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英紙フィナンシャルタイムズ、新型コロナ死亡者数が公式報告よりはるかに高い可能性を指摘

 久々のブログ更新でアレですが、数日前の英フィナンシャルタイムズの記事が非常に衝撃的、かつ、説得力のあるものでしたので、全訳を公開します。(他のメディアがやってくれるかと思ったのですが、見当たらないようですので)

 日本では、現在「感染者数が少ないのは検査をしないから」という見解と、それは陰謀論的な見方であり、死者数の少なさを考えると実際の感染者数も、それほど乖離していないか、日本での致死率は極めて低い、という見解がありますが、後者に冷水を浴びせる内容です。

 以下、翻訳です。オリジナルはこちら。
 Financial Times Global coronavirus death toll could be 60% higher than reported

 なお、私は、英語は専門ではありませんので、誤読などありましたら、ご指摘ください。

英ファイナンシャル・タイムズ 全世界のコロナウイルスによる死亡者数は報告されているよりも60%高くなる可能性がある

14か国でのパンデミックにおけるトータルの死亡者数を本紙が分析したところによると、新型コロナウイルスによる死亡者数は、公式の計上で報告されたものよりも、ほぼ60%高くなる可能性がある。

死亡率の統計によると、これらの地域全体で、同地域、同時期の通常レベルよりも死亡者数が122,000人も超過しており、すでに報告されている77,000人のCovid-19による公式死亡者数よりも、かなり高い。

これらの国で見られた過少報告と同じ事が世界中で起こっていた場合、世界的なCovid-19の死亡者数は、現在の公式の合計201,000人から318,000人もの人数になる。

本紙は、死亡率を計算するために、2020年3月と4月にアウトブレイクが起こった地域の発生週における全死因の死亡者数を、2015年から2019年の同時期の平均死亡者数と比較した。その超過している総計122,000人という数は、該当地域の過去の平均死亡率より50%も多い。

デンマークを除いて、分析対象となったすべての国で、この時期の過剰死者数は、公式のコロナウイルス死者数をはるかに上回っていた。 ウイルスによる公式の死亡統計の正確さは、国が患者の確認のためにどれほど効果的に人々を検査しているかによって制約を受ける。 中国を含む一部の国では、この病気による死亡者数を遡及的に修正している。

本紙分析では、パンデミック中の全死亡者数は、前年同期と比較して、ベルギーで60%、スペインで51%、オランダで42%、フランスで34%増加している。

もちろん、これらの死のいくらかは、慢性的な病気の人々が病院を避けているということに起因した、Covid-19以外の原因であるかもしれない。しかし、最悪のCovid-19のアウトブレイクに苦しんでいる地域で、この過剰死亡率が最も急激に上昇していることから、これらの死亡のほとんどは、単にロックダウンの副作用ではなくウイルスに直接関係していることを示唆しているといえよう。

ケンブリッジ大学のリスク認知学教授であるデービッド・シュピーゲルハルター氏は、例えば、英国での日次統計は病院の死亡のみを計上しているため「極端に低い」と述べた。

「異なる国の間でできる唯一の偏りのない比較は、すべての原因による死亡率を見ることです。 死亡診断書にCovid-19が記載されていない死亡率の上昇については非常に多くの疑問がありますが、必然的にこの流行に何らかの関係があると思われるでしょう」

この過剰死亡者数は、最悪のウイルス流行があった都市部で最も顕著で、一部の地域では報告のメカニズムを完全に圧倒している。これは多くの新興国にとって特に憂慮すべき問題で、過剰死亡率の合計は、公式のコロナウイルス死亡者数よりも桁違いに高いと考えられる。

実際に、エクアドルのグアヤス州では、3月1日から4月15日までに報告されたCovid関連の公式の死者は245人だけだが、この期間中に亡くなった人の総数は、例年よりも約10,200人多く、350%増加している。

ヨーロッパ最悪のアウトブレイクの中心であるイタリア北部のロンバルディア地方では、データが利用可能な約1,700の自治体の公式統計で、13,000以上の過剰死が存在している。これは、過去の平均より155%の上昇であり、この地域で報告されているCovid-19の死者4,348人をはるかに凌駕している。

イタリアのベルガモ市周辺地域は、世界で最悪の増加を記録し、死亡率は通常のレベルより464%高く、ニューヨーク市では200%の増加、スペインのマドリードで161%増加している。

インドネシアの首都ジャカルタでは、埋葬に関するデータは、同時期の平均と比較して1,400件の増加を示している。これは、同時期の公式報告によるCovidの死者90名の15倍だ。

この問題は発展途上国に限定されていない。 イングランドとウェールズでは、4月10日までの1週間の死亡者数は、今世紀で最も多かった。この数字は、過去5年間の同じ週の平均よりも76%高く、同時期に報告されているCovidによる死亡の総数よりも、この過剰死の数が58%高くなっている。

「各国が、急増するパンデミックにどのように対応し、それが人口の健康にどのような影響を与えたかを理解したいなら、最良の方法は、過剰死亡者数を数えることです。」と、ロンドン衛生・熱帯医学学校の疫学教授デビッド・レオンは述べる。

専門家は、ウイルスに特に脆弱な高齢者向け住宅施設でのCovid-19症例の過少報告について警告している。「ケアホーム内のスタッフや入居者を組織的に検査している国はほとんどないようです」とロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのケア政策評価センターの研究員アデリナ・コマス=ヘレラは述べた。

しかし、過剰死亡率の統計から示唆されるパンデミックでの死亡者数の大幅な増加は、それでもまだ控えめなものである可能性が高い。なぜなら、プラハ経済大学人口統計学助教授であるマルケタ・ペチホルドバ氏によれば「ロックダウンのために「交通事故や労働災害などの、多くの状況での死亡率が低下していた可能性がある」からだ。

 日本で、死因調査が極めて杜撰であることは、本業が病理医であり、Ai(死亡時画像診断)の提唱者でもある海堂尊氏の著書「死因不明社会」で詳細に解説されていますが、奇しくも、リテラでも、まさに、このコロナ関連を疑われている死者の診断が行われていないという記事が出ておりますので、こちらも是非、ご一読を。

 LITERA: 隠されたコロナ死者はやはりいた! 日本法医病理学会の解剖医アンケートで「死亡者のPCR検査を拒否された」の回答が多数

 なお、リテラが参照している日本法医病理学会の、すごいアンケート結果というのはこちらです。
 法医解剖、検案からの検体に対する新型コロナウイルス検査状況
 註:日本の解剖率は全死因の2%にすぎませんが、その2%でこの有様、というわけです。
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