FC2ブログ

中曽根元首相の訃報に思い出すこと

 中曽根康弘元大臣の死去がトップニュースとなった。
 101歳ということだから大往生だろう。
 豪農の大邸宅に生まれ、戦時中は自ら慰安婦を駆りあつめ、戦後は太平洋戦争の正当化にいそしみ、日本の原子力発電を強力に推し進め、また戦争や核武装が可能になるように改憲を主張し、経済的には新自由主義を積極的に取り入れた。
 まさに、盟友レーガンが、現在の「病める格差社会アメリカ合州国」を作り上げたごとく、現在の日本の惨状への道筋をつけた人物であり、安倍現首相の精神の師といえないこともない。

 ロッキード事件にも関わっていたとされる。
 ロッキード事件というと、田中角栄の5億円の贈賄、というイメージがあるが、実際にはロッキード社の対日工作資金は、約30億円。田中角栄より、むしろ、当時の政界のフィクサーだった児玉誉士夫を通じて流れたカネの方が遙かに莫大だった。そして、児玉と中曽根は昵懇だった。
 https://www.news-postseven.com/archives/20160802_434677.html/2

 にもかかわらず、検察が児玉・中曽根ルートではなく、田中角栄を逮捕する方向に行ったのは、重要証人であった児玉が突然、重度の「意識障害」に陥り、国会喚問が不可能になったからだった。このとき、児玉の主治医だった喜多村孝一が「脳梗塞」であるという診断書を作り、それを疑った国会医師団が児玉邸で事実を確認することになると、それに先回りして、児玉に薬物を注射し、昏睡状態にした事実には、具体的な証言もある。

―― 天野さんは『新潮45』(2001年4月号)に「児玉誉士夫の『喚問回避』に手を汚した東京女子医大」という手記を寄せられています。その中で、児玉誉士夫は重症脳梗塞による意識障害のために国会の証人喚問に応じられないとされたが、児玉の意識障害の原因は、児玉の主治医だった東京女子医大教授の喜多村孝一が薬物を注射したことだと暴露されています。この点について改めて教えていただけますか。

天野 順を追ってお話ししましょう。昭和51年2月5日、朝日新聞の報道により、米国のロッキード社が児玉誉士夫に21億円もの不正な政治献金を行っていたことが明らかになりました。このお金は児玉を通じて政界にも流れた疑いがありました。そこで、国会はロッキード事件の真相を解明するために、児玉の証人喚問を決定したのです。

 ところが、この証人喚問は実現しませんでした。それは、児玉の主治医である喜多村孝一が国会に、「児玉誉士夫は脳血栓による脳梗塞の急性悪化状態にある」という診断書を提出したからです。

 しかし、その数日前には、児玉はゴルフをしており、ゴルフ場内のレストランで支払いレシートが見つかったと言われていました。もしこれが事実であれば、喜多村の診断書は嘘ということになります。国会はその真偽を確かめるべく、独自に医師団を結成し、児玉邸に派遣することにしました。

 ところが、国会医師団の診断結果は驚くべきものでした。児玉は実際に重症の意識障害下にあり、証人喚問は不可能ということになったのです。つまり、喜多村の診断書の内容は正しいということになりました。

 しかし、これには裏がありました。国会医師団が児玉邸に行ったのは2月16日の午後10時頃です。実はその数時間前に、喜多村が先回りして児玉邸に赴き、児玉にフェノバールとセルシンを注射していたのです。

 フェノバールは強力な睡眠剤であり、どうしても眠れない患者や、てんかん発作が起きた患者などに使用する薬です。また、全身麻酔をかかりやすくするための前投薬としても使用されます。セルシンも同じく強力な睡眠剤で、患者が興奮状態で手に負えない場合などに使用されます。これらを同時に使用すれば、昏睡状態が生じ、数時間は当然口も利けなくなります。

 これらの注射によって生じる昏睡状態は、重症脳梗塞による意識障害と酷似しています。もちろん血液や尿を採取すれば、薬物の存在を確認することはできます。しかし、国会医師団はまさか児玉にこのような注射が意図的に打たれているとは思わなかったのでしょう。それ故、彼らが児玉の症状がこのような注射によるものだと見抜けなかったとしても無理はありません。

―― 天野さんはどのようにして喜多村が注射を打ったことを知ったのですか。

天野 喜多村本人が私にそう言ったからです。2月16日の午前中、私は東京女子医大の脳神経センター外来室で患者を診ていました。午前の診療を終え、これから昼食だという時に、私の外来診察室2番に隣接した外来診察室1番の喜多村の診察室から、喜多村の大きな声が聞こえてきました。喜多村は何やらただならぬ様子で往診の準備をしているようでした。

