子供を産むための機械

私の中学校時代の同級生に皇室ファンがいる。いた、といった方が正解か。

なんで皇室ファンなのか、そこのところが私にはまったくわからないのだが、どうやら、皇室に「幸せな、あるべき家族の姿のひとつのモデル」みたいなものを見ていたらしい。
太平洋戦争に国民を追い込む一翼を担っておいてそれはないだろうとか、いまどき英国王室でも着用しない、まして日本人には似合わない、あのローブデコルテになんで国民の税金が使われるのか、とか、まあ、そこのところのツッコミはおいといて。

マンションの最小必要限な家具だけを置いた広々としたモデルルームは、しょせん作り物のモデルルームであり、そこに生活感を求める方がどうかしているという観点から言えば、皇室がモデルファミリーであっても、それはそれで、そういう見方もあることは否定しない。

その友達が、皇室の話をぷっつり一切しなくなったのは、雅子皇太子妃の「お世継ぎ問題」が話題に上がり始めたころからだろうか。

いかに言葉を言い換えようと、結局、皇太子妃の価値とは、知性でも教養でも洗練でもなく、「お世継ぎを産めるかどうか」に集約されること、つまり、しょせん、「日本のモデルファミリー」の嫁とは「子供を産めるかどうかがすべて」であるという価値観をまざまざと見せつけたのが、この問題だったからだ。要するに、天皇制が「象徴」として存在する限り、日本の象徴とは「そういうこと」だったというわけ。

いかに政治に興味のない女性でも、婉曲のオブラートに包まれてはいても、ここまであからさまな「女性は子供を産む道具」と言わんばかりの雅子皇太子妃への扱いを見れば、そこにある抜きがたい女性感は誰にでもわかる。
三笠宮家の?仁親王の「側室」発言も、それが悪意がないだけ、救いがない発言でもあった。

ついでに言うと、カナダのバンクーバー日本総領事が夫人を殴って怪我を負わせ、病院からの通報で、カナダ警察に逮捕されたという事件もあった。当時、この総領事は妻を殴ったのは日本の文化の問題だと反論したと国際的に報道されて、さらに「日本のイメージ」が傷ついたという一件である。
ちなみに、この総領事は一端解任されてたものの、これだけの問題を起こしていても、いまは別の国に特命全権大使として赴任となっており、もちろん外務省を解雇になったりしていないし、本人も辞職していない。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a164146.htm

で、そういう土壌の中での柳沢発言である。すでに、AP発で世界配信され、ヘラルド・トリビューンやワシントン・ポストにも大々的に報じられている。

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=151163&media_id=20
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=151076&media_id=4
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=151166&media_id=2
http://www.iht.com/articles/ap/2007/01/28/asia/AS-GEN-Japan-Falling-Birthrate.php
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/01/28/AR2007012800342.html

彼はほんとに悪気はなかったのだろう。その悪意の無さが、余計に救いがない。そして、海外のマスメディアが、この発言を大々的に報じているのは、べつにたまたまほかにニュースネタがなかったからでも、日本バッシングのためでもない。

すでに「日本でもっとも有名である女性が、21世紀においても、子供を産む道具として扱われてきた」のを、みんな知っているのである。「日本を代表して外国に赴任している外交官が、奥さんを殴るようなことをし、それをまた言い訳したあげくに、日本では大した問題にならない」のである。そういうことを踏まえて、この柳沢発言は受け取られるのだ。

そして、これだけの発言をし、また外国に報道されても「悪気はなかったし、謝ったのだからいい」と考える人たちが、国政の場にいるというわけだ。
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