シンポジウム「検察・世論・冤罪Ⅱ」ヤクザも黙る大阪府警四課!
さあ、ここで、先月衝撃のデビューを果たした市川寛弁護士のコメントです。

ペットボトルの水を一口含み、おもむろに
「元暴言検事の市川です」(会場大喝采)
.....キャラ立ってますね。
「いま羽賀さんの取り調べの話を伺って、実は私、大阪地検に二年間いたことがありますし、いわゆる四課の事件を扱ったこともありますので、有り体に申しますと『それはそうだろうな』と」
四課の取り調べは怖ろしいのだそうです。四国の地検にいたこともあるが、四国のヤクザが大阪府警四課に狙われているというので愚痴をこぼすほど、とにかく、ヤクザも黙る大阪府警四課。
西日本では大阪府警四課といえば、同じところに本拠を構えている菱の代紋と同じようなパワフルな響きを持っているのでしょう。自分も大阪地検時代、大阪府警四課の事件を応援検事としていたとき、担当の警察官が毎日報告に来るのだが、日が経つごとに声が枯れていく。推して知るべき。それでも割れ(自白が取れ)ない。割れないなら割れないでいいと思うが、警察としては、特に大阪府警は、自白を獲得する気概が高いので(会場笑)、警察が自白させられなかったものを検事が自白させると屈辱と考えるようなところがある。実際には検事と警察は共同作業なので、検事の側ではそれを手柄とは考えないが、警察にとってはそれで済まないようなところがあった。
逆に、警察が自白させたものを、検事が否認させるととばっちりがきた。被疑者が検事を信頼して否認することがある。もともと自分は自白調書を取るのが苦手で、証拠で公判で有罪が取れれば自白はどうでもいいと考えるような人間なので、それで自分が否認調書を作ると、それを知った警察が翌日怒鳴り込んでくる。「どういうことなんですか」「....いや、否認したから」「今日は勉強させてもらいに来ました」.....ほんとに決裁官より警察の方が怖い。
そんなところに2年もいたから、自分も暴言検事に成り果てました。(会場大爆笑)
それはともかく、大阪府警がとても熱心なところであることは間違いない。
また、写メールといえば、顔などに暴行を加えると、接見のときに弁護人が写メールで写真を撮ることがあるので、見えないところ映らないところを狙って暴行を加えていたのは容易に想像できる。
それから偽証について。
佐賀農協事件で、自分が暴言を吐いたことを、検察官の主尋問で供述した。その際、事前に、複数の検察官から偽証を勧められた。(会場ざわめき)しかし、それにもかかわらず、自分は真実を証言した。
こっちの世界に戻ってきたので言わせてもらうが、自分たちが有罪を勝ち取るためには、人は偽証に仕立て上げ、それと同時に自分らの子分には偽証をさせようとする。どういうものの考え方をしているんですかね。検事長や検事総長が聞いておられたら、事務所に来てください。私は偽証をさせられそうになりました。そういうことを平気で言う感覚の検事が複数いたのです。
もちろん、暴言を吐いたことを(なかったことに)偽証すれば、自分の取ったでたらめな任意性のない自白調書は、任意性があるとして(裁判)で通ったでしょう。そうすれば、あの事件は正真正銘の冤罪として有罪が確定していたはずです。(このあたりで、それまで笑っていた佐藤弁護士が苦い顔に)
自分は、検事は嘘をつくわけにはいかないと思い、記憶に従って暴言を証言したが、改めて言うが、偽証を勧められた。検察庁はそういうところだ。
大多数はまともで良心のある検事だと信じている。ただ、羽賀氏の事件は、高等裁判所の裁判官がこれを有罪にしたのには頭をひねるが、私の感覚だと、よくこんなもの起訴したな、と。どっちが犯人なんだかわからない。私は大阪地検時代不起訴の名人で、恐喝未遂という罪名見ただけで不起訴だった。(会場爆笑)
なので、よく決裁官からお叱りを受けていたのですが、恐喝未遂は駄目というのは私のポリシーでもありまして、羽賀さんを弁護するつもりはないですが、私が主任検察官なら一撃で不起訴にして終わっていたと思います。(会場爆笑)
いずれにせよ、検察・警察には、まともな人間もいるんですけど、この事件の公判をやった一審の検事も内心はどうだったかというと、好きこのんで一生懸命やっていたのじゃないではないではと....私はそういう目でしか検事を見ることができないので。これをもし私が(主任検事として)有罪を取らなければいけない立場だったとしたら、吐き気がして、もううんざりしてやっていたと思います。