 私が「何をされるのですか」と尋ねたところ、喜多村は「これから児玉様のお宅へ行ってくる」と言いました。喜多村は児玉を呼ぶ際、必ず「児玉様」と呼んでいました。

 しかし、報道では、近く国会医師団が児玉邸に派遣されると言われていました。「国会医師団が児玉邸に派遣されると言われているのに、何のために行くのですか」と問うと、「国会医師団が来ると児玉様は興奮して脳卒中を起こすかもしれないから、フェノバールとセルシンを打ちにいく」と言うのです。……
 
   http://gekkan-nippon.com/?p=9317

 中曽根が逮捕されることもなく、後に大勲位まで受けられたのは、この医師の「功績」が大きいと言っていいだろう。むろん、この喜多村医師は、この児玉昏睡事件の後、中曽根の主治医となっている。

 あらためてよく思い出しておこう。
 日本の原子力政策と新自由主義を全力で推進してきたのは、そういう人物だった。
 そして、その人物を手本としている劣化コピーが、現在の首相なのだと。

桜もさることながら、いま、中南米がすごいことに

 日本では、「桜を見る会」問題が炎上しております。
 桜の花びらのように、次から次から、はらはらと火の粉が飛び散る姿が、もうなんともいえないですが、この件に関しては、郷原先生米山先生の記事が、問題点を実にわかりやすく解説しておられるので、私からはあえて、説明はいたしますまい。

 それにしても、あちら様の言い訳も日ごとに支離滅裂になってきていまして、もう、日本の劣化ぶりを象徴するような状況になってきています。いや、モリカケでの公文書廃棄あたりでもう十分劣化し、詰んでたんですけどね、今回の、言った端から嘘がばれる感て、東大まで出た官僚が、幼稚園児レベルの言い訳が通用すると思っているらしいところが、ほんとに凄いっす。金融緩和が異次元なら、倫理はブラックホールでございますわ。
 まあ、ニューオータニも、アレなことに巻き込まれてしまいましたね。
 5000円で飲み放題付きの立食パーティーができるんなら、うちの会でも来年の総会はあそこで決まりかなと思ったぐらいですし、申し込みが殺到しているんじゃないでしょうか。でもねえ、唐揚げで水増しなんて言われちゃって、あそこのダイニングバー、けっこう私は個人的に好きなんですけど、料理長さんが号泣しておられそうです。ていうか、安く見られそうで、もう接待に使えないじゃんねえ。(笑) それに、ああも現政権とつーかーだってバレちゃうと、会話とか録音されてそうで厭だし。

 でも、それはそれとして、いま、中南米が、ほんとうにすごいことになっているのです。

 ボリビアのクーデターについては先日書きましたが、その後、どさくさまぎれに自称暫定大統領に就任した ジャニーヌ・アニェスが、本来なら、選挙管理内閣として、早々にやり直し大統領選の期日発表をするはずが、(そして、本来なら、それは11月17日の日曜であったはずが)、それどころか、軍にエボ・モラレス支持派のデモの武力弾圧を指示し、キューバの医療団を逮捕拘束、ベネズエラ現政府と事実上断行して、米国の傀儡の自称大統領グァイド野党代表を承認、と、矢継ぎ早に、スーパー極右政策を実施。すでに、政府軍の弾圧で、死者も数十人出ていると。
 もともと、ヘイトツイートなどをしていた疑惑が持たれている人だけに、いまさら驚くべきことではないのですが、一方で、アメリカとヨーロッパの二つのシンクタンクが、ボリビアの選挙結果はそもそも不正でも何でもなかったとして、不正選挙の疑いを煽って反政府デモを引き起こした米州機構を非難する流れも出てきていて、ボリビアの混乱が続くのは必至となりました。

 で、その一方、チリも10月末から、反政府デモが大盛り上がりを見せています。
 こちらは、反・新自由主義デモです。これで、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議も、急遽、開催地変更になりました。

 発端は、地下鉄の値上げ発表で、これは日本でも多少報じられたので、たかが5円ぐらいの地下鉄値上げで、なんでそこまでの騒ぎになるの、なんか裏があるの?....と思われた方も多かったかと思います。
 
 そうなんです。これは発端に過ぎません。
 というか、積もり積もったものが、最後の一滴でコップから溢れた、というアレです。
 新自由主義で格差が進んだ社会で、庶民の人たちが「もうこれ以上は騙されないぞ」と一気に爆発した、という感じ。

