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ノーベル賞と疑似医学:トンデモが湧いて出て来るぞ

しばらく前のことですが、銀行員のお兄さんの熱心なおすすめで、とある銀行主催のセミナーに参加したことがございました。この手のものは、ふつうはまず参加しないのですけど、テーマが「最新の高度先進医療」についてということだったので、覗いてみようと思ったのです。
といいますのも、あたくし、飲み友だちにお医者さん多いですので、多少、話のネタになるかなと思ったのと、あたくし自身がかつて精密検査で「悪性腫瘍の可能性極めて大」と診断されたことがありまして。(この件は、おかげさまでいまだに、この世にはばかっているわけなんですが)

で、結論から言うと、そのセミナーの内容は、完全なトンデモ系でございました。
笑っちゃうのは、講師と称する人物がそもそも、医師でも研究者でもなんでもない、一般社団法人の代表を称するだけの方で、クリニック系免疫療法を絶賛おすすめされていた、と。(藁)
で、なぜ、そういうセミナーを銀行がやったのかというと、高度先進医療対応が触れ込みの保険の売り込みだったわけで、したがって、「保険適用内のがん治療には問題が多く、副作用が少なく世界的に注目している最新医学は保険適用にならないので、高度先進医療対応の民間保険に入りましょう」という露骨な宣伝だったわけ。
銀行も落ちたものです。貴重な時間を無駄にしました。

なんで貴重な時間を無駄にしたと断言できるかというと、確かに高度先進医療を対象にしている民間保険はあるのですが、すごく小さい字で「厚生労働省が認めた高度先進医療」だけを対象にしていることが明記されているのを知らないあたくしではなかったからです。
で、「厚生労働省が認めた高度先進医療」は、そう簡単に、患者が希望して、ほいほい受けられるものじゃないのです。
というか、Googleあたりに広告出しているようなクリニックでやってるのは、厚生労働省が認めてる高度先進医療じゃないです。
そもそも、「保険のきかない高度先進医療」というのは、治験レベルの話なので、体質や病状など膨大なチェックポイントが完全に適合しないと受けられません。患者さんが希望して受けられるもんじゃないんですよね。
で、今回、ノーベル賞を取ったがん免疫療法の研究に関しては、あたくしのランチ友だちであり、本庶教授のご研究に詳しいインペリアルカレッジ・ロンドン上席講師の小野昌弘先生がブログで解説しておられるので、そちらを参照なさってください。
https://news.yahoo.co.jp/byline/onomasahiro/20181003-00099152/

で、今回、受賞した免疫療法の最大のポイントは、素人がなんとなく想像するような「免疫を強化してがん細胞を壊す」ような単純なことではなく、「もともと免疫という名の攻撃力を持つキラーT細胞のブレーキを止めることで、自己免疫力を最大限にまで引き出し、がん細胞を治療する」ことです。
では、なんで、そもそもT細胞にブレーキなどあるのか。
それは、免疫とは、そもそも体の異物を認識し排除するための役割で、そういう意味では、がん細胞は「異物」ではあるのですが、そこはずるい奴なので「あたしは異物じゃありません」というサインを出して、T細胞を騙すのですね。なので、がんは増殖するわけです。
ですから、このT細胞のブレーキを外すことで、「あたしは異物じゃありません」というサインを出していたとしても、容赦なく、そのがん細胞を叩く、という仕組みなのです。

というと、もうここで頭のいい皆様にはおわかりでしょう。
そうなると、今度は、そのT細胞が、異物ではないもの、つまり、自分の正常な細胞や臓器を攻撃するようになることが起こりえてしまうわけです。
T細胞が、異物でない、自分の細胞や臓器を攻撃するようになるとどうなるか。
自己免疫疾患という過剰反応が起こります。自己免疫疾患とは、たとえば、膠原病はその典型的な例。甲状腺機能異常症や関節リウマチもそうです。
つまりT細胞のブレーキを外す、ということは、そういう事態が起こるリスクを伴うわけです。
だから、小野先生曰く、これは「肉を切らせて骨を断つ」療法なのであり、けっして、「自分の免疫だから副作用がない」とか「抗がん剤に比べて体に負担が少ない」ような代物ではないわけです。

