。
そのバチスタ・シリーズ最新作という形で、このシリーズ登場人物を登場させて、日本のコロナ対策を痛烈に批判した「コロナ黙示録(2020年)」「コロナ狂想録(2022年)」「コロナ漂流録(2022年)」のコロナ三部作をコロナ禍の中で出版もされています。
その海堂氏は、1997年、外科医から病理医に転身して、当時最先端だったPCRの研究で博士号をとられています。
個人的な話になりますが、八木はコロナ禍初期の頃、別件の打ち合わせでお会いした海堂氏に、後に問題になる医療記事を参考に「PCR検査って感度が70%ぐらいで、擬陽性などが出るらしいですよね」などと口走ったがために、海堂氏の眦がキリッと上がり、そこに直れとばかりに、喫茶店で紙ナプキンをメモにPCRの原理について
なので、政府が最初の頃に言っていたPCR検査の問題点というものが、もうめちゃくちゃだということをよくわかっておられたと。そのレベルの低いデマや行き当たりばったりの対策に対する医師としての怒りを原動力として、コロナ三部作を、それぞれ執筆期間2ヶ月ぐらいで書き上げたのだそうです。結果として、この三部作は、フィクションでありながら、それぞれ当時の空気を濃厚に反映した記録となったわけです。

まず、第1フェーズとして、「謎の病原体」としてのコロナが登場したとき。
川上先生と同じく、最初にPCR抑制をやったのは、これはもうとんでもない話だと。
すなわち、衛生学の基本はすごくシンプルなもので、感染症が入ってくる前、つまりゼロの時に完全にシャットアウトする。
実際に、日清戦争の後で、北里柴三郎先生と後藤新平大臣が検疫システムを一生懸命作ったおかげで、コレラが入ってくるのを、見事な検疫で防いだという例がある。
ところが、そういった経験が全然生きておらず、令和の日本はそこがザルであった。なぜなら、コロナを判別するちゃんとした検査はPCRしかないのに、そのPCRを症状がある人に適応することができない仕組みをわざわざ作った。しかも、その問題を指摘されても直そうとしなかったことです。
保健所とクリニックを何往復もさせられたという初期の設計などは、これはもう衛生学的にも馬鹿じゃないかと思えるような話だと。
第2フェーズは、感染がもう広がってしまって、もはや排除できない状態。つまり、共生の段階といえます。
そうすると、ワクチンを打って感染予防をしながら、重症者をちゃんと引き取る病院システムを作り、さらに、社会全体で感染をできるだけ抑止するようシステムを作らなければなりませんが、これらの仕組みも、終始一貫しておらず、もうぐちゃぐちゃだったと喝破されます
つまり、菅政権の時代、五輪を強行するかしないかということで揉めたあげく、結局、五輪をやって大パンデミックになって、医療崩壊してしまった。
そもそも緊急事態宣言をして人流を止めようとしながら、五輪をやる。これは論理破綻だと。
さらに今の岸田政権というのは、レッセフェール、何もしない、なすがまま。第9波と言われていますが、それが本当なのかどうかというのも疑問だと言われると、誰も答えができない。