 なので、最初、地下鉄駅や工場への放火など暴力的な面ばかりが日本でも報道されましたが、実際には、暴力的なのはごく一部で、しかも、ピニェラ大統領が、地下鉄値上げを凍結を発表した後も、むしろ平和的なデモや抗議行動が、各地に広がっています。

(不思議なことに、もともとかなり暴力色が強かったのに、それがネット動画などの拡散で隠しきれなくなるまでは、徹底して「平和的な抗議行動」と報道されまくっていた香港とは真逆のパターンです)

 まあ、暴力的である、ということを口実にして、チリの現政府は、早々に非常事態宣言と外出禁止令を出して、軍で武力鎮圧しようとしたので、日本の新聞はそれに早々と迎合したってコトでしょうね。ベネズエラなんて、あれだけ争乱があっても、非常事態宣言出したりしなかったんですけどねえ。

 それで、そのチリの抗議行動で、テーマ曲として復活したのが、かつて、軍事クーデターで虐殺された音楽家ビクトル・ハラの作った「平和に生きる権利」です。この歌は、ビクトルが1971年に発表した曲で、本来は、ベトナム戦争への米国の介入を非難した曲です。
 それが、ほぼ半世紀の時代を超えて、米国べったりの政策で民衆を抑圧しようとする政権への抗議の象徴として、蘇ったと。

 この10月25日の抗議行動のビデオを見ていただくだけで、その状況がおわかりになるだろうと思います。
 
 これが Youtube で大拡散されたことで、27日には、チリのジャンルを超えたアーティストたちによる2019年版改訂版歌詞のオフィシャルビデオも登場。

(あら、八木のお友達がいっぱい出ているわ)

 もちろん、チリの団結ソングの定番、「不屈の民」も健在です。それも、こんな感じで。
 
 ということで、日本の報道とは裏腹に、チリの抗議活動に参加しているのは、平和的な人たちが大半であることはご理解いただけたかと思います。こういうのを朝日新聞が報道しないのって、ほんと不思議でなりません。

 という間もなく、昨日はコロンビアで、反政府大デモと全国ストライキです。
 これも、チリと同じく、格差が激化したコロンビアでも、新自由主義を押し進める政府に対しての抗議行動。
 これに関して、チリでやったように「過激派の暴動」「暴力行為」を口実にして、政府側が、非常事態宣言で武力弾圧する事態を避けるために、先手を打って、ボゴダ芸術アカデミーの学生たちが、「私たちは芸術家、過激派じゃない」というテーマ曲を作って、Youtube で大アピール。
 なるほど、軍の介入を防ぐ、新手の手段ですね。それも、芸大の学生と先生たちが総力を結集しただけあって、急遽作ったわりに、ものすごいクオリティの高さなので、必見です。

 などというのもつかの間、前のエントリでも触れたように、左派のラファエル・コレアを追い出して極右化したエクアドルでも、先住民グループを中心に、政府への抗議行動が顕在化しており、一時、首都機能を移転するほどの騒ぎになっていたのですが、その中で、エクアドルの「新しい歌」の代表的グループ、プエブロ・ヌエボの歌手のフアン・パレーデスが、逮捕されるという事態が起こり、全ラテンアメリカの音楽家たちに、事態の拡散と抗議行動を呼びかける触書がまわってきております。
 いまごろ、ラテンアメリカ各地でエクアドル大使館に対しての抗議行動が準備されています。

 ということで、反新自由主義の高まり VS 極右回帰 が熾烈なことになっているラテンアメリカでは、音楽家が表舞台で、正面から、もちろん覆面などしないで、政治にコミットしている、ということをご理解いただけましたでしょうか。

Live Information
12月5日(木) 六本木 Nochero

(東京都港区六本木6-7-9 川本ビルB1) お問い合わせ/03-3401-6801
1st 19:30 2nd 21:00 (入れ替えなし) Charge:2,600円(おつまみ一品付)
アクセス/日比谷線・大江戸線六本木駅より徒歩2分
 2019年も残りわずか。本年最後のNochero定例ライブです。どうぞご期待!
 ギター福島久雄さん。
 ネット予約はこちら http://www.nobuyoyagi.com/event.html



昨日、ボリビアでクーデターがありました

Evo Morales
 昨日、ボリビアでクーデターが起きた。そして、先住民出身の大統領エボ・モラレスが亡命した。

 いやあ、革命とかクーデターのお盛んなラテンアメリカらしいですねえ…. (とか言ってる場合ではありませんよね)
 クーデターではないと主張しておられる向きもありますが、官邸で軍と警察に辞任を強く要求されて、その後、大統領が亡命を余儀なくされているんですから、クーデターでしょうよ。辞任を要求されたその瞬間に、たとえ銃を突きつけられていなかったとしても、自分やそれ以外の多くの人間の命に真剣に関わる問題だと思うから、辞任し、亡命するからで。