ましてや、現状では、効果のある症状は限定されていて、がん患者なら誰にでも試せるようなものでもありません。
たとえば、オプジーボによる治療は、「手術による治療が難しいメラノーマ(悪性黒色腫)、手術による治療が難しい進行・再発の非小細胞肺癌、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」限定で、しかも、アレルギーの可能性のある人や自己免疫疾患にかかったことのある人は受けられないわけですし、その投与もきわめて慎重を期さなくてはならないわけ。
そして、現段階では、抗がん剤や放射線治療の併用での安全性がわからないため、併用もできませんし、対象になったとしても、上記のリスクがあり、かつ、効く可能性は20%ほどです。

つまり、あくまでも、ノーベル賞受賞ポイントは、「発想・手法として画期的であり、しかも一定の効果が確認されたので、これから研究を進めていく方向としてきわめて有効」ということです。
逆に言えば、これ以外の免疫療法と称している代物は、「いくらやっても有効なエビデンスがない」。ぶっちゃけいうと、牛乳にイソジンたらすような、おまじないレベルということ。
(※牛乳イソジンは、健康に害がある可能性さえありますので、絶対にやらないように)

ちなみに、本物の免疫療法に詳しいお医者さんによると、免疫療法で効く可能性がある(つまりエビデンスがある)のは、このオプジーポ(抗PD-1抗体)とCAR-Tだけ。オプジーポは、保険適用されたこともあって薬価が大幅に下がり、一回の投与の薬代が40万円ほどになりましたが、薬代だけで数千万円です。(ただし、保険適用なので、高額療養費制度が適用されます)
保険適用されないCAR-Tの場合も、薬価だけで数千万円クラスの世界。
つまり、そのへんのクリニックで数百万とか言ってるのは、はっきり言って詐欺です。それから、言うまでもなく、「免疫は個人によって違うので、大規模治験に向かない。だから、統計上の問題がクリアできないので、エビデンスがないなどという不当な評価を受ける」「患者さんが希望しても、日本の医療界が閉鎖的なので免疫療法が受けられない」などというのは、詐欺師の片棒担ぎのタワゴトです。

もちろん信じるものは救われますし、鰯の頭も信心、プラセボ効果というのも実際にあります。がんであっても、ごくまれには自然治癒する例だってありますから、アレな療法を受けて「治っちゃった」人は、ぜったい「いない」とは言い切れません。しかし、アレ系の診療はたいてい「標準治療と併用できる」とか謳っているところなども、いろいろアレです。
(とはいえ、標準治療を完全拒否して、みすみす勝ち目のないギャンブルで亡くなるよりは、併用の方が良心的とも言えます)
ということで、みなさま、疑似医学や独自研究詐欺にご注意を。

カツカレー食い逃げとか謎の文書とか、内緒でいろいろやる人はどこにでも

 昨日はなんとカツカレー食べちゃいましたよ。
 カツカレーなんて、カロリー高くて健康に悪そうなもの、ここ数年食べてなかったんですけどね。もちろん、あの方たちの影響です。
 っていうか、あれだけテレビでもネットでも「カツカレー」という言葉が乱舞しますとですね、やはり、意識がそっちに行っちゃうわけです。

 で、カツカレーは食い逃げ事件に発展したわけですが、とはいっても、人間、最後の瞬間に気が変わるなんてことはあるわけです。ぽとぽと落ちていたしずくが、最後の一滴でコップからあふれることだってあるわけです。なので、必ずしも、食い逃げというのは正しくないとは思うんですけどね。

 とはいえ、そうでなかったのだとすると、これは、「面従腹背」の見本ということになりますわな。正面切ってノーと言えない立場の方や、地縁などの事情で投票を事実上強要されている人でも、この手があるんだよって。
 沖縄でもどこでも、です。

 そういえば、7月1日に野党が大勝したメキシコ大統領選挙でも、与党が相当額の裏金をばらまいて、住民の反応も極めて良好で、したがって優勢を確実視していた地区で蓋を開けたらボロ負けしてたんですね。多くの選挙民がにっこり笑って裏金だけ受け取って、そういうことするような候補に入れなかったわけです。なにこれ、賢いわ(爆)

 ということで、もちろん正々堂々としているのは立派ですが、そうでない方もそれなりに、意思表示の方法はあって、ある意味、その方が効果的だったりすることもあるというわけです。

