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ニューヨークからメキシコまで

酷暑の日本を早々に飛び出して、ピースボートのご招待で、ニューヨーク〜ハバナ〜ケイマン諸島〜コロンビア〜パナマ〜コスタリカ〜メキシコの船旅に乗船してまいりました。
(時々間違える方がおられるので、あえて先に書いておきますが、捕鯨反対船に乗って網とか切っていたわけではありません。あれはグリーンピースというまったく別の団体です。)

ピースボートは、昨年、ノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の構成団体で、豪華客船に1000人以上の乗客を乗せて世界一周の船旅をやるNGOでございます。

とはいえ、実はあたくし、ニューヨークは初めてでしたので、いきなり船に乗るのももったいなく、ホテル代は自分で払うからね、と、3日前にニューヨーク入りを決めたのですが、あとでニューヨークってホテル代がバカ高いのに気づいて顔面蒼白。ユースホステルの相部屋が80ドルとかって、あんまりじゃね?

とはいえ、Airbnbの助けを借りて、無事、マンハッタンで安い民泊のお部屋をゲット。もちろんミッドタウンではなくてハーレムなんですけど、なんの問題もなかったっす。ていうか、ハーレムだと、ミッドタウンまで地下鉄ですぐなのに、物価安いし、美味しいテイクアウトのお店いっぱいあるし、普通に街角に「米国とイスラエルがパレスチナでなにをやっているかについての勉強会」を教会でやるというようなポスターが貼ってあったりして、私のような人間にはすこぶる居心地良かったです。

そういうわけで、お昼にはメトロポリタン美術館を皮切りに、近代美術館(MOMA)〜グッゲンハイム〜フリッツ・コレクションなど、美術館三昧を愉しませていただきました。

メトロポリタンの巨大さはさすがでしたが、個人的には、印象派以後を近代の抽象芸術の萌芽とみなしたMOMAの一連の作品展示に、蒙を啓かれました。じつは、アメリカンポップアートって大嫌いだったのですけど、あの空間で、ロイ・リキテンシュタインやジャスパー・ジョーンズのオリジナルを見ると、あれはけっして悪ノリを持て囃したようなものではなく、激しい主張なのだというのがよくわかりました。美術作品はやっぱりオリジナルです。どんなによく撮れているものであっても、写真集ではわからないものがそこにありました。それからね、ジャクソン・ポロックは天才だわ。

それとは対照的なフリッツ・コレクションも、本当に値打ちがありました。アメリカの金持ち半端ない。ティツァーノやブリューゲルやアングルやゴヤやベラスケスがぽんぽんあるんだもの。しかも、フェルメールを3点も見られるなんて。それも名品です。
ここの展示作品は、他の美術館に貸し出しをしないそうなので、本当にここに行かないと見られない逸品がたくさんありました。

で、ピースボートに乗船しましたところ、スタッフの方に「今晩、国連関係のイベントあるので、全編英語ですけど、いかがですか?」
好奇心旺盛なあたくしとしては、もちろんOKして、時間の少し前に会場にまいりますと............なんと正装・盛装のレディース&ジェントルマンがご入場中ではありませんか。そうなのです。ジーンズ+Tシャツで入れるような雰囲気ではなかったのです!
慌てて船室にかけ戻って、超特急でメイクしてドレスに着替えて、やっと入場。
ハイソな雰囲気だったのも当然で、国連の正式な共催イベントで、国連事務総長代理、国連理事会議長、各国大使といった人たちがぞろりといらっしゃっていたわけです。ああびっくりした。

まあ、そういった旅のあと、キューバを経て、メキシコに戻ってきたわけですが、メキシコは7月1日の歴史的大統領選挙の熱気がやっと落ち着いてきたところでした。

なぜ、歴史的かといいますと、ここ20年以上、有力野党候補に対するメキシコ版陸山会事件といえるような冤罪でっち上げ事件(といっても時系列的にはこっちの方が先)や不正選挙疑惑、その挙げ句の汚職三昧や麻薬戦争で国が大混乱、と、ここ10年以上いいところのなかったメキシコで、奇跡的に民主派が勝利、それも圧勝した選挙だったからです。
というか、相当の買収や票の入れ替えもあったようなのですが、それでも、民主派候補の得票があまりに圧倒的だった、というのが真相のようで。
https://www.bbc.com/japanese/44678849

ちなみに、上記記事では左派と書かれていますが、新大統領ロペスオブラドールことAMLO(アムロ)は、政治的にはゆるい中道やや左派ぐらいの人です。メキシコ政界が極右化していたので、相対的に左に見える、という感じ。ただ、私利私欲がなくてお金にキレイであるという点では、多くの人の意見が一致しているところです。

メキシコの現政権下では、大統領夫妻がお友達に国有地を不正売却したり、便宜を図ったり、大統領のお友達がレイプ事件を起こしてそれがバレても誰も罪に問われないとか、まるで冗談みたいにどっかの国そっくりなことが続いたので、国民の怒りが爆発しての、野党大勝利というわけです。

で、与党のPRIは今回の選挙で、1票2000ペソ(約12000円)でかなりの金をばらまいていたのですが、しかし大敗北。笑ったことに、PRIが堅いとみなしていた地区でAMLOが圧勝した。つまり住民は、金だけ受け取ってAMLOに入れたようです。メキシコ人、賢いよ〜(笑)

とはいえ、メディアはほぼ反AMLOでネガキャンが酷く、ネットもかなり工作されていたので(*この点詳しくはこの記事参照)、はっきりいって、選挙スタッフたちも、ここまで差がつくとは思っていなかったとのこと。