 もっとも、背景は、シンプルではない。
 エボは、2006年、先住民としてはじめて大統領になり、先住民の権利向上に尽力した。先住民言語のアイマラ語を公用語化し、国名もボリビア共和国から、ボリビア多民族国家に変更した。劣悪な状態だった貧困層の保健衛生を劇的に向上させ、教育水準を上げ、ボリビアの地下に眠る天然ガスと石油を国有化し、農地改革を行い、大農場主から接収した土地の所有権を先住民に引き渡した。経済政策も成功させ、世界でも最貧国のひとつとされ、しかも極端なまでの格差社会だったボリビアに、曲がりなりにも中間層を生み出した。
 そして、そういう大統領は、当然ながら、既得権益層からは、ポピュリストとレッテルを貼られ、嫌われ、叩かれる。

 しかも、ボリビアは元々、複雑な国である。50年代から2000年代初頭まで、クーデターが頻発し、猫の目のように政権が変わることでも知られた。左派は分裂し、翻弄され、チェ・ゲバラが非業の死を遂げたのが、まさにボリビアであったことは、知られているが、これとて、単に CIA の陰謀が……というような話ではない。当時、ボリビアの共産党も農民も、社会主義革命を目指すゲバラを「敵」と見做し、攻撃する側に加わったのである。  
 貧困率が60%を超える国であったのに、だ。それがゲバラの誤算だった。
 そういう、複雑極まりない背景があることも知っておかなければならない。

 このあたりの、ボリビアの歴史的背景は日本ではほとんど知られていないし、参考資料も少ないのだが、興味のある方は、なんと、海堂尊氏の小説「ゲバラ漂流」に詳しいので、けっこうおすすめできる。ゲバラ漂流

 これはゲバラの生涯とキューバ革命を描いている大作で、現在で4巻まで出ているのに、まだキューバ革命がぜんぜん始まらない(笑)という超大作なのだが、その2巻目が、ちょうどゲバラ青年が、1952年のボリビア革命に巻き込まれるところから始まっていて、ボリビア政界の魑魅魍魎っぷりがじっくりと描かれている。1巻(いわゆる「モーターサイクル・ダイアリー時代」が描かれている)を未読で、ここから初めても面白いので、お薦め。

(このシリーズの良いところは、歴史書で読むと死ぬほど退屈で、しかも頭がこんがらがるラテンアメリカ現代史を、かなりわかりやすく、しかも小説仕立てで面白く読めるところだ。さすがに日本で一番退屈とされる厚生労働省の会議を、面白く読める長編小説に仕立て上げた作家だけのことはある。ただし、小説なので、一部、真っ赤な「作り話」もあるので、そこだけは注意されたいが、かなりおすすめできるラテンアメリカ近代史入門書である)

 話戻るが、まあ、そういう歴史的背景のある国で、エボ・モラレスが圧倒的な支持を得て当選し、数々の社会改革を成し遂げてきたことは、本当に、特筆に値するのだが、当然ながら、就任直後から反対も根強かった。ブッシュなどは、彼を麻薬の売人呼ばわりしたものである。

 さらに言うと、そこでエボは3選した。任期15年。そして4選を狙っての大統領選で躓いた。

 ボリビアの憲法では4選を禁じている。そもそも3選も禁じていたのだが、これは憲法を改正したのだ。これは国民投票の60%以上の賛成で可決された。
 そして、4選目を迎えたわけだが、ここで問題がある。この4選目を可能にするための国民投票は、否決された。つまり、国民はエボの第4期を望まなかった。4選となれば20年。長期独裁だと叩く野党側の主張の方が、国民に受け入れられたことになる。
 にもかかわらず、エボは大統領選を強行し、自ら立候補した。
 その結果、選挙不正があったという話になり、国内で反政府デモが起こる騒ぎとなった。
 この状況に、エボは再選挙の実施を申し出たが、軍と警察が大統領に辞任を要求した、という流れだ。

 そういう意味では、今回の流れは、そう簡単ではない。4選を可能にするための国民投票が否決になった段階で、彼は別の方法を採るべきであった、というのが正論だ。
 後継者をうまく育てることができなかったのが失敗という批判もあるだろう。