 などと言っていますと、複数のメディアの方から、例の5ちゃんねるに出てきた伊藤詩織さん関連の文書についてお問い合わせが。

 なんで、あたくしに? ただの歌手なんですが。
 というより、その後、当会に届けられたりするかも、ってことなんでしょうか?
 いずれにしても、問題の文書、ペラ一枚のしかも写真では信憑性は低いとしか申し上げようがありません。決裁書類でもなんでもない、偽造しようと思えば10分で作れるものですので、前後時系列のメモなどある程度の分量があるとか、それが偽造ではないことを示す他の証拠などがないと、信用度は皆無に近いと思います。

 そこで思い出してしまったのですが。
 あの陸山会事件で現役検察官たちが組織ぐるみで偽報告書をでっち上げて、検察審査会を騙したというトンデモ事件で、その動かぬ証拠となる偽報告書一式を、心あるどなたかが、どっさり当会に届けてくださった事件では、なんといっても、その書式の完璧さと分量の多さでもって、その信憑性が極めて高く、さらに公開数時間で、複数の関係者の方が本物認定してくださったので、ひとつの事件となったのですが、じつは、いまだに、流出犯は不明です

 当然のことながら、検察関係者や裁判所関係者の方が流出犯でしたら、国家公務員法違反ですし、弁護団からの流出なら刑訴法違反となりますので、流出させたのがどなたであれ、時効が来るまで「自分がやりました」とはいえませんわね。(時効が来たって、言えない人は言えないでしょうし)

(ちなみに、あたくしは「落とし物を拾っただけ」の善意の第三者ですので、落とし物の存在をネットに公開しても、いかなる罪にも問われる可能性はありません)

 とはいえ、当然のことながら、当時、警察も検察も犯人捜しに血道を上げたのは事実です。でも、それでも流出犯はわからなかった。

 その少し前に尖閣ビデオ事件というのがありましたが、あの事件の犯人があっさり特定されたのは、警察がYouTubeの日本法人にIPアドレスを問い合わせたら、YouTube側があっさり問い合わせに応じちゃったからです。で、そのIPアドレスで、ビデオをアップロードしたパソコンを特定して、神戸のインターネットカフェで、該当時間にそのパソコンを利用したユーザーがあっさり特定されちゃったという、簡単な事件だったのですね。

 なのに、この検察証拠流出事件の犯人がわからなかったのは、問題の文書がロシアのサーバに置かれていたからです。
 日本法人がないから、日本の警察も検察も乗り込みようがない。

 とはいえ、これがアメリカのサーバなら、日本の検察と米国FBIは捜査協力体制にあるので、FBIが動いてくれます。で、この年の4月にFBIがアメリカのサーバに圧力かけて使用者を開示させる事件が起こっています。

 ところが、相手はロシアですからね。
 日本の検察または警察は、日本国外務省にお願いし、日本国外務省はロシアの外務省にお願いし、そのロシアの外務省から問題のサーバ会社に情報開示を請求しなければならないわけです。
 で、これが、国際的な麻薬密売ルートとか人身売買事件とか、テロ事件とか凶悪殺人事件とかの捜査なら、国際協力で、それを試みる値打ちはあるでしょう。少なくとも「協力をお願いする」大義名分はあるというわけです。
 でも、「検察がデマ報告書をでっちあげていて、その犯罪の証拠が流出して貴国のサーバにあるんですけど、その犯罪の証拠を持ち出した犯人をどうにかしたいんで、IPアドレス開示してくれ」というような恥さらしは言えませんわね。ふつう。
 そういう裏取引までしようとするなら、それ相応のお土産でもないと、ロシアもほいほい承諾するわけないですし。
 で、そこまでやったところで、相手のサーバ会社に
「あ、でも、うちは、IPアドレスのログ取ってませんので」
と言われちゃったらおしまいで、それが事実かどうかを調べることすらできないわけで。

 1万歩譲って、そのロシアのサーバがIPアドレスを開示してくれたところで、そのIPアドレス情報だって本物かどうかわからないし、仮に本物だったとしても、そこまで読んでロシアのサーバを使うような犯人なら、当然、たまねぎブラウザ使ってIPアドレスの偽装ぐらいやってると推認するほうが自然です。

 というわけで、警察は(あたくしが聞いた話では)わりとすぐ捜査本部も解散して、あっさりあきらめちゃったみたいです。
 つまり、あれは未解決事件なのでございます。

 で、ふと思い出して、当時利用されたロシアのサーバを調べてみましたら、当時のダウンロードリンクが切れているのも道理で、名前が変わり、サービス自体も改良されているみたいです。
 http://free.arinco.org/storage/yandex/
 連絡に使われたYandexメールは、ロシア最大のポータルサイトの、最新のメール機能を備え、容量実質無制限。送信 IPアドレスはマスクされるし、自動転送も可能なら、携帯電話の登録も不要。たまねぎでのアカウント取得や運用も可能。
 http://free.arinco.org/mail/yandex/
 申し込みはこちらからできるみたい。