そういう意味で、現場のフォローをするシステムをなんとかしなくてはならないと思います。
八木「羽賀さんのケースでも、最初は現場の検事が不起訴にしようとしているという情報は入ってきていたのですよね」
羽賀「一審の裁判は、表現に語弊があるかもしれませんが、ヤメ検の先生だったんですが、面会のときに不起訴と言われました。ただ、会議をしているらしいと。西成署の上の方の人が検察に飛んでいったと。それで(不起訴を、ヤメ検の弁護士が検察の)元同僚の方に聞いたのかもしれませんが、夜遅くになって、深夜ぎりぎりにFaxが届いて、やっぱり起訴だったと。でも恐喝での逮捕だったのに、恐喝未遂での起訴になっていました」
八木「どうですか、岩上さん」
岩上「なんなんです、その雑な紹介(笑)」
八木「いえ、さっきからずっと頭をひねっていらしたので」
失礼しました。岩上さん。あまりにも真剣に、細かくメモを取りながら、深く考え込んでいらしたものですから。
岩上「今回こういう構成になるとぜんぜん聞かされていませんで...(隣で山口一臣氏何度も深くうなづく)..羽賀さんがおいでになることだけ知らされていたんです」
(ご、ごめんなさい、でもこの構成は、今朝決まったんです)

「で、サプライズゲストなので言わないでね、と釘だけ刺されていまして、開けてみたら、事前に論点は整理されていて、弁護士の先生方は事前に資料を読み込んでいらっしゃって.... 」
(すみません、でも、みんな、昨日の夜から突貫工事やったんです)
で、岩上氏。
(予備知識がなかったので)話を聞いているだけでお腹いっぱいだったが、聞いていて思ったのは、こういうふうに、世の中で権力が濫用されて罪なきひとを罪に陥れるなんてことが日常茶飯なんだという気が本当にしてきた。
今回の羽賀氏の件では、暴力団系の4課が荒っぽいという話だったが、公安も荒っぽい。本人の同意がないので名前は出せないが、八木さんと同じように、先週、検察の問題を市民の立場から声をあげ、デモや集会を行っていた方が、突然、痴漢冤罪で逮捕されるという事件が起こった。夜中に共通の知人から電話がかかってきて、「次は岩上さんじゃないか」と言われた(会場笑)
何一つ悪いことをしたわけでもないのに、次は狙われるぞ、というようなことを何度も言われて、どうしてだろう。羽賀さんの場合は、どうして目をつけられたのか、何か前兆や警告のようなものはあったのか?
羽賀「(前兆や予告は)まったくないです....今回、宝くじを買うような気持ちで、この未公開株が何十倍にもなると聞かされて、いま考えると何やってるのみたいな話だが、その点は自分が悪いのだし...」
ここで八木が補足。羽賀氏の場合は、被害者とされる人物(会社社長A氏)から刑事告訴があった。それを西成署が受理したということになる。
岩上「危ないと警告もされていない人がそうなってしまうんじゃ、私みたいにみんなから危ない危ないと言われている人間は、どうなってしまうことやら」
痴漢冤罪で捕まった人物は幸い釈放され、大事にならないようなので安心したが、その人物から電話で「次は岩上さん」と言われて、そんなこと言われたくないなあと思っていたら、週明け、IWJの会議中に電話があり「警察に狙われている」。警視庁の公安から行動確認(註:尾行のこと)が入っている、狙われているのは上杉隆と岩上安身。(会場笑。しかし、隣席の山口一臣氏は深刻な顔で頷いている).....その電話の主が上杉さん。彼は優秀なジャーナリストでそちらのほうにも情報ネットワークを持っているので、たぶん、そちらから来た警告だろう。
それで「岩上さん、気をつけてね」と言われたが、気をつけようがない。そのうえ、(上杉氏から)「今回の標的はむしろ岩上さんらしい」とか「政府から最大にマークされている人物だ」とか、そんなこと言われても.....(笑)。だからこういう(公開の)場で言っちゃった方がいいかもと思って。(自分が)痴漢冤罪(で逮捕されるようなこと)とかあったら、あいつそういうことやったのか、とか思わないで、なるべくなら信じて頂きたい。お願いですから、公安の方もそういうことやめてください。あと、行動確認とか、盗聴とか....コンピュータ監視法も通っちゃいましたしね。これもメディアは全然関心を寄せなかった。とても怖いことになっていると思う。
身の上相談は置いておいて、この羽賀氏の事件も結局メディアの問題だろうと思う。