 しかし、隣の国のエクアドルで、ラファエル・コレア大統領は、同じく、2度の再選のあと、後継者として育ててきた(つもりだった)副大統領のレニン・モレノに見事なまでに裏切られた。モレノはコレアの全面的支援を受けて当選したにもかかわらず、その後、完全に掌を返して、財界と手を握って新自由主義へと180度の舵を切り、コレアのやってきた改革を次々に潰し、それに反発して反対派をまとめようとしたコレアやその側近をでっち上げの汚職の罪で逮捕しようと試み、亡命に追い込んだ。いわゆる「国の乗っ取り」だ。これがほんの2年前のことである

(ちなみに、先月、エクアドルの首都機能が移転させられるほどに激化した先住民デモは、このモレノ大統領の押し進める新自由主義政策の結果、悲惨なことになった先住民の人たちの抵抗運動である)

 エボが、この事件に無関心でいられるわけがないのは当然だろう。うかつに後継者を決められなかったことも理解できる。
 他にもっとなにかいい方法があっただろうと、口で言うのは簡単だが、実際には難しかっただろう。

 さらに、ここに、日本でも人気の高い、かのウルグアイの「世界一貧乏な」ぺぺ・I ムヒカ元大統領の名言が重なる。
左派は理想で分裂するが、右派は利権で団結する
 
 ああ、真理である。(日本もそうだよね)
 右派の政治家は、相当のことをやらかしていても、利権をばらまける限り、その支持者は離れないし、左派やリベラルの政治家は些細なスキャンダルや疑いで、己の支持者から辞職勧告を突きつけられがちってことだ。

 ボリビアでもこれが起こった。従来、エボを支持していた人たちが、長期独裁だなんだという極右のデモに扇動されて大統領を叩く事態になったわけ。
 それが、警察や軍に大義名分を与えたと。

 まあ、それに加えて、このロイターの記事の「暮らしにゆとりが出るほど、国民は政治指導者の不正に寛大でなくなることがあるのだ。そもそも指導者が良い変化をもたらすのを助けたのであっても」という指摘も、今回の場合、なかなかいいところを突いているといえる。
 
 そのエボが亡命申請をし、瞬殺で受理したのがメキシコのロペス=オブラドール大統領。米州機構に緊急総会を呼びかける と共に、速攻でメキシコ外務大臣自身が護衛を引き連れて、エボの保護にボリビアに向かい、飛行機に乗せて、メキシコに連れ帰った。

その間も、ずっとツイートしてたというのが、とっても今っぽいが、そもそも、30年代メキシコはトロツキーを受け入れ、スペイン市民戦争時は大量のスペイン共和国支持者を受け入れ、その後はアルゼンチンやチリや中米の軍事政権亡命者を受け入れてきたという伝統がある。日本からは佐野碩さんもお世話になっていますね。

 メキシコでは、#BienvenidoEvo (ようこそエボ)というハッシュタグで、お祭り騒ぎの大盛り上がり、というのが現況。ワールドカップ決勝かよ。

 一方で、米ホワイトハウスはというと、速攻でボリビアの政変に祝意を表明し、「ベネズエラやキューバにも波及するように」と表明した。(エクアドルやチリにも、と言っていないところにご注目。これで、この件の意味がよくわかりますね)
 https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/statement-president-donald-j-trump-regarding-resignation-bolivian-president-evo-morales/

 ボリビアでは、今後、まともな選挙が行われるのか。野党統一候補となっていたメサが政権に就いたとして、(選挙では、彼は、天然ガスや石油の民営化は行わないとは言っていましたが)、その後の政策がどうなるのか。
 ちなみに、ボリビアの天然ガスは南米2位、リチウムの埋蔵量は世界一というところも注目ポイントだ。

 これから注視してきたいところである。

エボ・モラエスがメキシコに到着したところのニュース映像

続きを読む

警察も検察もやってくれてることが、いろいろ明らかに

ここ数日、刑事司法に関して、衝撃的なことが続いています。

ひとつは、2003年に起こった東近江市の病院で、患者を殺害した罪に問われた元看護助手の西山美香さんの再審請求。
そもそもこの事件も、精神的に強くない西山さんに対して、警察官が精神的に追いつめ、虚偽の自白をさせた可能性が当初から指摘されていたわけですが、これが、そもそも殺人ではなく、病死であることが明白になったというケースです。

もう一つは、SBS(乳幼児揺さぶられ症候群)による虐待致死として、有罪実刑判決を受けていた山内泰子さんに、10月25日、逆転無罪判決が出たこと。そしてそれに対して、大阪高検が上告を断念し、無罪が確定したこと。