 で、このメールサービスのストレージサービスから添付ファイルの形でファイルを送ることもできれば、ストレージサービスからダウンロードリンクを送ることもできる、と。あら、便利。

 内部告発をしたい方向けというより、普通に便利なサービスのようです。

 ということで、今夜のおかずは鯖の味噌煮、かな。

検審申立という第2幕が始まりました

5月31日、検察が森友事件に関する一連の告発について、「まとめて不起訴」を出しました。
この「まとめて不起訴」という対応そのもので、はじめからまともに捜査をする気もなければ、本気で起訴する気もなかったということが明らかであったと思います。

だって、たとえ被疑者が同一であったとしても、

(1) 大量の公文書を捨てたと佐川局長が国会で抜かした件
(2) 多数の公文書を改ざんしていたのが朝日のスクープでバレた件
(3) みんなが疑っている、8億円の国有地を1億円で売っちゃって、背任じゃないかと疑われている件

というのは、それぞれ別の問題なわけです。

極端に言うと、死体があったとして、「殺人」と「死体遺棄」と「死体損壊」はそれぞれ別の罪なわけでして、殺人はやってないけど死体遺棄はやったとか、死体損壊はやったとか、証拠隠滅だけやったのかもしれないとか、殺人じゃなくて、過失致死だったかもとか、まともに捜査をしていれば、まあいろいろありうるわけで、他に犯人がいて、まったくの無関係でない限り「本人死にたがってた人で、死んでもかまわない人だったから、死体捨てたのまでバレてて、殺人疑われてるけど、まとめて不起訴」なんてありえないですよね。

で、その不起訴理由というのがまた、記者会見では、

・公用文書毀棄については、「応接記録は、財務省文書管理規則で、保存期間一年未満なので、捨ててもいい書類だった」

・虚偽有印公文書作成及び行使に関しては、「文書の内容に大きな変更はなかったし、嘘を書いたわけではない」

などと、女性特捜部長さんがおっしゃったそうです。

アホ抜かせ。

と、そこで、大阪人である私は、つい大阪言葉で毒づいてしまったわけですの。

財務省管理規則にはどこを探しても、「応接記録は、財務省文書管理規則で、保存期間一年未満なので、捨ててもいい書類だった」などという項目などございませんのよ。
いくら、記者の方が、財務省管理規則を全文暗記しているわけがないので、その場でツッコミができないだろうからって、よくもぬけぬけと、そんなボケかましてくれますよね。
そんなにツッコんでほしいのでしたら、徹底的にツッコましていただきますわ。なめてんじゃねえよ。

というわけで、まず、公用文書毀棄について出させていただいた申立書が、こちらでございます。

http://shiminnokai.net/doc/moushitate_kiki_180611.pdf

簡単に言いますと、財務省管理規則では、国有地の売却に関する一連の書類は、保存期間が30年と定められており、さらに、他の省庁(この場合は大阪航空局)との交渉記録は最低10年の保存期間、しかも、相手方に不利益処分のある場合(この場合は、契約に買い戻し特約があること)がある場合は、最低5年の保存期間が定められているので、どっちにしても、1年未満の保存期間などというのは、無理筋の言い訳でしかないこと。

そして、決定打としては、森友学園への土地売却は、一括払いではなく、10年の分割払いになっていたため、支払いが完了しないうちは、事案も契約も終了していない(で、結局、小学校建設の話が潰れたので、問題の土地を更地にして、国に返還しなくてはならない)ので、そもそも、事案は終了していないので、1万歩譲って、「事案が終了したので、細則で廃棄した」という苦し紛れの言い訳自体、はじめっから成立してないし、ということです。

そして、虚偽有印公文書作成及び行使につきましては、申立書はこちらになります。

http://shiminnokai.net/doc/moushitate_kyogi_180611.pdf

「大きな改ざんではない」どころか、どこが、「内容に大きな変更のない」んでしょうね。しかも、わざわざ国交省まで行って書類をすり替えようなどという泥棒みたいな真似までして、バレてやがんの