メディアは事件報道に関しては明らかに二層構造になっている。一層目は司法記者クラブ。司法記者クラブは、警察や検察に自由に出入りできるといっていい。ここで弘中弁護士が指摘していた3つの問題のうちの3つめ、リークの問題がある。ここで被疑者が犯人であるという心証を警察や検察が植え付けていく。それが記事として印象づけられる、これが司法記者クラブの役割であったりする。山口さんはそういうものにチェックを入れなければとおっしゃったが、締切に追われながらの日々のスクープ合戦の中で、特落ち、つまり、ニュースが落ちてはいけないと横並び報道になる。だからこそのまま。事後にいくつかの事件について検証したことがあるが、驚くべきいい加減さ。クオリティペーパーというと、朝日、読売、日経などを連想されると思うが、これらの警察や検察からの第一報を報道できるメディアはそうではない。中で被疑者が否認を続けているのに、「今日口を割った」などまったく嘘の報道が流れ続けたりする。そういう例はいくつもあり、そういったことが一般には知られていない。
二層目というのは、同じテレビ局の中でも、報道局とは別に生活情報などのワイドショーなどを担当している部署。こちらはダイレクトに警察や検察の情報を得られない。だから周辺の人間への取材とか、報道部が引いたラインに沿ってのもの、あるいはその誇張となる。
週刊誌はその外側で、関係者などへの取材を通じて事件像に迫っていったりするが、そのせいで、権力側から出る情報を越えて、これは冤罪ではないかといった内容になったりすることもある。そういう意味で雑誌ジャーナリズムが担ってきたこともあり、権力の流す情報に抵抗するのは、週刊朝日も含めてそのあたりだったが、残念ながら、最近はそこが脆弱になっている。これには、お金の問題がある、売上げが伸びない、取材経費がかけられない、名誉毀損などの金額が大変高くなって乱発されるので、怖くて思い切ったことが取材したり書けなくなってしまった。
一方で記者クラブは堅固に残っているので、政府からの情報に頼ることになってしまうという構造が温存されている状況がある。それが冤罪を作り出す大きな要因になっていると思う。
と、パネリストのコメントが一通り出たところで、クロストーク、続きます。(続く)

ペットボトルの水を一口含み、おもむろに
「元暴言検事の市川です」(会場大喝采)
.....キャラ立ってますね。
「いま羽賀さんの取り調べの話を伺って、実は私、大阪地検に二年間いたことがありますし、いわゆる四課の事件を扱ったこともありますので、有り体に申しますと『それはそうだろうな』と」
四課の取り調べは怖ろしいのだそうです。四国の地検にいたこともあるが、四国のヤクザが大阪府警四課に狙われているというので愚痴をこぼすほど、とにかく、ヤクザも黙る大阪府警四課。
西日本では大阪府警四課といえば、同じところに本拠を構えている菱の代紋と同じようなパワフルな響きを持っているのでしょう。自分も大阪地検時代、大阪府警四課の事件を応援検事としていたとき、担当の警察官が毎日報告に来るのだが、日が経つごとに声が枯れていく。推して知るべき。それでも割れ(自白が取れ)ない。割れないなら割れないでいいと思うが、警察としては、特に大阪府警は、自白を獲得する気概が高いので(会場笑)、警察が自白させられなかったものを検事が自白させると屈辱と考えるようなところがある。実際には検事と警察は共同作業なので、検事の側ではそれを手柄とは考えないが、警察にとってはそれで済まないようなところがあった。
逆に、警察が自白させたものを、検事が否認させるととばっちりがきた。被疑者が検事を信頼して否認することがある。もともと自分は自白調書を取るのが苦手で、証拠で公判で有罪が取れれば自白はどうでもいいと考えるような人間なので、それで自分が否認調書を作ると、それを知った警察が翌日怒鳴り込んでくる。「どういうことなんですか」「....いや、否認したから」「今日は勉強させてもらいに来ました」.....ほんとに決裁官より警察の方が怖い。
そんなところに2年もいたから、自分も暴言検事に成り果てました。(会場大爆笑)
それはともかく、大阪府警がとても熱心なところであることは間違いない。
また、写メールといえば、顔などに暴行を加えると、接見のときに弁護人が写メールで写真を撮ることがあるので、見えないところ映らないところを狙って暴行を加えていたのは容易に想像できる。
それから偽証について。
