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中曽根元首相の訃報に思い出すこと

 中曽根康弘元大臣の死去がトップニュースとなった。
 101歳ということだから大往生だろう。
 豪農の大邸宅に生まれ、戦時中は自ら慰安婦を駆りあつめ、戦後は太平洋戦争の正当化にいそしみ、日本の原子力発電を強力に推し進め、また戦争や核武装が可能になるように改憲を主張し、経済的には新自由主義を積極的に取り入れた。
 まさに、盟友レーガンが、現在の「病める格差社会アメリカ合州国」を作り上げたごとく、現在の日本の惨状への道筋をつけた人物であり、安倍現首相の精神の師といえないこともない。

 ロッキード事件にも関わっていたとされる。
 ロッキード事件というと、田中角栄の5億円の贈賄、というイメージがあるが、実際にはロッキード社の対日工作資金は、約30億円。田中角栄より、むしろ、当時の政界のフィクサーだった児玉誉士夫を通じて流れたカネの方が遙かに莫大だった。そして、児玉と中曽根は昵懇だった。
 https://www.news-postseven.com/archives/20160802_434677.html/2

 にもかかわらず、検察が児玉・中曽根ルートではなく、田中角栄を逮捕する方向に行ったのは、重要証人であった児玉が突然、重度の「意識障害」に陥り、国会喚問が不可能になったからだった。このとき、児玉の主治医だった喜多村孝一が「脳梗塞」であるという診断書を作り、それを疑った国会医師団が児玉邸で事実を確認することになると、それに先回りして、児玉に薬物を注射し、昏睡状態にした事実には、具体的な証言もある。

―― 天野さんは『新潮45』(2001年4月号)に「児玉誉士夫の『喚問回避』に手を汚した東京女子医大」という手記を寄せられています。その中で、児玉誉士夫は重症脳梗塞による意識障害のために国会の証人喚問に応じられないとされたが、児玉の意識障害の原因は、児玉の主治医だった東京女子医大教授の喜多村孝一が薬物を注射したことだと暴露されています。この点について改めて教えていただけますか。

天野 順を追ってお話ししましょう。昭和51年2月5日、朝日新聞の報道により、米国のロッキード社が児玉誉士夫に21億円もの不正な政治献金を行っていたことが明らかになりました。このお金は児玉を通じて政界にも流れた疑いがありました。そこで、国会はロッキード事件の真相を解明するために、児玉の証人喚問を決定したのです。

 ところが、この証人喚問は実現しませんでした。それは、児玉の主治医である喜多村孝一が国会に、「児玉誉士夫は脳血栓による脳梗塞の急性悪化状態にある」という診断書を提出したからです。

 しかし、その数日前には、児玉はゴルフをしており、ゴルフ場内のレストランで支払いレシートが見つかったと言われていました。もしこれが事実であれば、喜多村の診断書は嘘ということになります。国会はその真偽を確かめるべく、独自に医師団を結成し、児玉邸に派遣することにしました。

 ところが、国会医師団の診断結果は驚くべきものでした。児玉は実際に重症の意識障害下にあり、証人喚問は不可能ということになったのです。つまり、喜多村の診断書の内容は正しいということになりました。

 しかし、これには裏がありました。国会医師団が児玉邸に行ったのは2月16日の午後10時頃です。実はその数時間前に、喜多村が先回りして児玉邸に赴き、児玉にフェノバールとセルシンを注射していたのです。

 フェノバールは強力な睡眠剤であり、どうしても眠れない患者や、てんかん発作が起きた患者などに使用する薬です。また、全身麻酔をかかりやすくするための前投薬としても使用されます。セルシンも同じく強力な睡眠剤で、患者が興奮状態で手に負えない場合などに使用されます。これらを同時に使用すれば、昏睡状態が生じ、数時間は当然口も利けなくなります。

 これらの注射によって生じる昏睡状態は、重症脳梗塞による意識障害と酷似しています。もちろん血液や尿を採取すれば、薬物の存在を確認することはできます。しかし、国会医師団はまさか児玉にこのような注射が意図的に打たれているとは思わなかったのでしょう。それ故、彼らが児玉の症状がこのような注射によるものだと見抜けなかったとしても無理はありません。

―― 天野さんはどのようにして喜多村が注射を打ったことを知ったのですか。

天野 喜多村本人が私にそう言ったからです。2月16日の午前中、私は東京女子医大の脳神経センター外来室で患者を診ていました。午前の診療を終え、これから昼食だという時に、私の外来診察室2番に隣接した外来診察室1番の喜多村の診察室から、喜多村の大きな声が聞こえてきました。喜多村は何やらただならぬ様子で往診の準備をしているようでした。

 私が「何をされるのですか」と尋ねたところ、喜多村は「これから児玉様のお宅へ行ってくる」と言いました。喜多村は児玉を呼ぶ際、必ず「児玉様」と呼んでいました。

 しかし、報道では、近く国会医師団が児玉邸に派遣されると言われていました。「国会医師団が児玉邸に派遣されると言われているのに、何のために行くのですか」と問うと、「国会医師団が来ると児玉様は興奮して脳卒中を起こすかもしれないから、フェノバールとセルシンを打ちにいく」と言うのです。……
 
   http://gekkan-nippon.com/?p=9317

 中曽根が逮捕されることもなく、後に大勲位まで受けられたのは、この医師の「功績」が大きいと言っていいだろう。むろん、この喜多村医師は、この児玉昏睡事件の後、中曽根の主治医となっている。

 あらためてよく思い出しておこう。
 日本の原子力政策と新自由主義を全力で推進してきたのは、そういう人物だった。
 そして、その人物を手本としている劣化コピーが、現在の首相なのだと。

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ラテンアメリカと日本を拠点に活動する音楽家・作家 八木啓代のBlog
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