一つ画期的なのは、今回のコロナ禍では、ワクチン開発がすごく早かったことだと。
コロナの分子塩基配列が発見された直後に公表されたのは、1997年に分子生物学を研究していた海堂氏としては、時代がここまで進歩したんだと本当にびっくりするような話だったそうで、その速やかに公表された塩基配列を元にワクチンができたわけですから、そこのところはすごい大変な科学の進歩によるものだったと思われた。
これらワクチンが果たしてそれほど有効だったのかどうかという疑念もいろいろ出ていますけれども、おおむね統計学的な解析によれば、ワクチンはコロナの抑止に大変有効だったのではないかと言われているけれど、一つ、残念なのは日本は色々と感染者などを調べていましたし、ワクチン接種もきちんと管理してやっていたわけですから、その人たちの追跡調査をすれば、本当にワクチンの効果というものが客観的に調べられたはずです。
でも残念ながら、厚労省や政府はそれをきちんと学術的に解析するような土台を作ってこなかった。
これは、前々から言われていたことなので、無理だろうとは思っていましたが、非常に残念です、と。
そして、大阪。
大阪は非常に危険で、皆さんも忘れている人も多いのかもしれませんが、とにかくアンジェス社が出てきた時から、海堂氏はこれは相当ヤバいなと思っていたのだそうです。
いまも忘れられないイソジン事件に雨合羽。イソジン吉村に雨ガッパ松井と呼ばれているという.....そんな彼らがアンジェス社を持ち上げて、オール大阪などと言って国産ワクチンを作ろうと打ち上げたわけです。
でも、結果としては1年後にはワクチンの有効性を確認できず、仕切り直しと言っている。そして2年後にはコロナワクチン開発断念。
ここで海堂氏の怒りが。
「これはですね、私は物書きで、他の先生方と違い、あまり責任がない立場です。まして特に国からお金をもらっているわけではない。
なので胸を張っていますが、控えめに言って、100億円の税金泥棒だと思います。こういったシステムを許してはいけない。これが私の今の基本的な怒りの感情です。なぜかというと、その100億円は、皆さんがお金を出した税金が原資です。我々のお金です。
我々が、例えば吉田(統彦)先生の話を聞いて、アンジェスみたいな会社にワクチンを作ってくれるためのお金を出そうと思いますか?そ ういうシンプルな話です。ところが厚生労働省や政府が絡んだりすると、そういうふうにシンプルにいかない。なぜか知らないけれども、おかしなことにお金が使われる。
その結果、五輪でも相当無茶なお金の使われ方をした。その再来、というか繰り返しで、大阪万博でも同じことが起こるでしょう。
これは断言します」

海堂氏は2011年に「ナニワ・モンスター」という小説を書いておられて、この本は、コロナが最初に流行った頃に、今の現状を予言した書ではないか、と話題になったことが一瞬ありました。
でも、海堂氏によれば、これは、2011年当時の豚インフルエンザの体たらくをできるだけ厳密に描写した作品だったのだそうです。
つまり、この2011年に厚労省がやったことが、コロナで同じように繰り返されたのです。
ということは、例えば10年後に新しい感染症が来た時に、きっとまた同じことを繰り返すのではないか。
海堂氏が基本的に厚労省を信用していないのは、Ai(オートプシー・イメージング)というシステムを死亡時医学検索で導入しようとしてきたときの経験が基になっています。
Ai(オートプシー・イメージング)とは、ご遺体をまず画像診断するというシンプルなことで、当時、死体を調べる検査法としては解剖しかありませんでしたが、それがわずか1%しか行われていない状態、つまりシステムとして崩壊していた。そこで画像診断をしたら、システムが建て直せるだろうと思ったのだそうです。
つまり、検案とAiを一体化して、Aiセンターで画像診断して、解剖を振り分けるという方式です。画像診断をやれば解剖しなくてすむ例も出てくるわけです。しかし、結局それは頑強な抵抗に遭って拒否されて、複雑怪奇なシステムが生き残り、その従来のシステムのところに補助金を入っている。
2010年に日本医師会が、年間5000人の小児死亡例全例にAiをやることは5億円の予算でできるので、これでかなりの小児虐待がわかり、抑止につながるだろうという答申を出してくれても、厚労省はこの提案もうやむやにした。
こういった年間5億円のお金を渋るのに、なぜ、アンジェスみたいな会社にぽんと100億円を出すのか、というのが基本的な怒りがあるのだそうで、結局、衛生学の基本を無視した政策が社会を混乱に導いたということは、ほぼ間違いなく言えることです、と。
最後に、権力監視の役割を怠ったメディアがこうした情勢を助長していることにも言及されました。
海堂氏がニュースZEROという番組に出演した時に、当時の安倍内閣の政策に批判的な意見を言おうとしたら、プロデューサーの人がいろいろと手を変え、品を変え、直前の打ち合わせで話を変えていって、結局その発言は封殺されました。
また、日経新聞のウェブサイトで連載をしていた時、厚労省のコロナ対策に批判的なことを書いたら、健康サイトではそういうことを書くなと言われた。
そういうようなことが行われているのだと。
つまり、メディアの権力に対する忖度がこのようなことを助長していることは間違いない、 逆に言えば、メディアが堂々と権力を批判すれば、日本はまだ良くなる可能性があると思います、と。
「大阪の問題点は、維新がテレビメディアと一体化して政権を維持している。しかも、結果責任を取らない無責任行政である大阪万博、大阪カジノの強行で、大阪はディストピアとなるであろう....その時、張本人の人たちは責任を取らず、きっと高みの見物をする。これは、海堂の予言です」
(続きを読む)
シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その1)を読む
シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その2)を読む