で、12月から大統領職に就くその新大統領。党首を務めるのも、政党はMORENA(国民再生運動)という、旧野党PRDから別れた新政党です。思えば、2005年の大統領選で、最有力候補で当選確実とされていたAMLOが、まさに、陸山会事件そのものの、通常なら訴追の対象にはなり得ないような単なる手続きミスを、不法行為だとして検察が暴走して訴追しようとした事件の時(そういう意味で、陸山会事件とそっくりだった)、当時の所属政党であった中道左派政党PRD(民主革命党)主流派は、不当な攻撃を受けていたAMLOを守ろうとはしなかったのですね。で、最終的に党が割れて、AMLOは親しい議員と共に別の政党を作ったわけです。

で、その古巣のPRDときたら中道左派を標榜してたくせに、大統領選ではAMLO憎さのあまり(?)、右翼政党のPAN(国民行動党)と組むという、まるで前原&細野みたいな真似をやったあげく、地方選挙でもボロ負け。支持率わずか2.8%。5つの州では、10000票もとれないという大惨敗。首都圏でなんとか5%とって、かろうじて政党要件だけはぎりぎり満たした、という、まるで日本のどこかの党みたいなことに。離党者続出状態なので、おそらく次の選挙までは保たないとみられています。そのあたりも、国民民主党日本のどこかの党みたい。

というわけで、まるで日本の政界の鏡像を見ているようなメキシコ政界だったのですが、国民が変にさとったりあきらめたりしないで民主派が圧勝したところが、日本と決定的に違うところです。

ということで、新大統領就任の12月1日以後、いろいろな改革、というより、「改革するとかいう名目の下でぶっ壊されて、与党政治家やそのお友達の食い物にされてきた様々なものごと」の正常化の鉈が振り下ろされるようです。早々にあっと驚く新政策も打ち出される予定。

そのひとつが、麻薬の合法化です。おそらく年明けには日本の新聞でも、ちょっとした騒ぎになるでしょう。
そして、麻薬マフィアとの話し合いについて勝算もあるようです。むしろ、やばいのは麻薬マフィアそのものより、麻薬マフィアから莫大な裏金を受け取っている司法関係者と軍隊。彼らが手を組めば、クーデターも冤罪でっち上げも可能だからです。そういう意味では、安心はできないし、目は離せません

というわけで、八木も9月には、いろいろお土産を持って日本に戻って参ります。
9月13日には、兵庫県伊丹市のイタリアンレストランAntonさんで、ひさびさのディナーライブ。
レストランAntonは、かなり前から八木が大ひいきにしていたお店で、お料理が美味しいのはもちろんなのですが、丹波篠山の鹿肉という超高級ジビエがリーズナブルなお値段で食べられることでも有名なお店です。(呼んでいただけてうれしいわ)
関西方面の皆様には、ぜひ、おすすめです!

また、20日には、東京で恒例のノチェーロでのライブです。いろいろ新曲も準備しておりますので、お気軽においでください。

それから、9月8日にはこんなびっくり講座もあります。お暇な方は、どうぞ!
https://www.asahiculture.jp/yokohama/course/e1d75e0a-18a9-307f-3641-5ae930d9284b


9月13日(木) 伊丹 イタリアンレストランAnton

(兵庫県伊丹市西台3-1-12) お問い合わせ/072-770-2923
Open 18:00 Start 20:00
料金:A:2000円(1ドリンク付)、B.3500円(軽食コース付き・ドリンク別)、C.4500円(特別コース付き ドリンク別)
アクセス/阪急伊丹駅より南側(交番のあたり)道を渡って角が二宮眼科の筋を南下徒歩2分。駐車場は近隣のパーキングを利用可。その場合200円のキャッシュバックあり

ヘルシーな鹿肉料理でも有名な絶品のイタリア料理店アントンさん(実は八木は開店当初からのファンです) 素晴らしいお料理もお得にお楽しみになれるプランです!! ギター:西本諭さん

ネット予約

9月20日(木) 六本木 ノチェーロ
(東京都港区六本木6-7-9 川本ビルB1) お問い合わせ/03-3401-6801
1st 19:30 2nd 21:00 (入れ替えなし) 
Charge:2,600円(おつまみ一品付)
アクセス/日比谷線・大江戸線六本木駅より徒歩2分

六本木駅至近の最高の立地の音響の良いステージです。美しい歌曲の数々をじっくりお聴き頂きます! ギター:福島久雄さん。

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プロフィール

PANDORA

Author:PANDORA
ラテンアメリカと日本を拠点に活動する音楽家・作家 八木啓代のBlog
公式サイト http://nobuyoyagi.com

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3.11を心に刻んで (岩波ブックレット)
人は、どのような局面において言葉をつむぐか。30人の執筆者が震災を語ったエッセイ集。澤地久枝、斎藤 環、池澤夏樹、渡辺えり、やなせたかしらと並んで八木も寄稿。
刑事司法への問い (シリーズ 刑事司法を考える 第0巻) (岩波書店)
日本の刑事司法の何が問題か、どのような改革が求められているか。刑事法研究者、実務法曹の他、八木も執筆しております。
禁じられた歌ービクトル・ハラはなぜ死んだか(Kindle版)
長らく絶版状態だった書籍をリクエストにより電子書籍で再版いたしました。八木啓代の原点です。
検察崩壊 失われた正義(毎日新聞社)
5刷。この一冊で特捜検察の現実がわかります。
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なぜラテン人は自殺しないの?に応えて3刷!好評発売中!
キューバ音楽(青土社)
ラテン音楽ファン必読!キューバ音楽のすべてが理論も歴史もわかります。浜田滋郎氏激賞
貧乏だけど贅沢(文春文庫)
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