検察の、いったん起訴した事件について「有罪を取る」こと、さらにいったん有罪判決を取った事件に関しての控訴審や再審で「有罪を維持する」ということへの執念は、それはそれは、ものすごいものがあります。裁判所の検察への忖度の歴史もすさまじいものがあります。
弁護団がいかに新しい証拠や証言を出してきても、自白や証拠に矛盾が出てきても、なかなか裁判所は再審を認めないし、認めたところで、ほぼ間違いなく検察が異議申立を行い、それで再審却下される事例も少なくありません。なんたって、白ワインに赤い農薬が入っていても誰も気づかなかったとか、ズボンを味噌漬けにしたら縮むとか、およそ、科学や常識で計り知れない世界がそこに展開されているわけです。真犯人が名乗り出てきてさえ、再審が認められなかったケースまであるぐらいです。

だからこそ、再審が認められるとか、あるいは、検察が上告を断念する、というのは、「疑わしきは被告人の利益に」どころの話ではなく、それはもう「ぐうの音の出ない」ほどの証拠を突きつけられた、あるいは、検察側の証拠がよほど完膚なきまでに崩壊していた、ということに他ならないわけ。
つまり、そのハードルは、おそろしいほど高いのです。

その、おそろしく高いハードルが飛び越えられた事件が続いたということですから、凄くありません?

しかも、それだけではありません。

東近江市の病院の事件では、事件当時から、すでに人工呼吸器を故意にはずしたことを否認する山内さんの調書や、病死を示唆する医師の所見などが存在していたにもかかわらず、「隠蔽されていた」ことが、新たにわかったとか。

関テレ!「報道ランナー」
【解説】重要証拠を「隠ぺい」か?滋賀県警は西山さんの「12年の服役」に報いる「説明責任」を果たせ

https://tinyurl.com/yf2elbnv

こんなことが「うっかりミス」であろうはずがありませんね。つまり、そもそも殺人事件ではないことがわかっていたにもかかわらず、手柄ほしさに、無実の人間の冤罪を意図的にでっち上げたわけです。

SBS事件についてのトンデモも、この記事に詳しく書かれています。

JB Press 虐待裁判で逆転無罪、無実の祖母を犯人視した専門家
http://a.msn.com/01/ja-jp/BBWwcVz?ocid=st

その内容は衝撃的としか言いようがありません。
検察は、脳神経のCT読影の経験もないし、判断もできないような医師を起用して、裁判所に証拠を提出させ、有罪の決め手としていたのです。
その医師の、あまりにトンデモな「誤読」っぷりが、法廷でボコボコにされ、そのあまりの惨状に、さすがに裁判官も証拠価値がないことを認め、さらに、検察もさじを投げるしかなかった、ということのようです。

しかし、そこで誰でも不思議に思うのは、「検察は、なんでそんな医師を起用したのか」ということです。そしてまた、問題の医師も、なぜ、裁判で、自分の専門分野でもなく、よくわからないようなことで、一人の人間の人生がかかっているような証言をできたのか。

明らかに「誤読した」のではなく、結論ありきの、検察に都合のいい証言をした、ということでしょうね。
しかも、この医師は、他のSBS虐待裁判でも、検察側証人として、検察に都合のいい証言を行っているようで、古畑鑑定みたいに、次々と逆転無罪が出て来る可能性があるようです。

あ、古畑といっても、田村正和主演の刑事ドラマの主人公とはなんの関係もございません。
医学部では「禁句」として決して教えない、(しかし、法医学会ではいまだにその弟子たちが、冤罪事件の再審請求棄却のために跋扈しているらしい)戦後最悪の御用法医学者 古畑種基医師のことです。

こうなると、やはり再審請求中の北陵病院筋弛緩剤事件も気になってきたりするところですが、まあ、検察側の証人って、そういうものらしいです。

それにしても、この証拠を隠していた滋賀県警にしても、いい加減極まりない鑑定をした医師にしても、これが何かの罪に問われるのか、責任を取るのか、と言えば、べつに問われることはないのですよ。

なんせ、検察側の証人に立った人の場合、あとで、明らかな偽証がわかった場合でも、偽証罪に問われたケースはないのです。本来なら、検察のあるべき立証や裁判所の判断を惑わせたとして、偽証罪で裁かれることがあってもおかしくはないというか、そうあるべきだと思うのですが、絶対にそうならないのが日本。ましてや、人によっては司法取引なんていう役得もあったりするわけですから、かくして、検察に都合のいい証言はいくらでもでっちあげることができる仕組みになっているわけ。