しかも、この件については、昭和33年の最高裁での判例がありまして、議事録の一部を削除しただけでも、公用文書等毀棄罪と虚偽有印公文書作成及び行使が成立した、というものがあるわけなんですね。
 この判例につきまして、「これは議事録の話であって、財務省の交渉記録ではないから」などという間抜けな論評を書いておられるアレな方もいらっしゃいますが、(見え透いたDD論で中立を装うことで、国会で調査委員会でも立ち上げることになったら、ぜひ入りたいとでも切望していらっしゃるんでしょうか。)、ブログの記事か、せいぜいネットでちゃっちゃと検索できる最高裁判例しかお読みになっていらっしゃらないようです。

この裁判では、印の押された決裁文書は、「毀棄できないことは明らかである」と述べられているだけではなく、原審では、明白に、「(除去した発言等の)部分が要望事項にすぎなかったものとしても、はたまた同部分の議決が無効であるとしても、同部分が前記委員会の会議において 議決されたものであることが動かぬ事実である以上、同部分を故(ことさ)らに脱漏して新たな議事録を作成するがごときことは真実に適合しない虚偽の議事録を作成するものというべく、もとより法の許さざるところであり、これをあえてするときは虚偽公文書作成罪を構成し、またこれを行使するときは同行使罪を構成するものといわなければならない。」
とまで、書かれているわけです。

つまり、要望部分が、議決に何の影響も与えなかったとしても、その部分を削除したら、それだけで公用文書等毀棄罪と虚偽有印公文書作成及び行使が成立するとされているわけです。

で、常識で考えて、村役場の議事録ですらNGなことが、財務省の国有地売却記録で問題ないわけがないということは、皆さんおわかりでしょう。

ていうか、それでも「いや、村役場の議事録では駄目でも、財務省の国有地売却記録では、どんだけ書き換えても、削除しても、内容を変えても、ぜんぶセーフなんだよっ」と言い張る向きがおありなら、だったら、裁判所で判断を仰げばいいんですよ

ということで、この事件、大阪地裁内の検察審査会で、昨日、無事、申立を済ませて参りました。

大阪地裁は初めてでしたので、勝手がわからなかったのですが、大阪の弁護士さんたちより、大阪地裁の内部の見取りから、近場のコーヒーが美味な喫茶店、さらには安くて旨い立ち飲み屋に至るまでの、いろいろ有益なアドバイス多数をいただけたのと、なにより、地元大阪の有志の方にもお手伝いに来ていただけたおかげで、ラビリンスのような大阪地裁の中で、迷子になることもなく、無事、申立と記者会見を行うことができました。
ご協力をいただいた皆様、本当にありがとうございます。(鱧美味しかったです。)

とはいえ、検察審査会のブラックボックスさは定評のあるところ。
あのストーリー田代事件のように、中立であるはずの補助弁護士に、元検察高官がどさくさ紛れに就任していた、などというようなことのないよう、大阪弁護士会にも要望書を提出し、解散となりました。

http://shiminnokai.net/doc/oosakabengoshikai.pdf

さあ、皆様、第2幕はこれからですよ。

「公文書改ざん罪」は存在しません。しかし、3つの犯罪が成立しています。

 財務省で大量の文書の改ざんをやっていたことが、朝日新聞のスクープでバレちゃったのが、先月はじめのこと。結局、財務省は、60ページ以上、300箇所もの改ざんを認めて、自殺者まで出てしまいました。
 そんな中で行われた佐川宣寿元理財局長の証人喚問だったわけですが...。
 佐川氏が「官邸の指示はなかった」ことと「刑事訴追の疑いがあるのでお答えできません」というほぼ2点しか答えなかったことをもって、自民党の一部の方が大喜びしたり、一方で、野党の追及が下手だったとおっしゃる御仁も出ておられますが。
 この人たちって、あの佐川氏が、あの公文書を大量廃棄したとしゃあしゃあと言い切っていたほど面の皮の厚い佐川氏が、証人喚問になった途端に、ホントのことを泣きながら告白するとでも思っていたんでしょうか?
 だとしたら、幼児向けのテレビ番組の見過ぎなんじゃないですかね、まじで。

 野党の追及が下手だった、とか上から目線で書いているような人に限って、「私だったら、ここをちゃんと聞くんだ」みたいなことを、具体的には何一つ書いておられないあたり、プロの試合見ながら、「そこで打てよ! バカヤロー」とかテレビの前で喚いているおっさん臭が凄いです。

