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二人の女

さて、メキシコは小康状態なので別の話題。

こないだ、ある方にお会いした。(て、これじゃわからんよね)
じつは、ある分野において有名な方で、しかも「悪女」、それも「頑迷で陰険な人」というレッテルを貼られてきた人。

私が彼女を知ったのはここ数年ぐらいだが、その初対面の印象は「天真爛漫でエレガントなおばあさま」
あとで別の人から、その問題の「レッテル」についてきかされて、私の印象とのあまりの違いに驚いた記憶がある。

まあ、第一印象があてにならないというのは良くあることですが、しかし、彼女とはその後も何度も会って話したけれど、その印象は揺るがない。
作為的に自分のイメージを作っているようにも思われない。というか、彼女が私と合うのは、まったくプライベートな場で、しかも彼女は私が「たまにモノ書き」であることは知らないので、作為的に自分のイメージを作ることに意味もない。

そう思うと、彼女に「悪いイメージのレッテル」が貼られた原因は、ある「有名人」の嫉妬と怒りを買ったから以外の何者でもないとしか思えない。皮肉なことに、彼女が天真爛漫でエレガントであればあるほど、その怒りはエスカレートしたものと思われる。

その一方で、明らかに彼女にレッテルを貼った張本人である「有名人」の方が、それではじつは悪人かというとまったくそうではない。
その方はその方で、ご自身の才能と努力で素晴らしい業績をあげた方である。人格的にも慕う人は多い。
ただ、素晴らしい業績を上げる人というのは、それだけのパワーもあるわけで、そのパワーが特定の人に対する憎悪の方向にむけば、これまた人並みはずれたパワーであったということだろう。

だから人間は難しい。

しかし私が本当に凄いと思うのは、自分にそのようなレッテルが貼られ、明らかにストーリーが捏造され、多くの人に誤解されていることを知りつつ、そのことに対して、数十年以上も、泰然と(いや、ほんとは泰然としていたんじゃないかもしれないけど)、すくなくとも誰の悪口も言わず反論もせず、過ごしてこられたというその事実。

でも、その方のお話って面白いんだよ、これが。もちろん、そういうレッテルのネタではなくて、若い頃の冒険談。有り金全部呑んじゃって遠距離を柳を愛でながら歩いて帰った話。ヨーロッパを旅した話(その時代にね)。
いまだって、見事なファッションセンスである。銀髪に紺のペレー、ジャケット。伸びた背筋。
タバコになにげに火を付ける仕草も、かなりかっこいい。

ああ、でも、だからこそこの人は、その人に憎まれたのだと思ってしまう。

そして、ふとその方が、こう言われた。
「あなたを見ていると、若いころのわたくしを思い出してしまうわ」

.......複雑なものがあった。
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