一方で、我らが日本の検察は、起訴独占主義を利用して、どう転んでも有罪になるしかないような事件でも、自分たちに都合の悪い件については、あえて裁判させず、不起訴にすることでも有名。かつての陸山会事件で、露骨なでっちあげ証言入りの偽報告書を書いた田代政弘検事も、自己都合の退職でお茶を濁し、森友事件の文書廃棄や文書改ざんといった、やった本人たちがほぼ認めているような事案ですら、不起訴という体たらく。

かつての特捜も、いまや、その捜査能力も度胸も、週刊文春の足下にすら及ばない、と失笑されていますが、その検察を裏で支えているのが、検察審査会だったりします。本来は、検察を審査する会であったはずが、陸山会事件以来、事実上、検察の補完機関となっている模様。

笑ってしまうのは、森友事件に至っては、議事録がブラックボックスなのはもちろん、さらに不透明度が進んで、どうやって審査員を選んだのかという手続きマニュアルさえ、情報公開請求で不開示です。審査に重大な影響を及ぼすからだそうです。

なるほど。ザル法である検察審査会法を盾に、とうてい公開できないような方法で審査員を選んでいらっしゃるそうですわよ、奥様。

ということで、二例続けて、裁判所が比較的まともな判断を示した、という点で、少し喜ばしいニュースが続いてはいるけれど、それは決して、日本の司法がまともになったということではなく、テレビドラマとは違って、警察や検察のお仕事が、そんだけメチャクチャだということが、改めて露わになったということです。

想像の斜め上を来てくれた大阪検察審査会の開示

 さて、検察審査会で、不起訴不当が出た件について。
 はっきり言う。検察審査会にはあまり期待していませんでした。

 場合によっては、被告人に対して死刑判決を下さなければならない裁判員とは違って、単に、「裁判するかどうか」を決めるという、はるかに軽い決断をするだけであるにもかかわらず、審査員は徹底秘匿され、記者会見することもなく、議事録もなければ、どんな説明が行われ、どんな証拠が提示されたのかさえ、わからないようなブラックボックスです。

 それでも、日本の司法では、検察の捜査がおかしければ、検察審査会に審査を求めるしかありません。

 そんな検審でさえ、ご存じのように、森友事件では、一部の罪状に関して、不起訴不当議決が出ました。

 起訴相当議決と不起訴不当議決のなにが違うかといえば、起訴相当議決であれば、議決2回で強制起訴となるが、不起訴不当であれば、単に検察に差し戻しになるだけで、なんの強制力もありません。

 それでは、その違いがなぜ起こるかといえば、単に「賛成者の数」。
 つまり、どんなに議論の内容が白熱し、これは起訴すべきだろうという流れになったとしても、断固として手を上げない人が4人いれば、絶対に起訴議決は出ないというわけ。

 だからでしょう。陸山会事件の田代政弘元検事の、あそこまであからさまな虚偽公文書作成事件には、どういうわけか、よりにもよって元検察高官が、アドバイザーとして、補助弁護士に就任していました。
 そして、まったく不必要に何度も審査員を入れ替え、起訴議決が出ないようになるまで議決を引き延ばしたという疑いも。
 
 伊藤詩織さんの事件の時には、素人しかいないはずの審査員が、なぜか、プロである補助弁護士をつけないで審査したり....。

 さらに言えば、審査員選定のために、選挙人名簿から無作為抽出するだけのガラポンソフトに数千万もかけ、やろうと思えば、任意の審査員を入れることができるような奇妙な仕様にしていたり....。

 その検審に開示請求を行ったのが、今年の4月、例の議決が出た直後です。

 通常、公文書の開示は二週間程度で行われるのだが、今回は、二度にわたって、大阪検審は延長を求めてきました。文書が大量にあり、精査が必要だと。

 で、3ヶ月もかけて、その間、あたくしは、カリブでレコーディングしたり、南米に行ったりしていたんですが、その末に、やっと開示してきたその内容が、想像の斜め上を行くトンデモだった、というわけ。

 通常、文書開示で、謄写つまりコピーを求めると、高めの実費を請求される。数百枚の開示の場合、これがけっこうな支出になるので、私が代表を務める「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」のような質実剛健な団体では、裁判所にノートパソコンとハンディスキャナを持ち込んで、スキャンするのが常でした。

(裁判所は電源も貸してくれないのだが、このスキャナはパソコンから電源を取れるので、超絶便利です)

 ところが、今回、大阪検審から電話があって、
「閲覧文書は、こちらでコピーを取ってお送りしますので、大阪までおいでになる必要はありません」

 えええ? 大阪検審、太っ腹????