 佐川氏が、「刑事訴追の疑いがあるのでお答えできません」なんていうのは、中学生レベルでもわかる「想定内」の話です。つまり「自分に不利な供述を強要されない」というのは、佐川氏の権利。逆に言えば、その部分を答弁拒否する、というのは、そこが「事実を言えば自分にとって不利」であると言っているも同様だ、ということですね。
 その中で、佐川氏についている弁護士が、ドリル優子とか甘利疑惑を不起訴にした自民党御用達の方なんだ、とか、まあ、そういう香ばしさも明らかになる中で、佐川氏が、かなり幅広く「刑事訴追の恐れ」つまり、それが罪になりうることであると認識して答弁拒否しているとか、さらに、官邸や昭恵夫人が関与していないと言ってるそばから、細かいことは知らんと言ったり、文書をいつ見たかも言えないと言い出したりと、矛盾噴出なところが、見応えのあるショーだったわけでございまして。

 そのうえ、ついに、4月4日には、値引きに関しての口裏合わせ、つまり、財務省の方から、森友学園に「嘘をついてくれ」と依頼していたことが、今度はNHKのスクープで明らかになっちゃったうえ、佐川氏自身が籠池氏に表に出ないように指示してたこととか、去年の2月22日に官邸に報告していたことまでバレちゃって、喚問から一週間で、偽証までもほぼ確定するということに。

 森友事件に幕を引きたい人たちには、なかなか気の毒な展開ではありますが、逆に言えば、ここまでの事件がうやむやになってしまうことになったら、法治国家・民主国家としての日本は終わりじゃないかと思います。

 というわけで、本日、財務省と近畿財務局の官僚24名を、公用文書等毀棄、虚偽有印公文書作成及び行使で、刑事告発してまいりました。

 この件に関しては、一部の法律家の方から、「削除しただけであるので改ざんとはいえないため、虚偽有印公文書作成罪には当たらない」、あるいは、「多少の書き換えがあったとしても、文書そのものの本質的な意味を損なう虚偽内容でなければ改ざんには当たらない」とか「公文書を改ざんするのは重大問題だが、現行の刑法では『公文書改ざん』に相当する罪がない」といった消極論も出ていますが、当会の優秀な法律家チームの皆様が、改めて、問題の改ざん文書を精査いたしまして、「削除しただけとはいえない」し、「文書そのものの本質的な意味を損なう虚偽内容」となっていることを立証したものです。

 その告発状は、こちらでダウンロードしていただけますが、簡単に解説いたします。
 
 まず、大量に削除されているのが「特例的扱い」であること、この件が「特殊」であるという文言が全般的に削除されていること。
 そして、政治家からの問い合わせや安倍昭恵夫人との強い関わりの部分がすべて削除されています。
 やましいところがないのであれば、削除する必要はないわけですから、まさにここが「隠したかったところ」であるとしか考えられません。
 また、このことで、「特殊なこと」が「一般的なこと」であるかのような内容になっています。これは、文書そのものの本質的な意味が変わっているわけですから、これだけでも、重要な内容の改変です。

 さらに、改ざん前の文書では佐川氏の答弁は成り立ちません。だからこそ、財務省は、この文書の改ざんが、佐川氏の国会答弁との整合性を取るためのものであったと説明しているわけです。
 つまり、この改ざん前の文書を見ていたとしたら、佐川氏は、国会で嘘の答弁をしていたことになります。
(逆に、国会答弁前に事実と異なるレクチャーをされ、改ざん後の文書しか見ていなかったのだとしたら、佐川氏は国会で嘘を言っていなかったことになりますが、それなら、そういえば済む話だったわけですが、そうは言えず「刑事訴追の恐れ」ということは、ある意味、自白しているようなものですね)
 しかし、そうだとすると、改ざん前の文書と改ざん後の文書は、佐川氏の国会答弁が「嘘を言っている」ことになるか、「嘘をついているわけではない」のかという、正反対なほどの差があることになります。
 つまり、その観点からも、改ざん後の文書は「虚偽の公文書」といえます。