佐賀農協事件で、自分が暴言を吐いたことを、検察官の主尋問で供述した。その際、事前に、複数の検察官から偽証を勧められた。(会場ざわめき)しかし、それにもかかわらず、自分は真実を証言した。
こっちの世界に戻ってきたので言わせてもらうが、自分たちが有罪を勝ち取るためには、人は偽証に仕立て上げ、それと同時に自分らの子分には偽証をさせようとする。どういうものの考え方をしているんですかね。検事長や検事総長が聞いておられたら、事務所に来てください。私は偽証をさせられそうになりました。そういうことを平気で言う感覚の検事が複数いたのです。
もちろん、暴言を吐いたことを(なかったことに)偽証すれば、自分の取ったでたらめな任意性のない自白調書は、任意性があるとして(裁判)で通ったでしょう。そうすれば、あの事件は正真正銘の冤罪として有罪が確定していたはずです。(このあたりで、それまで笑っていた佐藤弁護士が苦い顔に)
自分は、検事は嘘をつくわけにはいかないと思い、記憶に従って暴言を証言したが、改めて言うが、偽証を勧められた。検察庁はそういうところだ。
大多数はまともで良心のある検事だと信じている。ただ、羽賀氏の事件は、高等裁判所の裁判官がこれを有罪にしたのには頭をひねるが、私の感覚だと、よくこんなもの起訴したな、と。どっちが犯人なんだかわからない。私は大阪地検時代不起訴の名人で、恐喝未遂という罪名見ただけで不起訴だった。(会場爆笑)
なので、よく決裁官からお叱りを受けていたのですが、恐喝未遂は駄目というのは私のポリシーでもありまして、羽賀さんを弁護するつもりはないですが、私が主任検察官なら一撃で不起訴にして終わっていたと思います。(会場爆笑)
いずれにせよ、検察・警察には、まともな人間もいるんですけど、この事件の公判をやった一審の検事も内心はどうだったかというと、好きこのんで一生懸命やっていたのじゃないではないではと....私はそういう目でしか検事を見ることができないので。これをもし私が(主任検事として)有罪を取らなければいけない立場だったとしたら、吐き気がして、もううんざりしてやっていたと思います。
そういう意味で、現場のフォローをするシステムをなんとかしなくてはならないと思います。
八木「羽賀さんのケースでも、最初は現場の検事が不起訴にしようとしているという情報は入ってきていたのですよね」
羽賀「一審の裁判は、表現に語弊があるかもしれませんが、ヤメ検の先生だったんですが、面会のときに不起訴と言われました。ただ、会議をしているらしいと。西成署の上の方の人が検察に飛んでいったと。それで(不起訴を、ヤメ検の弁護士が検察の)元同僚の方に聞いたのかもしれませんが、夜遅くになって、深夜ぎりぎりにFaxが届いて、やっぱり起訴だったと。でも恐喝での逮捕だったのに、恐喝未遂での起訴になっていました」
八木「どうですか、岩上さん」
岩上「なんなんです、その雑な紹介(笑)」
八木「いえ、さっきからずっと頭をひねっていらしたので」
失礼しました。岩上さん。あまりにも真剣に、細かくメモを取りながら、深く考え込んでいらしたものですから。
岩上「今回こういう構成になるとぜんぜん聞かされていませんで...(隣で山口一臣氏何度も深くうなづく)..羽賀さんがおいでになることだけ知らされていたんです」
(ご、ごめんなさい、でもこの構成は、今朝決まったんです)

「で、サプライズゲストなので言わないでね、と釘だけ刺されていまして、開けてみたら、事前に論点は整理されていて、弁護士の先生方は事前に資料を読み込んでいらっしゃって.... 」
(すみません、でも、みんな、昨日の夜から突貫工事やったんです)
で、岩上氏。
(予備知識がなかったので)話を聞いているだけでお腹いっぱいだったが、聞いていて思ったのは、こういうふうに、世の中で権力が濫用されて罪なきひとを罪に陥れるなんてことが日常茶飯なんだという気が本当にしてきた。
今回の羽賀氏の件では、暴力団系の4課が荒っぽいという話だったが、公安も荒っぽい。本人の同意がないので名前は出せないが、八木さんと同じように、先週、検察の問題を市民の立場から声をあげ、デモや集会を行っていた方が、突然、痴漢冤罪で逮捕されるという事件が起こった。夜中に共通の知人から電話がかかってきて、「次は岩上さんじゃないか」と言われた(会場笑)
何一つ悪いことをしたわけでもないのに、次は狙われるぞ、というようなことを何度も言われて、どうしてだろう。羽賀さんの場合は、どうして目をつけられたのか、何か前兆や警告のようなものはあったのか?