 と一瞬でも思った私が甘かったのです。届いた書類は、なんとペラ8枚。
 いままで、同内容の請求で、百数十枚が開示されていたのに、たった8枚ですよ。いままでの、20分の1! しかも、全部黒塗り。これって、どこの戦前?

 いや、この数年での劣化っぷりはなんといったらいいのでしょうね。
 公文書毀棄(隠匿)事件の審査会で、公文書隠匿って、どんなジョークなんでしょう。

 とにかく、審査員をどう選定するか、については、一切極秘なんだそうです。立ち会ったはずの裁判官と検察官も、検察審査会法では「くじは、地方裁判所の判事、地方検察庁の検事及び関係市町村の吏員各一人の立会を以てこれを行わなければならない。この場合において、立会をした者は、検察審査員及び補充員の選定の証明をしなければならない。」と定められているのにもかかわらず、この立ち会いをした人も秘匿です。
 一体、なにをそんなに隠したいんでしょう?

 というわけで、本日、東京司法記者クラブで、緊急記者会見をいたしました。



プレスリリース
 
今回開示された資料
 
今までの開示と比べて、今回がどれだけ酷いかが一目でわかる資料
 
 まあ、大阪検察審査会が、大阪に来てもらいたくなかった理由がよくわかりました。ただ、これで逃げおおせたと思わないでいただきたいものでございます。

 ほんとに、明日はライブだってのに。

7月18日(木) 六本木 ノチェーロ

(東京都港区六本木6-7-9 川本ビルB1) お問い合わせ/03-3401-6801
1st 19:30 2nd 21:00 (入れ替えなし) 
Charge:2,600円(おつまみ一品付)
アクセス/日比谷線・大江戸線六本木駅より徒歩2分

六本木駅至近の最高の立地の音響の良いステージです。美しい歌曲の数々をじっくりお聴き頂きます! ギター:福島久雄さん。
詳細とご予約はこちら

7月30日(火) 大阪本町・Music Spot 燈門
 
( 大阪市中央区瓦町4-4-14 日宝ニュー本町ビル1F ) お問い合わせ/06-4708-8844
18:45 Open 19:30 Start
前売¥3000 当日¥3300+1ドリンク
アクセス/地下鉄御堂筋線「本町」駅徒歩4分。  

2018年7月より店主を変更し、グランドピアノも入れ、「小さな音の燈火をあなたの心に届ける」をコンセプトにした、大阪の音の憩いの空間「燈門(ともん)」での三度目のライブです! 新進気鋭のピアニスト柳原由佳さんとの共演!
ピアノ柳原由佳さん
詳細とご予約はこちら
プロフィール

PANDORA

Author:PANDORA
ラテンアメリカと日本を拠点に活動する音楽家・作家 八木啓代のBlog
公式サイト http://nobuyoyagi.com

★CD情報
新作CD”Lagrimas”試聴やご購入はこちらから

★新刊情報
3.11を心に刻んで (岩波ブックレット)
人は、どのような局面において言葉をつむぐか。30人の執筆者が震災を語ったエッセイ集。澤地久枝、斎藤 環、池澤夏樹、渡辺えり、やなせたかしらと並んで八木も寄稿。
刑事司法への問い (シリーズ 刑事司法を考える 第0巻) (岩波書店)
日本の刑事司法の何が問題か、どのような改革が求められているか。刑事法研究者、実務法曹の他、八木も執筆しております。
禁じられた歌ービクトル・ハラはなぜ死んだか(Kindle版)
長らく絶版状態だった書籍をリクエストにより電子書籍で再版いたしました。八木啓代の原点です。
検察崩壊 失われた正義(毎日新聞社)
5刷。この一冊で特捜検察の現実がわかります。
ラテンに学ぶ幸せな生き方(講談社)
なぜラテン人は自殺しないの?に応えて3刷!好評発売中!
キューバ音楽(青土社)
ラテン音楽ファン必読!キューバ音楽のすべてが理論も歴史もわかります。浜田滋郎氏激賞
貧乏だけど贅沢(文春文庫)
沢木耕太郎氏との対談収録

★ライブ情報
12月5日(木)六本木・Nochero
Vo. 八木啓代 G. 福島久雄

ライブ&講演詳細はこちら



nobuyoyagiをフォローしましょう

カレンダー
11 | 2019/12 | 01
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カテゴリ
検索フォーム
最新コメント
リンク
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
月別アーカイブ
最新トラックバック
  1. 無料アクセス解析