 第3に、これは、うちの発表の前に毎日新聞さんが気づいて書かれちゃったんですけど、財務省の報告書の7ページ目に、驚くような記述があるのです。
 つまり、改ざん前の決裁文書によれば、近畿財務局は、森友学園が実施したボーリング調査の結果について、地質調査会社に意見を求め、「特別に軟弱であるとは思えない」(=値引きの根拠にならない)とする見解を得ていたと、はっきり書かれている。
 ところが、改ざん後の文書では、地質調査会社からのこの記述が削除されて、「ボーリング調査結果について、専門家に確認するとともに、不動産鑑定評価を依頼した不動産鑑定士に意見を聴取したと ころ、新たな価格形成要因であり、賃料に影響するとの見解があり、価格調査により、鑑定評価を見直すこととした。」と、真逆方向に書き換えられているんです。
 悪いけど、この一点だけをもってしても、この改ざんは、「虚偽有印公文書作成」に当たってしまいます。

 そして、トドメです。
 そもそも、役所では、前の文書に何らかの問題があり、訂正を行うことは、実はよくあることです。
 たとえば、単純な書き間違えとか変換ミスとかの類いですね。
 で、そういうときは、二重線を引いて、責任者が訂正印を押します。
 それはどういうことかというと、訂正を行う場合でも、旧文書と新文書との連続性(どういう理由に基づいて、どこをどう訂正したのか)を明らかにしなければならないわけです。これを連続性と言います。
 しかし、今回の場合、前の文書が明らかになってはまずいので、それを消滅させて、新しい文書を作ったわけですね。その間に連続性はない。連続性を明らかにせずに、大量の変更を行ったということ自体が、本質的に内容や趣旨の異なる虚偽文書を作成したことを意味するわけです。

 まとめますと、この改ざん事件は、改ざん前の公文書を「廃棄し」、新たに事実と異なる新文書、つまり虚偽有印公文書を「作成し」、それを国会や会計検査院に提出することで、「行使した」ことになり、3つの犯罪が成立いたします。
 ちなみに、改ざん前の文書が出てきたといっても、それが、国会や会計監査院に提出されるべき時に提出されなかったということそのもので、隠匿ということになります。そして、隠匿の場合でも公用文書等毀棄罪は成立します。

 さらに。この事件は、大阪地検特捜部で捜査することになるでしょうが、その大阪地検特捜部は、2010年にあの「証拠改ざん事件」を起こしています。
 現職の検事が証拠を改ざんするなどということは刑法では想定されていなかったので、「証拠改ざん」罪という罪は存在していませんでした。
 では、そういう罪が存在しないからといって、前田恒彦元検事は不起訴あるいは無罪放免になったでしょうか?
 そんなことはありません。ほかならぬ大阪地検特捜部が、証拠改ざんを「証拠隠滅」罪で逮捕起訴し、有罪にしたのです。
 その例から見ても、同じ大阪地検特捜部が、この「公文書改ざん」を不起訴にすることはできないでしょう。

 ちなみに、3月22日に、会計検査院も、改ざん文書を検査に提出した行為について「会計検査院法に違反する」と判断していることも付け加えておきましょう。

 さらに、この一連の犯罪においては、それを命令した人間が「正犯」であって、やらされた人間は「従犯」でしかありません。自殺された職員の方は、もし、書類の書き換えに手を染められていたのだとしても、明らかに従犯だったのですから、自分一人に罪を押しつけられると誤解され、命を絶たれたのだとしたら、本当にお気の毒でなりません。

 ということで、毎度のごとく、この告発状は、そのまま報告書にして裁判所に出していただければ、被疑者否認でも逮捕状取れますので、特捜検察の皆様としては、国民の期待を背負って、すみやかに行動なさっていただきたいものです。

獄友:リアル99.9に挑むということ

 私が検察の問題を知ったのは、例の大阪地検特捜部の証拠改ざん事件の少し前ぐらいからだった。そして、知れば知るほど、その闇の深さに愕然とすることになる。
 その決定打となったのが、あれほどあからさまな「検察の犯罪」だった陸山会事件での報告書でっち上げ事件を、むりやり不起訴にしてしまった件だったが、もちろん、本当の闇は、そんなところだけでは済まない。
gokutomo.jpg
 この日本に、じっさいのところ、どれほどの冤罪事件が存在しているのか。