羽賀「(前兆や予告は)まったくないです....今回、宝くじを買うような気持ちで、この未公開株が何十倍にもなると聞かされて、いま考えると何やってるのみたいな話だが、その点は自分が悪いのだし...」
ここで八木が補足。羽賀氏の場合は、被害者とされる人物(会社社長A氏)から刑事告訴があった。それを西成署が受理したということになる。
岩上「危ないと警告もされていない人がそうなってしまうんじゃ、私みたいにみんなから危ない危ないと言われている人間は、どうなってしまうことやら」
痴漢冤罪で捕まった人物は幸い釈放され、大事にならないようなので安心したが、その人物から電話で「次は岩上さん」と言われて、そんなこと言われたくないなあと思っていたら、週明け、IWJの会議中に電話があり「警察に狙われている」。警視庁の公安から行動確認(註:尾行のこと)が入っている、狙われているのは上杉隆と岩上安身。(会場笑。しかし、隣席の山口一臣氏は深刻な顔で頷いている).....その電話の主が上杉さん。彼は優秀なジャーナリストでそちらのほうにも情報ネットワークを持っているので、たぶん、そちらから来た警告だろう。
それで「岩上さん、気をつけてね」と言われたが、気をつけようがない。そのうえ、(上杉氏から)「今回の標的はむしろ岩上さんらしい」とか「政府から最大にマークされている人物だ」とか、そんなこと言われても.....(笑)。だからこういう(公開の)場で言っちゃった方がいいかもと思って。(自分が)痴漢冤罪(で逮捕されるようなこと)とかあったら、あいつそういうことやったのか、とか思わないで、なるべくなら信じて頂きたい。お願いですから、公安の方もそういうことやめてください。あと、行動確認とか、盗聴とか....コンピュータ監視法も通っちゃいましたしね。これもメディアは全然関心を寄せなかった。とても怖いことになっていると思う。
身の上相談は置いておいて、この羽賀氏の事件も結局メディアの問題だろうと思う。
メディアは事件報道に関しては明らかに二層構造になっている。一層目は司法記者クラブ。司法記者クラブは、警察や検察に自由に出入りできるといっていい。ここで弘中弁護士が指摘していた3つの問題のうちの3つめ、リークの問題がある。ここで被疑者が犯人であるという心証を警察や検察が植え付けていく。それが記事として印象づけられる、これが司法記者クラブの役割であったりする。山口さんはそういうものにチェックを入れなければとおっしゃったが、締切に追われながらの日々のスクープ合戦の中で、特落ち、つまり、ニュースが落ちてはいけないと横並び報道になる。だからこそのまま。事後にいくつかの事件について検証したことがあるが、驚くべきいい加減さ。クオリティペーパーというと、朝日、読売、日経などを連想されると思うが、これらの警察や検察からの第一報を報道できるメディアはそうではない。中で被疑者が否認を続けているのに、「今日口を割った」などまったく嘘の報道が流れ続けたりする。そういう例はいくつもあり、そういったことが一般には知られていない。
二層目というのは、同じテレビ局の中でも、報道局とは別に生活情報などのワイドショーなどを担当している部署。こちらはダイレクトに警察や検察の情報を得られない。だから周辺の人間への取材とか、報道部が引いたラインに沿ってのもの、あるいはその誇張となる。
週刊誌はその外側で、関係者などへの取材を通じて事件像に迫っていったりするが、そのせいで、権力側から出る情報を越えて、これは冤罪ではないかといった内容になったりすることもある。そういう意味で雑誌ジャーナリズムが担ってきたこともあり、権力の流す情報に抵抗するのは、週刊朝日も含めてそのあたりだったが、残念ながら、最近はそこが脆弱になっている。これには、お金の問題がある、売上げが伸びない、取材経費がかけられない、名誉毀損などの金額が大変高くなって乱発されるので、怖くて思い切ったことが取材したり書けなくなってしまった。
一方で記者クラブは堅固に残っているので、政府からの情報に頼ることになってしまうという構造が温存されている状況がある。それが冤罪を作り出す大きな要因になっていると思う。
と、パネリストのコメントが一通り出たところで、クロストーク、続きます。(続く)
テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済