 このクールでけっこう高視聴率を獲得していたドラマ「99.9」は、民放ドラマとしては画期的に、この司法の闇に切り込んだ番組だったが、その内容のいくつかが、実在の、冤罪の疑いの強い事件を下敷きにしたものであることに気づかれた方はおられるだろうか?
 たとえば、3月11日放送の回は、和歌山カレー事件(犯行に使われた毒の成分の再分析を行った結果、犯行に使われた毒物と「犯人とされた人物が所持していた」毒物の成分が異なっていた問題)、そして、18日放送分は、恵庭女性殺人事件(ガソリンスタンドに立ち寄った時間がずれていた問題)+本庄トリカブト事件(そもそも、被害者の「死因が違ってる」問題)。(他のネタは、みなさん、それぞれ推理してみてね)
 そして、いま話題の森友事件の「おかげ」で、人質司法、つまり、自白しない被疑者を延々と拘置することができる人権侵害的な異様なシステムが、広く知られるようになってきている。

 その一方で、ここしばらくのうち、立て続けにふたつの冤罪の可能性が極めて高い二つの事件の再審請求問題がニュースとなった。
 そのうち、明らかに「99.9」でもネタにされている、恵庭女性殺害事件は、再審請求が無残にも却下。一方、さすがに高裁さえ「無罪を言い渡すべきことが明らかな証拠に該当する」と再審を認めた大崎事件にも、検察が即時抗告を出して、再審を阻止しようとしていることが批判を浴びている。
  
 まさに、ドラマ「99.9」ではないが、こんだけ無罪の証拠が揃っているにもかかわらず、おまえら弁護団が真犯人見つけて自白でもさせない限り、意地でも被疑者の冤罪を認めないつもりかよ、みたいなことになっているのだ。
 政権に近い政治家や官僚やジャーナリストの犯罪は「忖度」して、逮捕状が出ていても取り下げたりして、起訴もしないくせに、弱い者いじめは得意なんである。

 そんな折りに、なかなか濃ゆい映画が公開になった。
 「獄友」



 あの冤罪で再審無罪を獲得した布川事件の桜井さんと杉本さん、足利事件の菅谷さん、狭山事件の石川さん、そして、袴田事件の袴田さん。
 この、「やってないのに全員殺人犯」として合計155年を刑務所で過ごすことになった人たちを追ったドキュメンタリーなのだが、これがね。

 なぜか、上映中、要所要所で、客席から笑い声が起きるんである。

 いや、重いんですけど、テーマはね。でも、この、とんでもなく前向きな「冤罪エリート」の方々のキャラクターが、とんでもなく重いテーマを、いい感じで軽くしてくださるんですわ。そういう意味で、この作品を監督は「冤罪青春グラフィティ」として描いていらっしゃる。
 でも、そうであればあるだけ、警察や検察や栽培所の罪深さ、というか、日本の司法の歪み方が、浮き彫りにもなってくるという仕組みなんです。

 本日から、ポレポレ東中野で上映中。公式サイトはこちら
 http://www.gokutomo-movie.com/
プロフィール

PANDORA

Author:PANDORA
ラテンアメリカと日本を拠点に活動する音楽家・作家 八木啓代のBlog
公式サイト http://nobuyoyagi.com

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★新刊情報
3.11を心に刻んで (岩波ブックレット)
人は、どのような局面において言葉をつむぐか。30人の執筆者が震災を語ったエッセイ集。澤地久枝、斎藤 環、池澤夏樹、渡辺えり、やなせたかしらと並んで八木も寄稿。
刑事司法への問い (シリーズ 刑事司法を考える 第0巻) (岩波書店)
日本の刑事司法の何が問題か、どのような改革が求められているか。刑事法研究者、実務法曹の他、八木も執筆しております。
禁じられた歌ービクトル・ハラはなぜ死んだか(Kindle版)
長らく絶版状態だった書籍をリクエストにより電子書籍で再版いたしました。八木啓代の原点です。
検察崩壊 失われた正義(毎日新聞社)
5刷。この一冊で特捜検察の現実がわかります。
ラテンに学ぶ幸せな生き方(講談社)
なぜラテン人は自殺しないの?に応えて3刷!好評発売中!
キューバ音楽(青土社)
ラテン音楽ファン必読!キューバ音楽のすべてが理論も歴史もわかります。浜田滋郎氏激賞
貧乏だけど贅沢(文春文庫)
沢木耕太郎氏との対談収録

★ライブ情報
10月18日(木)六本木・Nochero
Vo. 八木啓代 G. 福島久雄
11月15日(木)六本木・Nochero
Vo. 八木啓代 G. 福島久雄
11月25日(日)大阪・燈門
Vo. 八木啓代 Pf. 柳原由佳
11月27日(火)神戸・Jazz & Live Born Free
Vo. 八木啓代 Pf. 柳原由佳
ライブ&講演詳細はこちら



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